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FJネクHD Research Memo(6):2024年3月期は計画を上回る増収増益により売上高1,000億円を突破
配信日時:2024/07/26 14:46
配信元:FISCO
*14:46JST FJネクHD Research Memo(6):2024年3月期は計画を上回る増収増益により売上高1,000億円を突破
■FJネクストホールディングス<8935>の業績推移
1. 過去の業績推移
過去の業績を振り返ると、首都圏における資産運用型マンションに対する賃貸需要、購入需要の拡大に支えられて業績は総じて順調に推移してきたと言える。2009年3月期にリーマン・ショックに伴う景気後退の影響で業績のボトムを迎えたものの、同社は仕入高を追わずに採算性に合った仕入れを継続するという方針の下、堅実な物件開発を進めたことで、大きな痛手を被った不動産業界においては比較的軽微な落ち込みで乗り切り、その後は景気回復とともに順調に業績を拡大してきた。2016年3月期以降は大幅な増収増益を続けており、売上高は2020年3月期まで5年連続で過去最高を更新した。2021年3月期はコロナ禍の影響により一旦後退したものの、翌2022年3月期にV字回復すると、2024年3月期の売上高は初めて1,000億円を突破し、社歴を重ねながらも、同社がまだまだ成長過程にあることを示している。
財務面では、業績の拡大に伴って有利子負債残高も増えてきたが、内部留保の積み増しなどにより自己資本比率も高い水準を維持しており、財務基盤の安定性に懸念はない。
なお、同社がリーマン・ショックに伴う厳しい業界環境を比較的スムーズに乗り切れたのは、厳選された好立地を含め、収益還元法による採算性を重視した「ガーラ」ブランドの資産価値の高さ、並びに同社の財務基盤の安定性によるものと言える。
2. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の業績は、売上高が前期比18.6%増の100,405百万円、営業利益が同14.3%増の9,431百万円、経常利益が同14.8%増の9,434百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.8%増の6,453百万円と計画を上回る大幅な増収増益となり、売上高は初めて1,000億円を突破した。
売上高は、「不動産開発事業」「不動産管理事業」「建設事業」がそれぞれ伸長した。特に、主力の「不動産開発事業」におけるマンション販売戸数は2,770戸(前期比209戸増)となり、中古マンション販売を含めて過去最高水準を更新した。国内経済が緩やかに回復する一方、施工費や用地価格の高騰が続くなかで、資産運用型マンションに対する需要は根強く、平均販売価格についても新築・中古ともに前期を上回ることができた。売上高が計画を上回ったのも販売戸数の上振れ(計画比270戸増)が主因であり、主に中古マンション販売によるものである。また、「不動産管理事業」も賃貸管理戸数の積み上げにより順調に拡大したほか、「建設事業」はマンション建設及び大規模修繕工事等の完成工事件数増加により大幅な増収を記録した。一方、唯一微減収となった「旅館事業」については、前期において国が実施した観光需要喚起策等に伴う特需の反動減により稼働率が若干低下した。
利益面でも、工事原価の上昇に加え、中古マンション販売の構成比の高まりが粗利益率の低下要因となったものの、増収による収益の底上げや費用の抑制により計画を上回る増益を確保することができた。
今後の業績の伸びに影響するたな卸資産(パイプライン)の状況については、販売用不動産(完成マンション)及び仕掛販売用不動産(開発用地及び開発中のマンション)の残高はどちらも前期末を上回っており、厳しい仕入れ環境にあるなかでも採算性を重視した仕入れの継続により、パイプラインもしっかりと確保されている。
財政状態については、前述のとおり、たな卸資産が増加したことから総資産は前期末比7.1%増の95,281百万円となった。一方、自己資本も内部留保の積み増しにより同8.0%増の68,031百万円に増加したことから、自己資本比率は71.4%(前期末は70.9%)に上昇した。一方、有利子負債は同5.3%減の12,753百万円に減少し、有利子負債依存度※は13.4%(前期末は15.1%)に低下した。資本効率を示すROEは9.8%(前期末は9.2%)に改善しており、同社の財務内容は総じて良化している。
※有利子負債残高÷(負債合計+純資産)で算出。
3. 2025年3月期の業績予想
2025年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比2.6%増の103,000百万円、営業利益を同20.5%減の7,500百万円、経常利益を同20.5%減の7,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同22.5%減の5,000百万円と増収ながら減益を見込んでいる。
引き続き、「不動産開発事業」の伸びと「不動産管理事業」の積み上げが増収に寄与する。「不動産開発事業」における販売戸数は2,900戸(前期比130戸増)を見込んでいる。ただ、増収率が緩やかな水準にとどまるのは、前期に大幅増収を記録した「建設事業」の反動減による影響と見られる。
一方、利益面で減益となるのは、各セグメントにおける原材料価格の上昇及び「不動産開発事業」での中古マンション販売比率の高まりが理由であり、営業利益率は7.3%(前期は9.4%)に低下する見通しである。
弊社でも、先行き不透明感のある金融環境や物価動向などの影響には注意が必要であるものの、首都圏における賃貸需要が底堅く推移していることや中古マンションを含めて購入需要が根強いこと、パイプラインを確保できていることなどから、売上高予想の達成は十分に可能であると見ている。また、減益予想となっている利益面でも、原材料価格の上昇などを保守的に織り込んだ水準と見ている。したがって、前期同様、好調な中古マンション販売が想定以上に増えることにより業績が上振れする可能性にも注意が必要である。引き続き、2025年3月期以降の業績の伸びにつながるパイプラインの状況のほか、他社との業務提携を含む、将来を見据えた取り組みにも注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 過去の業績推移
過去の業績を振り返ると、首都圏における資産運用型マンションに対する賃貸需要、購入需要の拡大に支えられて業績は総じて順調に推移してきたと言える。2009年3月期にリーマン・ショックに伴う景気後退の影響で業績のボトムを迎えたものの、同社は仕入高を追わずに採算性に合った仕入れを継続するという方針の下、堅実な物件開発を進めたことで、大きな痛手を被った不動産業界においては比較的軽微な落ち込みで乗り切り、その後は景気回復とともに順調に業績を拡大してきた。2016年3月期以降は大幅な増収増益を続けており、売上高は2020年3月期まで5年連続で過去最高を更新した。2021年3月期はコロナ禍の影響により一旦後退したものの、翌2022年3月期にV字回復すると、2024年3月期の売上高は初めて1,000億円を突破し、社歴を重ねながらも、同社がまだまだ成長過程にあることを示している。
財務面では、業績の拡大に伴って有利子負債残高も増えてきたが、内部留保の積み増しなどにより自己資本比率も高い水準を維持しており、財務基盤の安定性に懸念はない。
なお、同社がリーマン・ショックに伴う厳しい業界環境を比較的スムーズに乗り切れたのは、厳選された好立地を含め、収益還元法による採算性を重視した「ガーラ」ブランドの資産価値の高さ、並びに同社の財務基盤の安定性によるものと言える。
2. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の業績は、売上高が前期比18.6%増の100,405百万円、営業利益が同14.3%増の9,431百万円、経常利益が同14.8%増の9,434百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.8%増の6,453百万円と計画を上回る大幅な増収増益となり、売上高は初めて1,000億円を突破した。
売上高は、「不動産開発事業」「不動産管理事業」「建設事業」がそれぞれ伸長した。特に、主力の「不動産開発事業」におけるマンション販売戸数は2,770戸(前期比209戸増)となり、中古マンション販売を含めて過去最高水準を更新した。国内経済が緩やかに回復する一方、施工費や用地価格の高騰が続くなかで、資産運用型マンションに対する需要は根強く、平均販売価格についても新築・中古ともに前期を上回ることができた。売上高が計画を上回ったのも販売戸数の上振れ(計画比270戸増)が主因であり、主に中古マンション販売によるものである。また、「不動産管理事業」も賃貸管理戸数の積み上げにより順調に拡大したほか、「建設事業」はマンション建設及び大規模修繕工事等の完成工事件数増加により大幅な増収を記録した。一方、唯一微減収となった「旅館事業」については、前期において国が実施した観光需要喚起策等に伴う特需の反動減により稼働率が若干低下した。
利益面でも、工事原価の上昇に加え、中古マンション販売の構成比の高まりが粗利益率の低下要因となったものの、増収による収益の底上げや費用の抑制により計画を上回る増益を確保することができた。
今後の業績の伸びに影響するたな卸資産(パイプライン)の状況については、販売用不動産(完成マンション)及び仕掛販売用不動産(開発用地及び開発中のマンション)の残高はどちらも前期末を上回っており、厳しい仕入れ環境にあるなかでも採算性を重視した仕入れの継続により、パイプラインもしっかりと確保されている。
財政状態については、前述のとおり、たな卸資産が増加したことから総資産は前期末比7.1%増の95,281百万円となった。一方、自己資本も内部留保の積み増しにより同8.0%増の68,031百万円に増加したことから、自己資本比率は71.4%(前期末は70.9%)に上昇した。一方、有利子負債は同5.3%減の12,753百万円に減少し、有利子負債依存度※は13.4%(前期末は15.1%)に低下した。資本効率を示すROEは9.8%(前期末は9.2%)に改善しており、同社の財務内容は総じて良化している。
※有利子負債残高÷(負債合計+純資産)で算出。
3. 2025年3月期の業績予想
2025年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比2.6%増の103,000百万円、営業利益を同20.5%減の7,500百万円、経常利益を同20.5%減の7,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同22.5%減の5,000百万円と増収ながら減益を見込んでいる。
引き続き、「不動産開発事業」の伸びと「不動産管理事業」の積み上げが増収に寄与する。「不動産開発事業」における販売戸数は2,900戸(前期比130戸増)を見込んでいる。ただ、増収率が緩やかな水準にとどまるのは、前期に大幅増収を記録した「建設事業」の反動減による影響と見られる。
一方、利益面で減益となるのは、各セグメントにおける原材料価格の上昇及び「不動産開発事業」での中古マンション販売比率の高まりが理由であり、営業利益率は7.3%(前期は9.4%)に低下する見通しである。
弊社でも、先行き不透明感のある金融環境や物価動向などの影響には注意が必要であるものの、首都圏における賃貸需要が底堅く推移していることや中古マンションを含めて購入需要が根強いこと、パイプラインを確保できていることなどから、売上高予想の達成は十分に可能であると見ている。また、減益予想となっている利益面でも、原材料価格の上昇などを保守的に織り込んだ水準と見ている。したがって、前期同様、好調な中古マンション販売が想定以上に増えることにより業績が上振れする可能性にも注意が必要である。引き続き、2025年3月期以降の業績の伸びにつながるパイプラインの状況のほか、他社との業務提携を含む、将来を見据えた取り組みにも注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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