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CACHD Research Memo(4):プライム契約比率90%を誇る国内IT事業

配信日時:2024/05/08 16:04 配信元:FISCO
*16:04JST CACHD Research Memo(4):プライム契約比率90%を誇る国内IT事業 ■事業概要

1. 国内IT事業
国内IT事業は、売上構成比の71.0%(2023年12月期)を占めるCAC Holdings<4725>の主力事業であり、国内子会社を通じてシステム構築サービス・システム運用管理サービス・人事BPOサービスなどを展開している。同社は独立系SIerの立場で、プライムコントラクタとして最終顧客のニーズを的確かつ直接汲み取り、顧客に最適なサービスを提供することにこだわってきた。実際、国内IT事業の中核を担うシーエーシーは、400社弱の顧客を抱えるなかでプライム契約比率は約90%の水準をキープしており、売上総利益率は25%程度を確保していると見られる。

(1) 銀行・信託向けに強みを有するシステム構築サービス
システム構築サービスは、情報システムの企画から設計・開発・テスト・導入・保守まで、企業情報システムの構築をトータルに実施するものである。売上高上位の顧客には、複数の金融機関や大手信託銀行が名を連ねている。半世紀超にわたりプライムコントラクタとして専門性の高い業務知識と経験を培ってきた結果、メガバンク向けの市場系や海外系システム、信託銀行向けの年金関連システムに強みを有している。

(2) クラウド対応を進めるシステム運用管理サービス
システム運用管理サービスは、1971年のアウトソーシング・サービス専門会社(SSK)への出資を起源としている。現在は運用プロセス管理・業務運用・ユーザー支援・クライアント機器管理・アプリケーション運用・インフラ運用など、システムの運用に必要な機能をトータルに提供している。大手製薬企業への総合的なサービス提供を通じて蓄積した運用ノウハウやM&Aにより、様々な業種(製造業や商社、水産・食品)のニーズを取り込んだことが強みとなっている。

また、2012年からはクラウド対応についても急ピッチで強化してきた。AWS(Amazon Web Services)でのシステムインテグレーションやシステム開発などの実績が非常に豊富であるとして「APNアドバンストコンサルティングパートナー」に認定されており、現在は大手金融機関や製薬企業など40社以上をサポートしている。なお、クラウド化の加速はITベンダーにとって既存ビジネスの縮小につながる面も持つが、同社はそのマイナス影響は小さいとしている。

(3) 人事BPOサービス
人事BPOサービスは、ITを活用して人事業務などのビジネスプロセスを企業の担当者に代わって遂行するものである。一般的な給与計算などに留まらず、人事制度の運用や労務管理、福利厚生管理、そのほか人事業務全般で業務受託を行っている。2019年7月には「長崎BPOセンター(長崎BizPORT内)」を、2021年11月には「長崎NBCオフィス」を長崎市に開設し、事業拡大を図っている。人事業務全般に限らず総務・経理業務なども視野に入れ、バックオフィス業務の包括的な受託を目指している。

なお、「長崎BPOセンター」では2020年4月から医薬系ITサービスの提供を、同年9月からは金融機関向けシステム開発サービスの提供を開始している。また、「長崎NBCオフィス」では人事給与BPOサービスの提供に加え、「HCTech AI Lab長崎」として先端技術の研究・開発とIT活用のためのファシリテーション等の機能も担い、長崎の地域課題解決と地方創生に貢献する取り組みを進めている。同社にとって長崎の事業拠点は、単なるBPOセンターを超えた国内IT事業の重要なニアショア拠点へと発展している。

(4) DXへの取り組み
同社は、急速に進化するICT技術が社会全般を変革するデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)について、既存SIerにとってチャンスでもありピンチでもあると認識している。DXは、新たな事業を創出するだけでなく既存ビジネスのデザインも変革していく。つまり、仮想世界と物理的世界が融合された新世界で、ヒト・モノ・カネ・ビジネスが相互作用をもたらすことに対応したデジタルビジネスへの移行が求められている。

同社は顧客のDX推進を支援するため、既にAIやブロックチェーン、IoTといった最新のICT技術を活用したサービスメニューを用意している。具体的な一例として「人を察し、人を活かし、人を健やかにするAI活用」を目指し、HCTech(Human Centered Technology)を推進している。HCTechは、膨大な時間と専門知識を必要とする、人や物の画像や生体データの分析・識別でAIを活用しようとするものである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)

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