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nms Research Memo(3):2024年3月期上期は増収増益。計画比では売上高未達も、各利益は計画過達

配信日時:2024/01/09 15:33 配信元:FISCO
*15:33JST nms Research Memo(3):2024年3月期上期は増収増益。計画比では売上高未達も、各利益は計画過達 ■業績動向

1. 2024年3月期上期の業績概要
nmsホールディングス<2162>の2024年3月期上期の連結業績は、売上高が前期比1.3%増の36,274百万円、営業利益が498百万円(前年同期は155百万円の損失)、経常利益が同75.9%増の889百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同169.2%増の560百万円となった。対上期業績予想(売上高38,000百万円、営業利益450百万円)では、売上高は未達となったが、営業利益は過達となった。売上高は、前年度下期にあった挽回生産のあおりによる在庫調整に加え、米国および欧州経済における金融引き締めの影響や、最終需要停滞による顧客の販売減等の影響を受ける形となった。利益面では、PS事業における生産性向上施策や、主要顧客である日系複写機メーカー向けの部材調達コストの削減などを進めることで想定以上の収益性改善が進んだ。金利上昇や中国の景気低迷など外部環境の厳しさが増すなか、同社ではこれらによる影響を受けにくい収益体質の構築を目指しており、売上高が未達になるなかでも営業利益が過達となったことは収益力強化が進んでいる証左であると弊社は考えている。

四半期毎の業績動向を見ると、第1四半期は売上高18,565百万円、営業利益483百万円と売上高・営業利益ともに大幅な改善となったが、第2四半期は売上高17,709百万円、営業利益14百万円と売上高・営業利益ともに減少した。第2四半期の業績が一見すると悪化したように見えるが、2024年3月期から国内子会社の決算期を持株会社と同じ3月期に変更したため(海外子会社は12月期のまま)に生じたものである。たとえば国内で部材調達した後に海外子会社に販売する際には3ヶ月の決算期のずれのために連結調整影響がこの第2四半期に発生する。このため、EMS事業におけるマレーシアや中国での顧客の稼働低下による在庫調整影響が大きく反映された数値となり、同社の実力値よりも低い業績となっている点に留意する必要がある。在庫調整影響が第3四半期以降も継続する可能性がある点には注意が必要だが、2024年3月期の営業利益は第2四半期がボトムになると見られる。

2. 事業別業績概況
(1) HS事業
売上高は11,416百万円(前年同期比0.8%減)、セグメント利益は427百万円(同9.1%減)となった。国内事業に関しては、自動車・半導体関連を中心とした顧客の生産調整による影響によって売上高の伸び率が抑制されたものの、利益面では単価交渉による原価率改善や適正販管費の管理強化など、基盤強化策の実行を進めた。海外事業においては、基盤強化策の効果はあったが、中国における客先在庫調整による減産の影響やベトナムでの新規受注獲得による教育費用などの利益圧迫要因があった。

(2) EMS事業
売上高は、17,347百万円(前年同期比2.0%増)、セグメント利益は134百万円(前年同期は179百万円の損失)となった。同事業は、中国・ASEAN・北中米において生産活動を展開し、中国における受注の獲得やベトナム工場での新規量産開始などによって増収を達成した。利益面は、中国やマレーシアにおける客先在庫調整の影響を受けたものの、増収に加えて各拠点における生産性改善やコスト構造の見直しの成果もあり、利益が改善した。

セグメント利益を四半期毎に見ると、第1四半期のセグメント利益は242百万円と順調だったが、第2四半期は107百万円のセグメント損失となった。第1四半期から第2四半期にかけて中国やマレーシアを中心に顧客である大手日系家電メーカーのエアコン生産が最終需要減や在庫調整により大きく落ち込んでおり、同社もその影響を受けた。また、欧州市場における、ヒートポンプへの補助金削減の影響で同社が手掛けているヒートポンプ向けの基板実装も売上減少へ転じたことも影響した。

(3) PS事業
売上高は、7,510百万円(前年同期比2.9%増)、セグメント利益は219百万円(前年同期は194百万円の損失)となった。セグメント利益を四半期毎に見ると、第1四半期のセグメント利益203百万円に対して、第2四半期は15百万円と大きく減少しているように見えるが、連結調整影響が含まれていることから第3四半期以降の損益は改善する見込みであり、大きな懸念は不要である。PS事業は複写機メーカー向けが売上高の70%程度を構成しており、市場自体の大きな成長は見込みにくいことから同社ではコスト削減や生産性改善による利益率の向上を目指している。上期においても売上高は前年同期比で増収となったものの、これは円安進展が主因である。セグメント利益は大幅に改善し、同社が目指すコスト削減や生産性改善の効果の刈り取りが奏功した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)

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