注目トピックス 日本株
nms Research Memo(1):2024年3月期の売上高予想は減収見通しとなるも、各利益はわずかに上方修正
配信日時:2024/01/09 15:31
配信元:FISCO
*15:31JST nms Research Memo(1):2024年3月期の売上高予想は減収見通しとなるも、各利益はわずかに上方修正
■要約
nmsホールディングス<2162>は、ヒューマンソリューション(HS)事業、エレクトロニクスマニュファクチャリングサービス(EMS)事業及びパワーサプライ(PS)事業の、3つの事業セグメントで構成される。HS事業は、製造派遣及び請負、修理カスタマーサービスを行う。EMS事業は、国内及び海外において電子機器基板の実装組み立てサービスを行う。PS事業は、電源分野における設計開発・製造・販売を行う。
1. 2024年3月期上期の業績概要
同社の2024年3月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比1.3%増の36,274百万円、営業利益が498百万円(前年同期は155百万円の損失)、経常利益が同75.9%増の889百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同169.2%増の560百万円となった。対上期業績予想については、売上高は未達となったが、営業利益は過達となった。売上高は中国やASEANを中心とした在庫調整による影響があり、やや期初想定を下回る推移となった。利益面では、PS事業における生産性向上のための施策や、部材調達コストの削減などを進めることで想定以上に収益性改善が進んだ。加えて為替差益760百万円の計上もあった。金利上昇や中国の景気低迷など外部環境の厳しさが増すなか、同社ではこれらによる影響を受けにくい収益体質の構築を目指している。売上高が未達となるも営業利益が過達となったことは、収益力強化が進んでいる証左であると弊社は考えている。
2. 2024年3月期通期の業績見通し
2024年3月期通期の連結業績予想について、同社は2023年10月30日に修正を発表した。売上高が77,000百万円(前期比2.6%減)、営業利益が1,850百万円(同20.3%増)、経常利益が1,500百万円(同5.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が800百万円(同58.3%増)としている。売上高は、主にEMS事業における主要顧客の生産調整の影響のほか、HS事業における製造請負や派遣ビジネスにおける積極的な新規受注獲得と在籍人員の拡大をねらうビジネスモデル過渡期に伴い売上が減少する見込みによるものである。利益面では、第3四半期以降も顧客の在庫調整影響は継続する可能性があるが、上期でも順調なPS事業における収益性改善の取り組みの成果への期待に加え、HS事業においても新規受注獲得と在籍人数の増加が見込まれる。経常利益も為替差益の発生になどにより増益が見込まれる。
3. 中期経営計画の進捗状況
同社は2023年4月に新中期経営計画を公表し、2026年3月期を最終年度とする目標値を示した。経営指標は、最終年度である2026年3月期に売上高1,000億円、営業利益42億円を目指す。2023年3月期の売上高790億円、営業利益15.3億円から大幅な成長を見込む。初年度である2024年3月期は一部顧客の在庫調整や戦略投資の増加などが利益の圧迫要因となるが、2025年3月期以降は製造業の人手不足を背景としたHS事業の成長や北米EMS事業の業績寄与など独自性のあるビジネスモデルの特長を最大化し、売上高・営業利益ともに連続的な成長を計画している。株主還元は、内部留保と成長投資にキャッシュを振り向けながら利益成長とともに段階的に配当金額を引き上げるとしている。期初想定からは外部環境の厳しさは増しているが、省人化投資による生産効率改善やポートフォリオの見直しなどを進めており、着実に筋肉質な収益体質になってきている。各事業ともに中期経営計画で発表した路線に沿って事業は進捗しており、外部環境の好転とともに大きく収益を飛躍させるための地ならしが進んでいるものと弊社は見ている。
■Key Points
・2024年3月期上期は、売上高は計画を下振れて着地するも、営業利益は計画過達。収益力強化が進捗
・2024年3月期予想は、売上高は主要顧客の生産調整の影響により前期比で減収見通しとなるも、各利益は上方修正
・新中期経営計画は2026年3月期に売上高1,000億円、営業利益42億円を掲げる。スタートは順調な進捗
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
<SO>
nmsホールディングス<2162>は、ヒューマンソリューション(HS)事業、エレクトロニクスマニュファクチャリングサービス(EMS)事業及びパワーサプライ(PS)事業の、3つの事業セグメントで構成される。HS事業は、製造派遣及び請負、修理カスタマーサービスを行う。EMS事業は、国内及び海外において電子機器基板の実装組み立てサービスを行う。PS事業は、電源分野における設計開発・製造・販売を行う。
1. 2024年3月期上期の業績概要
同社の2024年3月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比1.3%増の36,274百万円、営業利益が498百万円(前年同期は155百万円の損失)、経常利益が同75.9%増の889百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同169.2%増の560百万円となった。対上期業績予想については、売上高は未達となったが、営業利益は過達となった。売上高は中国やASEANを中心とした在庫調整による影響があり、やや期初想定を下回る推移となった。利益面では、PS事業における生産性向上のための施策や、部材調達コストの削減などを進めることで想定以上に収益性改善が進んだ。加えて為替差益760百万円の計上もあった。金利上昇や中国の景気低迷など外部環境の厳しさが増すなか、同社ではこれらによる影響を受けにくい収益体質の構築を目指している。売上高が未達となるも営業利益が過達となったことは、収益力強化が進んでいる証左であると弊社は考えている。
2. 2024年3月期通期の業績見通し
2024年3月期通期の連結業績予想について、同社は2023年10月30日に修正を発表した。売上高が77,000百万円(前期比2.6%減)、営業利益が1,850百万円(同20.3%増)、経常利益が1,500百万円(同5.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が800百万円(同58.3%増)としている。売上高は、主にEMS事業における主要顧客の生産調整の影響のほか、HS事業における製造請負や派遣ビジネスにおける積極的な新規受注獲得と在籍人員の拡大をねらうビジネスモデル過渡期に伴い売上が減少する見込みによるものである。利益面では、第3四半期以降も顧客の在庫調整影響は継続する可能性があるが、上期でも順調なPS事業における収益性改善の取り組みの成果への期待に加え、HS事業においても新規受注獲得と在籍人数の増加が見込まれる。経常利益も為替差益の発生になどにより増益が見込まれる。
3. 中期経営計画の進捗状況
同社は2023年4月に新中期経営計画を公表し、2026年3月期を最終年度とする目標値を示した。経営指標は、最終年度である2026年3月期に売上高1,000億円、営業利益42億円を目指す。2023年3月期の売上高790億円、営業利益15.3億円から大幅な成長を見込む。初年度である2024年3月期は一部顧客の在庫調整や戦略投資の増加などが利益の圧迫要因となるが、2025年3月期以降は製造業の人手不足を背景としたHS事業の成長や北米EMS事業の業績寄与など独自性のあるビジネスモデルの特長を最大化し、売上高・営業利益ともに連続的な成長を計画している。株主還元は、内部留保と成長投資にキャッシュを振り向けながら利益成長とともに段階的に配当金額を引き上げるとしている。期初想定からは外部環境の厳しさは増しているが、省人化投資による生産効率改善やポートフォリオの見直しなどを進めており、着実に筋肉質な収益体質になってきている。各事業ともに中期経営計画で発表した路線に沿って事業は進捗しており、外部環境の好転とともに大きく収益を飛躍させるための地ならしが進んでいるものと弊社は見ている。
■Key Points
・2024年3月期上期は、売上高は計画を下振れて着地するも、営業利益は計画過達。収益力強化が進捗
・2024年3月期予想は、売上高は主要顧客の生産調整の影響により前期比で減収見通しとなるも、各利益は上方修正
・新中期経営計画は2026年3月期に売上高1,000億円、営業利益42億円を掲げる。スタートは順調な進捗
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
<SO>
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