注目トピックス 日本株
サイバーコム Research Memo(8):2023年12月期も増収増益の見通し(2)
配信日時:2023/10/17 12:08
配信元:FISCO
*12:08JST サイバーコム Research Memo(8):2023年12月期も増収増益の見通し(2)
■今後の見通し
また、サイバーコム<3852>は2023年7月に組織体制の変更を実施した。主には本部制の廃止(ソフトウェア事業本部、サービス事業本部、管理本部の廃止)、関東の事業部再編(アプリケーション事業部、プラットフォーム事業部、システムインテグレーション事業部をICT事業部、システム事業部に再編)、エリア事業部の新設(新潟事業所、福岡事業所、名古屋事業所の3事業所を編成)、プロダクトビジネス部の再編、本社組織の再編となる。本社機能のうち、パートナー企業(外注先)の確保施策や実際の発注業務、管理業務を行うパートナー推進室を、パートナー推進部に格上げし体制の強化を図った。また、自社プロダクトの強化を図るため、プロダクトビジネス部をプロダクト&サービス部に改称し、その下に営業グループ、CTIグループ、ポジションナビグループ、新規事業推進グループを組織化した。
今回の組織再編は、アライアンス戦略やパートナー戦略などの機動力をアップし、営業体制を強化することでさらなる事業拡大を目的としたものとなっており、今後の業績面でプラスに効いてくるものと期待される。
(1) ソフトウェア開発事業
ソフトウェア開発事業は通期で増収増益を見込んでいる。通信ソフトウェア開発は下期も低調が続くものの、業務ソフトウェア開発や制御ソフトウェア開発の成長によりカバーする。通信ソフトウェア開発については、2030年頃の商用化が予定されている6G向けの開発が始まる時期まで端境期に入る可能性が高い。直近の売上高の底は2018年12月期で1,724百万円となっており、同水準まで再び落ち込む可能性がある(2022年12月期は2,620百万円)。このため、余剰が出る開発リソースは繁忙が続いている制御ソフトウェア開発や業務ソフトウェア開発に振り向けることにしている。
制御ソフトウェア開発のうち「車載」向けは、既存顧客向けを中心に自動運転やEV等をテーマとした開発案件の増加が見込まれ回復基調が続く見通し。「その他制御」向けについては、半導体製造装置やプリンタ向け以外の顧客開拓にも注力し通期で2ケタ増収が見込まれる。業務ソフトウェア開発は、金融業界向けで1次請け案件が売上増に寄与するほか、その他業界向けについても旺盛な需要が継続しており、通期でも2ケタ増収が続くものと予想される。
(2) サービス事業
サービス事業のうち、SIサービスは5G基地局検証案件の減少が続くものの、仮想化案件やクラウド移行案件、ネットワーク構築案件等の好調でカバーして、通期でも堅調な増収が見込まれる。また、自社プロダクトについても「Cyber Smart」シリーズを中心に堅調に推移する見通しだ。
同社は自社プロダクトの拡大に向けて、アライアンス戦略を推進している。直近では2023年7月にケアコム及びビー・ビー・バックボーン(以下、BBバックボーン)との共同でsXGP※に対応した「VoLTEナースコール」を開発したことを発表した。病院や介護施設では院内の通信システムとしてPHSが導入されてきたが、2023年3月に公衆サービスが終了したことにより、sXGPによるスマートフォンとIP-PBXを使った通信システムにリプレイスが進んでいる。こうしたリプレイス需要を取り込むべく3社で共同開発したものとなる。同社がナースコールアプリの開発とIP-PBX(内線交換機)を提供し、ケアコムがナースコールを提供、BBバックボーンがVoLTEナースコール連携に対応したアクセスポイントやスマートフォン、sXGP対応SIMを提供し、営業活動をBBバックボーンで展開していく格好となる。ケアコムは病院のナースコールでシェア約6割を握るトップメーカーで、BBバックボーンはソフトバンク<9434>の子会社で光ファイバーサービスやsXGPサービスなど各種通信ソリューションを提供している。
※sXGP(shared eXtended Global Platform):スマートフォンやモバイルルータなどと同じ通信方式(TD-LTE)を使った自営通信方式のこと。伝送距離は数十メートルから数百メートル程度、伝送レート(共有)は十数Mbps程度となる。オフィスや工場・病院内の専用モバイル通信システムで、4Gと同等の通信環境を実現する。
これまでスマートフォンでナースコールの着信および応答通話をするには、電話交換機各社が提供するVoIPアプリが必要であったが、同社が開発したアプリをスマートフォンにインストールすることでナースコールの受信ができるようになる。また、呼出があったベッド番号や患者氏名、呼出種別(緊急、一般、トイレ介助、点滴終了、脱落警報)、連動した機器のアラートの名称など、今までVoLTEでは不可能であったテキスト情報も着信時に表示できるようにした。付加価値の高いシステムを提供することで病院・介護施設における通信システムのリプレイスを進めていく。ナースコールで高シェアを握るケアコムの顧客基盤へのリプレイスが進むものと考えられ、同社の収益増に貢献する取り組みとして注目される。
また、同年8月にCPaaS※世界大手のVonage社が提供するVonageコミュニケーションプラットフォームと同社のコールセンター向け運営システム「Cyber CTI」を連携し、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)上でサービス提供を開始したことを発表した。同プラットフォームとの連携により、音声回線のクラウド化、グローバル規模での電話番号提供、秒課金、回線の冗長化を実現するほか、API連携によりビデオ通話、SMS、AI(AI botによる顧客対応/自動文字起こし)、SNSによる顧客一括対応等のサービスをリーズナブルな料金で提供可能となる。今後、「Cyber CTI」の既存顧客約30社に対して導入提案していく。
※CPaaS(Communication Platform as a Service):IoTを活用しながら人間の行動や会話を情報として取り込み、業務効率化をサポートするサービス。具体的には、コミュニケーション分野のソリューションに必要な各種通信機能(通話・SMS・Webメッセージ・IVRなど)をAPI接続によって提供する。
高精度屋内位置情報ソリューションである「Cyber Position Navi Plus」については、2023年9月に開催された「スマート工場EXPO」に初めて出展し盛況であった。スマート工場では人やモノの位置情報を収集・解析して生産性向上に役立てる位置情報ソリューションの導入は必須と見られ、今回の出展で獲得した見込み顧客に対して導入提案を行い、2024年12月期の受注につなげていく考えだ。同ソリューションに関しては今までプル型の営業を行っていたが、今後はプッシュ型営業による積極的な拡販活動を行っていく。このため、営業人員も現在の3名体制から2倍程度に増員していく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SI>
また、サイバーコム<3852>は2023年7月に組織体制の変更を実施した。主には本部制の廃止(ソフトウェア事業本部、サービス事業本部、管理本部の廃止)、関東の事業部再編(アプリケーション事業部、プラットフォーム事業部、システムインテグレーション事業部をICT事業部、システム事業部に再編)、エリア事業部の新設(新潟事業所、福岡事業所、名古屋事業所の3事業所を編成)、プロダクトビジネス部の再編、本社組織の再編となる。本社機能のうち、パートナー企業(外注先)の確保施策や実際の発注業務、管理業務を行うパートナー推進室を、パートナー推進部に格上げし体制の強化を図った。また、自社プロダクトの強化を図るため、プロダクトビジネス部をプロダクト&サービス部に改称し、その下に営業グループ、CTIグループ、ポジションナビグループ、新規事業推進グループを組織化した。
今回の組織再編は、アライアンス戦略やパートナー戦略などの機動力をアップし、営業体制を強化することでさらなる事業拡大を目的としたものとなっており、今後の業績面でプラスに効いてくるものと期待される。
(1) ソフトウェア開発事業
ソフトウェア開発事業は通期で増収増益を見込んでいる。通信ソフトウェア開発は下期も低調が続くものの、業務ソフトウェア開発や制御ソフトウェア開発の成長によりカバーする。通信ソフトウェア開発については、2030年頃の商用化が予定されている6G向けの開発が始まる時期まで端境期に入る可能性が高い。直近の売上高の底は2018年12月期で1,724百万円となっており、同水準まで再び落ち込む可能性がある(2022年12月期は2,620百万円)。このため、余剰が出る開発リソースは繁忙が続いている制御ソフトウェア開発や業務ソフトウェア開発に振り向けることにしている。
制御ソフトウェア開発のうち「車載」向けは、既存顧客向けを中心に自動運転やEV等をテーマとした開発案件の増加が見込まれ回復基調が続く見通し。「その他制御」向けについては、半導体製造装置やプリンタ向け以外の顧客開拓にも注力し通期で2ケタ増収が見込まれる。業務ソフトウェア開発は、金融業界向けで1次請け案件が売上増に寄与するほか、その他業界向けについても旺盛な需要が継続しており、通期でも2ケタ増収が続くものと予想される。
(2) サービス事業
サービス事業のうち、SIサービスは5G基地局検証案件の減少が続くものの、仮想化案件やクラウド移行案件、ネットワーク構築案件等の好調でカバーして、通期でも堅調な増収が見込まれる。また、自社プロダクトについても「Cyber Smart」シリーズを中心に堅調に推移する見通しだ。
同社は自社プロダクトの拡大に向けて、アライアンス戦略を推進している。直近では2023年7月にケアコム及びビー・ビー・バックボーン(以下、BBバックボーン)との共同でsXGP※に対応した「VoLTEナースコール」を開発したことを発表した。病院や介護施設では院内の通信システムとしてPHSが導入されてきたが、2023年3月に公衆サービスが終了したことにより、sXGPによるスマートフォンとIP-PBXを使った通信システムにリプレイスが進んでいる。こうしたリプレイス需要を取り込むべく3社で共同開発したものとなる。同社がナースコールアプリの開発とIP-PBX(内線交換機)を提供し、ケアコムがナースコールを提供、BBバックボーンがVoLTEナースコール連携に対応したアクセスポイントやスマートフォン、sXGP対応SIMを提供し、営業活動をBBバックボーンで展開していく格好となる。ケアコムは病院のナースコールでシェア約6割を握るトップメーカーで、BBバックボーンはソフトバンク<9434>の子会社で光ファイバーサービスやsXGPサービスなど各種通信ソリューションを提供している。
※sXGP(shared eXtended Global Platform):スマートフォンやモバイルルータなどと同じ通信方式(TD-LTE)を使った自営通信方式のこと。伝送距離は数十メートルから数百メートル程度、伝送レート(共有)は十数Mbps程度となる。オフィスや工場・病院内の専用モバイル通信システムで、4Gと同等の通信環境を実現する。
これまでスマートフォンでナースコールの着信および応答通話をするには、電話交換機各社が提供するVoIPアプリが必要であったが、同社が開発したアプリをスマートフォンにインストールすることでナースコールの受信ができるようになる。また、呼出があったベッド番号や患者氏名、呼出種別(緊急、一般、トイレ介助、点滴終了、脱落警報)、連動した機器のアラートの名称など、今までVoLTEでは不可能であったテキスト情報も着信時に表示できるようにした。付加価値の高いシステムを提供することで病院・介護施設における通信システムのリプレイスを進めていく。ナースコールで高シェアを握るケアコムの顧客基盤へのリプレイスが進むものと考えられ、同社の収益増に貢献する取り組みとして注目される。
また、同年8月にCPaaS※世界大手のVonage社が提供するVonageコミュニケーションプラットフォームと同社のコールセンター向け運営システム「Cyber CTI」を連携し、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)上でサービス提供を開始したことを発表した。同プラットフォームとの連携により、音声回線のクラウド化、グローバル規模での電話番号提供、秒課金、回線の冗長化を実現するほか、API連携によりビデオ通話、SMS、AI(AI botによる顧客対応/自動文字起こし)、SNSによる顧客一括対応等のサービスをリーズナブルな料金で提供可能となる。今後、「Cyber CTI」の既存顧客約30社に対して導入提案していく。
※CPaaS(Communication Platform as a Service):IoTを活用しながら人間の行動や会話を情報として取り込み、業務効率化をサポートするサービス。具体的には、コミュニケーション分野のソリューションに必要な各種通信機能(通話・SMS・Webメッセージ・IVRなど)をAPI接続によって提供する。
高精度屋内位置情報ソリューションである「Cyber Position Navi Plus」については、2023年9月に開催された「スマート工場EXPO」に初めて出展し盛況であった。スマート工場では人やモノの位置情報を収集・解析して生産性向上に役立てる位置情報ソリューションの導入は必須と見られ、今回の出展で獲得した見込み顧客に対して導入提案を行い、2024年12月期の受注につなげていく考えだ。同ソリューションに関しては今までプル型の営業を行っていたが、今後はプッシュ型営業による積極的な拡販活動を行っていく。このため、営業人員も現在の3名体制から2倍程度に増員していく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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