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ベルトラ Research Memo(5):2023年12月期は旅行需要の回復により、営業収益の急伸を見込む
配信日時:2023/10/16 12:45
配信元:FISCO
*12:45JST ベルトラ Research Memo(5):2023年12月期は旅行需要の回復により、営業収益の急伸を見込む
■今後の見通し
2023年12月期の連結業績見通しについてベルトラ<7048>は、営業収益で前期比294.0%増の3,420百万円、営業損失で103百万円(前期は794百万円の損失)、経常損失で139百万円(同753百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失で189百万円(同794百万円の損失)を見込んでいる。将来の持続的成長に向けて成長投資を果敢に実行していくものの、海外旅行事業及びLINKTIVITYを中心とした収益の伸長により、営業損益以下の各損益に関しても損失幅が大幅に縮小する見通しだ。
2022年12月期までのサバイバル期間を終えた同社は、2023年12月期をコロナ禍前の水準を上回る持続的な成長を実現するために成長投資を実施する時期として捉えている。追加投資として約6.4億円を設定し、海外旅行事業、国内旅行事業、LINKTIVITYの各種施策に投資することにより、2024年12月期にコロナ禍前を上回る収益を実現する方針だ。将来の業績拡大に向けた成長投資と営業収益の増加に伴い発生する広告費用等の変動費の増加や旅行需要の回復期における海外旅行事業部門、並びにシステム開発部門の人員増強を中心とした人材投資などによりコスト水準は増加するものの、コロナ禍に実施された諸施策により旅行需要が回復してきていることから、海外旅行事業及びLINKTIVITYを中心に収益が順調に拡大し、営業損失幅は大きく縮小する見通しだ。特に、同社事業の繁忙期(夏休みシーズン)以降は営業収益の増加が投資コストを上回り、営業黒字に転換することを想定している。実際、足元の夏休み商戦は活況だったという。2023年8〜9月の業績は予想達成に向けての重要なファクターであり、その意味で業績予想達成の確度は高まっていると言えるだろう。
2023年12月期下期の各事業の方針と取り組みは、以下のとおりである。
(1) 国内旅行事業
国内旅行市場に関しては、2022年10月から開始された「全国旅行支援」による政府の需要喚起策などを受け著しい回復が見られ、同年10月から12月は2019年の日本人宿泊者数を上回る推移を見せていた。2023年5月から新型コロナウイルス感染症の位置付けが5類に移行されたこともあり、市場環境は今後も好調に推移することが想定される。市場環境の見通しが明るいなか、「国内旅行市場の商品数拡大・プロモーション強化」に引き続き注力し、さらなる業績の拡大を目指す。具体的には、全国規模で新商品を拡充していく。特に、国立公園関連のアクティビティの商品企画に注力し、文化や自然を体験できるようなアドベンチャーツーリズムを提供することにより、旅行者に付加価値を提供していく(なお同社は、2022年3月に、環境省より国立公園オフィシャルパートナーに認定された)。これらの施策により、予約数をさらに伸長させ、2023年12月期第3四半期に70,000件、第4四半期には50,000件の予約を獲得し、2023年12月期で前期比2倍の予約数獲得を目指す。
(2) 海外旅行事業
海外旅行市場の動向に関しては、先行する欧米及びインバウンドマーケットの市場回復状況をもとに、基本シナリオであるScenario1(年平均47%の回復)をベースとした売上計画に加え、新型コロナウイルス感染症の5類移行など外部環境の変化を考慮したScenario2(年平均60%の回復率)の2パターンを想定している。それによると、保守的な想定であるScenario1では、2023年12月時点の回復率が61%、Scenario1をベースとしたScenario2では、同77%を見込んでいる。いずれのシナリオにせよ、海外旅行市場は今後緩やかに回復することを想定しており、市場環境の見通しは明るいと言えるだろう。また、既述のとおり2023年8〜9月の夏休み商戦は活況を呈したという。このことも市場が順調に回復していることの証左であると弊社では考える。また、2023年6月時点の夏季運航スケジュール(2023年5~10月)は週合計で2019年比72%まで回復することが見込まれている。今後各航空会社において、コロナ禍で減少した人員の補充が進むにつれて便数もさらに増加していくことが期待され、このことも同社業績にとってプラス要因となることが考えられる。
市場環境の緩やかな回復が見通されるなかで同社は、「海外旅行市場の新商品獲得」に引き続き注力していく。具体的には、コロナ禍で日本語ツアーが減少したことを受け、日本語対応のツアー商品を再拡充していく方針だ。また、音声ガイドなどのテクノロジーを活用したツアー商品も企画し、旅行者がより手軽かつストレスフリーに現地の魅力を体験することができる商品の拡充にも注力していく。HawaiiActivitiesに関しては、「ハワイ各島群島の販売強化」という方針を掲げている。2023年8月にマウイ島で発生した山火事を受け、現在は計画を練り直しているものの、実際にマウイ島に渡航する観光客が回復してきた段階で、ハワイ各島群島のツアー商品を拡充していく方針だ。
(3) チケットプラットフォーム事業(LINKTIVITY)
インバウンドマーケットの市場環境に関しては、日本人海外旅行マーケットよりも回復が早いScenario1(年平均約60%の回復率)を基本シナリオとして、中国の政策次第では中国人渡航者のさらなる増加も見込まれることからScenario2(2024年に2019年比100%を超える)も作成している。それによると、保守的な想定であるScenario1では、2023年12月時点の回復率が80%、中国渡航者の増加が寄与した場合のScenario2では、同102%と想定している。
市場環境の急速な回復が見込まれるなか、引き続きサプライヤー及び販売チャネルの新規開拓に注力し、取扱高をさらに拡大させていく計画だ。また、LINKTIVITYで使用されているQRコード発行システム、在庫管理システムなどの各種ソフトウェアを顧客企業にソリューションとして提供するなど、ビジネスモデルの拡張にも注力していく方針だ。
既述のとおり、2023年12月期第2四半期において同事業の取扱高は、訪日外客数の回復率を上回る伸びを見せた。足元では福島第一原子力発電所の処理水放出が中国人観光客に与える影響が懸念されるものの、影響は軽微であることが想定される。これは、同事業は2023年1月から6月にかけて訪日外客数に占める中国人が相対的に低いなかでも取扱高を伸長させたことが理由だ。サプライヤー及び販売チャネルの増加に伴い、今後も順調に取扱高が伸長していくことが想定される。
このように、旅行需要の回復が進むなか、下期に向けても好調な業績が継続することが期待される。成長投資を実行することにより、各利益は黒字転換とはいかないものの、これらの投資は2024年12月期以降の成長加速に向けた種まきである。2024年12月期以降のさらなる営業収益の拡大と利益の積み上げに期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<SI>
2023年12月期の連結業績見通しについてベルトラ<7048>は、営業収益で前期比294.0%増の3,420百万円、営業損失で103百万円(前期は794百万円の損失)、経常損失で139百万円(同753百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失で189百万円(同794百万円の損失)を見込んでいる。将来の持続的成長に向けて成長投資を果敢に実行していくものの、海外旅行事業及びLINKTIVITYを中心とした収益の伸長により、営業損益以下の各損益に関しても損失幅が大幅に縮小する見通しだ。
2022年12月期までのサバイバル期間を終えた同社は、2023年12月期をコロナ禍前の水準を上回る持続的な成長を実現するために成長投資を実施する時期として捉えている。追加投資として約6.4億円を設定し、海外旅行事業、国内旅行事業、LINKTIVITYの各種施策に投資することにより、2024年12月期にコロナ禍前を上回る収益を実現する方針だ。将来の業績拡大に向けた成長投資と営業収益の増加に伴い発生する広告費用等の変動費の増加や旅行需要の回復期における海外旅行事業部門、並びにシステム開発部門の人員増強を中心とした人材投資などによりコスト水準は増加するものの、コロナ禍に実施された諸施策により旅行需要が回復してきていることから、海外旅行事業及びLINKTIVITYを中心に収益が順調に拡大し、営業損失幅は大きく縮小する見通しだ。特に、同社事業の繁忙期(夏休みシーズン)以降は営業収益の増加が投資コストを上回り、営業黒字に転換することを想定している。実際、足元の夏休み商戦は活況だったという。2023年8〜9月の業績は予想達成に向けての重要なファクターであり、その意味で業績予想達成の確度は高まっていると言えるだろう。
2023年12月期下期の各事業の方針と取り組みは、以下のとおりである。
(1) 国内旅行事業
国内旅行市場に関しては、2022年10月から開始された「全国旅行支援」による政府の需要喚起策などを受け著しい回復が見られ、同年10月から12月は2019年の日本人宿泊者数を上回る推移を見せていた。2023年5月から新型コロナウイルス感染症の位置付けが5類に移行されたこともあり、市場環境は今後も好調に推移することが想定される。市場環境の見通しが明るいなか、「国内旅行市場の商品数拡大・プロモーション強化」に引き続き注力し、さらなる業績の拡大を目指す。具体的には、全国規模で新商品を拡充していく。特に、国立公園関連のアクティビティの商品企画に注力し、文化や自然を体験できるようなアドベンチャーツーリズムを提供することにより、旅行者に付加価値を提供していく(なお同社は、2022年3月に、環境省より国立公園オフィシャルパートナーに認定された)。これらの施策により、予約数をさらに伸長させ、2023年12月期第3四半期に70,000件、第4四半期には50,000件の予約を獲得し、2023年12月期で前期比2倍の予約数獲得を目指す。
(2) 海外旅行事業
海外旅行市場の動向に関しては、先行する欧米及びインバウンドマーケットの市場回復状況をもとに、基本シナリオであるScenario1(年平均47%の回復)をベースとした売上計画に加え、新型コロナウイルス感染症の5類移行など外部環境の変化を考慮したScenario2(年平均60%の回復率)の2パターンを想定している。それによると、保守的な想定であるScenario1では、2023年12月時点の回復率が61%、Scenario1をベースとしたScenario2では、同77%を見込んでいる。いずれのシナリオにせよ、海外旅行市場は今後緩やかに回復することを想定しており、市場環境の見通しは明るいと言えるだろう。また、既述のとおり2023年8〜9月の夏休み商戦は活況を呈したという。このことも市場が順調に回復していることの証左であると弊社では考える。また、2023年6月時点の夏季運航スケジュール(2023年5~10月)は週合計で2019年比72%まで回復することが見込まれている。今後各航空会社において、コロナ禍で減少した人員の補充が進むにつれて便数もさらに増加していくことが期待され、このことも同社業績にとってプラス要因となることが考えられる。
市場環境の緩やかな回復が見通されるなかで同社は、「海外旅行市場の新商品獲得」に引き続き注力していく。具体的には、コロナ禍で日本語ツアーが減少したことを受け、日本語対応のツアー商品を再拡充していく方針だ。また、音声ガイドなどのテクノロジーを活用したツアー商品も企画し、旅行者がより手軽かつストレスフリーに現地の魅力を体験することができる商品の拡充にも注力していく。HawaiiActivitiesに関しては、「ハワイ各島群島の販売強化」という方針を掲げている。2023年8月にマウイ島で発生した山火事を受け、現在は計画を練り直しているものの、実際にマウイ島に渡航する観光客が回復してきた段階で、ハワイ各島群島のツアー商品を拡充していく方針だ。
(3) チケットプラットフォーム事業(LINKTIVITY)
インバウンドマーケットの市場環境に関しては、日本人海外旅行マーケットよりも回復が早いScenario1(年平均約60%の回復率)を基本シナリオとして、中国の政策次第では中国人渡航者のさらなる増加も見込まれることからScenario2(2024年に2019年比100%を超える)も作成している。それによると、保守的な想定であるScenario1では、2023年12月時点の回復率が80%、中国渡航者の増加が寄与した場合のScenario2では、同102%と想定している。
市場環境の急速な回復が見込まれるなか、引き続きサプライヤー及び販売チャネルの新規開拓に注力し、取扱高をさらに拡大させていく計画だ。また、LINKTIVITYで使用されているQRコード発行システム、在庫管理システムなどの各種ソフトウェアを顧客企業にソリューションとして提供するなど、ビジネスモデルの拡張にも注力していく方針だ。
既述のとおり、2023年12月期第2四半期において同事業の取扱高は、訪日外客数の回復率を上回る伸びを見せた。足元では福島第一原子力発電所の処理水放出が中国人観光客に与える影響が懸念されるものの、影響は軽微であることが想定される。これは、同事業は2023年1月から6月にかけて訪日外客数に占める中国人が相対的に低いなかでも取扱高を伸長させたことが理由だ。サプライヤー及び販売チャネルの増加に伴い、今後も順調に取扱高が伸長していくことが想定される。
このように、旅行需要の回復が進むなか、下期に向けても好調な業績が継続することが期待される。成長投資を実行することにより、各利益は黒字転換とはいかないものの、これらの投資は2024年12月期以降の成長加速に向けた種まきである。2024年12月期以降のさらなる営業収益の拡大と利益の積み上げに期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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