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ベルトラ Research Memo(3):2023年12月期第2四半期は旅行需要の回復を取り込み大幅な増収
配信日時:2023/10/16 12:43
配信元:FISCO
*12:43JST ベルトラ Research Memo(3):2023年12月期第2四半期は旅行需要の回復を取り込み大幅な増収
■業績動向
1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
ベルトラ<7048>の2023年12月期第2四半期の連結業績は、営業収益が前年同期比225.6%増の1,157百万円、営業損失が203百万円(前年同期は488百万円の損失)、経常損失が233百万円(同435百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が254百万円(同464百万円の損失)となった。営業収益は前年同期比で急伸、各利益は損失幅を大きく縮小させた。営業収益に関しては、コロナ禍の影響が薄れ、旅行需要が回復するなかでHawaiiActivitiesを除くすべての事業(海外旅行事業、国内旅行事業、観光IT事業)が前年同期比で急伸したことが寄与した。営業損益に関しては、中長期的な成長の実現に向けて成長投資を積極的に実施したことが影響したものの、営業収益の大幅な増加に加えて、経費を適正水準にコントロールなどにより、前年同期比で損失幅を大きく縮小させた。これを受け、業績予想と比較しても営業損益がプラス316百万円、経常損益がプラス304百万円、親会社株主に帰属する四半期純損益がプラス307百万円となり、各段階利益が期初の想定を大きく上回って着地した。
世界的なコロナ禍が顕在化した2020年3月以降、同社は広告宣伝費の大幅な削減、役員報酬の減額など、全社的なコストの見直しを行ってきた。コロナ禍の影響が薄れ、旅行需要が回復するなかで、コスト水準の維持に引き続き努めながら、取扱高の拡大に応じて広告宣伝費を段階的に拡大させていくほか、人材投資に関しても生産性を意識しながら増員に注力していく方針だ。特に人材に関しては、2023年12月期第2四半期時点で242名まで拡大している(前期末は188名)。増員した人員を各事業やシステム開発部門に配分することにより、旅行需要の回復を確実に業績に取り込むことができる体制の構築を図っている。
事業別の状況は以下のとおりである。
(1) OTA事業
OTA事業の営業収益は前年同期比211.0%増の919百万円と急伸した。HawaiiActivitiesの営業収益が前年同期比で減収を強いられたものの、日本における渡航制限の撤廃や政府による需要喚起策などを受け、国内旅行事業、海外旅行事業がそろって好調だった。
a) 国内旅行事業
国内旅行事業の営業収益は前年同期比113.1%増の130百万円となった。新型コロナワクチン接種の進展による経済・社会活動の正常化やウィズコロナ政策の下で2022年10月から開始された「全国旅行支援」による政府の需要喚起策などを受け、国内旅行市場が著しい回復を見せるなか(国内旅行における日本人の延べ宿泊数は2019年と同水準まで回復)、商品数を増やしたことにより予約数も前年同期比で伸長したことが営業収益の急伸に寄与した。2023年12月期第2四半期末時点の商品数は前年同期比30.4%増の7,300個、予約数は前年同期比58.7%増の30,323件だった。
b) 海外旅行事業
海外旅行事業の営業収益は前年同期比1404.7%増の647百万円と急伸した。2022年12月期下期から徐々に旅行需要が回復傾向にある状況下で2023年4月29日に日本における渡航制限が撤廃されたことを背景に、2023年1月から6月における出国日本人者数は同476.1%増の361万人となり、6月単月で見るとコロナ禍前の46%まで回復した。このように海外旅行需要が回復するなかで、確実に商品数を回復させたことにより予約数が順調に増加し、営業収益が伸長した。そのほか、為替が円安となり顧客当たりの手数料単価が前年同期比で上昇傾向にあることも営業収益を押しあげる要因となった。円安は一般的に、海外旅行事業にとってマイナス要因と思われがちだが、このように顧客単価の上昇という形で業績にプラス要因となる点も見逃せない。
c) HawaiiActivities
HawaiiActivitiesの営業収益は前年同期比26.6%減の141百万円となった。米国本土からのハワイ旅行者は回復傾向にあり、コロナ禍前の2019年同期と比較した旅行者回復率は3%減と市場自体は回復傾向にあったものの、前年同期にあったリベンジ消費マインドの低下が落ち着いたほか、競合企業の台頭もあり、営業収益は前年同期比で減収となった。ただ、同社予約回復率は81%増と、市場の回復率(3%減)を大幅に上回っている。これはコロナ禍においても現地のサプライヤーとのリレーションを継続したことにより提供できる商品数が多いことが理由である。米国本土からのハワイ旅行者数がさらに回復してくるなかで、顧客のニーズに応えることができる商品を多くラインナップしているということは競争優位になることが考えられ、回復する顧客ニーズをしっかりと業績の拡大に結び付けることが可能になると弊社では推察する。また、競合の台頭に関しては、YouTubeやSNSを活用したプロモーション、アーリーブッキングの推進による顧客との信頼関係の構築などの独自の施策により差別化を図っていく構えである。なお、HawaiiActivitiesでは常時650種類の商品を提供している。
(2) 観光IT事業
観光IT事業の営業利益は前年同期比297.9%増の237百万円となった。このうち、チケットプラットフォーム事業であるLINKTIVITYの営業収益は同857.1%増の201百万円に急伸した。2022年10月からの入国制限の撤廃、2023年の水際対策の終了などの各種施策を受け、2023年1月から6月までの訪日外客数は同2010.2%増の1,071万人と急回復した。訪日外客数がコロナ禍前の69.0%まで回復するなか、サプライヤー及び販売チャネルの新規開拓に注力したことにより、同プラットフォームを通じた鉄道・施設チケットの予約取扱高が大きく伸長した。取扱高は前期末比136.5%増の2,559百万円まで拡大しており、訪日外客数の回復率を上回る成長スピードを見せた。これを受け、2023年12月期第2四半期の営業収益(連結ベース)に占める割合は、前年同期比11.5ポイント上昇の17.4%まで高まっている。このことは、同社が進める事業ポートフォリの拡大が順調に進捗していることの証左と言えるだろう。また、LINKTIVITYは収穫逓増型サービスであるため、営業収益構成比が今後高まっていくにつれ、連結ベースの収益性も向上することが期待できると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<SI>
1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
ベルトラ<7048>の2023年12月期第2四半期の連結業績は、営業収益が前年同期比225.6%増の1,157百万円、営業損失が203百万円(前年同期は488百万円の損失)、経常損失が233百万円(同435百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が254百万円(同464百万円の損失)となった。営業収益は前年同期比で急伸、各利益は損失幅を大きく縮小させた。営業収益に関しては、コロナ禍の影響が薄れ、旅行需要が回復するなかでHawaiiActivitiesを除くすべての事業(海外旅行事業、国内旅行事業、観光IT事業)が前年同期比で急伸したことが寄与した。営業損益に関しては、中長期的な成長の実現に向けて成長投資を積極的に実施したことが影響したものの、営業収益の大幅な増加に加えて、経費を適正水準にコントロールなどにより、前年同期比で損失幅を大きく縮小させた。これを受け、業績予想と比較しても営業損益がプラス316百万円、経常損益がプラス304百万円、親会社株主に帰属する四半期純損益がプラス307百万円となり、各段階利益が期初の想定を大きく上回って着地した。
世界的なコロナ禍が顕在化した2020年3月以降、同社は広告宣伝費の大幅な削減、役員報酬の減額など、全社的なコストの見直しを行ってきた。コロナ禍の影響が薄れ、旅行需要が回復するなかで、コスト水準の維持に引き続き努めながら、取扱高の拡大に応じて広告宣伝費を段階的に拡大させていくほか、人材投資に関しても生産性を意識しながら増員に注力していく方針だ。特に人材に関しては、2023年12月期第2四半期時点で242名まで拡大している(前期末は188名)。増員した人員を各事業やシステム開発部門に配分することにより、旅行需要の回復を確実に業績に取り込むことができる体制の構築を図っている。
事業別の状況は以下のとおりである。
(1) OTA事業
OTA事業の営業収益は前年同期比211.0%増の919百万円と急伸した。HawaiiActivitiesの営業収益が前年同期比で減収を強いられたものの、日本における渡航制限の撤廃や政府による需要喚起策などを受け、国内旅行事業、海外旅行事業がそろって好調だった。
a) 国内旅行事業
国内旅行事業の営業収益は前年同期比113.1%増の130百万円となった。新型コロナワクチン接種の進展による経済・社会活動の正常化やウィズコロナ政策の下で2022年10月から開始された「全国旅行支援」による政府の需要喚起策などを受け、国内旅行市場が著しい回復を見せるなか(国内旅行における日本人の延べ宿泊数は2019年と同水準まで回復)、商品数を増やしたことにより予約数も前年同期比で伸長したことが営業収益の急伸に寄与した。2023年12月期第2四半期末時点の商品数は前年同期比30.4%増の7,300個、予約数は前年同期比58.7%増の30,323件だった。
b) 海外旅行事業
海外旅行事業の営業収益は前年同期比1404.7%増の647百万円と急伸した。2022年12月期下期から徐々に旅行需要が回復傾向にある状況下で2023年4月29日に日本における渡航制限が撤廃されたことを背景に、2023年1月から6月における出国日本人者数は同476.1%増の361万人となり、6月単月で見るとコロナ禍前の46%まで回復した。このように海外旅行需要が回復するなかで、確実に商品数を回復させたことにより予約数が順調に増加し、営業収益が伸長した。そのほか、為替が円安となり顧客当たりの手数料単価が前年同期比で上昇傾向にあることも営業収益を押しあげる要因となった。円安は一般的に、海外旅行事業にとってマイナス要因と思われがちだが、このように顧客単価の上昇という形で業績にプラス要因となる点も見逃せない。
c) HawaiiActivities
HawaiiActivitiesの営業収益は前年同期比26.6%減の141百万円となった。米国本土からのハワイ旅行者は回復傾向にあり、コロナ禍前の2019年同期と比較した旅行者回復率は3%減と市場自体は回復傾向にあったものの、前年同期にあったリベンジ消費マインドの低下が落ち着いたほか、競合企業の台頭もあり、営業収益は前年同期比で減収となった。ただ、同社予約回復率は81%増と、市場の回復率(3%減)を大幅に上回っている。これはコロナ禍においても現地のサプライヤーとのリレーションを継続したことにより提供できる商品数が多いことが理由である。米国本土からのハワイ旅行者数がさらに回復してくるなかで、顧客のニーズに応えることができる商品を多くラインナップしているということは競争優位になることが考えられ、回復する顧客ニーズをしっかりと業績の拡大に結び付けることが可能になると弊社では推察する。また、競合の台頭に関しては、YouTubeやSNSを活用したプロモーション、アーリーブッキングの推進による顧客との信頼関係の構築などの独自の施策により差別化を図っていく構えである。なお、HawaiiActivitiesでは常時650種類の商品を提供している。
(2) 観光IT事業
観光IT事業の営業利益は前年同期比297.9%増の237百万円となった。このうち、チケットプラットフォーム事業であるLINKTIVITYの営業収益は同857.1%増の201百万円に急伸した。2022年10月からの入国制限の撤廃、2023年の水際対策の終了などの各種施策を受け、2023年1月から6月までの訪日外客数は同2010.2%増の1,071万人と急回復した。訪日外客数がコロナ禍前の69.0%まで回復するなか、サプライヤー及び販売チャネルの新規開拓に注力したことにより、同プラットフォームを通じた鉄道・施設チケットの予約取扱高が大きく伸長した。取扱高は前期末比136.5%増の2,559百万円まで拡大しており、訪日外客数の回復率を上回る成長スピードを見せた。これを受け、2023年12月期第2四半期の営業収益(連結ベース)に占める割合は、前年同期比11.5ポイント上昇の17.4%まで高まっている。このことは、同社が進める事業ポートフォリの拡大が順調に進捗していることの証左と言えるだろう。また、LINKTIVITYは収穫逓増型サービスであるため、営業収益構成比が今後高まっていくにつれ、連結ベースの収益性も向上することが期待できると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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