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ベルトラ Research Memo(2):現地体験型オプショナルツアー専門のオンライン予約サイト「VELTRA」を運営
配信日時:2023/10/16 12:42
配信元:FISCO
*12:42JST ベルトラ Research Memo(2):現地体験型オプショナルツアー専門のオンライン予約サイト「VELTRA」を運営
■会社概要
1. 沿革
ベルトラ<7048>は、日産自動車<7201>海外事業部のメンバーだった3人が1991年に立ち上げた会社であり、創業時は主に自動車関連のマーケティングを展開していた。当時は海外の自動車メーカーが日本展開を模索していた時期であり、海外からの受注を受けて、東京モーターショーのイベント開催を受けた調査などを行っていた。元々一事業にフォーカスするのではなく多角的に事業を展開しており、それらの事業のうち、2000年にスタートしたゴルフのオンライン予約(GORA)ビジネスが急成長したことにより、この事業を楽天(現 楽天グループ<4755>)に売却、この売却益を元手にして2004年から現在の事業を開始した。旅行業界では宿泊や航空券等の販売は既にオンライン化が進んでおり、旅先の体験だけオンライン化が進んでいなかった。また、現地での体験ツアーやアクティビティは無数にあり、これらはオフラインではなく、eコマースのスケールメリットを確実に生かせると考え、ゼロからスタートする意味があると判断した。
2004年の事業開始当初は旅行業としてのノウハウもアクティビティ事業会社とのコネクションもなかったものの、同年、オーストラリア、バリ島、ハワイにてオフラインを中心にアクティビティ販売を行っていた会社を買収した。なお、現 代表取締役社長兼CEOの二木渉(ふたぎわたる)氏は創業から4代目の社長であり、2015年に代表取締役社長に就任した。加速するテクノロジーの進化への対応、IPO、そしてさらなる成長を目指すため、創業者から経営を引き継いだ。
ただし、事業開始当初はグローバルなオンライン市場がなかったビジネスであったほか、現地の事業会社自身がオンラインで予約を受けて顧客と直接接点を持つこと自体がなかった。さらに、各国の文化の違い、言葉の違い、価値観の違い、時差等、旅行者と事業者の間に障壁が多く、事業の見直しを図る必要があった。このため、顧客が現地体験ツアーに参加する手段をオンラインでどう実現できるかを改めて再定義したうえで、経営資源を集中させた。その後は事業を拡大し、ビーチリゾート周辺だけではなく、アジア、ヨーロッパ、アメリカなどへと拡大していった。
グローバル展開を進めるなか、2012年には英語サイトを開設し、訪日旅行事業を開始した。また、システム開発についても体制を強化し、国内でのエンジニア採用を開始したほか、マレーシアに開発拠点を置き、システム会社を完全に内製化した。2015年には中国語サイト(繁体字・簡体字)を開設、2016年にはCity Discovery SASの全株式を取得、2017年には韓国12CM Inc.(ワンツーシーエム)との事業提携により韓国語サイトを開設するなどグローバル展開を推進している(現在、経営資源を日本市場に選択・集中させており、多言語展開は休止中)。
なお、同社とシナジーが見込めるとして、2020年12月に、旅行比較サイト「トラベルコ」の運営等の旅行関連事業を展開するオープンドア<3926>と資本業務提携を締結した。2021年12月には、子会社のリンクティビティ(株)が西日本電信電話(株)(NTT西日本)に対して第三者割当増資を実施し、資本・業務提携を行った。また、新株予約権行使による資金調達を実施しており、2022年12月期で955百万円を調達した。コロナ禍の影響により厳しい事業環境ではあったものの、コロナ禍収束後(アフターコロナ)を見据えて事業面・財務面で積極的な展開を見せ、攻めと守りの経営を両立させてきた格好だ。
2. 事業概要
同社は、既存の旅行会社の枠組みを超え、国内から海外、旅行前から旅行後、オンラインからオフラインまで、「心ゆさぶる体験」※に出会うためのソリューションを提供している。事業領域は旅行関連事業を収益区分別に分類し、「OTA事業」と「観光IT事業」より構成される。
※同社では「心ゆさぶる体験」を、世界中の文化や自然、それを伝える人々の素晴らしさについて、心のそこから実感できるような本物の体験のこととしている。
(1) OTA事業
現地体験ツアーオンライン予約サイト(「VELTRA」及び「HawaiiActivities」)、オンライン体験サービス「VELTRA Online Academy(オンライン・アカデミー)」、同社商品を法人サイトで販売する「法人サービス」を展開している。圧倒的な会員基盤に加え、旅行商品だけに留まらない「心ゆさぶる体験」ができる商品を提供している。
中核事業の「VELTRA」は日本人をターゲットとする国内最大級のアクティビティ予約サイトで、世界150ヶ国・14,500種類(前年同期比1,600種類増加)の海外オプショナルツアーを予約できる。また、「HawaiiActivities」は催行地をハワイに特化した英語サイトで、在米旅行者を中心にサービスを提供している。これらは旅行中のフェーズに限定して事業展開している。宿泊や航空券等の販売は既にオンライン化が進んでおり、旅先の体験だけオンライン化が進んでいなかった。また、現地での体験ツアーやアクティビティは無数にあり、これらはオフラインではなく、インターネットでのスケールメリットを存分に生かせると考え、経営資源を集中し、旅先の体験である観光ツアー、ショー・エンターテインメント、世界遺産、スパ・エステ、文化体験、テーマパーク、クルーズ、ネイチャーツアー、グルメツアー、ウォータースポーツ、空港送迎をはじめとした旅のツールなど、「旅ナカ」と呼ばれる現地での体験やアクティビティをバラエティ豊富に取り揃えている。また、これらの現地体験ツアーを現地の価格のままで提供している。旅先で予約しても出発前に予約しても現地と同価格で予約することができるため、旅行前にプランを立てるうえでの需要が高まっている。
一方、2020年からはコロナ禍のニューノーマル(新常態)にいち早く対応したサービスを順次開始している。「VELTRA Online Academy」は、世界150ヶ国のネットワークから厳選された人気ガイドがオリジナルのオンライン体験を提供するもので、利用者は自宅にいながらにして旅行気分を味わうことができる。
(2) 観光IT事業
観光関連事業者のITインフラを提供するほか、子会社のリンクティビティがチケットプラットフォーム事業を展開している。
チケットプラットフォーム事業では、交通機関・公共施設チケットプラットフォームによってあらゆる交通機関や観光施設がシームレスにつながることを目指している。様々なサービスを連携するMaaSや電子チケット化を推進する動きが高まるなか、インバウンド需要だけでなく、国内向けの販売チャネルも強化しており、国内の鉄道会社や各都道府県施設などをベースとした販売元は275社(2023年6月末時点。2020年12月末は24社)、販売先は世界280社(同、2020年12月末は112社)と順調に拡大している。
2020年より強化中の観光メディア事業では、新たな顧客層へのアプローチ、既存顧客とのコミュニケーション維持を目的としたメディアを複数運営している。一例を挙げると、2020年5月からウィズコロナ(新型コロナウイルス感染症流行下)時代に世界のリアルな「今」を届ける旅情報メディア「VELTRA Kite(ベルトラ カイト)」を公開しているほか、2021年3月には日常の新たな体験や趣味のアイデアを提案する新オンラインメディア「YOKKA(よっか)」を開始した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<SI>
1. 沿革
ベルトラ<7048>は、日産自動車<7201>海外事業部のメンバーだった3人が1991年に立ち上げた会社であり、創業時は主に自動車関連のマーケティングを展開していた。当時は海外の自動車メーカーが日本展開を模索していた時期であり、海外からの受注を受けて、東京モーターショーのイベント開催を受けた調査などを行っていた。元々一事業にフォーカスするのではなく多角的に事業を展開しており、それらの事業のうち、2000年にスタートしたゴルフのオンライン予約(GORA)ビジネスが急成長したことにより、この事業を楽天(現 楽天グループ<4755>)に売却、この売却益を元手にして2004年から現在の事業を開始した。旅行業界では宿泊や航空券等の販売は既にオンライン化が進んでおり、旅先の体験だけオンライン化が進んでいなかった。また、現地での体験ツアーやアクティビティは無数にあり、これらはオフラインではなく、eコマースのスケールメリットを確実に生かせると考え、ゼロからスタートする意味があると判断した。
2004年の事業開始当初は旅行業としてのノウハウもアクティビティ事業会社とのコネクションもなかったものの、同年、オーストラリア、バリ島、ハワイにてオフラインを中心にアクティビティ販売を行っていた会社を買収した。なお、現 代表取締役社長兼CEOの二木渉(ふたぎわたる)氏は創業から4代目の社長であり、2015年に代表取締役社長に就任した。加速するテクノロジーの進化への対応、IPO、そしてさらなる成長を目指すため、創業者から経営を引き継いだ。
ただし、事業開始当初はグローバルなオンライン市場がなかったビジネスであったほか、現地の事業会社自身がオンラインで予約を受けて顧客と直接接点を持つこと自体がなかった。さらに、各国の文化の違い、言葉の違い、価値観の違い、時差等、旅行者と事業者の間に障壁が多く、事業の見直しを図る必要があった。このため、顧客が現地体験ツアーに参加する手段をオンラインでどう実現できるかを改めて再定義したうえで、経営資源を集中させた。その後は事業を拡大し、ビーチリゾート周辺だけではなく、アジア、ヨーロッパ、アメリカなどへと拡大していった。
グローバル展開を進めるなか、2012年には英語サイトを開設し、訪日旅行事業を開始した。また、システム開発についても体制を強化し、国内でのエンジニア採用を開始したほか、マレーシアに開発拠点を置き、システム会社を完全に内製化した。2015年には中国語サイト(繁体字・簡体字)を開設、2016年にはCity Discovery SASの全株式を取得、2017年には韓国12CM Inc.(ワンツーシーエム)との事業提携により韓国語サイトを開設するなどグローバル展開を推進している(現在、経営資源を日本市場に選択・集中させており、多言語展開は休止中)。
なお、同社とシナジーが見込めるとして、2020年12月に、旅行比較サイト「トラベルコ」の運営等の旅行関連事業を展開するオープンドア<3926>と資本業務提携を締結した。2021年12月には、子会社のリンクティビティ(株)が西日本電信電話(株)(NTT西日本)に対して第三者割当増資を実施し、資本・業務提携を行った。また、新株予約権行使による資金調達を実施しており、2022年12月期で955百万円を調達した。コロナ禍の影響により厳しい事業環境ではあったものの、コロナ禍収束後(アフターコロナ)を見据えて事業面・財務面で積極的な展開を見せ、攻めと守りの経営を両立させてきた格好だ。
2. 事業概要
同社は、既存の旅行会社の枠組みを超え、国内から海外、旅行前から旅行後、オンラインからオフラインまで、「心ゆさぶる体験」※に出会うためのソリューションを提供している。事業領域は旅行関連事業を収益区分別に分類し、「OTA事業」と「観光IT事業」より構成される。
※同社では「心ゆさぶる体験」を、世界中の文化や自然、それを伝える人々の素晴らしさについて、心のそこから実感できるような本物の体験のこととしている。
(1) OTA事業
現地体験ツアーオンライン予約サイト(「VELTRA」及び「HawaiiActivities」)、オンライン体験サービス「VELTRA Online Academy(オンライン・アカデミー)」、同社商品を法人サイトで販売する「法人サービス」を展開している。圧倒的な会員基盤に加え、旅行商品だけに留まらない「心ゆさぶる体験」ができる商品を提供している。
中核事業の「VELTRA」は日本人をターゲットとする国内最大級のアクティビティ予約サイトで、世界150ヶ国・14,500種類(前年同期比1,600種類増加)の海外オプショナルツアーを予約できる。また、「HawaiiActivities」は催行地をハワイに特化した英語サイトで、在米旅行者を中心にサービスを提供している。これらは旅行中のフェーズに限定して事業展開している。宿泊や航空券等の販売は既にオンライン化が進んでおり、旅先の体験だけオンライン化が進んでいなかった。また、現地での体験ツアーやアクティビティは無数にあり、これらはオフラインではなく、インターネットでのスケールメリットを存分に生かせると考え、経営資源を集中し、旅先の体験である観光ツアー、ショー・エンターテインメント、世界遺産、スパ・エステ、文化体験、テーマパーク、クルーズ、ネイチャーツアー、グルメツアー、ウォータースポーツ、空港送迎をはじめとした旅のツールなど、「旅ナカ」と呼ばれる現地での体験やアクティビティをバラエティ豊富に取り揃えている。また、これらの現地体験ツアーを現地の価格のままで提供している。旅先で予約しても出発前に予約しても現地と同価格で予約することができるため、旅行前にプランを立てるうえでの需要が高まっている。
一方、2020年からはコロナ禍のニューノーマル(新常態)にいち早く対応したサービスを順次開始している。「VELTRA Online Academy」は、世界150ヶ国のネットワークから厳選された人気ガイドがオリジナルのオンライン体験を提供するもので、利用者は自宅にいながらにして旅行気分を味わうことができる。
(2) 観光IT事業
観光関連事業者のITインフラを提供するほか、子会社のリンクティビティがチケットプラットフォーム事業を展開している。
チケットプラットフォーム事業では、交通機関・公共施設チケットプラットフォームによってあらゆる交通機関や観光施設がシームレスにつながることを目指している。様々なサービスを連携するMaaSや電子チケット化を推進する動きが高まるなか、インバウンド需要だけでなく、国内向けの販売チャネルも強化しており、国内の鉄道会社や各都道府県施設などをベースとした販売元は275社(2023年6月末時点。2020年12月末は24社)、販売先は世界280社(同、2020年12月末は112社)と順調に拡大している。
2020年より強化中の観光メディア事業では、新たな顧客層へのアプローチ、既存顧客とのコミュニケーション維持を目的としたメディアを複数運営している。一例を挙げると、2020年5月からウィズコロナ(新型コロナウイルス感染症流行下)時代に世界のリアルな「今」を届ける旅情報メディア「VELTRA Kite(ベルトラ カイト)」を公開しているほか、2021年3月には日常の新たな体験や趣味のアイデアを提案する新オンラインメディア「YOKKA(よっか)」を開始した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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