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三菱HCキャ Research Memo(6):カスタマーソリューションと海外地域が安定的な収益の柱(2)
配信日時:2023/10/16 12:06
配信元:FISCO
*12:06JST 三菱HCキャ Research Memo(6):カスタマーソリューションと海外地域が安定的な収益の柱(2)
■三菱HCキャピタル<8593>の事業概要
(3) 環境エネルギー
環境エネルギーでは、再生可能エネルギー事業、環境関連ファイナンス事業をグローバルに展開している。国内では、太陽光発電と陸上風力発電を中心に事業を展開。太陽光発電では、コーポレートPPA※1事業を中心に、顧客にダイレクトに電力を供給する事業を本格化させている。陸上風力発電では、再生可能エネルギーの買い取り価格が固定されているFIT制度や、電力売電価格に連動した一定の補助額を上乗せするFIP制度を利用した発電所を運営。再生可能エネルギーの発電量予測や需給計画の作成、それらを踏まえた電力及び非化石価値※2の提供を行うアグリゲーション事業※3も開始している。海外では、日本よりも脱炭素化が進む欧州・米国等において、再生可能エネルギー発電事業に取り組み、その開発能力を強化している。
同社グループが国内で保有する再生可能エネルギー電源量は、国内電力事業者のなかでもトップクラスの1.2GW(2023年3月末時点)となっており、今後ともこの地位を堅持していく方針。さらに、同社グループでは、再生可能エネルギーをつくるのみではなく、非化石価値の提供も推進している。電力需給・天候などのデータを利活用しつつ、蓄電池・電力小売・アグリゲーターなどを組み合わせることで、環境要因に左右されやすい再生可能エネルギー分野において、安定的な電力供給に向けた新しいビジネスの開発を進めている。
2023年3月期末の資産残高(4,332億円)の事業別構成比は、環境エネルギー事業が68.3%、ファイナンス事業が21.4%、その他が10.3%だった。また、2023年3月期末時点の再生可能エネルギー発電事業における持分出力数(国内と海外の合計)は、運転開始済み分で1,366MW(構成比は、太陽光発電が74.7%、風力発電が24.9%、その他が0.4%)、開発中の案件を含むと1,629MW(構成比は、太陽光発電が68.3%、風力発電が29.9%、その他が1.8%)となっている。さらに、大規模な太陽光発電や風力発電にとどまらず、パートナー企業との協業を通じた太陽光発電の契約済み国内外コーポレートPPA設置件数は約40ヶ所と着実に増加している。
※1 コーポレートPPA(Power Purchase Agreement)
企業が小売電気事業者や発電事業者から再生可能エネルギー発電設備に由来した電力を長期に固定価格で購入できる仕組み
※2 非化石価値、非化石証書
非化石価値とは、二酸化炭素を排出しない方法で発電された電力の価値。非化石証書は、再生可能エネルギーなどの非化石電源で発電された電力の「環境価値」部分を証書化したもの。
※3 アグリゲーション事業、アグリゲーター事業者
発電所が生み出す電力の供給管理。電力会社と需要者の間で、需要と供給のバランスをコントロールする事業、及びその事業者
(4) 航空
航空では、航空機や航空機エンジンを対象としたリース事業、航空機エンジンパーツアウト事業※1、国内法人投資家向けに、投資商品として航空機等のリースを組成・販売する事業※2などを展開している。
同社の航空機リース事業は、新造機のセール&リースバック(SLB)取引※3を中心に、世界各国の大手フルサービスキャリアから優良ローコストキャリア(LCC)まで、現在、約30ヶ国・約60社の航空会社に約200機の航空機をリースしている。また、航空機エンジンリース事業は、世界各国の航空会社やエンジン整備工場にスペアエンジン※4のリースを行っている。
同社が保有する航空機は、需要ならびに流動性が高く、おもに国内線や近距離線で使用されるナローボディ機が機数ベースで約9割であることに加え、競合他社と比較するに平均機齢が若く、良質なポートフォリオであることが強み。また、同社が保有する航空機エンジンも、ナローボディ適合エンジンが中心であり、当事業全体で流動性の高い分散された良質なポートフォリオを維持している。さらに、燃費効率がよく、CO2排出量の少ない新型航空機の機数ベースの保有比率では業界トップクラスを誇るほか、新型航空機用のエンジンの保有比率を向上させることで、航空業界の脱炭素化にも貢献している。
2023年3月期末の資産残高(1兆6,402億円)のサービス別構成比は、航空機リース(航空機リース子会社Jackson Square Aviation、以下、JSA)が73.4%、エンジンリース(航空機エンジンリース子会社Engine Lease Finance、以下、ELF)が22.3%、国内法人向けの投資用航空機リース等が4.3%。航空機体数(JSA)は199機(平均機齢4.9年)、エンジン機数(ELF)は347基であった。また、航空関連の保有資産の内訳は、航空機のアセットタイプ別構成比で、ナローボディが88.4%、その他が11.6%。地域別構成比では、北中南米が38.2%、アジア・オセアニアが30.2%、欧州が25.1%、中東等が6.5%。航空機エンジンの地域別構成比では、北中南米が45.1%、アジア・オセアニアが26.4%、欧州が19.0%、中東等が9.5%となっている。
※1 退役時期が近い航空機エンジンを解体し、各部品を整備・修理後に整備会社やエアラインに販売する事業
※2 航空会社向けの航空機リース事業に、匿名組合契約を通じて出資いただく法人限定の投資商品
※3 顧客が所有する物件(当事業の場合は航空機)を一旦リース会社に売却し、直ちにリース会社より賃借する取引のこと。利用者にとっては資金調達や機材戦略の柔軟性確保などのメリットがある。
※4 エンジンは定期的な整備を要するが、同整備期間中も機体の運航に支障が出ないよう、航空会社は一定数の予備エンジン(スペアエンジン)を保有しておく必要があり、その調達としてリースも活用。
(5) ロジスティクス
ロジスティクスでは、グローバルなサプライチェーンを支える海上コンテナリースや、世界最大の貨物鉄道市場である北米における鉄道会社及び荷主向けの鉄道貨車のリースなどを中心に展開している。
海上コンテナリース事業は、現在、大手船社をはじめとする約300社の顧客に対してグローバルに事業を展開している。グローバルでの展開においては、顧客が求めるロケーションに必要量のコンテナを配置する必要がある。同社では、世界中の港にコンテナの返却・修繕・保管・貸出を行うデポを確保し、顧客のニーズに迅速に対応できるよう、グローバルなネットワークを構築している。リースを利用することによる顧客のメリットとしては、財務的な負担の軽減のみならず、荷動き量の変動に応じた柔軟なコンテナ量の調整が可能となることがあげられる。こうした顧客の需要に支えられ、世界中で使用されている海上コンテナの約半分がリースで供給されている。
また、海上コンテナリース市場は、上位5社のリース会社で約8割のシェアを有する寡占状態となっており、新規参入の難度が高いビジネスでもある。こうした業界特性があるなか、同社は2021年11月に米国の大手海上コンテナリース会社であるCAIを完全子会社化、同社グループの市場シェアは、現在、CEU※ベースで世界第4位となっている。さらに、2023年1月には、CAIと2014年に完全子会社化した海上コンテナリース会社であるBeacon Intermodal Leasing, LLCを合併、海上コンテナリース事業におけるグループ会社の再編を完了した。
鉄道貨車リース事業においては、現在、北米トップ10に入るリース会社に成長、約2万2,000両の貨車を鉄道会社や大手企業を中心とした荷主にリースしている。線路や機関車など多くの設備投資が必要な鉄道会社にとって、リースは有力な調達手段の1つとなっている。当事業においては、環境負荷の小さい鉄道インフラが生み出す価値を支える存在として、北米経済の成長に貢献している。
2023年3月期末の資産残高(1兆929億円)の事業別構成比は、海上コンテナが72.6%、鉄道貨車が23.5%、船舶が3.9%だった。
※Cost Equivalent Unitの略。新造20フィートドライコンテナの過去平均購入価格を1CEUとして求める各種コンテナ数量の換算単位
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<SO>
(3) 環境エネルギー
環境エネルギーでは、再生可能エネルギー事業、環境関連ファイナンス事業をグローバルに展開している。国内では、太陽光発電と陸上風力発電を中心に事業を展開。太陽光発電では、コーポレートPPA※1事業を中心に、顧客にダイレクトに電力を供給する事業を本格化させている。陸上風力発電では、再生可能エネルギーの買い取り価格が固定されているFIT制度や、電力売電価格に連動した一定の補助額を上乗せするFIP制度を利用した発電所を運営。再生可能エネルギーの発電量予測や需給計画の作成、それらを踏まえた電力及び非化石価値※2の提供を行うアグリゲーション事業※3も開始している。海外では、日本よりも脱炭素化が進む欧州・米国等において、再生可能エネルギー発電事業に取り組み、その開発能力を強化している。
同社グループが国内で保有する再生可能エネルギー電源量は、国内電力事業者のなかでもトップクラスの1.2GW(2023年3月末時点)となっており、今後ともこの地位を堅持していく方針。さらに、同社グループでは、再生可能エネルギーをつくるのみではなく、非化石価値の提供も推進している。電力需給・天候などのデータを利活用しつつ、蓄電池・電力小売・アグリゲーターなどを組み合わせることで、環境要因に左右されやすい再生可能エネルギー分野において、安定的な電力供給に向けた新しいビジネスの開発を進めている。
2023年3月期末の資産残高(4,332億円)の事業別構成比は、環境エネルギー事業が68.3%、ファイナンス事業が21.4%、その他が10.3%だった。また、2023年3月期末時点の再生可能エネルギー発電事業における持分出力数(国内と海外の合計)は、運転開始済み分で1,366MW(構成比は、太陽光発電が74.7%、風力発電が24.9%、その他が0.4%)、開発中の案件を含むと1,629MW(構成比は、太陽光発電が68.3%、風力発電が29.9%、その他が1.8%)となっている。さらに、大規模な太陽光発電や風力発電にとどまらず、パートナー企業との協業を通じた太陽光発電の契約済み国内外コーポレートPPA設置件数は約40ヶ所と着実に増加している。
※1 コーポレートPPA(Power Purchase Agreement)
企業が小売電気事業者や発電事業者から再生可能エネルギー発電設備に由来した電力を長期に固定価格で購入できる仕組み
※2 非化石価値、非化石証書
非化石価値とは、二酸化炭素を排出しない方法で発電された電力の価値。非化石証書は、再生可能エネルギーなどの非化石電源で発電された電力の「環境価値」部分を証書化したもの。
※3 アグリゲーション事業、アグリゲーター事業者
発電所が生み出す電力の供給管理。電力会社と需要者の間で、需要と供給のバランスをコントロールする事業、及びその事業者
(4) 航空
航空では、航空機や航空機エンジンを対象としたリース事業、航空機エンジンパーツアウト事業※1、国内法人投資家向けに、投資商品として航空機等のリースを組成・販売する事業※2などを展開している。
同社の航空機リース事業は、新造機のセール&リースバック(SLB)取引※3を中心に、世界各国の大手フルサービスキャリアから優良ローコストキャリア(LCC)まで、現在、約30ヶ国・約60社の航空会社に約200機の航空機をリースしている。また、航空機エンジンリース事業は、世界各国の航空会社やエンジン整備工場にスペアエンジン※4のリースを行っている。
同社が保有する航空機は、需要ならびに流動性が高く、おもに国内線や近距離線で使用されるナローボディ機が機数ベースで約9割であることに加え、競合他社と比較するに平均機齢が若く、良質なポートフォリオであることが強み。また、同社が保有する航空機エンジンも、ナローボディ適合エンジンが中心であり、当事業全体で流動性の高い分散された良質なポートフォリオを維持している。さらに、燃費効率がよく、CO2排出量の少ない新型航空機の機数ベースの保有比率では業界トップクラスを誇るほか、新型航空機用のエンジンの保有比率を向上させることで、航空業界の脱炭素化にも貢献している。
2023年3月期末の資産残高(1兆6,402億円)のサービス別構成比は、航空機リース(航空機リース子会社Jackson Square Aviation、以下、JSA)が73.4%、エンジンリース(航空機エンジンリース子会社Engine Lease Finance、以下、ELF)が22.3%、国内法人向けの投資用航空機リース等が4.3%。航空機体数(JSA)は199機(平均機齢4.9年)、エンジン機数(ELF)は347基であった。また、航空関連の保有資産の内訳は、航空機のアセットタイプ別構成比で、ナローボディが88.4%、その他が11.6%。地域別構成比では、北中南米が38.2%、アジア・オセアニアが30.2%、欧州が25.1%、中東等が6.5%。航空機エンジンの地域別構成比では、北中南米が45.1%、アジア・オセアニアが26.4%、欧州が19.0%、中東等が9.5%となっている。
※1 退役時期が近い航空機エンジンを解体し、各部品を整備・修理後に整備会社やエアラインに販売する事業
※2 航空会社向けの航空機リース事業に、匿名組合契約を通じて出資いただく法人限定の投資商品
※3 顧客が所有する物件(当事業の場合は航空機)を一旦リース会社に売却し、直ちにリース会社より賃借する取引のこと。利用者にとっては資金調達や機材戦略の柔軟性確保などのメリットがある。
※4 エンジンは定期的な整備を要するが、同整備期間中も機体の運航に支障が出ないよう、航空会社は一定数の予備エンジン(スペアエンジン)を保有しておく必要があり、その調達としてリースも活用。
(5) ロジスティクス
ロジスティクスでは、グローバルなサプライチェーンを支える海上コンテナリースや、世界最大の貨物鉄道市場である北米における鉄道会社及び荷主向けの鉄道貨車のリースなどを中心に展開している。
海上コンテナリース事業は、現在、大手船社をはじめとする約300社の顧客に対してグローバルに事業を展開している。グローバルでの展開においては、顧客が求めるロケーションに必要量のコンテナを配置する必要がある。同社では、世界中の港にコンテナの返却・修繕・保管・貸出を行うデポを確保し、顧客のニーズに迅速に対応できるよう、グローバルなネットワークを構築している。リースを利用することによる顧客のメリットとしては、財務的な負担の軽減のみならず、荷動き量の変動に応じた柔軟なコンテナ量の調整が可能となることがあげられる。こうした顧客の需要に支えられ、世界中で使用されている海上コンテナの約半分がリースで供給されている。
また、海上コンテナリース市場は、上位5社のリース会社で約8割のシェアを有する寡占状態となっており、新規参入の難度が高いビジネスでもある。こうした業界特性があるなか、同社は2021年11月に米国の大手海上コンテナリース会社であるCAIを完全子会社化、同社グループの市場シェアは、現在、CEU※ベースで世界第4位となっている。さらに、2023年1月には、CAIと2014年に完全子会社化した海上コンテナリース会社であるBeacon Intermodal Leasing, LLCを合併、海上コンテナリース事業におけるグループ会社の再編を完了した。
鉄道貨車リース事業においては、現在、北米トップ10に入るリース会社に成長、約2万2,000両の貨車を鉄道会社や大手企業を中心とした荷主にリースしている。線路や機関車など多くの設備投資が必要な鉄道会社にとって、リースは有力な調達手段の1つとなっている。当事業においては、環境負荷の小さい鉄道インフラが生み出す価値を支える存在として、北米経済の成長に貢献している。
2023年3月期末の資産残高(1兆929億円)の事業別構成比は、海上コンテナが72.6%、鉄道貨車が23.5%、船舶が3.9%だった。
※Cost Equivalent Unitの略。新造20フィートドライコンテナの過去平均購入価格を1CEUとして求める各種コンテナ数量の換算単位
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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