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国内株式市場見通し:ジャクソンホール会議控え神経質な地合い
配信日時:2023/08/19 13:54
配信元:FISCO
*13:54JST 国内株式市場見通し:ジャクソンホール会議控え神経質な地合い
■米金利高・中国減速リスクが重し
今週の日経平均は1022.89円安の31450.76円と大幅反落。週前半の15日に178.98円と上昇した以外は、すべて3ケタの下落幅となり、軟調な地合いが続いた。4-6月期国内総生産(GDP)が市場予想を大幅に上回ったことや為替の円安が下支えする場面もあったが、主要経済指標の悪化を背景に中国経済の減速リスクが強く意識され、週を通して中国・香港株の下落に神経質に反応した。また、米10年債利回りが昨年10月以来の水準にまで上昇したことも警戒感を誘った。
■市場の米金融政策の織り込みは不十分か
来週の東京株式市場は神経質な展開か。国内では主要企業の決算発表が一巡し、重要な経済指標の発表もないため、ほとんど手掛かり材料がない。海外でも材料はさほど多くなく、最大の注目イベントである国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演は日本時間25日の午後11時頃と、週末の立ち会いを終えた後になる。このため、週末まで模様眺めムードが強く、その間は引き続き日米の長期金利や為替に神経質な展開となりそうだ。
米10年債利回りは17日、一時4.33%まで上値を伸ばしたが、その後4.23%程度にまで水準を切り下げていて、上昇に一服感が見られている。また、今週に入って再び上昇していた国内の10年物国債利回りも3日に付けた0.655%と同じ水準にまで17日に上昇した後は上昇が一服した。18日に発表された注目の7月全国消費者物価指数(CPI)では、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数が前年同月比+4.3%と前回6月分(+4.2%)から拡大したものの、市場予想並みにとどまったことで、日本銀行の追加の政策修正観測が高まる展開には至っていない。
ただ、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の発言次第では日米の長期金利の上昇が再開する可能性はある。市場はFRBの金融政策について、次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では約9割の確率で据え置きを予想している一方、11月のFOMCでは0.25ポイントの利上げを約3割の確率で織り込んでいる。ただ、7月FOMC議事要旨や直近のFRB高官の発言も踏まえると、利上げの織り込みが不十分にもみえる。また、市場は来年前半からのFRBの利下げ転換を織り込んでいるが、これもやや楽観的な印象を抱く。パウエル議長の講演では、こうした市場の見方を転換させるような発言があるかどうかが重要なポイントになりそうだ。
さらに、今年のジャクソンホール会議のテーマは「世界経済の構造変化」である。景気や物価への影響が中立的な金利水準とされる自然利子率について言及があるかどうかも注目点だ。米国の自然利子率は実は従来考えられていた水準より高いところにあるのではないかという議論が増えてきている。こうしたなか、パウエル議長が、自然利子率が上昇している可能性を示唆した場合には、「金融引き締めの長期化」「利下げ転換はかなり先」といったタカ派なメッセージを市場に伝える可能性があり、注意が必要だ。
ほか、23日には米半導体企業のエヌビディアが決算を発表する。生成AI(人工知能)ブームの火付け役となった同社の決算と株価反応は、足元の相場調整がより本格的なものになるのか、それとも調整が終了し上昇トレンドを再開させるのかを左右する程の大きな影響力を持つと思われる。ただ、同社の株価は高値から多少調整したとはいえ、バリュエーションは前回決算以降に大幅に切り上がっており、投資家の期待を超えて再び高値を更新するハードルはかなり高いと考えられる。
17日、ナスダック指数やS&P500種株価指数に続いて、ダウ平均も遂に50日移動平均線を終値ベースで割り込んだ。日経平均も75日線や13週線を割り込んでいるため、日米ともにトレンドの転換は鮮明だ。マネーフロー(資金の流れ)など相場の基調自体は悪化していると思われ、注意が必要な局面に入ってきている。調整が始まるまでの間、日米ともに先行きについては楽観的な見方が広がり、信用買いなどレバレッジを拡大させてきた経緯もある。このため、マネーフローの変化は簡単には止みそうになさそうだ。米エヌビディアの決算にこうしたトレンドを転換させるだけの力があるかどうかと問われれば、やや注意を要すると考える。
■グロース株の買い時はまだか
相場は引き続きボラティリティー(変動率)の高い神経質な展開が続きそうだ。こうしたなか、株式ポートフォリオのリスクを最小化するような戦略を用いた「iシェアーズMSCI日本株最小分散ETF(上場投資信託)」に組み入れられている銘柄への投資などが一考に値しよう。足元、中小型グロース(成長)株で必要以上に売られているような銘柄が多く見られるが、日米の長期金利の先高観がくすぶるなか、こうした関連銘柄への押し目買いについては、今はぐっと堪えるべきと考える。
■米製造業PMI、米エヌビディア決算、など
来週は22日に米7月中古住宅販売件数、23日に米8月S&Pグローバル製造業PMI、米7月新築住宅販売件数、米エヌビディア決算、24日に米7月耐久財受注、米カンザスシティー連銀主催ジャクソンホール会議(~26日)、などが予定されている。
<FA>
今週の日経平均は1022.89円安の31450.76円と大幅反落。週前半の15日に178.98円と上昇した以外は、すべて3ケタの下落幅となり、軟調な地合いが続いた。4-6月期国内総生産(GDP)が市場予想を大幅に上回ったことや為替の円安が下支えする場面もあったが、主要経済指標の悪化を背景に中国経済の減速リスクが強く意識され、週を通して中国・香港株の下落に神経質に反応した。また、米10年債利回りが昨年10月以来の水準にまで上昇したことも警戒感を誘った。
■市場の米金融政策の織り込みは不十分か
来週の東京株式市場は神経質な展開か。国内では主要企業の決算発表が一巡し、重要な経済指標の発表もないため、ほとんど手掛かり材料がない。海外でも材料はさほど多くなく、最大の注目イベントである国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演は日本時間25日の午後11時頃と、週末の立ち会いを終えた後になる。このため、週末まで模様眺めムードが強く、その間は引き続き日米の長期金利や為替に神経質な展開となりそうだ。
米10年債利回りは17日、一時4.33%まで上値を伸ばしたが、その後4.23%程度にまで水準を切り下げていて、上昇に一服感が見られている。また、今週に入って再び上昇していた国内の10年物国債利回りも3日に付けた0.655%と同じ水準にまで17日に上昇した後は上昇が一服した。18日に発表された注目の7月全国消費者物価指数(CPI)では、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数が前年同月比+4.3%と前回6月分(+4.2%)から拡大したものの、市場予想並みにとどまったことで、日本銀行の追加の政策修正観測が高まる展開には至っていない。
ただ、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の発言次第では日米の長期金利の上昇が再開する可能性はある。市場はFRBの金融政策について、次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では約9割の確率で据え置きを予想している一方、11月のFOMCでは0.25ポイントの利上げを約3割の確率で織り込んでいる。ただ、7月FOMC議事要旨や直近のFRB高官の発言も踏まえると、利上げの織り込みが不十分にもみえる。また、市場は来年前半からのFRBの利下げ転換を織り込んでいるが、これもやや楽観的な印象を抱く。パウエル議長の講演では、こうした市場の見方を転換させるような発言があるかどうかが重要なポイントになりそうだ。
さらに、今年のジャクソンホール会議のテーマは「世界経済の構造変化」である。景気や物価への影響が中立的な金利水準とされる自然利子率について言及があるかどうかも注目点だ。米国の自然利子率は実は従来考えられていた水準より高いところにあるのではないかという議論が増えてきている。こうしたなか、パウエル議長が、自然利子率が上昇している可能性を示唆した場合には、「金融引き締めの長期化」「利下げ転換はかなり先」といったタカ派なメッセージを市場に伝える可能性があり、注意が必要だ。
ほか、23日には米半導体企業のエヌビディアが決算を発表する。生成AI(人工知能)ブームの火付け役となった同社の決算と株価反応は、足元の相場調整がより本格的なものになるのか、それとも調整が終了し上昇トレンドを再開させるのかを左右する程の大きな影響力を持つと思われる。ただ、同社の株価は高値から多少調整したとはいえ、バリュエーションは前回決算以降に大幅に切り上がっており、投資家の期待を超えて再び高値を更新するハードルはかなり高いと考えられる。
17日、ナスダック指数やS&P500種株価指数に続いて、ダウ平均も遂に50日移動平均線を終値ベースで割り込んだ。日経平均も75日線や13週線を割り込んでいるため、日米ともにトレンドの転換は鮮明だ。マネーフロー(資金の流れ)など相場の基調自体は悪化していると思われ、注意が必要な局面に入ってきている。調整が始まるまでの間、日米ともに先行きについては楽観的な見方が広がり、信用買いなどレバレッジを拡大させてきた経緯もある。このため、マネーフローの変化は簡単には止みそうになさそうだ。米エヌビディアの決算にこうしたトレンドを転換させるだけの力があるかどうかと問われれば、やや注意を要すると考える。
■グロース株の買い時はまだか
相場は引き続きボラティリティー(変動率)の高い神経質な展開が続きそうだ。こうしたなか、株式ポートフォリオのリスクを最小化するような戦略を用いた「iシェアーズMSCI日本株最小分散ETF(上場投資信託)」に組み入れられている銘柄への投資などが一考に値しよう。足元、中小型グロース(成長)株で必要以上に売られているような銘柄が多く見られるが、日米の長期金利の先高観がくすぶるなか、こうした関連銘柄への押し目買いについては、今はぐっと堪えるべきと考える。
■米製造業PMI、米エヌビディア決算、など
来週は22日に米7月中古住宅販売件数、23日に米8月S&Pグローバル製造業PMI、米7月新築住宅販売件数、米エヌビディア決算、24日に米7月耐久財受注、米カンザスシティー連銀主催ジャクソンホール会議(~26日)、などが予定されている。
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