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引き締めサイクル終了近づくとFRB当局者ら、追加利上げにも言及

配信日時:2023/07/11 08:39 配信元:REUTERS

[10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の当局者らは10日、追加利上げの必要性を指摘する一方、現在の金融引き締めサイクルは終わりが近づいているとの認識を相次ぎ示した。

FRBはインフレ抑制に向け2022年3月以降、計5%ポイントの利上げを実施。大方の当局者は少なくとも年内にあと2回の利上げが必要と見込んでいるものの、先月の連邦公開市場委員会(FOMC)ではこれまでの利上げの影響を見極めるため政策金利を据え置いた。

サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は10日、ブルッキングス研究所での講演で、高すぎるインフレ率を持続的に2%の目標に戻すには年内あと2回の利上げが必要となる公算が大きいとの認識を示した。実際にどう決定するかは「データ次第」とも強調した。

FRBの対応が十分でない場合のリスクが行き過ぎた場合のリスクを依然上回っているものの、引き締めサイクルの終盤に近づく中、これらリスクのバランスは改善しつつあるとし、FRBが昨年よりも利上げペースを落とし、経済がどのように反応するか見極めることは適切と述べた。

FRBは今月のFOMCで0.25%ポイントの利上げを決めると予想されている。

ただ、その後については追加利上げが9月になるのか、11月まで待つのか、それとも金利を据え置いてインフレ動向を見守るのか明らかではない。

FRBのバー副議長(金融規制担当)は10日、別のイベントで、インフレの2%回帰に向け、金利は適切な水準に近づいているものの、「なお幾分やるべきことがある」と述べた。

<目先のインフレ期待は低下>

ニューヨーク連銀が10日発表した6月の消費者調査は、1年先のインフレ期待が2021年4月以来の低水準となった。物価上昇圧力の緩和を裏付ける内容で、FRBに対する利上げ圧力が多少弱まる可能性がある。ただ、住宅価格の見通しは5カ月連続で上向いており、いずれFRBにとって再び問題になる可能性を示唆した。

アトランタ地区連銀のボスティック総裁は10日、FRBは金利について「忍耐強く」あることが可能で、追加利上げがなくても制約的な政策がインフレを押し下げるとの見解を改めて示した。

「基調的なデータは非常にポジティブな物語を語っている」とし、政策面で大きな対応をしなくとも「これら全てを考慮すれば、累積的な効果により(インフレの)目標回帰が可能だ」とした。

一方、クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、基調インフレ圧力が依然強く、追加利上げが必要となる可能性を示唆しているとした。

同時に、月内のFOMCについては一段のデータが必要だとし、何ら言及する用意はできてないとした。

6月FOMCでの決定については「私のみであれば、利上げに踏み切っていただろう」と指摘。しかし、市場の期待を考慮することは重要で、「6月に利上げを見送った理由を理解している」と述べた。

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