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エーバランス Research Memo(7):2022年6月期は主力2事業の伸長により、過去最高業績を大幅更新(1)
配信日時:2022/09/22 17:07
配信元:FISCO
■業績動向
1. 2022年6月期の業績概要
Abalance<3856>の2022年6月期の連結業績は、売上高で前期比243.6%増の92,435百万円、営業利益で同24.7%増の1,697百万円、経常利益で同19.0%増の1,510百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同61.3%増の867百万円といずれも会社計画を上回り、過去最高を大幅更新した。営業利益率は前期の5.1%から1.8%に低下したが、これはコロナ禍で太陽光パネルの部材費や海上運送費が高騰したことで太陽光パネル製造事業の利益率が低下したこと、また、グリーンエネルギー事業における販売構成比の変化や、のれん償却額及び減価償却費の増加が要因だ。EBITDA(償却前営業利益)は前期比59.0%増の3,309百万円となった。
(1) 太陽光パネル製造事業
欧米市場での太陽光発電に対する旺盛な需要を背景に、太陽光パネル製造事業の売上高は前期比289.2%増の81,775百万円、セグメント利益は同69.3%増の1,238百万円と大幅増収増益となった。第1四半期は生産拠点のベトナムにおいてコロナ禍によるロックダウンが実施されたことにより、工場の稼働や製品出荷に一部影響が生じ売上高が伸び悩んだが、第2四半期以降はロックダウンの解除とともに工場の稼働や製品出荷体制が徐々に復旧した。第3四半期以降は、ウクライナ危機により欧州市場でエネルギー不足が深刻化したことや、第4四半期には世界のサプライチェーンがわずかに回復傾向を見せたことなどにより太陽光パネルの販売が大きく伸び、第4四半期の売上高は前年同期比5倍増の32,200百万円と大幅増となった。2021年7月に新設した第3工場の稼働により、年間製産能力が従来の1.5GWから2.6GWに増強し、主に欧米向けで需要が見込める最先端パネル(1枚のパネルで500W以上、または600W以上の発電)を製造している。
営業利益率は1.5%と前期比で2.0ポイント低下したが、これは原油価格の上昇に伴う部材価格や海上運送費の高騰が主因である。ただし、第3四半期以降は販売価格への転嫁に取り組んだ効果により、営業利益率は第4四半期に2.5%の水準まで回復した(第3四半期は0.8%)。現在も部材価格や海上運賃については高止まりの状況が続いていることから、受注契約のなかで販売価格を固定にしていた案件は、材料費や運賃などの変動率が一定水準を越えた場合に販売価格に反映できるよう、契約条件の見直し作業を進めており、これらの取り組みがさらに浸透すれば営業利益率の回復傾向が続くものと予想される。
(2) グリーンエネルギー事業
グリーンエネルギー事業の売上高は前期比92.7%増の10,234百万円、セグメント利益は同19.7%増の1,204百万円となった。同事業では従来の太陽光発電所及び物販の販売によるフロー型ビジネスから、太陽光発電所の自社保有化による売電収入を安定収益基盤とするストック型ビジネスへとビジネスモデルの転換を進めており、その戦略の一環としてM&Aを積極的に推進した。また、自社開発による太陽光発電所が複数稼働を開始したこともあり、2022年6月期の減価償却費及びM&Aに伴うのれん償却額が大きく増加したことが、セグメント利益の伸びを抑えた一因となった。
売上高の内訳を見ると、発電所の販売及び物販等のフロー売上で7,582百万円、売電及びO&Aによるストック売上で2,651百万円となった。フロー売上としては、太陽光発電所の販売が増加したほか、太陽光発電設備(太陽光パネル、蓄電池等)に係る物販事業が寄与したものと見られる。
ストック売上は、自社保有する太陽光発電所の売電収入が、自社開発並びにM&A効果で大きく伸長した。約4年前にはわずかであった売電収入は、安定収益の確保を目的として開発後も継続して保有する戦略により、2022年6月期にはO&Mと合わせて26億円を超過した。また、現在建設中の太陽光発電所として宮城県の大和町・大衡村太陽光発電所(2022年12月以降連系予定、発電能力21.6MW、年間想定売電収入530百万円)などがある。
なお、O&M収入も安定収益源として定着している。WWBでの実績に加えて(株)バローズエンジニアリングにおいて、落雷対策に効果のあるアース線配線、施設内カメラの設置によるセキュリティ確保、RPAシステムを活用した異常点探知等のシステム提供による契約件数の積み上げに取り組んだ。そのほか、サステナブル経営に対する企業の関心が高まるなかで、脱炭素経営に対するソシューションの企画・提案力の強化を図っており、NONFIT申請※やソーラーシェアリング案件などについても積極的に推進している。
※NONFIT申請とは、FIT(固定価格買取制度)に頼らない太陽光発電所の建設申請のこと。FITを活用した太陽光発電所の電気は、再エネ賦課金という形ですでに環境価値への対価が支払われているという理由で、100%再生可能エネルギーとして認められていない(環境価値は再エネ賦課金を支払っている人に帰属するため)。NONFIT電気の場合、100%再生可能エネルギーとして認定されるため、売電による利潤獲得が主目的ではなく、100%再生可能エネルギーを利用したい自家消費目的のNONFIT太陽光発電所のニーズが増加している。
海外事業では、ベトナム、カンボジア、インドネシア、スリランカ、台湾等の東南アジアにおける旺盛な電力需要に対して、現地企業や総合商社との合弁等により開発プロジェクトに参画している。また、環境省が実施した2019年度「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism: JCM)資金支援事業のうち設備補助事業」の公募案件の採択を受け、カンボジア国内における太陽光発電(1MW)とバイオマス発電(0.5MW)を併設したハイブリッド発電設備の整備プロジェクトを推進しているほか、2022年6月にはホテル三日月グループがベトナムで運営する複合型リゾート「ダナン三日月ジャパニーズリゾート&スパ」に、約1MW相当の屋根設置型太陽光発電設備のEPC事業を担い、グランドオープン後から電力供給を開始した(当該リゾート施設の使用電力の約35%相当を賄う)。コロナ禍の影響により海外渡航制限などが続いたことから、海外事業について2020年以降目立った進捗がなかったものの、海外渡航制限の緩和とともにプロジェクトも徐々に動き始めており、今後は事業拡大を推進する方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2022年6月期の業績概要
Abalance<3856>の2022年6月期の連結業績は、売上高で前期比243.6%増の92,435百万円、営業利益で同24.7%増の1,697百万円、経常利益で同19.0%増の1,510百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同61.3%増の867百万円といずれも会社計画を上回り、過去最高を大幅更新した。営業利益率は前期の5.1%から1.8%に低下したが、これはコロナ禍で太陽光パネルの部材費や海上運送費が高騰したことで太陽光パネル製造事業の利益率が低下したこと、また、グリーンエネルギー事業における販売構成比の変化や、のれん償却額及び減価償却費の増加が要因だ。EBITDA(償却前営業利益)は前期比59.0%増の3,309百万円となった。
(1) 太陽光パネル製造事業
欧米市場での太陽光発電に対する旺盛な需要を背景に、太陽光パネル製造事業の売上高は前期比289.2%増の81,775百万円、セグメント利益は同69.3%増の1,238百万円と大幅増収増益となった。第1四半期は生産拠点のベトナムにおいてコロナ禍によるロックダウンが実施されたことにより、工場の稼働や製品出荷に一部影響が生じ売上高が伸び悩んだが、第2四半期以降はロックダウンの解除とともに工場の稼働や製品出荷体制が徐々に復旧した。第3四半期以降は、ウクライナ危機により欧州市場でエネルギー不足が深刻化したことや、第4四半期には世界のサプライチェーンがわずかに回復傾向を見せたことなどにより太陽光パネルの販売が大きく伸び、第4四半期の売上高は前年同期比5倍増の32,200百万円と大幅増となった。2021年7月に新設した第3工場の稼働により、年間製産能力が従来の1.5GWから2.6GWに増強し、主に欧米向けで需要が見込める最先端パネル(1枚のパネルで500W以上、または600W以上の発電)を製造している。
営業利益率は1.5%と前期比で2.0ポイント低下したが、これは原油価格の上昇に伴う部材価格や海上運送費の高騰が主因である。ただし、第3四半期以降は販売価格への転嫁に取り組んだ効果により、営業利益率は第4四半期に2.5%の水準まで回復した(第3四半期は0.8%)。現在も部材価格や海上運賃については高止まりの状況が続いていることから、受注契約のなかで販売価格を固定にしていた案件は、材料費や運賃などの変動率が一定水準を越えた場合に販売価格に反映できるよう、契約条件の見直し作業を進めており、これらの取り組みがさらに浸透すれば営業利益率の回復傾向が続くものと予想される。
(2) グリーンエネルギー事業
グリーンエネルギー事業の売上高は前期比92.7%増の10,234百万円、セグメント利益は同19.7%増の1,204百万円となった。同事業では従来の太陽光発電所及び物販の販売によるフロー型ビジネスから、太陽光発電所の自社保有化による売電収入を安定収益基盤とするストック型ビジネスへとビジネスモデルの転換を進めており、その戦略の一環としてM&Aを積極的に推進した。また、自社開発による太陽光発電所が複数稼働を開始したこともあり、2022年6月期の減価償却費及びM&Aに伴うのれん償却額が大きく増加したことが、セグメント利益の伸びを抑えた一因となった。
売上高の内訳を見ると、発電所の販売及び物販等のフロー売上で7,582百万円、売電及びO&Aによるストック売上で2,651百万円となった。フロー売上としては、太陽光発電所の販売が増加したほか、太陽光発電設備(太陽光パネル、蓄電池等)に係る物販事業が寄与したものと見られる。
ストック売上は、自社保有する太陽光発電所の売電収入が、自社開発並びにM&A効果で大きく伸長した。約4年前にはわずかであった売電収入は、安定収益の確保を目的として開発後も継続して保有する戦略により、2022年6月期にはO&Mと合わせて26億円を超過した。また、現在建設中の太陽光発電所として宮城県の大和町・大衡村太陽光発電所(2022年12月以降連系予定、発電能力21.6MW、年間想定売電収入530百万円)などがある。
なお、O&M収入も安定収益源として定着している。WWBでの実績に加えて(株)バローズエンジニアリングにおいて、落雷対策に効果のあるアース線配線、施設内カメラの設置によるセキュリティ確保、RPAシステムを活用した異常点探知等のシステム提供による契約件数の積み上げに取り組んだ。そのほか、サステナブル経営に対する企業の関心が高まるなかで、脱炭素経営に対するソシューションの企画・提案力の強化を図っており、NONFIT申請※やソーラーシェアリング案件などについても積極的に推進している。
※NONFIT申請とは、FIT(固定価格買取制度)に頼らない太陽光発電所の建設申請のこと。FITを活用した太陽光発電所の電気は、再エネ賦課金という形ですでに環境価値への対価が支払われているという理由で、100%再生可能エネルギーとして認められていない(環境価値は再エネ賦課金を支払っている人に帰属するため)。NONFIT電気の場合、100%再生可能エネルギーとして認定されるため、売電による利潤獲得が主目的ではなく、100%再生可能エネルギーを利用したい自家消費目的のNONFIT太陽光発電所のニーズが増加している。
海外事業では、ベトナム、カンボジア、インドネシア、スリランカ、台湾等の東南アジアにおける旺盛な電力需要に対して、現地企業や総合商社との合弁等により開発プロジェクトに参画している。また、環境省が実施した2019年度「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism: JCM)資金支援事業のうち設備補助事業」の公募案件の採択を受け、カンボジア国内における太陽光発電(1MW)とバイオマス発電(0.5MW)を併設したハイブリッド発電設備の整備プロジェクトを推進しているほか、2022年6月にはホテル三日月グループがベトナムで運営する複合型リゾート「ダナン三日月ジャパニーズリゾート&スパ」に、約1MW相当の屋根設置型太陽光発電設備のEPC事業を担い、グランドオープン後から電力供給を開始した(当該リゾート施設の使用電力の約35%相当を賄う)。コロナ禍の影響により海外渡航制限などが続いたことから、海外事業について2020年以降目立った進捗がなかったものの、海外渡航制限の緩和とともにプロジェクトも徐々に動き始めており、今後は事業拡大を推進する方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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