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イード Research Memo(3):CS事業の収益悪化などにより営業減益となるも、当期純利益は4期振りの増益
配信日時:2025/09/18 15:33
配信元:FISCO
*15:33JST イード Research Memo(3):CS事業の収益悪化などにより営業減益となるも、当期純利益は4期振りの増益
■イード<6038>の業績動向
1. 2025年6月期の業績概要
2025年6月期の連結業績は、売上高で前期比0.7%減の6,084百万円、営業利益で同12.2%減の459百万円、経常利益で同17.0%減の454百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同88.8%増の307百万円となった。営業利益・経常利益は3期連続減益となったが、当期純利益は4期振りの増益に転じた。ネット広告を中心にCP事業は堅調に推移したものの、CS事業の収益が悪化したほか、出版ビジネスの一部を終了し撤退費用も含め通期で60百万円の赤字を計上したこと、さらには期末にM&A関連費用を計上したことなどが営業利益の減益要因となった。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として計上した投資有価証券評価損が前期の175百万円から18百万円に減少したこと、特別利益として投資有価証券売却益74百万円、事業譲渡益19百万円を計上したことが増益要因となった。
(1) CP事業
CP事業の売上高は前期比1.2%増の5,569百万円、営業利益は同1.9%増の439百万円となり、売上高は連続で過去最高を更新した。営業利益も若干ながらも3期振りの増益に転じた。売上高の内訳を見ると、ネット広告は自動車業界の需要が低迷したものの、教育分野などの堅調な需要に支えられ、同2.6%増の1,517百万円となった。しかし、中間期は12.9%増だったため、下期は減収に転じた。これは、米国の高関税政策の影響で自動車業界の広告出稿意欲が冷え込んだことが影響したと見られる。
データ・コンテンツ提供は同5.7%増の2,502百万円と増収基調が続いた。EC物販は伸び悩んだものの、エンファクトリーによる越境型研修サービス※やFITPの車両衝突実験関連サービスが増収となったほか、「Response」や情報セキュリティ専門サイト「ScanNetSecurity」などの法人向け有料会員サービスも会員数増加により2ケタ成長となった。特に、「Response」において提供したEVリスキリング講座の「eラーニングオプション」が好評だった。
※ 越境型研修サービスのうち、「越境サーキット」が大手企業のキャリア支援施策として導入が進んでいる。「越境サーキット」とは、他社のメンバーとチームアップし、ベンチャー企業のリアルな課題に対して、ヒアリング・仮説・提案の3ヶ月間を1タームにして行う越境・対話型オンライン研修を指す。
メディア・システムについては、FITPのデータセンター向けファシリティソリューションが堅調に推移したものの、他社オウンドメディア運営やSAVAWAYの複数ネットショップ一元管理システム「TEMPOSTAR(テンポスター)」が低調で、同4.7%減の1,128百万円となった。出版ビジネスはアニメ雑誌が回復傾向となったがパズル雑誌の低迷が続き、同10.6%減の457百万円となった。営業利益率は前期の7.8%から7.9%とほぼ横ばい水準となったが、これがM&A関連費用やパズル雑誌撤退費用などの計上を、サブスク型有料会員サービスの伸張やAI活用によるメディア運営コストの効率化で吸収したものと考えられる。
(2) CS事業
CS事業の売上高は前期比17.4%減の515百万円、営業利益で同78.0%減の20百万円となった。売上高の内訳は、リサーチソリューションが同26.5%減の339百万円と大きく落ち込んだ一方で、ECソリューションが同8.6%増の176百万円と増収に転じた。リサーチソリューションは主要顧客となる自動車メーカーからの受注が低調で減収要因となった。営業利益率もリサーチソリューションの減収が響いて、前期の19.9%から3.9%に低下した。
手元キャッシュ等を活用して比較的規模の大きいM&Aを目指す
2. 財務状況
2025年6月期末の資産合計は前期末比16百万円減少の6,252百万円となった。流動資産では現金及び預金が17百万円減少したほか、受取手形、売掛金及び契約資産が162百万円減少した。固定資産ではのれんが32百万円減少した一方で、投資有価証券が保有株式の株価上昇もあって290百万円増加した。
負債合計は前期末比389百万円減少の1,614百万円となった。主に有利子負債が262百万円、未払法人税等が62百万円減少した。純資産合計は同372百万円増加の4,638百万円となった。利益剰余金が239百万円、その他有価証券評価差額金が150百万円それぞれ増加した。
経営の安全性を示す自己資本比率は前期末の67.0%から72.9%に上昇し、D/Eレシオは0.18倍から0.11倍に低下した。有利子負債の削減を進めたことや自己資本の増加が要因だ。ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)も前期末比244百万円増の3,110百万円と過去最高水準に積み上がった。同社は潤沢な手元資金を活用して、今後は売上高で10億円を超えるような比較的規模の大きいM&Aを進める意向で、案件次第では有利子負債を積み増すことも視野に入れている。目安としてはD/Eレシオで0.5倍程度を上限に考えているようで、積極的なM&Aにより売上規模の一段の拡大を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2025年6月期の業績概要
2025年6月期の連結業績は、売上高で前期比0.7%減の6,084百万円、営業利益で同12.2%減の459百万円、経常利益で同17.0%減の454百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同88.8%増の307百万円となった。営業利益・経常利益は3期連続減益となったが、当期純利益は4期振りの増益に転じた。ネット広告を中心にCP事業は堅調に推移したものの、CS事業の収益が悪化したほか、出版ビジネスの一部を終了し撤退費用も含め通期で60百万円の赤字を計上したこと、さらには期末にM&A関連費用を計上したことなどが営業利益の減益要因となった。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として計上した投資有価証券評価損が前期の175百万円から18百万円に減少したこと、特別利益として投資有価証券売却益74百万円、事業譲渡益19百万円を計上したことが増益要因となった。
(1) CP事業
CP事業の売上高は前期比1.2%増の5,569百万円、営業利益は同1.9%増の439百万円となり、売上高は連続で過去最高を更新した。営業利益も若干ながらも3期振りの増益に転じた。売上高の内訳を見ると、ネット広告は自動車業界の需要が低迷したものの、教育分野などの堅調な需要に支えられ、同2.6%増の1,517百万円となった。しかし、中間期は12.9%増だったため、下期は減収に転じた。これは、米国の高関税政策の影響で自動車業界の広告出稿意欲が冷え込んだことが影響したと見られる。
データ・コンテンツ提供は同5.7%増の2,502百万円と増収基調が続いた。EC物販は伸び悩んだものの、エンファクトリーによる越境型研修サービス※やFITPの車両衝突実験関連サービスが増収となったほか、「Response」や情報セキュリティ専門サイト「ScanNetSecurity」などの法人向け有料会員サービスも会員数増加により2ケタ成長となった。特に、「Response」において提供したEVリスキリング講座の「eラーニングオプション」が好評だった。
※ 越境型研修サービスのうち、「越境サーキット」が大手企業のキャリア支援施策として導入が進んでいる。「越境サーキット」とは、他社のメンバーとチームアップし、ベンチャー企業のリアルな課題に対して、ヒアリング・仮説・提案の3ヶ月間を1タームにして行う越境・対話型オンライン研修を指す。
メディア・システムについては、FITPのデータセンター向けファシリティソリューションが堅調に推移したものの、他社オウンドメディア運営やSAVAWAYの複数ネットショップ一元管理システム「TEMPOSTAR(テンポスター)」が低調で、同4.7%減の1,128百万円となった。出版ビジネスはアニメ雑誌が回復傾向となったがパズル雑誌の低迷が続き、同10.6%減の457百万円となった。営業利益率は前期の7.8%から7.9%とほぼ横ばい水準となったが、これがM&A関連費用やパズル雑誌撤退費用などの計上を、サブスク型有料会員サービスの伸張やAI活用によるメディア運営コストの効率化で吸収したものと考えられる。
(2) CS事業
CS事業の売上高は前期比17.4%減の515百万円、営業利益で同78.0%減の20百万円となった。売上高の内訳は、リサーチソリューションが同26.5%減の339百万円と大きく落ち込んだ一方で、ECソリューションが同8.6%増の176百万円と増収に転じた。リサーチソリューションは主要顧客となる自動車メーカーからの受注が低調で減収要因となった。営業利益率もリサーチソリューションの減収が響いて、前期の19.9%から3.9%に低下した。
手元キャッシュ等を活用して比較的規模の大きいM&Aを目指す
2. 財務状況
2025年6月期末の資産合計は前期末比16百万円減少の6,252百万円となった。流動資産では現金及び預金が17百万円減少したほか、受取手形、売掛金及び契約資産が162百万円減少した。固定資産ではのれんが32百万円減少した一方で、投資有価証券が保有株式の株価上昇もあって290百万円増加した。
負債合計は前期末比389百万円減少の1,614百万円となった。主に有利子負債が262百万円、未払法人税等が62百万円減少した。純資産合計は同372百万円増加の4,638百万円となった。利益剰余金が239百万円、その他有価証券評価差額金が150百万円それぞれ増加した。
経営の安全性を示す自己資本比率は前期末の67.0%から72.9%に上昇し、D/Eレシオは0.18倍から0.11倍に低下した。有利子負債の削減を進めたことや自己資本の増加が要因だ。ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)も前期末比244百万円増の3,110百万円と過去最高水準に積み上がった。同社は潤沢な手元資金を活用して、今後は売上高で10億円を超えるような比較的規模の大きいM&Aを進める意向で、案件次第では有利子負債を積み増すことも視野に入れている。目安としてはD/Eレシオで0.5倍程度を上限に考えているようで、積極的なM&Aにより売上規模の一段の拡大を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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