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ファンペップ Research Memo(7):熊本大学と脂質異常症を対象とした抗体誘導ペプチドの共同研究を開始
配信日時:2022/09/16 15:27
配信元:FISCO
■ファンペップ<4881>の主要開発パイプラインの動向
4. その他の開発状況
(1) 脂質異常症を対象とした共同研究
開発に関する新たな取り組みとして、2022年4月に熊本大学と脂質異常症に対する抗ANGPTL3※抗体誘導ペプチドの創出を目指した共同研究を開始した。脂質異常症とは中性脂肪やコレステロールなどの脂質代謝に異常をきたした状態を言い、以前は高脂血症と呼ばれていた。動脈硬化の主要な危険因子であり、放置すれば脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患を引き起こす原因となる。
※ANGPTL3(アンジオポエチン様タンパク質 3)は肝臓より分泌され、脂質代謝や血管新生に関わるホルモン様のタンパク質。
脂質異常症の治療には、スタチン系薬剤が一般的に広く使用されているが、家族性高コレステロール血症※の場合や心血管イベントのリスクが高い患者においてスタチン系薬剤で効果が不十分な場合は、PCSK9阻害薬など他の薬剤との併用療法が行われている。一方、動脈硬化は血中の中性脂肪の上昇により促進されることが知られており、ANGPTL3阻害薬は血中LDLコレステロールに加えて中性脂肪も低下させる作用を持つことから、抗体治療薬の開発が進んでいる。2021年には米国、欧州にて家族性高コレステロール血症を適応症とする抗体医薬品「Evkeeza(R)」が販売承認されている。
※遺伝子異常により、生まれつき血中のLDLコレステロールが著しく増加する疾患で、幼児期から動脈硬化が進行し、小児期に心筋梗塞などを発症する。患者数は100万人に1人の割合で発生する難治性希少疾患で、国内でも難病指定されている。
共同研究先の熊本大学大学院生命科学研究部の尾池教授は、脂質異常症における国内のオピニオンリーダーであり、ANGPTLファミリーに関する研究や、ペプチドワクチンによる治療法の研究を行っていたことから、今回の共同研究につながった。今後、抗体誘導ペプチドによる動物実験を進めていくことにしており、将来的に家族性高コレステロールを対象とした抗体医薬品の代替治療薬になるものと期待される。
(2) マイクロニードル技術を用いた次世代製剤技術
2021年8月にメドレックスと共同開発契約を締結し、マイクロニードル技術を用いた次世代製剤技術の開発に取り組んでいる。従来、抗体誘導ペプチドは注射しか投与手段がなかったが、マイクロニードル技術を用いることにより、無痛経皮投与を患者自身で行うことが可能になるほか、従来の注射剤と比較して少ない投与量で高い免疫効果を得られる可能性がある。注射剤だと血液中に薬剤が流入することでペプチドが早く分解してしまうが、経皮投与の場合は皮内にペプチドが長く留まるため分解も遅く、結果的に抗体産生力も注射剤と比較して高まると考えられるためだ。
現在、同社にてマイクロニードルを用いて動物実験を実施しており、抗体価が注射投与と比較してどの程度増えるか確認している状況にある。共同研究契約については1年間延長しており、今後も共同開発を進めていくが、その他にも新しい製剤技術が出てきているため、様々な方法を検討していくことにしている。
(3) 花粉症治療薬候補品「FPP004」
「FPP004」は大阪大学大学院医学系研究科との共同研究のもとで同社が創製した開発化合物で、IgEを標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドとなる。IgEはアレルギー性疾患の発症・進展に関与する重要因子で、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)が代表的な疾患として知られている。
花粉症の患者数は国内で約4~5千万人と多い一方で、既に多くの抗ヒスタミン薬が開発、販売されている。効果が不十分な重症例では抗IgE抗体医薬品の「ゾレア(R)」※が処方されている。現在、「FPP004」は前臨床試験段階にあるが、人的リソースを「FPP005」等に優先的に投下していくことから、当面の間、バックアップ化合物の探索研究を進めていく方針に変更している。本化合物の優位性を改めて確認したうえで、2023年12月期以降に前臨床試験を再開する計画となっている(開発化合物をバックアップ化合物に変更する可能性有り)。
※2019年12月にノバルティス ファーマの抗IgE抗体「ゾレア(R)」が抗体医薬品として初めて花粉症への適応拡大の承認を取得した。
(4) 新型コロナウイルス感染症ワクチン「FPP006」
「FPP006」はペプチドワクチンの一種である抗体誘導ペプチドの技術基盤を活用して開発されたもので、既存のワクチンがウイルス全体や標的タンパク質(mRNAワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチン、組換えタンパク質及び不活性化ワクチン等)を抗原として用いて免疫を誘導するのに対し、「FPP006」はウイルスの変異の報告がないペプチド配列(エピトープ)を選択し、効率的に免疫を誘導する点が特徴となっている。この特徴を活かして、高効率で副反応が少なく、ウイルスの変異の影響を受けないワクチンの開発を、AMEDの助成金を活用して大阪大学大学院医学系研究科主導で進められている。開発の進捗については非公表となっており、効果が判明した際に大阪大学大学院医学系研究科から発表することになっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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4. その他の開発状況
(1) 脂質異常症を対象とした共同研究
開発に関する新たな取り組みとして、2022年4月に熊本大学と脂質異常症に対する抗ANGPTL3※抗体誘導ペプチドの創出を目指した共同研究を開始した。脂質異常症とは中性脂肪やコレステロールなどの脂質代謝に異常をきたした状態を言い、以前は高脂血症と呼ばれていた。動脈硬化の主要な危険因子であり、放置すれば脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患を引き起こす原因となる。
※ANGPTL3(アンジオポエチン様タンパク質 3)は肝臓より分泌され、脂質代謝や血管新生に関わるホルモン様のタンパク質。
脂質異常症の治療には、スタチン系薬剤が一般的に広く使用されているが、家族性高コレステロール血症※の場合や心血管イベントのリスクが高い患者においてスタチン系薬剤で効果が不十分な場合は、PCSK9阻害薬など他の薬剤との併用療法が行われている。一方、動脈硬化は血中の中性脂肪の上昇により促進されることが知られており、ANGPTL3阻害薬は血中LDLコレステロールに加えて中性脂肪も低下させる作用を持つことから、抗体治療薬の開発が進んでいる。2021年には米国、欧州にて家族性高コレステロール血症を適応症とする抗体医薬品「Evkeeza(R)」が販売承認されている。
※遺伝子異常により、生まれつき血中のLDLコレステロールが著しく増加する疾患で、幼児期から動脈硬化が進行し、小児期に心筋梗塞などを発症する。患者数は100万人に1人の割合で発生する難治性希少疾患で、国内でも難病指定されている。
共同研究先の熊本大学大学院生命科学研究部の尾池教授は、脂質異常症における国内のオピニオンリーダーであり、ANGPTLファミリーに関する研究や、ペプチドワクチンによる治療法の研究を行っていたことから、今回の共同研究につながった。今後、抗体誘導ペプチドによる動物実験を進めていくことにしており、将来的に家族性高コレステロールを対象とした抗体医薬品の代替治療薬になるものと期待される。
(2) マイクロニードル技術を用いた次世代製剤技術
2021年8月にメドレックスと共同開発契約を締結し、マイクロニードル技術を用いた次世代製剤技術の開発に取り組んでいる。従来、抗体誘導ペプチドは注射しか投与手段がなかったが、マイクロニードル技術を用いることにより、無痛経皮投与を患者自身で行うことが可能になるほか、従来の注射剤と比較して少ない投与量で高い免疫効果を得られる可能性がある。注射剤だと血液中に薬剤が流入することでペプチドが早く分解してしまうが、経皮投与の場合は皮内にペプチドが長く留まるため分解も遅く、結果的に抗体産生力も注射剤と比較して高まると考えられるためだ。
現在、同社にてマイクロニードルを用いて動物実験を実施しており、抗体価が注射投与と比較してどの程度増えるか確認している状況にある。共同研究契約については1年間延長しており、今後も共同開発を進めていくが、その他にも新しい製剤技術が出てきているため、様々な方法を検討していくことにしている。
(3) 花粉症治療薬候補品「FPP004」
「FPP004」は大阪大学大学院医学系研究科との共同研究のもとで同社が創製した開発化合物で、IgEを標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドとなる。IgEはアレルギー性疾患の発症・進展に関与する重要因子で、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)が代表的な疾患として知られている。
花粉症の患者数は国内で約4~5千万人と多い一方で、既に多くの抗ヒスタミン薬が開発、販売されている。効果が不十分な重症例では抗IgE抗体医薬品の「ゾレア(R)」※が処方されている。現在、「FPP004」は前臨床試験段階にあるが、人的リソースを「FPP005」等に優先的に投下していくことから、当面の間、バックアップ化合物の探索研究を進めていく方針に変更している。本化合物の優位性を改めて確認したうえで、2023年12月期以降に前臨床試験を再開する計画となっている(開発化合物をバックアップ化合物に変更する可能性有り)。
※2019年12月にノバルティス ファーマの抗IgE抗体「ゾレア(R)」が抗体医薬品として初めて花粉症への適応拡大の承認を取得した。
(4) 新型コロナウイルス感染症ワクチン「FPP006」
「FPP006」はペプチドワクチンの一種である抗体誘導ペプチドの技術基盤を活用して開発されたもので、既存のワクチンがウイルス全体や標的タンパク質(mRNAワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチン、組換えタンパク質及び不活性化ワクチン等)を抗原として用いて免疫を誘導するのに対し、「FPP006」はウイルスの変異の報告がないペプチド配列(エピトープ)を選択し、効率的に免疫を誘導する点が特徴となっている。この特徴を活かして、高効率で副反応が少なく、ウイルスの変異の影響を受けないワクチンの開発を、AMEDの助成金を活用して大阪大学大学院医学系研究科主導で進められている。開発の進捗については非公表となっており、効果が判明した際に大阪大学大学院医学系研究科から発表することになっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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