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SANKO Research Memo(7):事業ポートフォリオ転換が完了して再成長戦略加速
配信日時:2022/09/16 15:17
配信元:FISCO
■成長戦略
1. 中期経営計画
SANKO MARKETING FOODS<2762>は、事業ポートフォリオ転換が2021年6月期までに完了し、新規事業を手掛ける攻めの展開を図る段階に入ったとして、2021年11月に「食の総合プロデューサー」を目指す3ヶ年の中期経営計画を策定した。目標値としては最終年度2024年6月期の売上高11,500百万円、営業利益700百万円を掲げた。売上高の内訳は店舗事業(既存事業)が3,820百万円、新規事業が4,800百万円、買収事業(SANKO海商)2,880百万円とした。利益成長に向けた基本戦略としては、店舗事業における収益基盤の再構築で郊外・高効率型事業の推進、新規事業への参入では運営受託事業、中食・EC事業、ライセンス事業、水産DX(digital transformation=デジタル・トランスフォーメーション)事業、ふるさと納税事業を掲げた。
2. 成長戦略をアップデート
中期経営計画に対して、2022年6月期実績及び2023年6月期予想の営業利益はコロナ禍の長期化も要因として計画を下回る形となったが、店舗事業において、今後の主力業態と位置付ける郊外・高効率の中小型店舗である大衆酒場「アカマル屋」が好調に推移していること、水産セグメントにおいて、SANKO海商に続いて綜合食品を子会社化し、水産業の6次産業化に向けた生産から販売までのサプライチェーン構築が一気に進展したことを受けて、2022年6月期末時点で成長戦略をアップデートした。
店舗事業における収益基盤の再構築では、総合居酒屋業態の不採算店舗の閉店が完了し、残る店舗はコロナ禍前の売上の8割でも黒字を出せる店舗となった。さらなる収益性改善に向けて残る店舗も水産を軸とした業態への転換を推進する。大衆酒場「アカマル屋」については、営業制限を受けなかったほとんどの期間において全ての既存店がコロナ禍前の売上を超えるなど好調に推移しているため、2023年6月期末時点で16店舗としていた計画を19店舗に上方修正した。新規出店を加速するとともに、さらなる投資効率の向上を推進する。日常食業態「焼肉万里」については、原料調達環境が激変しているため新規出店を一時的に抑制し、2023年6月期末時点で11店舗としていた計画を5店舗に下方修正した。
新規事業では、飲食施設運営受託事業については、拡大方針に変化はないが、コロナ禍の影響による客数の変化なども勘案して不採算店を閉鎖し、採算性の良い案件へのシフトを進めている。中食事業では、低価格・低粗利の弁当事業から撤退し、料理ノウハウを活かした有名シェフ・有名店のOEM受託事業、及び「企画集約型」ビジネスモデルとしてBBQメニュー企画・開発事業などを模索している。大手酒類卸会社向けに「おつまみ」シリーズの供給なども計画している。EC事業については「生産者と産地への奉仕」をミッションとしたオウンドメディアを育成する方針だ。
また、コロナ禍をきっかけに、店長経験者の店舗経験やノウハウを活用して生まれた社内ベンチャー組織(社内通称:ジーエス)による衛生・清掃事業(消毒・殺菌、空気清浄機販売、ビルメンテナンス・清掃)も順調である。飲食店舗にとどまらずリピート受注が高水準で、中期経営計画初年度の2022年6月期には売上高67百万円で利益化を達成した。
ライセンス事業については、日常食業態「東京チカラめし」の直営店舗をオペレーション改善や業態開発のテスト店舗と位置付けて、固定投資を伴わないライセンス展開で事業拡大を図る方針だ。さらに香港以外のASEANエリアにも進出を計画している。
3. 水産業の6次産業化を加速
新規事業のうち水産DX事業については、2020年9月に沼津我入道漁業協同組合と業務提携して水産DXプラットフォーマーとしての取り組みを開始した。2021年9月に沼津魚市場における買参権を取得、同11月にSANKO海商を子会社化、同12月に漁船「辨天丸」譲受、2022年7月に綜合食品を子会社化したことで、サプライチェーンの構築が一気に進展した。これによりサプライチェーン全体をカバーする水産DX事業を展開する準備を進めている。
このため水産セグメントの成長戦略をアップデートして、6次産業化を加速させる方針を掲げた。理念やテーマとして掲げる「漁師をなりたい職業に」「産地活性化プラットフォーマー」「価値ある食文化の提案」の実現に向けて、川上から川下まで展開する強みを活かして、漁獲生産の減少や漁業の後継者不足といった産地における問題の解決に貢献する。
4. 「飲食×水産」の両軸経営で再成長
同社は収益基盤再構築と再成長に向けた事業ポートフォリオ転換を完了した。当面は固定費をカバーするための売上拡大を優先課題としているが、同社の長澤成博代表取締役社長は「水産業の産地を活性化することで、漁師をなりたい職業にしたい」と熱く語っている。弊社では、この熱意も勘案して、水産業の6次産業化や「飲食×水産」の両軸経営で再成長に向かう可能性が高いと評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<ST>
1. 中期経営計画
SANKO MARKETING FOODS<2762>は、事業ポートフォリオ転換が2021年6月期までに完了し、新規事業を手掛ける攻めの展開を図る段階に入ったとして、2021年11月に「食の総合プロデューサー」を目指す3ヶ年の中期経営計画を策定した。目標値としては最終年度2024年6月期の売上高11,500百万円、営業利益700百万円を掲げた。売上高の内訳は店舗事業(既存事業)が3,820百万円、新規事業が4,800百万円、買収事業(SANKO海商)2,880百万円とした。利益成長に向けた基本戦略としては、店舗事業における収益基盤の再構築で郊外・高効率型事業の推進、新規事業への参入では運営受託事業、中食・EC事業、ライセンス事業、水産DX(digital transformation=デジタル・トランスフォーメーション)事業、ふるさと納税事業を掲げた。
2. 成長戦略をアップデート
中期経営計画に対して、2022年6月期実績及び2023年6月期予想の営業利益はコロナ禍の長期化も要因として計画を下回る形となったが、店舗事業において、今後の主力業態と位置付ける郊外・高効率の中小型店舗である大衆酒場「アカマル屋」が好調に推移していること、水産セグメントにおいて、SANKO海商に続いて綜合食品を子会社化し、水産業の6次産業化に向けた生産から販売までのサプライチェーン構築が一気に進展したことを受けて、2022年6月期末時点で成長戦略をアップデートした。
店舗事業における収益基盤の再構築では、総合居酒屋業態の不採算店舗の閉店が完了し、残る店舗はコロナ禍前の売上の8割でも黒字を出せる店舗となった。さらなる収益性改善に向けて残る店舗も水産を軸とした業態への転換を推進する。大衆酒場「アカマル屋」については、営業制限を受けなかったほとんどの期間において全ての既存店がコロナ禍前の売上を超えるなど好調に推移しているため、2023年6月期末時点で16店舗としていた計画を19店舗に上方修正した。新規出店を加速するとともに、さらなる投資効率の向上を推進する。日常食業態「焼肉万里」については、原料調達環境が激変しているため新規出店を一時的に抑制し、2023年6月期末時点で11店舗としていた計画を5店舗に下方修正した。
新規事業では、飲食施設運営受託事業については、拡大方針に変化はないが、コロナ禍の影響による客数の変化なども勘案して不採算店を閉鎖し、採算性の良い案件へのシフトを進めている。中食事業では、低価格・低粗利の弁当事業から撤退し、料理ノウハウを活かした有名シェフ・有名店のOEM受託事業、及び「企画集約型」ビジネスモデルとしてBBQメニュー企画・開発事業などを模索している。大手酒類卸会社向けに「おつまみ」シリーズの供給なども計画している。EC事業については「生産者と産地への奉仕」をミッションとしたオウンドメディアを育成する方針だ。
また、コロナ禍をきっかけに、店長経験者の店舗経験やノウハウを活用して生まれた社内ベンチャー組織(社内通称:ジーエス)による衛生・清掃事業(消毒・殺菌、空気清浄機販売、ビルメンテナンス・清掃)も順調である。飲食店舗にとどまらずリピート受注が高水準で、中期経営計画初年度の2022年6月期には売上高67百万円で利益化を達成した。
ライセンス事業については、日常食業態「東京チカラめし」の直営店舗をオペレーション改善や業態開発のテスト店舗と位置付けて、固定投資を伴わないライセンス展開で事業拡大を図る方針だ。さらに香港以外のASEANエリアにも進出を計画している。
3. 水産業の6次産業化を加速
新規事業のうち水産DX事業については、2020年9月に沼津我入道漁業協同組合と業務提携して水産DXプラットフォーマーとしての取り組みを開始した。2021年9月に沼津魚市場における買参権を取得、同11月にSANKO海商を子会社化、同12月に漁船「辨天丸」譲受、2022年7月に綜合食品を子会社化したことで、サプライチェーンの構築が一気に進展した。これによりサプライチェーン全体をカバーする水産DX事業を展開する準備を進めている。
このため水産セグメントの成長戦略をアップデートして、6次産業化を加速させる方針を掲げた。理念やテーマとして掲げる「漁師をなりたい職業に」「産地活性化プラットフォーマー」「価値ある食文化の提案」の実現に向けて、川上から川下まで展開する強みを活かして、漁獲生産の減少や漁業の後継者不足といった産地における問題の解決に貢献する。
4. 「飲食×水産」の両軸経営で再成長
同社は収益基盤再構築と再成長に向けた事業ポートフォリオ転換を完了した。当面は固定費をカバーするための売上拡大を優先課題としているが、同社の長澤成博代表取締役社長は「水産業の産地を活性化することで、漁師をなりたい職業にしたい」と熱く語っている。弊社では、この熱意も勘案して、水産業の6次産業化や「飲食×水産」の両軸経営で再成長に向かう可能性が高いと評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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