注目トピックス 日本株
エスプール Research Memo(5):広域行政BPOサービスの潜在需要は大きく中期的に高成長が期待される(1)
配信日時:2022/07/29 15:15
配信元:FISCO
■エスプール<2471>の今後の見通し
2. 事業セグメント別見通し
(1) ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業の売上高は前期比25.4%増の9,650百万円、営業利益は同22.2%増の2,592百万円を計画している。主要サービスの売上計画と主な取り組み方針は以下のとおり。
a) 障がい者雇用支援サービス
障がい者雇用支援サービスの売上高は前期比20.1%増の5,500百万円、営業利益は11%増を計画しているが、旺盛な需要が続いていることから上振れする可能性が高い。売上高の内訳は、設備販売で前期比7.1%増の2,041百万円、運営管理収入で同41.5%増の3,078百万円、人材紹介で同23.2%減の381百万円を計画している。営業利益率は運営管理収入の売上構成比上昇や減価償却費の増加等により、前期の約40%から約37%に低下する見通しとなっている。
下期の新規開設数は6施設で、第3四半期に2施設(埼玉、大阪)、第4四半期に4施設(東京、埼玉、愛知、大阪)を開設し、このうち屋内型は2施設(東京、大阪)となる。設備販売区画数は前期比5.2%増の1,250区画(第3四半期176~226区画、第4四半期400~450区画)を計画しているが、受注残が約400区画あることから計画達成は十分可能と見られる。
同社では今後も三大都市圏で年間の設備販売数を毎年100~200区画程度ずつ増やし、障がい者雇用の拡大に貢献していく方針だ。競合企業が増えてきてはいるものの、障がい者の定着率が約92%と高く、サービス品質でも高い評価を受けていることから、今後も同社の収益をけん引していくものと予想される。
b) ロジスティクスアウトソーシングサービス
ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上高は前期比13.1%増の1,427百万円、営業利益は同16%増を見込んでいる。売上高の内訳は、EC通販発送代行業務で同14.9%増の1,315百万円、物流センター運営代行業務で同2.6%減の112百万円を計画している。第2四半期までの売上進捗率が44.8%にとどまっており、通期でも計画をやや下回る可能性がある。
ただ、EC通販発送代行業務では新規大型案件を2件受注しており、そのうち1件は下期から、残り1件は2023年11月期から売上貢献する見込みとなっている(2件合わせて月10百万円の売上規模)。また、2021年9月に資本業務提携を締結したアジアンブリッジ(株)との連携強化を図り、台湾向け越境ECサービスについての取り組みも今後強化していく方針となっている。
c) 採用支援サービス
採用支援サービスの売上高は前期比4.0%増の641百万円、営業利益は同21%増を計画している。第2四半期までの売上進捗率が42.6%にとどまっているが、第2四半期以降は外食業界を中心に求人件数も回復傾向となってきたことから、下期の挽回を目指している。
d) 広域行政サービス
広域行政サービスの売上高は前期比411.5%増の665百万円、営業利益は同300%増を見込んでいる。第2四半期までの進捗率は売上高で55.3%、営業利益では90%を超えており、通期でも計画を上回る可能性が高い。下期は新たに2拠点でBPOセンターを開設する予定で、合計10拠点となる。他の自治体からの引き合いは多いものの、下期は2023年度の自治体の予算編成に向けて、既存センターにおける業務案件の受注活動を優先して取り組んでいく方針となっている。
2022年11月期は10ヶ所のBPOセンターがフル稼働することで、売上高は10~15億円程度が見込まれる。また、新規BPOセンターの開設が見込まれるほか、新たなサービス形態としてオンライン窓口サービスを都市部でも展開していく予定にしており、さらなる売上成長が期待される。
オンライン窓口サービスとは、ショッピングセンターや公共施設(図書館等)の余剰スペースに情報端末を設置し、オンラインで専門のオペレーターが利用者とやり取りしながら、各種書類の作成や申請をサポートするサービスとなる。タッチパネル形式で操作が簡単にできるため、高齢者でも気軽に利用できる点が特長だ。既存のBPOセンターで併設したところ好評だったことから、需要が見込める都市部での展開も進めていくことにした。ビジネスモデルとしては、情報端末の貸出し料金とオペレーターの接客件数当たりの成果報酬を得るモデルとなる。最近はパソコンやスマートフォンを使って各種申請を行える環境になっているものの、高齢者では操作が難しく利用率が低いことが課題となっていた。同社のサービスはオペレーターがオンラインでサポートすることで、こうした課題を解決するサービスとなり、政府が推進している行政サービスのデジタル化による市民サービスの向上施策にも合致したサービスと言える。既に、政令指定都市や都内の自治体からも問い合わせが入っているようで、今後の動向が注目される。
e) 環境経営支援サービス
環境経営支援サービスの売上高は前期比48.8%増の384百万円、営業利益が同200%増を見込んでいる。売上高の内訳としてTCFD関連で2億円、CDP関連で1億円、カーボン・クレジットの仕入販売で1億円を計画していたが、前述のとおりTCFD及びCDP関連の受注が好調で、第2四半期までの進捗率は売上高で75.8%、営業利益で80%を超えていることから、通期でも計画を上回る可能性が高い。
CDP関連業務の納期が第3四半期に集中するため※、売上高としては第3四半期がピークとなり、半期ベースでは上期比で下期は一段と増加する見込みとなっている。2022年11月期も東証プライム市場に上場する企業はTCFDに基づく情報開示が求められることから、ビジネスチャンスは大きい。同社は事業拡大を図るため2022年7月に上場企業を多く顧客に持つTAKARA&COMPANYとの業務提携を発表しており、今後の一段の売上成長が期待される。
※CDPの回答期限が7月末となっており、それまでに顧客企業に納品する必要があるため。
また、今後は水資源や生物多様性、CO2削減プログラムなどをテーマとしたコンサルティングメニューの拡充にも取り組んでいく方針で、サステナブル経営に取り組む企業が増えるなかで成長機会が一段と広がっていくことが予想される。
(2) 人材ソリューション事業
人材ソリューション事業の売上高は前期比11.6%増の19,240百万円、営業利益は同11.9%増の2,137百万円を計画している。売上高の内訳は、コールセンター業務が同13.4%増の16,450百万円、販売支援業務が同9.6%増の1,830百万円、その他が同9.2%減の960百万円となる。前述したように第2四半期に入ってスポット案件の業務が段階的に終了しており、それを代替する新規案件の獲得が遅れていることから、通期業績は計画を下回る可能性が高くなっている。このため、同社では人的リソースを好調事業にシフトすることや支店統合によるコスト削減を実行しており、売上が減少しても利益が確保できる体制づくりを進めている。
このように新規事業の成長に伴い、2025年11月期業績目標である売上高410億円、営業利益50億円達成の蓋然性が高まっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別見通し
(1) ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業の売上高は前期比25.4%増の9,650百万円、営業利益は同22.2%増の2,592百万円を計画している。主要サービスの売上計画と主な取り組み方針は以下のとおり。
a) 障がい者雇用支援サービス
障がい者雇用支援サービスの売上高は前期比20.1%増の5,500百万円、営業利益は11%増を計画しているが、旺盛な需要が続いていることから上振れする可能性が高い。売上高の内訳は、設備販売で前期比7.1%増の2,041百万円、運営管理収入で同41.5%増の3,078百万円、人材紹介で同23.2%減の381百万円を計画している。営業利益率は運営管理収入の売上構成比上昇や減価償却費の増加等により、前期の約40%から約37%に低下する見通しとなっている。
下期の新規開設数は6施設で、第3四半期に2施設(埼玉、大阪)、第4四半期に4施設(東京、埼玉、愛知、大阪)を開設し、このうち屋内型は2施設(東京、大阪)となる。設備販売区画数は前期比5.2%増の1,250区画(第3四半期176~226区画、第4四半期400~450区画)を計画しているが、受注残が約400区画あることから計画達成は十分可能と見られる。
同社では今後も三大都市圏で年間の設備販売数を毎年100~200区画程度ずつ増やし、障がい者雇用の拡大に貢献していく方針だ。競合企業が増えてきてはいるものの、障がい者の定着率が約92%と高く、サービス品質でも高い評価を受けていることから、今後も同社の収益をけん引していくものと予想される。
b) ロジスティクスアウトソーシングサービス
ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上高は前期比13.1%増の1,427百万円、営業利益は同16%増を見込んでいる。売上高の内訳は、EC通販発送代行業務で同14.9%増の1,315百万円、物流センター運営代行業務で同2.6%減の112百万円を計画している。第2四半期までの売上進捗率が44.8%にとどまっており、通期でも計画をやや下回る可能性がある。
ただ、EC通販発送代行業務では新規大型案件を2件受注しており、そのうち1件は下期から、残り1件は2023年11月期から売上貢献する見込みとなっている(2件合わせて月10百万円の売上規模)。また、2021年9月に資本業務提携を締結したアジアンブリッジ(株)との連携強化を図り、台湾向け越境ECサービスについての取り組みも今後強化していく方針となっている。
c) 採用支援サービス
採用支援サービスの売上高は前期比4.0%増の641百万円、営業利益は同21%増を計画している。第2四半期までの売上進捗率が42.6%にとどまっているが、第2四半期以降は外食業界を中心に求人件数も回復傾向となってきたことから、下期の挽回を目指している。
d) 広域行政サービス
広域行政サービスの売上高は前期比411.5%増の665百万円、営業利益は同300%増を見込んでいる。第2四半期までの進捗率は売上高で55.3%、営業利益では90%を超えており、通期でも計画を上回る可能性が高い。下期は新たに2拠点でBPOセンターを開設する予定で、合計10拠点となる。他の自治体からの引き合いは多いものの、下期は2023年度の自治体の予算編成に向けて、既存センターにおける業務案件の受注活動を優先して取り組んでいく方針となっている。
2022年11月期は10ヶ所のBPOセンターがフル稼働することで、売上高は10~15億円程度が見込まれる。また、新規BPOセンターの開設が見込まれるほか、新たなサービス形態としてオンライン窓口サービスを都市部でも展開していく予定にしており、さらなる売上成長が期待される。
オンライン窓口サービスとは、ショッピングセンターや公共施設(図書館等)の余剰スペースに情報端末を設置し、オンラインで専門のオペレーターが利用者とやり取りしながら、各種書類の作成や申請をサポートするサービスとなる。タッチパネル形式で操作が簡単にできるため、高齢者でも気軽に利用できる点が特長だ。既存のBPOセンターで併設したところ好評だったことから、需要が見込める都市部での展開も進めていくことにした。ビジネスモデルとしては、情報端末の貸出し料金とオペレーターの接客件数当たりの成果報酬を得るモデルとなる。最近はパソコンやスマートフォンを使って各種申請を行える環境になっているものの、高齢者では操作が難しく利用率が低いことが課題となっていた。同社のサービスはオペレーターがオンラインでサポートすることで、こうした課題を解決するサービスとなり、政府が推進している行政サービスのデジタル化による市民サービスの向上施策にも合致したサービスと言える。既に、政令指定都市や都内の自治体からも問い合わせが入っているようで、今後の動向が注目される。
e) 環境経営支援サービス
環境経営支援サービスの売上高は前期比48.8%増の384百万円、営業利益が同200%増を見込んでいる。売上高の内訳としてTCFD関連で2億円、CDP関連で1億円、カーボン・クレジットの仕入販売で1億円を計画していたが、前述のとおりTCFD及びCDP関連の受注が好調で、第2四半期までの進捗率は売上高で75.8%、営業利益で80%を超えていることから、通期でも計画を上回る可能性が高い。
CDP関連業務の納期が第3四半期に集中するため※、売上高としては第3四半期がピークとなり、半期ベースでは上期比で下期は一段と増加する見込みとなっている。2022年11月期も東証プライム市場に上場する企業はTCFDに基づく情報開示が求められることから、ビジネスチャンスは大きい。同社は事業拡大を図るため2022年7月に上場企業を多く顧客に持つTAKARA&COMPANYとの業務提携を発表しており、今後の一段の売上成長が期待される。
※CDPの回答期限が7月末となっており、それまでに顧客企業に納品する必要があるため。
また、今後は水資源や生物多様性、CO2削減プログラムなどをテーマとしたコンサルティングメニューの拡充にも取り組んでいく方針で、サステナブル経営に取り組む企業が増えるなかで成長機会が一段と広がっていくことが予想される。
(2) 人材ソリューション事業
人材ソリューション事業の売上高は前期比11.6%増の19,240百万円、営業利益は同11.9%増の2,137百万円を計画している。売上高の内訳は、コールセンター業務が同13.4%増の16,450百万円、販売支援業務が同9.6%増の1,830百万円、その他が同9.2%減の960百万円となる。前述したように第2四半期に入ってスポット案件の業務が段階的に終了しており、それを代替する新規案件の獲得が遅れていることから、通期業績は計画を下回る可能性が高くなっている。このため、同社では人的リソースを好調事業にシフトすることや支店統合によるコスト削減を実行しており、売上が減少しても利益が確保できる体制づくりを進めている。
このように新規事業の成長に伴い、2025年11月期業績目標である売上高410億円、営業利益50億円達成の蓋然性が高まっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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