注目トピックス 日本株
イントラスト Research Memo(5):貸倒コスト及びセンター開設関連コストを吸収して営業増益を確保
配信日時:2022/03/22 15:25
配信元:FISCO
■業績動向
1. 2022年3月期第3四半期の業績概要
2022年3月期第3四半期累計期間(2021年4月1日~2021年12月31日)におけるわが国経済は、コロナ禍による厳しい状況が徐々に緩和されるなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、持ち直しの動きが見られるものの、感染症の状況については依然として不確実性が大きく、景気の先行きは不透明であった。イントラスト<7191>の関連業界である住宅関連業界においては、賃貸住宅の新設着工戸数が回復基調へ転じるなど持ち直しが見られるが、こちらも感染症の状況については不確実性が大きく、市況の推移に注視が必要な状況下にある。
このような事業環境下、同社はこれまで培ってきた家賃債務保証のノウハウを生かし、家賃債務保証を含む様々な分野における独自のサービスの開発・提案・販売に取り組んできた。その結果、2022年3月期第3四半期累計期間の売上高は3,590百万円(前年同期比17.3%増)、営業利益は861百万円(同2.4%増)、経常利益は864百万円(同2.4%増)、四半期純利益は542百万円(同2.8%減)となった。売上高は6期連続の増収、営業利益は8期連続の増益であった。
売上高は、家賃債務保証の新規契約数の大幅増加に伴い保証事業が伸長したことなどにより、大幅増収となった。一方、営業利益については、売上総利益が売上の増加に伴い増益となった一方で、保証契約件数増加に伴う立替増加の影響を受け貸倒費用が増加したほか、新たに浜松ソリューションセンター及び東京本社一番町ANNEX開設に関わる一時的なコストの発生及び養育費保証におけるBtoCマーケティング育成等への投資により、小幅増益にとどまった。その結果、当期の各利益率は一時的に低下している。なお、四半期純利益の微減は法人税等の増加に伴うものだ。ただ、売上高営業利益率は、2021年3月期の東証1部上場不動産業の10.8%に対して同社では24.0%と高く、依然として高い収益性を維持していると言える。
事業別には、保証事業の売上高は2,184百万円(前年同期比30.6%増)の大幅増収となった一方、ソリューション事業の売上高は1,406百万円(同1.3%増)と小幅増収にとどまった。これは、同社にとって最大の顧客である大和リビング向けの契約対象の一部が、ソリューション事業として役務のみを提供するC&Oサービスから、家賃保証を行う保証事業にシフトしたことによるものだ。
高水準の自己資本比率を確保、無借金経営で安全性が極めて高い
2. 財務状況と経営指標
2022年3月期第3四半期末における総資産は5,848百万円となり、前期末比304百万円増加した。うち、流動資産は4,895百万円で、同217百万円増加であった。これは、現金及び預金が61百万円、売掛金及び契約資産(前期末は売掛金)が50百万円減少した一方、立替金が388百万円増加したことなどによる。立替金は、家賃分野の事前立替型商品(管理会社・オーナーが家賃引き落としできない場合に同社が保証する「代位弁済型」に対し、「事前立替型」では同社が家賃収納まで行い、手元資金のなかで管理会社・オーナーに支払うシステム)の拡販に連動して増加している。また、固定資産は953百万円で、同87百万円増加となった。これは、有形固定資産が38百万円、投資その他の資産が28百万円増加したことなどによる。
負債合計は1,630百万円となり、前期末比18百万円の増加となった。流動負債は1,534百万円で、同16百万円減少した。これは、契約負債(前期末は前受収益)が138百万円増加した一方、未払法人税等が152百万円、賞与引当金が22百万円減少したことなどによる。契約負債は、賃貸契約に従い代金は契約締結時・更新時に受取り済みだが役務提供は未完了のもので、分割計上により翌期以降の収益源泉となるものだ。家賃債務保証の月次更新保証型(毎月保証料を計上するため、契約負債として計上しないもの)の販売増に伴い、契約負債の増加率は以前に比べて安定してきた。また、固定負債は95百万円となり、同35百万円増加であった。これは、その他固定負債が18百万円増加したことなどによる。
純資産合計は4,218百万円となり、前期末比285百万円増加となった。これは、配当の支払により257百万円減少したものの、四半期純利益542百万円を計上したことにより、利益剰余金が増加したことなどによる。
以上から、2022年3月期第3四半期末の自己資本比率は72.0%となり、東証1部その他金融業2021年3月期実績の6.2%を大きく上回る極めて高い安全性を確保しており、無借金経営を継続していることが注目される。また、同社の2021年3月期のROA(総資産経常利益率)は22.5%、ROE(自己資本当期純利益率)は20.8%で、その他金融業平均のROA0.7%、ROE8.5%を大きく上回り、同社は収益性の高さでも秀でていると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<SI>
1. 2022年3月期第3四半期の業績概要
2022年3月期第3四半期累計期間(2021年4月1日~2021年12月31日)におけるわが国経済は、コロナ禍による厳しい状況が徐々に緩和されるなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、持ち直しの動きが見られるものの、感染症の状況については依然として不確実性が大きく、景気の先行きは不透明であった。イントラスト<7191>の関連業界である住宅関連業界においては、賃貸住宅の新設着工戸数が回復基調へ転じるなど持ち直しが見られるが、こちらも感染症の状況については不確実性が大きく、市況の推移に注視が必要な状況下にある。
このような事業環境下、同社はこれまで培ってきた家賃債務保証のノウハウを生かし、家賃債務保証を含む様々な分野における独自のサービスの開発・提案・販売に取り組んできた。その結果、2022年3月期第3四半期累計期間の売上高は3,590百万円(前年同期比17.3%増)、営業利益は861百万円(同2.4%増)、経常利益は864百万円(同2.4%増)、四半期純利益は542百万円(同2.8%減)となった。売上高は6期連続の増収、営業利益は8期連続の増益であった。
売上高は、家賃債務保証の新規契約数の大幅増加に伴い保証事業が伸長したことなどにより、大幅増収となった。一方、営業利益については、売上総利益が売上の増加に伴い増益となった一方で、保証契約件数増加に伴う立替増加の影響を受け貸倒費用が増加したほか、新たに浜松ソリューションセンター及び東京本社一番町ANNEX開設に関わる一時的なコストの発生及び養育費保証におけるBtoCマーケティング育成等への投資により、小幅増益にとどまった。その結果、当期の各利益率は一時的に低下している。なお、四半期純利益の微減は法人税等の増加に伴うものだ。ただ、売上高営業利益率は、2021年3月期の東証1部上場不動産業の10.8%に対して同社では24.0%と高く、依然として高い収益性を維持していると言える。
事業別には、保証事業の売上高は2,184百万円(前年同期比30.6%増)の大幅増収となった一方、ソリューション事業の売上高は1,406百万円(同1.3%増)と小幅増収にとどまった。これは、同社にとって最大の顧客である大和リビング向けの契約対象の一部が、ソリューション事業として役務のみを提供するC&Oサービスから、家賃保証を行う保証事業にシフトしたことによるものだ。
高水準の自己資本比率を確保、無借金経営で安全性が極めて高い
2. 財務状況と経営指標
2022年3月期第3四半期末における総資産は5,848百万円となり、前期末比304百万円増加した。うち、流動資産は4,895百万円で、同217百万円増加であった。これは、現金及び預金が61百万円、売掛金及び契約資産(前期末は売掛金)が50百万円減少した一方、立替金が388百万円増加したことなどによる。立替金は、家賃分野の事前立替型商品(管理会社・オーナーが家賃引き落としできない場合に同社が保証する「代位弁済型」に対し、「事前立替型」では同社が家賃収納まで行い、手元資金のなかで管理会社・オーナーに支払うシステム)の拡販に連動して増加している。また、固定資産は953百万円で、同87百万円増加となった。これは、有形固定資産が38百万円、投資その他の資産が28百万円増加したことなどによる。
負債合計は1,630百万円となり、前期末比18百万円の増加となった。流動負債は1,534百万円で、同16百万円減少した。これは、契約負債(前期末は前受収益)が138百万円増加した一方、未払法人税等が152百万円、賞与引当金が22百万円減少したことなどによる。契約負債は、賃貸契約に従い代金は契約締結時・更新時に受取り済みだが役務提供は未完了のもので、分割計上により翌期以降の収益源泉となるものだ。家賃債務保証の月次更新保証型(毎月保証料を計上するため、契約負債として計上しないもの)の販売増に伴い、契約負債の増加率は以前に比べて安定してきた。また、固定負債は95百万円となり、同35百万円増加であった。これは、その他固定負債が18百万円増加したことなどによる。
純資産合計は4,218百万円となり、前期末比285百万円増加となった。これは、配当の支払により257百万円減少したものの、四半期純利益542百万円を計上したことにより、利益剰余金が増加したことなどによる。
以上から、2022年3月期第3四半期末の自己資本比率は72.0%となり、東証1部その他金融業2021年3月期実績の6.2%を大きく上回る極めて高い安全性を確保しており、無借金経営を継続していることが注目される。また、同社の2021年3月期のROA(総資産経常利益率)は22.5%、ROE(自己資本当期純利益率)は20.8%で、その他金融業平均のROA0.7%、ROE8.5%を大きく上回り、同社は収益性の高さでも秀でていると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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