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それぞれの「トランプ」動静【フィスコ・コラム】
配信日時:2021/10/31 09:00
配信元:FISCO
別名「〇〇のトランプ」と呼ばれる世界のリーダーが、支持率低迷に頭を悩ませています。各国経済がコロナ禍からなかなか立ち直れないことが背景にあると考えられます。メッキの剥がれたポピュリズムは、このまま衰退していくのかもしれません。
「チェコのトランプ」、バビシュ首相が率いる中道の「ANO2011」は10月8-9日に行われた総選挙で過半数の議席を失いました。同氏は前回2017年と同様、移民や難民に対する強硬政策で支持を広げ、さらに年金増額など大衆迎合的なバラマキで2期目を狙っていました。が、新型コロナウイルスのワクチン接種の遅れや不明朗な資金に関する疑惑が批判され、人気の凋落で野党に政権を譲り渡しました。
同様に「ブラジルのトランプ」、ボルソナロ大統領も逆風にさらされています。前政権の緊縮財政を断罪するとともに反移民政策を訴え、同氏は前回2018年の大統領選に勝利。しかし、コロナ対策の失敗や自身の汚職疑惑が問題視され、直近の調査では不支持率が50%超に。求心力の低下は顕著で、左派のルラ元大統領との戦いとみられる来年の大統領選は現時点ですでに危ぶまれているようです。
両氏に共通するのは、右派ポピュリズムと差別的な思想に加え、挑発的で乱暴な言動。さらに、最近はコロナ対応の消極姿勢で支持を失っている点です。逆に「イギリスのトランプ」のジョンソン首相はまん延防止の厳格な制限措置で人気はガタ落ち。「フィリピンのトランプ」のドゥテルテ大統領はワクチンの強制接種を打ち出し、やりすぎとの批判が殺到しています。やはり強硬なイメージが逆風の要因とみられます。
それを察知したのか、フランスの極右政党「国民連合(RN)」のルペン党首は来年の大統領選に向け従来の差別的なイメージを払拭しようとソフト路線に転換。ただ、保守層からは批判を浴び、かえって人気を落としています。代わって、愛国的な立場で移民の受け入れ厳格化を主張する反イスラムのコメンテーター、ゼムール氏が躍進中です。「フランスのトランプ」は代替わりといったところでしょう。
一方、再選を狙うマクロン大統領に関しては、罰則を伴うロックダウン(都市封鎖)やワクチン義務化への反発から視察先で聴衆から平手打ちをされたり、ゆで卵を投げつけられたり散々です。が、デルタ株のまん延抑止の結果が評価されたのか支持率は大きく持ち直し、この1年で最高の37%に上昇しています。コロナ禍が通過すれば有権者は再び移民や難民に厳しい目を向けるようになるのか、動向が注目されます。
ところで、本家本元トランプ前米大統領はといえば、2024年の大統領選出馬を匂わせながら、全米各地で支持者集会を開催。直近の10月9日のアイオワ州での集会でも「宣言」はしなかったものの、バイデン大統領を敵に見立て、自身が「アメリカを再び偉大にする」と息巻いています。権力への執念を持ち続ける姿勢は世界の「トランプ」たちを鼓舞するでしょうか。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
<YN>
「チェコのトランプ」、バビシュ首相が率いる中道の「ANO2011」は10月8-9日に行われた総選挙で過半数の議席を失いました。同氏は前回2017年と同様、移民や難民に対する強硬政策で支持を広げ、さらに年金増額など大衆迎合的なバラマキで2期目を狙っていました。が、新型コロナウイルスのワクチン接種の遅れや不明朗な資金に関する疑惑が批判され、人気の凋落で野党に政権を譲り渡しました。
同様に「ブラジルのトランプ」、ボルソナロ大統領も逆風にさらされています。前政権の緊縮財政を断罪するとともに反移民政策を訴え、同氏は前回2018年の大統領選に勝利。しかし、コロナ対策の失敗や自身の汚職疑惑が問題視され、直近の調査では不支持率が50%超に。求心力の低下は顕著で、左派のルラ元大統領との戦いとみられる来年の大統領選は現時点ですでに危ぶまれているようです。
両氏に共通するのは、右派ポピュリズムと差別的な思想に加え、挑発的で乱暴な言動。さらに、最近はコロナ対応の消極姿勢で支持を失っている点です。逆に「イギリスのトランプ」のジョンソン首相はまん延防止の厳格な制限措置で人気はガタ落ち。「フィリピンのトランプ」のドゥテルテ大統領はワクチンの強制接種を打ち出し、やりすぎとの批判が殺到しています。やはり強硬なイメージが逆風の要因とみられます。
それを察知したのか、フランスの極右政党「国民連合(RN)」のルペン党首は来年の大統領選に向け従来の差別的なイメージを払拭しようとソフト路線に転換。ただ、保守層からは批判を浴び、かえって人気を落としています。代わって、愛国的な立場で移民の受け入れ厳格化を主張する反イスラムのコメンテーター、ゼムール氏が躍進中です。「フランスのトランプ」は代替わりといったところでしょう。
一方、再選を狙うマクロン大統領に関しては、罰則を伴うロックダウン(都市封鎖)やワクチン義務化への反発から視察先で聴衆から平手打ちをされたり、ゆで卵を投げつけられたり散々です。が、デルタ株のまん延抑止の結果が評価されたのか支持率は大きく持ち直し、この1年で最高の37%に上昇しています。コロナ禍が通過すれば有権者は再び移民や難民に厳しい目を向けるようになるのか、動向が注目されます。
ところで、本家本元トランプ前米大統領はといえば、2024年の大統領選出馬を匂わせながら、全米各地で支持者集会を開催。直近の10月9日のアイオワ州での集会でも「宣言」はしなかったものの、バイデン大統領を敵に見立て、自身が「アメリカを再び偉大にする」と息巻いています。権力への執念を持ち続ける姿勢は世界の「トランプ」たちを鼓舞するでしょうか。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
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