注目トピックス 日本株
サイバネット Research Memo(1):主要取引先との代理店契約終了の影響受けるも、成長戦略推進で早期回復目指す
配信日時:2021/10/29 15:31
配信元:FISCO
■要約
サイバネットシステム<4312>は、製造業を中心とした設計・研究開発などで利用されるCAE(コンピュータによる工学支援)ソフトウェアのソリューションサービス大手であり、またクラウド・セキュリティ製品なども取り扱っている。CAEのリーディングカンパニーとしてソフトウェア製品を中心に30社以上のベンダーの販売代理店となり、CAEソリューションのパイオニアとして国内で2,000社以上の企業、500機関(大学、研究機関)を顧客に抱える。また、海外ソフトウェア開発会社3社を子会社に持つほか、中国を中心にアジア市場でもCAEソリューションビジネスを展開している。単体売上高の5割強がストックビジネス(既存顧客の更新契約)で占められるため、収益の安定性は高い。
1. 2021年12月期第2四半期累計業績の概要
2021年12月期第2四半期累計(2021年1月−6月)の連結売上高は、前年同期比5.4%増の12,507百万円、営業利益は同10.2%増の2,238百万円となった。主力のCAEソリューションサービス事業については、国内の新規ライセンス販売が低調だったものの、更新需要が堅調に推移したほかエンジニアリングサービスが伸長したこと、また、アジア向けの売上も好調に推移したことにより、売上高で同6.5%増、セグメント利益で同6.0%増と増収増益となった。また、ITソリューションサービスについては、売上高が同0.2%増と伸び悩んだものの、利益率が相対的に高いクラウド・セキュリティ製品が大きく伸長したことや、自社開発製品であるAIを用いた大腸内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN®」の販売が好調に推移したことにより、セグメント利益は同72.2%増と大幅増益となった。
2. 2021年12月期の見通し
2021年12月期の業績見通しについては、売上高で前期比1.8%増の22,056百万円、営業利益で同14.1%減の2,472百万円と期初計画(売上高22,400百万円、営業利益2,700百万円)からそれぞれ引き下げている。主要取引先であった米Synopsysとの販売代理店契約を2021年10月1日で終了することが決定し、第4四半期に関連売上高がなくなることによる。Synopsysが販売方式を代理店販売から直販に切り替えたことが契約解消の理由となっている。同社のSynopsys関連の売上高は2020年12月期で4,657百万円、連結売上高に占める割合は21.5%と米Ansys※に次ぐ売上規模となっていることから、業績面では一時的にマイナス影響を受ける見通しだ。同社では対策として、Synopsysの取扱製品であった光学系CAEソフトについて新たにAnsysと代理店契約を締結しており、従来の顧客企業に対してリプレースを提案していくほか、その他製品・サービスの売上拡大を図ることで、マイナス影響を最小限に食い止めていく方針となっている。
※CAEソフトウェアの世界トップ企業で、2020年の売上高実績は1,681百万ドル。
3. 中期経営計画の概要
同社は2021年2月に2023年12月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を発表している。Synopsysとの代理店契約終了に伴う2022年12月期以降の業績面への影響や今後の方向性については、2022年2月に改めて発表することにしているが、成長戦略については従来の取り組みを推進していく方針に変わりない。CAEソリューション分野では「コアビジネスの拡大」「DX事業の拡大」「シミュレーション活用領域の拡大」の3点に取り組み、また、ITソリューション分野では、需要が旺盛なクラウド・セキュリティ事業に注力していくことにしている。「コア事業の拡大」ではトップベンダーとの関係・連携の強化やグローバルでの自社製品の販売拡大に取り組んでいく。また、「DX事業」ではCAE領域のソリューションとして、AR/VR技術の活用やクラウドプラットフォームサービスの提供を推進していく。「シミュレーション活用領域の拡大」では、ヘルスケア業界や建築業界などで浸透し始めており、新規顧客の獲得を推進していく方針となっている。そのほか、M&Aについてもシナジーが期待できる案件があれば前向きに検討していく意向だ。
■Key Points
・2021年12月期第2四半期累計業績は、アジアを中心とした海外売上の拡大とクラウド・セキュリティ事業の伸長により増収増益に
・2021年12月期業績はSynopsysとの代理店契約解消の影響もあり増収減益見通しに
・コアビジネス並びにDX事業の拡大、シミュレーション活用領域の拡大、クラウド・セキュリティ事業の強化により成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<ST>
サイバネットシステム<4312>は、製造業を中心とした設計・研究開発などで利用されるCAE(コンピュータによる工学支援)ソフトウェアのソリューションサービス大手であり、またクラウド・セキュリティ製品なども取り扱っている。CAEのリーディングカンパニーとしてソフトウェア製品を中心に30社以上のベンダーの販売代理店となり、CAEソリューションのパイオニアとして国内で2,000社以上の企業、500機関(大学、研究機関)を顧客に抱える。また、海外ソフトウェア開発会社3社を子会社に持つほか、中国を中心にアジア市場でもCAEソリューションビジネスを展開している。単体売上高の5割強がストックビジネス(既存顧客の更新契約)で占められるため、収益の安定性は高い。
1. 2021年12月期第2四半期累計業績の概要
2021年12月期第2四半期累計(2021年1月−6月)の連結売上高は、前年同期比5.4%増の12,507百万円、営業利益は同10.2%増の2,238百万円となった。主力のCAEソリューションサービス事業については、国内の新規ライセンス販売が低調だったものの、更新需要が堅調に推移したほかエンジニアリングサービスが伸長したこと、また、アジア向けの売上も好調に推移したことにより、売上高で同6.5%増、セグメント利益で同6.0%増と増収増益となった。また、ITソリューションサービスについては、売上高が同0.2%増と伸び悩んだものの、利益率が相対的に高いクラウド・セキュリティ製品が大きく伸長したことや、自社開発製品であるAIを用いた大腸内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN®」の販売が好調に推移したことにより、セグメント利益は同72.2%増と大幅増益となった。
2. 2021年12月期の見通し
2021年12月期の業績見通しについては、売上高で前期比1.8%増の22,056百万円、営業利益で同14.1%減の2,472百万円と期初計画(売上高22,400百万円、営業利益2,700百万円)からそれぞれ引き下げている。主要取引先であった米Synopsysとの販売代理店契約を2021年10月1日で終了することが決定し、第4四半期に関連売上高がなくなることによる。Synopsysが販売方式を代理店販売から直販に切り替えたことが契約解消の理由となっている。同社のSynopsys関連の売上高は2020年12月期で4,657百万円、連結売上高に占める割合は21.5%と米Ansys※に次ぐ売上規模となっていることから、業績面では一時的にマイナス影響を受ける見通しだ。同社では対策として、Synopsysの取扱製品であった光学系CAEソフトについて新たにAnsysと代理店契約を締結しており、従来の顧客企業に対してリプレースを提案していくほか、その他製品・サービスの売上拡大を図ることで、マイナス影響を最小限に食い止めていく方針となっている。
※CAEソフトウェアの世界トップ企業で、2020年の売上高実績は1,681百万ドル。
3. 中期経営計画の概要
同社は2021年2月に2023年12月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を発表している。Synopsysとの代理店契約終了に伴う2022年12月期以降の業績面への影響や今後の方向性については、2022年2月に改めて発表することにしているが、成長戦略については従来の取り組みを推進していく方針に変わりない。CAEソリューション分野では「コアビジネスの拡大」「DX事業の拡大」「シミュレーション活用領域の拡大」の3点に取り組み、また、ITソリューション分野では、需要が旺盛なクラウド・セキュリティ事業に注力していくことにしている。「コア事業の拡大」ではトップベンダーとの関係・連携の強化やグローバルでの自社製品の販売拡大に取り組んでいく。また、「DX事業」ではCAE領域のソリューションとして、AR/VR技術の活用やクラウドプラットフォームサービスの提供を推進していく。「シミュレーション活用領域の拡大」では、ヘルスケア業界や建築業界などで浸透し始めており、新規顧客の獲得を推進していく方針となっている。そのほか、M&Aについてもシナジーが期待できる案件があれば前向きに検討していく意向だ。
■Key Points
・2021年12月期第2四半期累計業績は、アジアを中心とした海外売上の拡大とクラウド・セキュリティ事業の伸長により増収増益に
・2021年12月期業績はSynopsysとの代理店契約解消の影響もあり増収減益見通しに
・コアビジネス並びにDX事業の拡大、シミュレーション活用領域の拡大、クラウド・セキュリティ事業の強化により成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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