注目トピックス 日本株
クリレスHD Research Memo(3):収益体質の強化や協力金等の下支えで計画を上回る大幅な増益(黒字転換)達成
配信日時:2021/10/22 15:13
配信元:FISCO
■決算概要
クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>の2022年2月期上期の業績(IFRS基準)は、売上収益が前年同期比7.7%増の34,493百万円、営業利益が7,314百万円(前年同期は9,760百万円の損失)、税引前利益が7,170百万円(同10,198百万円の損失)、親会社所有者に帰属する四半期純利益が4,823百万円(同9,165百万円の損失)と、コロナ禍が継続するなかでも計画を上回る大幅な増益(黒字転換)となった。重視する調整後EBITDAについても、15,121百万円のプラスに転じるとともに、コロナ禍前の水準をも上回る状況となっている。また、期初予想に対しても、売上収益はほぼ計画線で推移する一方、利益面では時短営業協力金等の寄与なども加わり、大幅に上振れる結果となった。
売上収益は、コロナ禍が継続するなかで、相次ぐ緊急事態宣言の発出等※に伴う時短営業・休業、酒類提供禁止等の影響により、居酒屋業態を中心とする「SFPカテゴリー」が大きく下振れたものの、郊外SCが好調であった「CRカテゴリー」の上振れや「海外カテゴリー」の回復によりカバーすることができた。また、「専門ブランドカテゴリー」についても、日常ブランド(ベーカリーやそば・つけめん業態等)の貢献によりほぼ計画どおりに推移した。
※東京においては、3回目の緊急事態宣言(4月25日~6月20日)及び4回目の緊急事態宣言(7月12日~9月30日)のほか、まん延防止等重点措置(4月12日~4月24日/6月21日~7月11日)が発出した。
四半期ごとの実質既存店売上高(コロナ禍前の2020年2月期との比較)の推移を見ると、第1四半期が前々年同期比45.1%、第2四半期が同43.6%となっており、想定外のコロナ禍の長期化により回復ペースに遅れが生じている。特に、第2四半期では「SFPカテゴリー」が大きく落ち込む一方、「海外カテゴリー」が大幅に回復しているところに特徴的な動きが見える。
出退店の状況については、今期は新規投資を抑える方針の下、新規9店舗を出店する一方、不採算店舗及び契約満了により25店舗から退店し、2021年8月末の総店舗数は1,060店舗(前期末比16店舗減)に減少した。また、立地環境や顧客ニーズに合わせ、8店舗の業態変更を行った。
一方、損益面では、徹底した固定費削減(人件費の削減等)により筋肉質なコスト構造への転換が完了したことに加え、当初見込みを超えた時短営業協力金・雇用調整助成金等の下支えもあり、想定を上回る大幅な黒字転換を達成した。調整後EBITDAの状況を見ても、すべてのカテゴリーで改善し、プラスを確保している。
財政状態については、店舗数の減少等により総資産は前期末比2.3%減の158,200百万円に縮小した。一方、自己資本は大幅な黒字転換に伴う内部留保の積み増しにより同27.0%増の21,657百万円に増加し、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率に相当)は13.7 %(前期末は10.5%)に改善した。また、有利子負債の削減によりネットD/Eレシオも3.66倍(前期末は4.79倍)に改善しており、財務基盤の整備に向けて一定の成果を残すことができた。
各カテゴリー別の業績は以下のとおりである。
(1) CRカテゴリー
売上収益は前年同期比27.0%増の13,928百万円、カテゴリーCF※1は4,867百万円のプラス(前年同期は2,238百万円のマイナス)となった。売上収益は、コロナ禍により厳しい環境が続くなかでも、郊外SCが健闘したこともあり、計画を上回る水準を確保した。また、既存店売上高は前々年同期比47.2%(前年同期は36.9%)※2と緩やかな回復にとどまったものの、徹底したコストコントロールの継続によりCFは大幅な黒字を達成した。新規1店舗※3を出店した一方、13店舗を退店した結果、2021年8月末の店舗数は541店舗となった。
※1 カテゴリーCF(キャッシュ・フロー)=営業利益(日本基準)+減価償却費+のれん償却費+協賛金収入+非経常的費用項目+期間対応収益項目(雇用調整助成金及び協力金等)をベースとしている(以下、同様)。
※2 既存店売上高は、コロナ禍前の2020年2月期(前々期)との比較(以下、同様)。
※3 ららぽーと富士見(チーズレストラン「リコッタ」)。
(2) SFPカテゴリー
売上収益は前年同期比57.5%減の3,326百万円、カテゴリーCFは1,591百万円のプラス(前年同期は1,844百万円のマイナス)となった。売上収益は、相次ぐ緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置等に伴って、首都圏を中心に多くの店舗が時短営業・休業を強いられたことや、酒類提供禁止の期間が長引いたことにより、想定よりも低調に推移した。既存店売上高は前々年同期比18.3%(前年同期は37.8%)と前年同期よりもさらに落ち込む状況となった。一方、CFについては、時短営業協力金等が大きく寄与し、黒字転換を達成。新規1店舗を出店した一方、1店舗を退店した結果、2021年8月末の店舗数は227店舗と横ばいで推移した。
(3) 専門ブランドカテゴリー
売上収益は前年同期比7.6%増の12,375百万円、カテゴリーCFは2,767百万円のプラス(前年同期は1,115百万円のマイナス)となった。売上収益は、日常ブランド業態(ベーカリーやそば・つけめん等)の貢献によりほぼ想定どおりに推移した。既存店売上高は前々年同期比52.6%(前年同期は47.3%)と緩やかな回復にとどまったものの、CFについてはコストコントロールの徹底により黒字転換を達成。新規5店舗※を出店した一方、8店舗を退店し、2021年8月末の店舗数は240店舗となった。
※京都リサーチパークに2店舗(「かごの屋」「GOCONC」)、全国農業協同組合連合会(全農)との業務提携による出店2店舗(「みのりカフェ」福岡天神、「みのり食堂」アミュプラザくまもと)など
(4) 海外カテゴリー
売上収益は前年同期比155.0%増の5,423百万円、カテゴリーCFは291百万円のプラス(前年同期は734百万円のマイナス)となった。売上収益は、ワクチンの普及に伴って北米(特に西海岸)が大幅に回復した。また、シンガポールは店内飲食禁止再発令により低迷しているものの、香港が好調に推移。既存店売上高は前々年同期比69.1%(前年同期は25.7%)と回復傾向にあり、CFについても黒字転換を達成した。新規2店舗※を出店した一方、3店舗を退店し、2021年8月末の店舗数は52店舗となった。
※米国ニューヨークに「更科堀井」、タイに「かごの屋」(FC)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<ST>
クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>の2022年2月期上期の業績(IFRS基準)は、売上収益が前年同期比7.7%増の34,493百万円、営業利益が7,314百万円(前年同期は9,760百万円の損失)、税引前利益が7,170百万円(同10,198百万円の損失)、親会社所有者に帰属する四半期純利益が4,823百万円(同9,165百万円の損失)と、コロナ禍が継続するなかでも計画を上回る大幅な増益(黒字転換)となった。重視する調整後EBITDAについても、15,121百万円のプラスに転じるとともに、コロナ禍前の水準をも上回る状況となっている。また、期初予想に対しても、売上収益はほぼ計画線で推移する一方、利益面では時短営業協力金等の寄与なども加わり、大幅に上振れる結果となった。
売上収益は、コロナ禍が継続するなかで、相次ぐ緊急事態宣言の発出等※に伴う時短営業・休業、酒類提供禁止等の影響により、居酒屋業態を中心とする「SFPカテゴリー」が大きく下振れたものの、郊外SCが好調であった「CRカテゴリー」の上振れや「海外カテゴリー」の回復によりカバーすることができた。また、「専門ブランドカテゴリー」についても、日常ブランド(ベーカリーやそば・つけめん業態等)の貢献によりほぼ計画どおりに推移した。
※東京においては、3回目の緊急事態宣言(4月25日~6月20日)及び4回目の緊急事態宣言(7月12日~9月30日)のほか、まん延防止等重点措置(4月12日~4月24日/6月21日~7月11日)が発出した。
四半期ごとの実質既存店売上高(コロナ禍前の2020年2月期との比較)の推移を見ると、第1四半期が前々年同期比45.1%、第2四半期が同43.6%となっており、想定外のコロナ禍の長期化により回復ペースに遅れが生じている。特に、第2四半期では「SFPカテゴリー」が大きく落ち込む一方、「海外カテゴリー」が大幅に回復しているところに特徴的な動きが見える。
出退店の状況については、今期は新規投資を抑える方針の下、新規9店舗を出店する一方、不採算店舗及び契約満了により25店舗から退店し、2021年8月末の総店舗数は1,060店舗(前期末比16店舗減)に減少した。また、立地環境や顧客ニーズに合わせ、8店舗の業態変更を行った。
一方、損益面では、徹底した固定費削減(人件費の削減等)により筋肉質なコスト構造への転換が完了したことに加え、当初見込みを超えた時短営業協力金・雇用調整助成金等の下支えもあり、想定を上回る大幅な黒字転換を達成した。調整後EBITDAの状況を見ても、すべてのカテゴリーで改善し、プラスを確保している。
財政状態については、店舗数の減少等により総資産は前期末比2.3%減の158,200百万円に縮小した。一方、自己資本は大幅な黒字転換に伴う内部留保の積み増しにより同27.0%増の21,657百万円に増加し、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率に相当)は13.7 %(前期末は10.5%)に改善した。また、有利子負債の削減によりネットD/Eレシオも3.66倍(前期末は4.79倍)に改善しており、財務基盤の整備に向けて一定の成果を残すことができた。
各カテゴリー別の業績は以下のとおりである。
(1) CRカテゴリー
売上収益は前年同期比27.0%増の13,928百万円、カテゴリーCF※1は4,867百万円のプラス(前年同期は2,238百万円のマイナス)となった。売上収益は、コロナ禍により厳しい環境が続くなかでも、郊外SCが健闘したこともあり、計画を上回る水準を確保した。また、既存店売上高は前々年同期比47.2%(前年同期は36.9%)※2と緩やかな回復にとどまったものの、徹底したコストコントロールの継続によりCFは大幅な黒字を達成した。新規1店舗※3を出店した一方、13店舗を退店した結果、2021年8月末の店舗数は541店舗となった。
※1 カテゴリーCF(キャッシュ・フロー)=営業利益(日本基準)+減価償却費+のれん償却費+協賛金収入+非経常的費用項目+期間対応収益項目(雇用調整助成金及び協力金等)をベースとしている(以下、同様)。
※2 既存店売上高は、コロナ禍前の2020年2月期(前々期)との比較(以下、同様)。
※3 ららぽーと富士見(チーズレストラン「リコッタ」)。
(2) SFPカテゴリー
売上収益は前年同期比57.5%減の3,326百万円、カテゴリーCFは1,591百万円のプラス(前年同期は1,844百万円のマイナス)となった。売上収益は、相次ぐ緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置等に伴って、首都圏を中心に多くの店舗が時短営業・休業を強いられたことや、酒類提供禁止の期間が長引いたことにより、想定よりも低調に推移した。既存店売上高は前々年同期比18.3%(前年同期は37.8%)と前年同期よりもさらに落ち込む状況となった。一方、CFについては、時短営業協力金等が大きく寄与し、黒字転換を達成。新規1店舗を出店した一方、1店舗を退店した結果、2021年8月末の店舗数は227店舗と横ばいで推移した。
(3) 専門ブランドカテゴリー
売上収益は前年同期比7.6%増の12,375百万円、カテゴリーCFは2,767百万円のプラス(前年同期は1,115百万円のマイナス)となった。売上収益は、日常ブランド業態(ベーカリーやそば・つけめん等)の貢献によりほぼ想定どおりに推移した。既存店売上高は前々年同期比52.6%(前年同期は47.3%)と緩やかな回復にとどまったものの、CFについてはコストコントロールの徹底により黒字転換を達成。新規5店舗※を出店した一方、8店舗を退店し、2021年8月末の店舗数は240店舗となった。
※京都リサーチパークに2店舗(「かごの屋」「GOCONC」)、全国農業協同組合連合会(全農)との業務提携による出店2店舗(「みのりカフェ」福岡天神、「みのり食堂」アミュプラザくまもと)など
(4) 海外カテゴリー
売上収益は前年同期比155.0%増の5,423百万円、カテゴリーCFは291百万円のプラス(前年同期は734百万円のマイナス)となった。売上収益は、ワクチンの普及に伴って北米(特に西海岸)が大幅に回復した。また、シンガポールは店内飲食禁止再発令により低迷しているものの、香港が好調に推移。既存店売上高は前々年同期比69.1%(前年同期は25.7%)と回復傾向にあり、CFについても黒字転換を達成した。新規2店舗※を出店した一方、3店舗を退店し、2021年8月末の店舗数は52店舗となった。
※米国ニューヨークに「更科堀井」、タイに「かごの屋」(FC)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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