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アウトソシング Research Memo(8):21年12月期上期は計画上回る増収増益、上期ベースで過去最高更新(2)
配信日時:2021/10/19 15:18
配信元:FISCO
■アウトソーシング<2427>の決算概要
2. 事業別の実績と主な活動
(1) 国内技術系アウトソーシング事業
売上収益は前年同期比14.1%増の57,530百万円、セグメント利益は同45.7%増の3,951百万円となった。計画に対しても、売上収益が若干下回ったものの、利益面では大きく上振れる進捗となった。コロナ禍においても、各産業におけるエンジニアニーズは引き続き高く、それに対応するための人材確保が順調に進んだことが業績の伸びにつながった。とりわけ採用面では、新卒採用(2,364名)やKENスクールスキームの活用等により、上期で5,220名と突出した実績を上げており、2021年6月末の外勤社員数は計画を上回る20,829名(前年同期末比3,002名増)と後発ながら業界トップの規模に躍進した。一方、売上収益が若干下振れたのは、リモート業務の比率が高まったことにより残業がなくなったことが理由であるが、その反面、リモート化による効率向上に伴って利益面では大きく上振れる進捗となっている。また、注力する「派遣2.0」についても、2021年6月末の稼働数は508に拡大。まだ、全体に占める構成比は小さいが、計画を上回るペースで伸びている。
(2) 国内製造系アウトソーシング事業
売上収益は前年同期比56.7%増の47,648百万円、セグメント利益は同48.9%増の3,809百万円となった。一方、計画に対しては、売上収益、利益面ともに若干下回る進捗となっている。製造派遣・請負については、コロナ禍からの生産復調が進むなかで、「CSM」による差別化提案が奏功し、受注獲得は計画を上回った。採用面でも、新卒採用や同業他社との採用アライアンス等により、2021年6月末の外勤社員数は計画を上回る20,126名(前年同期末比7,700名増)に増加した。ただ、計画を若干下回ったのは、福島沖地震や半導体工場火災に伴う生産停止が主因であるが、下期は受注好調に加え、上期休業分の代替生産が見込まれるため、影響は限定的である。一方、管理業務受託については、飲食料品製造、農業等を中心として技能実習生のニーズは引き続き旺盛であるものの、入国解禁は秋口以降段階的に開始されるものと想定しており、本格的な事業復調は来期以降と見込んでいる。2021年6月末の委託管理人数は21,607名(前期末比689名減)と突出したトップ水準を確保している。
(3) 国内サービス系アウトソーシング事業
売上収益は前年同期比19.5%増の14,170百万円、セグメント利益は同89.0%増の2,393百万円となった。計画に対しても、売上収益が若干下回ったものの、利益面では大きく上振れる進捗となった。米軍施設向け事業がコロナ禍の影響を受けずに順調に伸びたからだ。売上収益が若干計画を下回ったのは、売上計上時期のずれによるところが大きく、受注そのものは順調に積み上がっていることから、通期で見ればカバーできる範囲である。特に、入札に必要なボンド(履行保証保険)枠の拡大によって、戦略的に高効率案件を選別して獲得できるようになったことから、採算性が大幅に向上し、売上収益はもとよりとりわけ利益の伸びが大きく上振れた。また、米国企業2社のM&A※を通じて、今後の米国本土への本格参入を含め、米軍施設内事業及び公共系アウトソーシング事業のさらなる拡大に向けて基盤強化を図ることができた。
※2021年5月1日付けでCalifornia Pacific Technical Services LLC(米国グアム)を、2021年7月1日付けでIntegrity Networks, Inc.(米国ワシントン州)をそれぞれ連結化した。今期業績への影響は軽微であるが、米国政府機関(米海軍や米陸軍等)の指名入札業者として十分な実績とノウハウを有していることから、今後の米国本土への本格参入に向けて大きな足掛かりを築くことができたと言える。
(4) 海外技術系事業
売上収益は前年同期比242.2%増の62,528百万円、セグメント利益は同2584.8%増の3,177百万円となった。計画に対しても、売上収益、利益面ともに大きく上振れる進捗となっている。1)英国での公的債権回収受託事業は、ロックダウン下で債権発行の遅れの影響が若干出ているものの、総じて堅調に推移する一方、2)2021年1月に連結化したCPL社が業績の伸びに大きく寄与した。特に、CPL社の顧客基盤と同社の人材ネットワークを通じたシナジー創出※が業績の上振れ要因となったようだ。また、3)オセアニアにおけるエッセンシャルワーカー向け事業等も好調に推移した。
※具体的には、CPL社の地盤であり、先端技術の集積が進むアイルランドにおいて、IT、医療、ヘルスケア向けの派遣事業が、同社のグローバルネットワークを活用した人材提供により計画を上回るペースで伸びた。
(5) 海外製造系及びサービス系事業
売上収益は前年同期比34.3%増の82,807百万円、セグメント利益は2,913百万円(前年同期は266百万円の損失)となった。計画に対しても、売上収益、利益面ともに大きく上振れる進捗となっている。1)オランダを中心とした流通eコマース向け派遣が需要拡大により大きく伸長したほか、2)英国の自治体向けBPO等の受託事業、3)南米の各種サービス事業についてもそれぞれ好調に推移したことで、計画を上回る業績の伸びを実現した。また、4)コロナ禍の影響を受けたドイツの製造系事業についても、新たな取り組み等で復調傾向にあるようだ。
3. 2021年12月期上期の総括
以上から、2021年12月期上期を総括すると、コロナ禍の影響に伴う経済活動の制限や先行き不透明感が継続するなかにおいて、1)計画を上回る増収増益により、過去最高業績(上期ベース)を更新したことを始め、今後に向けても、2)派遣DX化を見据えた次世代型ビジネスモデル(派遣2.0、CSM)が順調に伸びてきたこと、3)前期に成約した大型M&A(CPL)についてもシナジー創出が計画を上回るペースで進んでいることは評価すべきポイントと言える。特に、1)については、これまで取り組んできた景気変動の影響を受けにくい事業構造への転換や環境変化への対応が奏功したことの証左と捉えることができる。また、2)については、コロナ禍が追い風となっており、他社に先駆けて新たな事業機会の獲得に動き出した同社には、明らかにアドバンテージがあると評価できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2. 事業別の実績と主な活動
(1) 国内技術系アウトソーシング事業
売上収益は前年同期比14.1%増の57,530百万円、セグメント利益は同45.7%増の3,951百万円となった。計画に対しても、売上収益が若干下回ったものの、利益面では大きく上振れる進捗となった。コロナ禍においても、各産業におけるエンジニアニーズは引き続き高く、それに対応するための人材確保が順調に進んだことが業績の伸びにつながった。とりわけ採用面では、新卒採用(2,364名)やKENスクールスキームの活用等により、上期で5,220名と突出した実績を上げており、2021年6月末の外勤社員数は計画を上回る20,829名(前年同期末比3,002名増)と後発ながら業界トップの規模に躍進した。一方、売上収益が若干下振れたのは、リモート業務の比率が高まったことにより残業がなくなったことが理由であるが、その反面、リモート化による効率向上に伴って利益面では大きく上振れる進捗となっている。また、注力する「派遣2.0」についても、2021年6月末の稼働数は508に拡大。まだ、全体に占める構成比は小さいが、計画を上回るペースで伸びている。
(2) 国内製造系アウトソーシング事業
売上収益は前年同期比56.7%増の47,648百万円、セグメント利益は同48.9%増の3,809百万円となった。一方、計画に対しては、売上収益、利益面ともに若干下回る進捗となっている。製造派遣・請負については、コロナ禍からの生産復調が進むなかで、「CSM」による差別化提案が奏功し、受注獲得は計画を上回った。採用面でも、新卒採用や同業他社との採用アライアンス等により、2021年6月末の外勤社員数は計画を上回る20,126名(前年同期末比7,700名増)に増加した。ただ、計画を若干下回ったのは、福島沖地震や半導体工場火災に伴う生産停止が主因であるが、下期は受注好調に加え、上期休業分の代替生産が見込まれるため、影響は限定的である。一方、管理業務受託については、飲食料品製造、農業等を中心として技能実習生のニーズは引き続き旺盛であるものの、入国解禁は秋口以降段階的に開始されるものと想定しており、本格的な事業復調は来期以降と見込んでいる。2021年6月末の委託管理人数は21,607名(前期末比689名減)と突出したトップ水準を確保している。
(3) 国内サービス系アウトソーシング事業
売上収益は前年同期比19.5%増の14,170百万円、セグメント利益は同89.0%増の2,393百万円となった。計画に対しても、売上収益が若干下回ったものの、利益面では大きく上振れる進捗となった。米軍施設向け事業がコロナ禍の影響を受けずに順調に伸びたからだ。売上収益が若干計画を下回ったのは、売上計上時期のずれによるところが大きく、受注そのものは順調に積み上がっていることから、通期で見ればカバーできる範囲である。特に、入札に必要なボンド(履行保証保険)枠の拡大によって、戦略的に高効率案件を選別して獲得できるようになったことから、採算性が大幅に向上し、売上収益はもとよりとりわけ利益の伸びが大きく上振れた。また、米国企業2社のM&A※を通じて、今後の米国本土への本格参入を含め、米軍施設内事業及び公共系アウトソーシング事業のさらなる拡大に向けて基盤強化を図ることができた。
※2021年5月1日付けでCalifornia Pacific Technical Services LLC(米国グアム)を、2021年7月1日付けでIntegrity Networks, Inc.(米国ワシントン州)をそれぞれ連結化した。今期業績への影響は軽微であるが、米国政府機関(米海軍や米陸軍等)の指名入札業者として十分な実績とノウハウを有していることから、今後の米国本土への本格参入に向けて大きな足掛かりを築くことができたと言える。
(4) 海外技術系事業
売上収益は前年同期比242.2%増の62,528百万円、セグメント利益は同2584.8%増の3,177百万円となった。計画に対しても、売上収益、利益面ともに大きく上振れる進捗となっている。1)英国での公的債権回収受託事業は、ロックダウン下で債権発行の遅れの影響が若干出ているものの、総じて堅調に推移する一方、2)2021年1月に連結化したCPL社が業績の伸びに大きく寄与した。特に、CPL社の顧客基盤と同社の人材ネットワークを通じたシナジー創出※が業績の上振れ要因となったようだ。また、3)オセアニアにおけるエッセンシャルワーカー向け事業等も好調に推移した。
※具体的には、CPL社の地盤であり、先端技術の集積が進むアイルランドにおいて、IT、医療、ヘルスケア向けの派遣事業が、同社のグローバルネットワークを活用した人材提供により計画を上回るペースで伸びた。
(5) 海外製造系及びサービス系事業
売上収益は前年同期比34.3%増の82,807百万円、セグメント利益は2,913百万円(前年同期は266百万円の損失)となった。計画に対しても、売上収益、利益面ともに大きく上振れる進捗となっている。1)オランダを中心とした流通eコマース向け派遣が需要拡大により大きく伸長したほか、2)英国の自治体向けBPO等の受託事業、3)南米の各種サービス事業についてもそれぞれ好調に推移したことで、計画を上回る業績の伸びを実現した。また、4)コロナ禍の影響を受けたドイツの製造系事業についても、新たな取り組み等で復調傾向にあるようだ。
3. 2021年12月期上期の総括
以上から、2021年12月期上期を総括すると、コロナ禍の影響に伴う経済活動の制限や先行き不透明感が継続するなかにおいて、1)計画を上回る増収増益により、過去最高業績(上期ベース)を更新したことを始め、今後に向けても、2)派遣DX化を見据えた次世代型ビジネスモデル(派遣2.0、CSM)が順調に伸びてきたこと、3)前期に成約した大型M&A(CPL)についてもシナジー創出が計画を上回るペースで進んでいることは評価すべきポイントと言える。特に、1)については、これまで取り組んできた景気変動の影響を受けにくい事業構造への転換や環境変化への対応が奏功したことの証左と捉えることができる。また、2)については、コロナ禍が追い風となっており、他社に先駆けて新たな事業機会の獲得に動き出した同社には、明らかにアドバンテージがあると評価できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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