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窪田製薬HD Research Memo(3):眼科領域のビッグデータカンパニーを目指す
配信日時:2021/09/30 15:43
配信元:FISCO
■会社概要
2. 成長戦略
窪田製薬ホールディングス<4596>は目指す会社の将来像として、「収集から活用までエコシステムを構築する、眼科領域のビッグデータカンパニー」になることを目指している。開発を進めているウェアラブルデバイスから得られる新たなバイタルデータを世界中から収集し、それらを活用して新薬の開発や病気の診断・予防・治療に役立てていく。目標を実現していくためのプロダクトとして、クボタメガネやPBOS、エミクススタト塩酸塩、遺伝子治療(オプトジェネティクス)の開発を進めている。また同社はコアコンピタンスとして、開発力、知的財産、人材ネットワーク、独創性を挙げている。
(1) 開発力と知財戦略
同社は、自社開発品だけでなく将来有望と判断した治療薬候補品や新技術を導入し、自社で開発プロジェクトを進めていくだけの技術開発力を有している点が強みとなる。また医薬品から医療デバイス、ソリューションに至るまで眼科領域に特化して幅広い分野で研究開発を行っており、知財戦略も推進している。医薬品開発分野では成立特許で29件、申請中で19件、医療機器では成立特許で6件、申請中で17件、申請予定で2件となっている(2020年2月時点)。
(2) 開発戦略
医薬品の開発戦略においては非臨床試験から臨床試験へと研究開発を進め、ヒトでのPOC※を取得するまでの「トランスレーショナル研究」にフォーカスしている点が特徴となっている。この「トランスレーショナル研究」の領域は、前段階の「探索研究」、後段階の「大規模臨床試験」と比較して研究開発にかかる投資金額を抑えやすく、同社のように世界的な研究ネットワークを有し目利きができる専門性を備えたバイオベンチャーがフォーカスしていく領域として理にかなっている戦略と言える。特に、眼科領域に特化したベンチャーはほかの領域と比較して少ないため、開発に成功すれば注目度も一気に高まることが予想される。同社は、ヒトでのPOCを取得した段階で、製薬企業と共同開発・販売ライセンス契約を締結し、開発の進捗によって得られるマイルストーン収益や上市後の販売ロイヤリティーを獲得することで収益成長を目指していく戦略となっている。
※POC(Proof of Concept):基礎的な研究で想定した薬の効果が、実際にヒトへの投与試験で証明されること。
(3) 人材
同社の強みの1つとして、眼科領域で長く活躍してきた経験豊富な経営陣によって事業が進められていることが挙げられる。同社グループとして国内本社と研究開発拠点となる米クボタビジョン・インク(2020年4月にアキュセラ・インクから改称)の連携体制は、眼科医であり研究者として視覚サイクルモジュレーション技術を発明した会長、社長兼最高経営責任者の窪田良氏を筆頭に構築されている。
2020年より取締役兼執行役最高開発責任者として、渡邉雅一(わたなべまさかず)氏が就任、同氏は眼科領域のグローバル大手であるアルコンのアジア地域における研究開発部門のヘッドを務めた人物で、同社の研究開発をけん引していくことになる。そのほかにも眼科領域において著名な大学教授や医師など豊富な知見を持つアドバイザーとの広範なネットワークを構築している。2020年12月時点の連結従業員数は12名(契約社員を含む)で、開発プロジェクトについては外部機関を活用しながら効率的に進めている。
3. 眼疾患領域の市場動向
医薬品全体の市場規模は2017年から2022年にかけて年率3%の成長が見込まれているのに対して、眼科領域は年率4.4%成長、なかでも同社がメインターゲットとして開発を進めている網膜疾患領域の治療薬に関しては年率5.9%成長と最も高い伸びが予測されている。世界人口が増加していることに加えて、高齢化の進展に伴い加齢黄斑変性や白内障、そのほか網膜疾患の患者数が増加の一途をたどっていることが背景にある。
現在、同社が主要パイプラインとして治療薬の開発に取り組んでいるスターガルト病や網膜色素変性、糖尿病網膜症などの網膜疾患は失明の主要原因とされている。これら眼疾患に関してはいまだ革新的な治療法が確立されておらず、患者への身体的負担を軽減しながらより効果の高い治療法の模索を行っているのが現状であり、治療薬の開発に成功すれば同社は大きく飛躍する可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2. 成長戦略
窪田製薬ホールディングス<4596>は目指す会社の将来像として、「収集から活用までエコシステムを構築する、眼科領域のビッグデータカンパニー」になることを目指している。開発を進めているウェアラブルデバイスから得られる新たなバイタルデータを世界中から収集し、それらを活用して新薬の開発や病気の診断・予防・治療に役立てていく。目標を実現していくためのプロダクトとして、クボタメガネやPBOS、エミクススタト塩酸塩、遺伝子治療(オプトジェネティクス)の開発を進めている。また同社はコアコンピタンスとして、開発力、知的財産、人材ネットワーク、独創性を挙げている。
(1) 開発力と知財戦略
同社は、自社開発品だけでなく将来有望と判断した治療薬候補品や新技術を導入し、自社で開発プロジェクトを進めていくだけの技術開発力を有している点が強みとなる。また医薬品から医療デバイス、ソリューションに至るまで眼科領域に特化して幅広い分野で研究開発を行っており、知財戦略も推進している。医薬品開発分野では成立特許で29件、申請中で19件、医療機器では成立特許で6件、申請中で17件、申請予定で2件となっている(2020年2月時点)。
(2) 開発戦略
医薬品の開発戦略においては非臨床試験から臨床試験へと研究開発を進め、ヒトでのPOC※を取得するまでの「トランスレーショナル研究」にフォーカスしている点が特徴となっている。この「トランスレーショナル研究」の領域は、前段階の「探索研究」、後段階の「大規模臨床試験」と比較して研究開発にかかる投資金額を抑えやすく、同社のように世界的な研究ネットワークを有し目利きができる専門性を備えたバイオベンチャーがフォーカスしていく領域として理にかなっている戦略と言える。特に、眼科領域に特化したベンチャーはほかの領域と比較して少ないため、開発に成功すれば注目度も一気に高まることが予想される。同社は、ヒトでのPOCを取得した段階で、製薬企業と共同開発・販売ライセンス契約を締結し、開発の進捗によって得られるマイルストーン収益や上市後の販売ロイヤリティーを獲得することで収益成長を目指していく戦略となっている。
※POC(Proof of Concept):基礎的な研究で想定した薬の効果が、実際にヒトへの投与試験で証明されること。
(3) 人材
同社の強みの1つとして、眼科領域で長く活躍してきた経験豊富な経営陣によって事業が進められていることが挙げられる。同社グループとして国内本社と研究開発拠点となる米クボタビジョン・インク(2020年4月にアキュセラ・インクから改称)の連携体制は、眼科医であり研究者として視覚サイクルモジュレーション技術を発明した会長、社長兼最高経営責任者の窪田良氏を筆頭に構築されている。
2020年より取締役兼執行役最高開発責任者として、渡邉雅一(わたなべまさかず)氏が就任、同氏は眼科領域のグローバル大手であるアルコンのアジア地域における研究開発部門のヘッドを務めた人物で、同社の研究開発をけん引していくことになる。そのほかにも眼科領域において著名な大学教授や医師など豊富な知見を持つアドバイザーとの広範なネットワークを構築している。2020年12月時点の連結従業員数は12名(契約社員を含む)で、開発プロジェクトについては外部機関を活用しながら効率的に進めている。
3. 眼疾患領域の市場動向
医薬品全体の市場規模は2017年から2022年にかけて年率3%の成長が見込まれているのに対して、眼科領域は年率4.4%成長、なかでも同社がメインターゲットとして開発を進めている網膜疾患領域の治療薬に関しては年率5.9%成長と最も高い伸びが予測されている。世界人口が増加していることに加えて、高齢化の進展に伴い加齢黄斑変性や白内障、そのほか網膜疾患の患者数が増加の一途をたどっていることが背景にある。
現在、同社が主要パイプラインとして治療薬の開発に取り組んでいるスターガルト病や網膜色素変性、糖尿病網膜症などの網膜疾患は失明の主要原因とされている。これら眼疾患に関してはいまだ革新的な治療法が確立されておらず、患者への身体的負担を軽減しながらより効果の高い治療法の模索を行っているのが現状であり、治療薬の開発に成功すれば同社は大きく飛躍する可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
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