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エイシアンスタ Research Memo(6):21年12月期業績は期初予想据え置きだが、上方修正の余地あり
配信日時:2021/09/21 15:26
配信元:FISCO
■今後の見通し
1. 2021年12月期業績の見通し
ASIAN STAR<8946>の2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比76.2%増の3,446百万円、営業利益で90百万円、経常利益で89百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で69百万円と期初計画を維持している。期初段階からコロナ禍の業績に与える影響が不透明だったことから売上を保守的に見込んでおり、下期もコロナ禍の影響が完全には排除できない先行き不透明な状況を踏まえて上方修正せず業績の推移を保守的に見守る方針を堅持している。もっとも、墨田区の一棟マンションを1件販売用不動産に振り替えたことから、この物件が売却されれば大幅な売上増加が期待できよう。
(1) 不動産販売事業
自社ブランド「グリフィンシリーズ」マンション販売事業を縮小したため、それに代わる収益源として中古の収益不動産及び居住用不動産の仕入を積極的に進めている。不動産仲介会社、信託銀行などの不動産仕入情報ルートの拡大に取り組むとともに、購入者ニーズを的確に捉えた商品の仕入に注力している。こうしたことから2021年12月期通期の売上高・営業利益は増収増益を見込む。今後の不動産販売物件の仕入れに伴い、有利子負債が増加していくことも考えられるが、市場金利が低位安定して推移していることから同社の資金調達にとっては有利な金融環境であるといえよう。また、墨田区の保有マンションについて固定資産から販売用不動産に財務諸表上の振替が行われていることから、下期も保有マンションの売却を進めていき、売却価格によっては収益の上振れが見込めると弊社は見ている。
(2) 不動産管理事業
同社の自社マンションブランド「グリフィンシリーズ」は、横浜・川崎エリアに特化したドミナント戦略による供給展開を行ってきたため、エリア集中による賃貸管理業務の効率化が図られている。それによって、マンションレンタカーサービスや入居者コミュニティサイトの開設など独自の入居者サービスの提供が実現しており、 横浜・川崎エリアで不動産管理会社における顧客満足度で高い評価を得ている。このような競争優位性と知名度を活かして、当該エリアにおいて賃貸不動産の管理業務受託件数の増加と売上収益の安定的な成長が見込めることなどから2021年12月期通期の売上高・営業利益は増収増益を予想する。
(3) 不動産賃貸事業
稼働率が低下した中国での投資不動産のコンバージョン事業からは撤退したため事業の効率化が図られ利益率の向上が期待できる。2021年12月期通期の売上高・営業利益は増収増益の見込み。
(4) 不動産仲介事業
中国のゼロコロナ政策による市況回復を受け子会社上海徳威グループの売上高、営業利益ともに好調を維持しているため、2021年12月期通期で増収増益が期待できる。
(5) 投資事業
コロナ禍による経済活動の鈍化に伴い投資を抑制していることから、2021年12月期通期も売上高、営業利益ともに横ばいになると予想されるが、中国企業との戦略提携など具体的に進展が見られるため中長期的には売上高、営業利益の回復が見込める。
市況回復と買収した上海徳威グループの好調で中期経営計画は順調な進捗状況
2. 中期経営計画の進捗状況と今後の見通し
同社は2020年12月期よりスタートした中期経営計画の基本方針として、事業基盤である不動産サービス事業を強化拡大するとともに、付加価値創造事業分野と位置付けた5分野(生活・娯楽(ライフスタイル)、医療・健康(ヘルスケア)、教育(エディケーション)、観光(インバウンド)、エネルギー(再生可能エネルギー))の成長企業とのコラボレーションによるアジア展開を推進し、同社の企業規模の拡大・収益力の向上を目指している。
重点施策としては、上海地産グループ、遠東宏医院集団有限公司、海南太禾股控集団有限公司の3社との戦略的提携が挙げられる。日本における高い付加価値を誇る事業分野として同社は医薬品、医療機器にフォーカスし、遠東宏医院集団有限公司、海南太禾控股集団有限公司と中国国内で本格的な事業展開を行う予定であったが中国国内でのコロナ禍により前者との戦略提携に関する具体的協議は中止となったものの、後者との提携は継続しており海南島紅旗国際健康産業タウンプロジェクト開発に関する覚書に調印した(2020年12月11日)。9月9日には、泛華金融ホールディングスグループに所属する広東泛華藍十字健康管理有限公司と医療健康サービス分野で提携を始めた。泛華金融ホールディングスグループの顧客に対して日本の高水準の医療健康サービスを提供することが目的で、具体的には、訪日健康診断・先進医療治療・医療ツーリズム等のコーディネートサービスの提供を計画している。
投資事業としては、中国における不動産事業拡大を目的として、上海徳威グループの買収を2020年12月22日に完了した。2021年12月期より連結子会社化しているこれら3社の業績は好調で連結業績に寄与する。
2021年12月期第2四半期までの進捗状況については、おおむね順調に進んでいるものと評価され、コロナ禍の収束により下期には市況が回復すると想定しており、前期比で売上高及び各利益の大幅な増加が見込まれる。特に、不動産販売事業においては一棟レジデンスマンションやリゾート地の売却により、大幅な増収増益を見込んでいる。また、買収した上海徳威グループの売上高及び各利益を上乗せすると当初計画に近い業績が見込めるだろう。
コロナ禍を機に浸透しつつある在宅ワークが今後も増加していけば、今までのように東京都心部への人口集中といった流れも止まる可能性がある。こうした市場環境の変化が起これば、東京都民の移住先として人気が高い横浜・川崎エリアに事業基盤を持つ同社は戸建住宅販売や賃貸マンション仲介で強みを発揮できるだろうと弊社は見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川 勇一郎)
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1. 2021年12月期業績の見通し
ASIAN STAR<8946>の2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比76.2%増の3,446百万円、営業利益で90百万円、経常利益で89百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で69百万円と期初計画を維持している。期初段階からコロナ禍の業績に与える影響が不透明だったことから売上を保守的に見込んでおり、下期もコロナ禍の影響が完全には排除できない先行き不透明な状況を踏まえて上方修正せず業績の推移を保守的に見守る方針を堅持している。もっとも、墨田区の一棟マンションを1件販売用不動産に振り替えたことから、この物件が売却されれば大幅な売上増加が期待できよう。
(1) 不動産販売事業
自社ブランド「グリフィンシリーズ」マンション販売事業を縮小したため、それに代わる収益源として中古の収益不動産及び居住用不動産の仕入を積極的に進めている。不動産仲介会社、信託銀行などの不動産仕入情報ルートの拡大に取り組むとともに、購入者ニーズを的確に捉えた商品の仕入に注力している。こうしたことから2021年12月期通期の売上高・営業利益は増収増益を見込む。今後の不動産販売物件の仕入れに伴い、有利子負債が増加していくことも考えられるが、市場金利が低位安定して推移していることから同社の資金調達にとっては有利な金融環境であるといえよう。また、墨田区の保有マンションについて固定資産から販売用不動産に財務諸表上の振替が行われていることから、下期も保有マンションの売却を進めていき、売却価格によっては収益の上振れが見込めると弊社は見ている。
(2) 不動産管理事業
同社の自社マンションブランド「グリフィンシリーズ」は、横浜・川崎エリアに特化したドミナント戦略による供給展開を行ってきたため、エリア集中による賃貸管理業務の効率化が図られている。それによって、マンションレンタカーサービスや入居者コミュニティサイトの開設など独自の入居者サービスの提供が実現しており、 横浜・川崎エリアで不動産管理会社における顧客満足度で高い評価を得ている。このような競争優位性と知名度を活かして、当該エリアにおいて賃貸不動産の管理業務受託件数の増加と売上収益の安定的な成長が見込めることなどから2021年12月期通期の売上高・営業利益は増収増益を予想する。
(3) 不動産賃貸事業
稼働率が低下した中国での投資不動産のコンバージョン事業からは撤退したため事業の効率化が図られ利益率の向上が期待できる。2021年12月期通期の売上高・営業利益は増収増益の見込み。
(4) 不動産仲介事業
中国のゼロコロナ政策による市況回復を受け子会社上海徳威グループの売上高、営業利益ともに好調を維持しているため、2021年12月期通期で増収増益が期待できる。
(5) 投資事業
コロナ禍による経済活動の鈍化に伴い投資を抑制していることから、2021年12月期通期も売上高、営業利益ともに横ばいになると予想されるが、中国企業との戦略提携など具体的に進展が見られるため中長期的には売上高、営業利益の回復が見込める。
市況回復と買収した上海徳威グループの好調で中期経営計画は順調な進捗状況
2. 中期経営計画の進捗状況と今後の見通し
同社は2020年12月期よりスタートした中期経営計画の基本方針として、事業基盤である不動産サービス事業を強化拡大するとともに、付加価値創造事業分野と位置付けた5分野(生活・娯楽(ライフスタイル)、医療・健康(ヘルスケア)、教育(エディケーション)、観光(インバウンド)、エネルギー(再生可能エネルギー))の成長企業とのコラボレーションによるアジア展開を推進し、同社の企業規模の拡大・収益力の向上を目指している。
重点施策としては、上海地産グループ、遠東宏医院集団有限公司、海南太禾股控集団有限公司の3社との戦略的提携が挙げられる。日本における高い付加価値を誇る事業分野として同社は医薬品、医療機器にフォーカスし、遠東宏医院集団有限公司、海南太禾控股集団有限公司と中国国内で本格的な事業展開を行う予定であったが中国国内でのコロナ禍により前者との戦略提携に関する具体的協議は中止となったものの、後者との提携は継続しており海南島紅旗国際健康産業タウンプロジェクト開発に関する覚書に調印した(2020年12月11日)。9月9日には、泛華金融ホールディングスグループに所属する広東泛華藍十字健康管理有限公司と医療健康サービス分野で提携を始めた。泛華金融ホールディングスグループの顧客に対して日本の高水準の医療健康サービスを提供することが目的で、具体的には、訪日健康診断・先進医療治療・医療ツーリズム等のコーディネートサービスの提供を計画している。
投資事業としては、中国における不動産事業拡大を目的として、上海徳威グループの買収を2020年12月22日に完了した。2021年12月期より連結子会社化しているこれら3社の業績は好調で連結業績に寄与する。
2021年12月期第2四半期までの進捗状況については、おおむね順調に進んでいるものと評価され、コロナ禍の収束により下期には市況が回復すると想定しており、前期比で売上高及び各利益の大幅な増加が見込まれる。特に、不動産販売事業においては一棟レジデンスマンションやリゾート地の売却により、大幅な増収増益を見込んでいる。また、買収した上海徳威グループの売上高及び各利益を上乗せすると当初計画に近い業績が見込めるだろう。
コロナ禍を機に浸透しつつある在宅ワークが今後も増加していけば、今までのように東京都心部への人口集中といった流れも止まる可能性がある。こうした市場環境の変化が起これば、東京都民の移住先として人気が高い横浜・川崎エリアに事業基盤を持つ同社は戸建住宅販売や賃貸マンション仲介で強みを発揮できるだろうと弊社は見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川 勇一郎)
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