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SFP Research Memo(2):「磯丸水産」などを展開。地方都市への出店や小型・低投資で稼ぐ業態にも注力
配信日時:2025/04/28 15:02
配信元:FISCO
*15:02JST SFP Research Memo(2):「磯丸水産」などを展開。地方都市への出店や小型・低投資で稼ぐ業態にも注力
■会社概要
1. 事業内容
SFPホールディングス<3198>は、駅前や繁華街の路面店での24時間営業※により人気業態となっている海鮮居酒屋「磯丸水産」や鶏料理専門店「鳥良商店」等の運営を主力とするほか、低投資で安定的に稼ぐ大衆酒場業態を第2の柱に育てるべく注力している。
※ 市場特性等によっては、24時間営業でない店舗もある。
事業セグメントは飲食事業の単一セグメントであるが、業態別に創業業態の鳥良事業部門、主力業態の磯丸事業部門、新業態を含むその他部門のほか、2020年2月期からはフードアライアンスメンバー(連結子会社)※による寄与分が追加され、4つに区分されている。2025年2月期末時点の業態別店舗数は鳥良事業部門は35店舗、磯丸事業部門は99店舗、その他部門は33店舗、連結子会社は23店舗、FCは18店舗となっており、磯丸事業部門が売上高の約60%を占める。出店は東京都及び首都圏を中心に展開してきたが、地方都市への出店にも取り組んでおり、2025年2月期末時点で東京都は87店舗、東京以外の首都圏は55店舗、その他(北海道、東北、中部、北陸、関西、九州)は66店舗となっている。
※ (株)ジョー・スマイル(熊本県)、(株)クルークダイニング(長野県)の2社で構成される。M&Aを通じた地方都市への出店拡大(グループ内FC形式でのブランド提供)に狙いがある。
2. 企業特長
同社の優位性は、通常の居酒屋業態の収益モデルに加えて、新たに独自の収益モデルを確立したところにある。主力業態の「磯丸水産」は、あえて賃料の高い駅前や繁華街の路面店に出店している。個性的で視認性の高いファサードや入りやすいオープンな雰囲気、24時間営業による幅広い需要の取り込みなど、一等立地による集客力を最大限に生かし、高い稼働率で回していく独自の収益モデルに特長がある。これにより、通常の居酒屋業態の収益モデルでは採算の取れない高い賃料を払ったとしても、売上高を多く確保することでレバレッジを効かせる構造となっている。もちろん、立地分析のスキームや路面店の開発スキルのほか、24時間営業におけるオペレーション、時間帯により最適なメニューに入れ替えるノウハウ等があってこそ成立するものであり、簡単に模倣できるものではない。特に、出店コストの高さや24時間営業の難しさは他社にとっては高いハードルになっていると考えられる。他社に先駆けてノウハウを蓄積し、首都圏への集中出店によってブランド力を高めてきたことが、さらに出店リスクを引き下げるという好循環を生み出している。
2020年~2023年のコロナ禍においては、人流抑制や時短営業、人数制限、酒類提供制限等が、「磯丸水産」の特長である駅前一等立地、高回転、24時間営業による幅広いニーズの取り込み等を打ち消す影響をもたらしたものの、あくまでもコロナ禍での政策的な不可抗力によるものであり、収益モデル自体の優位性に大きな変化はない。アフターコロナにおいて既存店はコロナ禍前の水準に戻ってきた。路面立地のオープンな雰囲気をはじめ、モバイルオーダーやキャッシュレス決済による手軽さ、新鮮な海産物を自分で焼く体験ができる「磯丸水産」のスタイルは、多数の訪日客にも受け入れられ、インバウンド需要が足元業績の底上げに寄与している。
加えて、「磯丸水産」で確立した収益モデル(以下、「磯丸水産」モデル)を他の業態に生かすことで、さらなる進化を遂げている。「鳥良商店」は、創業業態である「鳥良」に「磯丸水産」モデルを移植し軌道に乗せることができた。特に「磯丸水産」との同時出店や出店済エリアへの出店、立地・業態など市場特性に合わせた選択出店ができるところがポイントである。さらに、アフターコロナの消費者行動の変化等の環境変化に合わせて必要な微調整にも柔軟に対応していく考えであり、同社ではそのような仮説検証型の進化を追求している。「磯丸水産」の出店済エリアに出店可能な「町鮨とろたく」ブランドの展開による食事性の強化や、小型・高回転により低投資で安定的に稼ぐ大衆酒場業態に注力する方向性を明示したのも、その一環と言える。
3. 沿革
同社の創業は1984年4月、創業者である寒川良作(さむかわりょうさく)氏が東京都武蔵野市に手羽先唐揚専門店である「鳥良」を開業したことに遡る。名古屋名物の手羽先唐揚を独自のレシピでアレンジしたものを看板メニューとし、着実に店舗数を増やした。2001年には「豊かな食を創造する総合フードサービス業を目指す」ことをビジョンに掲げ、業態の多角化にも取り組みながら2008年には全社50店舗体制へと事業を拡大した。
その後、リーマン・ショックなどによる景気後退の影響や業界環境の変化等を受けて、「日本を豊かにする『食』の専門店集団を目指す」ことにビジョンを改め、「専門店」化の追求へと舵を切ると、2009年には独自の収益モデルによる「磯丸水産」を開業し、成長に向けた基礎を築いた。
「磯丸水産」が順調に立ち上がり、成長への道筋が見えてきたことから、「永続する会社組織を作っていく」ためには上場を目指すのが1番の近道であると判断した。そのうえで、2010年12月にPEファンドであるポラリス第二号投資事業有限責任組合(ポラリス・キャピタル・グループ(株))の資本参加を受け、客観的な視点や合理的な手法の導入によって、経営管理や組織運営の精度を高めることを決断した。
2013年4月には郊外のショッピングセンターにおけるレストラン及びフードコートの運営を主力とするクリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>と資本提携し連結子会社となった。2014年12月に東京証券取引所(以下、東証)2部へ株式上場を果たすと、2019年2月に東証1部へと市場変更し、2022年4月には東証市場の再編に伴い「東証プライム市場」へ移行した。その間の2016年9月に持株会社体制へ移行し、それに伴い2017年6月にSFPホールディングス株式会社に商号を変更し現在の形となった。
株式上場を契機に、ブランド力を確立してきた「磯丸水産」による出店ペースに拍車がかかり、2015年5月には「磯丸水産」100店舗体制に到達した。また、愛知県名古屋市を皮切りに「磯丸水産」のFC展開をスタートし、「鳥良商店」の出店も開始した。
2020年2月期からは独自の「SFPフードアライアンス構想」により、M&Aを通じた地方都市への出店拡大にも取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 事業内容
SFPホールディングス<3198>は、駅前や繁華街の路面店での24時間営業※により人気業態となっている海鮮居酒屋「磯丸水産」や鶏料理専門店「鳥良商店」等の運営を主力とするほか、低投資で安定的に稼ぐ大衆酒場業態を第2の柱に育てるべく注力している。
※ 市場特性等によっては、24時間営業でない店舗もある。
事業セグメントは飲食事業の単一セグメントであるが、業態別に創業業態の鳥良事業部門、主力業態の磯丸事業部門、新業態を含むその他部門のほか、2020年2月期からはフードアライアンスメンバー(連結子会社)※による寄与分が追加され、4つに区分されている。2025年2月期末時点の業態別店舗数は鳥良事業部門は35店舗、磯丸事業部門は99店舗、その他部門は33店舗、連結子会社は23店舗、FCは18店舗となっており、磯丸事業部門が売上高の約60%を占める。出店は東京都及び首都圏を中心に展開してきたが、地方都市への出店にも取り組んでおり、2025年2月期末時点で東京都は87店舗、東京以外の首都圏は55店舗、その他(北海道、東北、中部、北陸、関西、九州)は66店舗となっている。
※ (株)ジョー・スマイル(熊本県)、(株)クルークダイニング(長野県)の2社で構成される。M&Aを通じた地方都市への出店拡大(グループ内FC形式でのブランド提供)に狙いがある。
2. 企業特長
同社の優位性は、通常の居酒屋業態の収益モデルに加えて、新たに独自の収益モデルを確立したところにある。主力業態の「磯丸水産」は、あえて賃料の高い駅前や繁華街の路面店に出店している。個性的で視認性の高いファサードや入りやすいオープンな雰囲気、24時間営業による幅広い需要の取り込みなど、一等立地による集客力を最大限に生かし、高い稼働率で回していく独自の収益モデルに特長がある。これにより、通常の居酒屋業態の収益モデルでは採算の取れない高い賃料を払ったとしても、売上高を多く確保することでレバレッジを効かせる構造となっている。もちろん、立地分析のスキームや路面店の開発スキルのほか、24時間営業におけるオペレーション、時間帯により最適なメニューに入れ替えるノウハウ等があってこそ成立するものであり、簡単に模倣できるものではない。特に、出店コストの高さや24時間営業の難しさは他社にとっては高いハードルになっていると考えられる。他社に先駆けてノウハウを蓄積し、首都圏への集中出店によってブランド力を高めてきたことが、さらに出店リスクを引き下げるという好循環を生み出している。
2020年~2023年のコロナ禍においては、人流抑制や時短営業、人数制限、酒類提供制限等が、「磯丸水産」の特長である駅前一等立地、高回転、24時間営業による幅広いニーズの取り込み等を打ち消す影響をもたらしたものの、あくまでもコロナ禍での政策的な不可抗力によるものであり、収益モデル自体の優位性に大きな変化はない。アフターコロナにおいて既存店はコロナ禍前の水準に戻ってきた。路面立地のオープンな雰囲気をはじめ、モバイルオーダーやキャッシュレス決済による手軽さ、新鮮な海産物を自分で焼く体験ができる「磯丸水産」のスタイルは、多数の訪日客にも受け入れられ、インバウンド需要が足元業績の底上げに寄与している。
加えて、「磯丸水産」で確立した収益モデル(以下、「磯丸水産」モデル)を他の業態に生かすことで、さらなる進化を遂げている。「鳥良商店」は、創業業態である「鳥良」に「磯丸水産」モデルを移植し軌道に乗せることができた。特に「磯丸水産」との同時出店や出店済エリアへの出店、立地・業態など市場特性に合わせた選択出店ができるところがポイントである。さらに、アフターコロナの消費者行動の変化等の環境変化に合わせて必要な微調整にも柔軟に対応していく考えであり、同社ではそのような仮説検証型の進化を追求している。「磯丸水産」の出店済エリアに出店可能な「町鮨とろたく」ブランドの展開による食事性の強化や、小型・高回転により低投資で安定的に稼ぐ大衆酒場業態に注力する方向性を明示したのも、その一環と言える。
3. 沿革
同社の創業は1984年4月、創業者である寒川良作(さむかわりょうさく)氏が東京都武蔵野市に手羽先唐揚専門店である「鳥良」を開業したことに遡る。名古屋名物の手羽先唐揚を独自のレシピでアレンジしたものを看板メニューとし、着実に店舗数を増やした。2001年には「豊かな食を創造する総合フードサービス業を目指す」ことをビジョンに掲げ、業態の多角化にも取り組みながら2008年には全社50店舗体制へと事業を拡大した。
その後、リーマン・ショックなどによる景気後退の影響や業界環境の変化等を受けて、「日本を豊かにする『食』の専門店集団を目指す」ことにビジョンを改め、「専門店」化の追求へと舵を切ると、2009年には独自の収益モデルによる「磯丸水産」を開業し、成長に向けた基礎を築いた。
「磯丸水産」が順調に立ち上がり、成長への道筋が見えてきたことから、「永続する会社組織を作っていく」ためには上場を目指すのが1番の近道であると判断した。そのうえで、2010年12月にPEファンドであるポラリス第二号投資事業有限責任組合(ポラリス・キャピタル・グループ(株))の資本参加を受け、客観的な視点や合理的な手法の導入によって、経営管理や組織運営の精度を高めることを決断した。
2013年4月には郊外のショッピングセンターにおけるレストラン及びフードコートの運営を主力とするクリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>と資本提携し連結子会社となった。2014年12月に東京証券取引所(以下、東証)2部へ株式上場を果たすと、2019年2月に東証1部へと市場変更し、2022年4月には東証市場の再編に伴い「東証プライム市場」へ移行した。その間の2016年9月に持株会社体制へ移行し、それに伴い2017年6月にSFPホールディングス株式会社に商号を変更し現在の形となった。
株式上場を契機に、ブランド力を確立してきた「磯丸水産」による出店ペースに拍車がかかり、2015年5月には「磯丸水産」100店舗体制に到達した。また、愛知県名古屋市を皮切りに「磯丸水産」のFC展開をスタートし、「鳥良商店」の出店も開始した。
2020年2月期からは独自の「SFPフードアライアンス構想」により、M&Aを通じた地方都市への出店拡大にも取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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