注目トピックス 市況・概況
国内株式市場見通し:全員参加型の買い相場へ
配信日時:2021/09/11 14:36
配信元:FISCO
■続伸劇で3万円回復
今週の日経平均は大幅続伸で3万円を回復。政局流動化に伴う政策期待を背景とした日経平均の躍進劇が続いた。
前の週末に発表された8月米雇用統計の非農業部門雇用者数の伸びは市場予想を大幅に下回った。しかし、単月の指標のブレは想定内として捉える向きが多かった。むしろ、量的緩和縮小(テーパリング)の開始が遅れるのではとの金融緩和長期化への期待から米株の反応もまちまちな中、週明けの日経平均は次期政権への期待感継続で531.78円高と急伸。
その後も経済対策への期待、東京都での新型コロナウイルス新規感染者数の前週比減少などを背景に、日経平均の上値追いは継続。7日、8日と2日連続で250円超上昇し、8日には30181.21円と終値で3万円を回復した。
週末の先物・オプション9月物の特別清算指数算出(メジャーSQ)に向けた買い戻しもそろそろ一服との声も聞かれると、日経平均は週後半9日には9日ぶりに反落。ただ、引けにかけては3万円に戻すなど依然買い意欲は強かった。
週末10日も、NYダウの軟調が続いていた中ではあったが、日本株見直し機運は根強かった。SQ算出に絡んだ買いも入り、日経平均は81円高からスタート。香港株の反発などを追い風に急伸すると前場は30378.24円まで上昇。後場は利益確定売りで上げ幅を縮めたが、大引けにかけては改めて騰勢を強め、30381.84円(373.65円高)と高値引けとなった。
■底堅い展開も米株動向に注意
来週の日経平均は堅調か。次期政権への期待感を背景に引き続き底堅い展開が想定される。8月27日以降の日経平均の上げ幅は2500円を優に超えた。急ピッチでの上昇からテクニカル面では短期的な過熱感を指摘する声も聞かれるが、長かった日本株の欧米対比での独り負け状態を踏まえれば、まだキャッチアップの序盤に過ぎないだろう。
上昇相場の初期は、グローバルマクロ系のヘッジファンドの買いや、商品投資顧問(CTA)の追随買いなどが主体だったが、足元では長期目線の実需筋も買いを入れてきているとの声が聞かれる。今後も押したところでは、こうした実需筋の買いや、これまで逆張りで売り方に回っていた個人投資家による買いが入ってくると思われ、全員参加型の買い相場から総じて底堅い展開が想定される。
一方、足元やや軟調な米株市場については、新型コロナ感染再拡大や高バリュエーションを背景に、米国経済や米国株の見通しを引き下げる専門家が増えてきており、やや気掛かり。週末には、8月生産者物価指数をきっかけにインフレ懸念が再燃し、ダウは5日続落している。今月は債務上限引き上げや財政支出法案を巡る与野党の駆け引きが想定され、米国の政治不透明要因から短期的な調整も警戒される。
また、米中の経済指標にも注目。直近、欧州でも高いインフレ率が確認されていることから、欧州中央銀行(ECB)が債券購入ペースを減速させる計画を明らかにするなど、世界的にインフレが懸念されている。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレについて「一時的」とのスタンスを維持しており、米消費者物価指数(CPI)も前回7月は前月比で減速するなど、鈍化の兆しも見られているが、8月分の結果次第では再びインフレへの警戒感が高まりかねない。
さらに、米国および中国では鉱工業生産や小売売上高が発表される。景気減速懸念がくすぶるなか、指標の結果次第では最高値圏にある米株価指数の下押しにつながりかねない。加えて、前回約10年ぶりの低水準となったミシガン大学消費者信頼感指数が週末に控えており、こちらも米消費者心理の低下基調が継続しているかどうかを確認するうえで注目される。
半年以上、日経平均が調整を続けている間に最高値更新を続けていた米国株が、9月特有の季節性要因も意識されるなか、上述したような要因で短期的に調整すると、さすがに足元好調の日本株も一時的に連れ安する場面があるかもしれない。しかし、欧米対比でバリュエーションに割安感が強く、見直し機運が高まり始めたばかりの日本株の調整は限定的になりそうだ。
■自民党総裁選向け政策銘柄人気継続
自民党総裁選の告示は17日、投開票は29日の予定。今後は各候補者のメディア露出も増えはじめ、政策への言及なども増えてくる。材料は豊富とみられ、「脱炭素」や「DX」といったテーマ株物色も引き続き旺盛となりそうだ。
新型コロナ感染動向も、東京都での新規感染者数の前週比減少傾向が継続しており、感染ピークアウトが鮮明になってきている。9日、政府は東京都などに発令中の緊急事態宣言の9月末までの延長を決定したが、同時に、段階的に行動制限を緩和していく方針を決めた。具体的な内容などが分かってくれば、経済活動再開銘柄の株価反転へとつながっていきそうだ。
■米CPI、米中小売売上高・鉱工業生産など
来週は13日に7-9月期法人企業景気予測調査、8月企業物価指数、米8月財政収支、14日に米8月消費者物価指数(CPI)、15日に7月機械受注、中国8月鉱工業生産、中国8月小売売上高、米9月ニューヨーク連銀景気指数、米8月鉱工業生産、16日に8月貿易収支、米8月小売売上高、米9月フィラデルフィア連銀景気指数、17日に自民党総裁選告示日、米9月ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。
<FA>
今週の日経平均は大幅続伸で3万円を回復。政局流動化に伴う政策期待を背景とした日経平均の躍進劇が続いた。
前の週末に発表された8月米雇用統計の非農業部門雇用者数の伸びは市場予想を大幅に下回った。しかし、単月の指標のブレは想定内として捉える向きが多かった。むしろ、量的緩和縮小(テーパリング)の開始が遅れるのではとの金融緩和長期化への期待から米株の反応もまちまちな中、週明けの日経平均は次期政権への期待感継続で531.78円高と急伸。
その後も経済対策への期待、東京都での新型コロナウイルス新規感染者数の前週比減少などを背景に、日経平均の上値追いは継続。7日、8日と2日連続で250円超上昇し、8日には30181.21円と終値で3万円を回復した。
週末の先物・オプション9月物の特別清算指数算出(メジャーSQ)に向けた買い戻しもそろそろ一服との声も聞かれると、日経平均は週後半9日には9日ぶりに反落。ただ、引けにかけては3万円に戻すなど依然買い意欲は強かった。
週末10日も、NYダウの軟調が続いていた中ではあったが、日本株見直し機運は根強かった。SQ算出に絡んだ買いも入り、日経平均は81円高からスタート。香港株の反発などを追い風に急伸すると前場は30378.24円まで上昇。後場は利益確定売りで上げ幅を縮めたが、大引けにかけては改めて騰勢を強め、30381.84円(373.65円高)と高値引けとなった。
■底堅い展開も米株動向に注意
来週の日経平均は堅調か。次期政権への期待感を背景に引き続き底堅い展開が想定される。8月27日以降の日経平均の上げ幅は2500円を優に超えた。急ピッチでの上昇からテクニカル面では短期的な過熱感を指摘する声も聞かれるが、長かった日本株の欧米対比での独り負け状態を踏まえれば、まだキャッチアップの序盤に過ぎないだろう。
上昇相場の初期は、グローバルマクロ系のヘッジファンドの買いや、商品投資顧問(CTA)の追随買いなどが主体だったが、足元では長期目線の実需筋も買いを入れてきているとの声が聞かれる。今後も押したところでは、こうした実需筋の買いや、これまで逆張りで売り方に回っていた個人投資家による買いが入ってくると思われ、全員参加型の買い相場から総じて底堅い展開が想定される。
一方、足元やや軟調な米株市場については、新型コロナ感染再拡大や高バリュエーションを背景に、米国経済や米国株の見通しを引き下げる専門家が増えてきており、やや気掛かり。週末には、8月生産者物価指数をきっかけにインフレ懸念が再燃し、ダウは5日続落している。今月は債務上限引き上げや財政支出法案を巡る与野党の駆け引きが想定され、米国の政治不透明要因から短期的な調整も警戒される。
また、米中の経済指標にも注目。直近、欧州でも高いインフレ率が確認されていることから、欧州中央銀行(ECB)が債券購入ペースを減速させる計画を明らかにするなど、世界的にインフレが懸念されている。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレについて「一時的」とのスタンスを維持しており、米消費者物価指数(CPI)も前回7月は前月比で減速するなど、鈍化の兆しも見られているが、8月分の結果次第では再びインフレへの警戒感が高まりかねない。
さらに、米国および中国では鉱工業生産や小売売上高が発表される。景気減速懸念がくすぶるなか、指標の結果次第では最高値圏にある米株価指数の下押しにつながりかねない。加えて、前回約10年ぶりの低水準となったミシガン大学消費者信頼感指数が週末に控えており、こちらも米消費者心理の低下基調が継続しているかどうかを確認するうえで注目される。
半年以上、日経平均が調整を続けている間に最高値更新を続けていた米国株が、9月特有の季節性要因も意識されるなか、上述したような要因で短期的に調整すると、さすがに足元好調の日本株も一時的に連れ安する場面があるかもしれない。しかし、欧米対比でバリュエーションに割安感が強く、見直し機運が高まり始めたばかりの日本株の調整は限定的になりそうだ。
■自民党総裁選向け政策銘柄人気継続
自民党総裁選の告示は17日、投開票は29日の予定。今後は各候補者のメディア露出も増えはじめ、政策への言及なども増えてくる。材料は豊富とみられ、「脱炭素」や「DX」といったテーマ株物色も引き続き旺盛となりそうだ。
新型コロナ感染動向も、東京都での新規感染者数の前週比減少傾向が継続しており、感染ピークアウトが鮮明になってきている。9日、政府は東京都などに発令中の緊急事態宣言の9月末までの延長を決定したが、同時に、段階的に行動制限を緩和していく方針を決めた。具体的な内容などが分かってくれば、経済活動再開銘柄の株価反転へとつながっていきそうだ。
■米CPI、米中小売売上高・鉱工業生産など
来週は13日に7-9月期法人企業景気予測調査、8月企業物価指数、米8月財政収支、14日に米8月消費者物価指数(CPI)、15日に7月機械受注、中国8月鉱工業生産、中国8月小売売上高、米9月ニューヨーク連銀景気指数、米8月鉱工業生産、16日に8月貿易収支、米8月小売売上高、米9月フィラデルフィア連銀景気指数、17日に自民党総裁選告示日、米9月ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。
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