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日東工業:配電盤・分電盤やキャビネットで国内シェア上位、旺盛な需要取り込み底堅い成長へ_
配信日時:2025/09/22 14:55
配信元:FISCO
*14:55JST 日東工業:配電盤・分電盤やキャビネットで国内シェア上位、旺盛な需要取り込み底堅い成長へ_
日東工業<6651>は、標準分電盤やキャビネットなど電気・情報インフラ関連製品で国内シェア上位を誇るメーカーで、電気の安全供給を支える「社会インフラの縁の下の力持ち」としての役割を果たしている。事業セグメントは「電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業」「電気・情報インフラ関連 流通事業」「電子部品関連 製造事業」の3つに区分され、2025年3月期における売上構成比はそれぞれ62%、30%、8%であった。営業利益構成比は、76%、16%、7%と、電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業が主力となっている。
配電盤・分電盤は、電化製品に電気を送るためには無くてはならないほか、電気の使いすぎや漏電を見張る安全監視設備。住宅、マンション、ビル、工場、コンビニ、飲食店など電気が必要となる建物、施設には必ず配電盤(分電盤)が設置されている。また、キャビネットは、内部に収納した機器を外部環境から保護するための箱で、水やほこり、熱などに弱い機器や人が直接触れると危険なものを収納している。分電盤やキャビネットの製造・販売方法は、カスタム品と標準品(仕様が定められたカタログ掲載品)にわかれているが、同社は標準品のリーディングカンパニーとなる。標準品の分電盤・キャビネットの分野で強固な競争力を持ち、国内キャビネットではシェア1位、分電盤では2位の地位を築いている。
同社の強みは「強固なビジネスモデル」「徹底した品質へのこだわり」「製品開発力」の3つとなる。3万点以上の製品から選ぶことが可能なカタログ販売と全国に張り巡らせた営業拠点・販売代理店網の構築に加えて、業界随一の製品試験・研究設備を徹底的に活用し、過酷な自然環境にも耐えることが可能な製品を開発している。また、分電盤・キャビネットに係る分野で培ったノウハウを活用し、EV・PHEV用充電シリーズやデータセンターで使われるシステムラックのほか、大規模地震の際の感震ブレーカーなど社会課題解決に貢献する新たな製品を開発している。
2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高41,842百万円(前年同期比8.0%増)、営業利益1,854百万円(同15.8%増)と増収増益で着地した。セグメント別では、企業における底堅い設備投資需要により、配電盤部門が大きく伸びて製造・工事・サービス事業の売上が増加。また、企業におけるIT投資意欲の高まりを背景に流通事業の売上が増加したほか、国内自動車市場における案件獲得により、電子部品事業の売上が増加した。通期計画では、売上高192,000百万円(前期比4.0%増)、営業利益13,600百万円(同1.2%増)を見込んでいる。計画通り着地すれば、売上高は過去最高、営業利益は過去2番目となる。全製品群を対象として、2025年10月より価格改定(第四弾)を実施するが、この改定が下期より利益寄与してくる想定。高止まりする部材価格や人件費の増加を吸収して増収増益基調を維持する。
同社を取り巻く事業環境では、企業における底堅い設備投資需要が続いている。建築工事や電気工事業の受注額は増加傾向にあり、分電盤やキャビネットはリニューアル需要が底堅く、既存物件の用途変更に伴う新規需要が継続している。キャビネットは数量の部分でコロナ禍前の水準には戻っていないようだが、瀬戸工場のスマートオーダーシステムを活用し、付加価値増による収益性改善を進める方針を示している。そのほか、競合環境については、分電盤・キャビネットともに一定の競合は存在するが、自前の試験設備を持ち、第三者認証を取得可能な性能評価設備を備えているなどが差別化ポイントとなっている。安全な新製品を素早く開発できる日東工業ブランドは顧客からも評価を集めているようだ。
中期経営計画では、2027年3月期に売上高2000億円、営業利益150億円、ROE9%以上を目標とする。成長の柱は、製造・工事・サービス事業における瀬戸工場の稼働安定化、大型キャビネット需要の取り込み、さらにEMソリューションズの設立、テンパール工業買収によるシナジー発揮である。半導体関連の設備投資活況や労働人口減少に伴う自動化促進、製造業の国産回帰などによるFA・制御市場の活発化が後押しとなる。また、瀬戸工場では、最新テクノロジーを駆使した自動製造ラインを構築し、収益性の向上に寄与している。「BELS」評価で最高ランクの5つ星を獲得すると同時に、創エネによるエネルギー収支ゼロ「ZEB」認証も取得している、サステナビリティを重視した環境配慮型工場としても評価されている。流通事業ではデータセンターやFA需要を取り込むソリューション提案の強化を進め、電子部品事業ではグローバルに稼ぐ力を高め、まずは規模の拡大を目指して長期的に収益性を高めていく。全社的には海外売上200億円(売上比率10%)を目指し、アジア市場の開拓を進める方針も打ち出している。
株主還元については、配当性向50%とDOE4%を下限とし、成長投資と安定配当の両立を掲げている。ネットキャッシュが145億円程度と豊富な資金力を有する中、資金を積極的に成長投資(資本提携・M&A含む)へと振り向けて収益力強化を目指す一方、成長と還元のバランスを経営の基本姿勢としていることが窺える。自己資本比率62%と盤石な財務基盤で、研究開発のテーマとしては直流保護や熱対策、耐環境、防災、EMC連携など幅広く、事業化と収益化を見据えた継続投資を行っていく。
総じて、同社は分電盤やキャビネットを中心とする製造・工事・サービス事業で強固な基盤を維持しつつ、IT投資需要を取り込む流通事業と電子部品事業を伸ばすことで、底堅い成長基調を維持している。短期的にはキャビネットの数量減や人件費増などのコスト面が利益を圧迫する可能性があるが、単価改善やM&Aシナジーによる収益性向上が容易に想定できる。さらに、中計の達成には、瀬戸工場の稼働安定や海外展開の進捗、データセンターやEV充電インフラ需要の取り込みも順調に進んでいる。配当性向50%とDOE4%を下限とする株主還元方針も投資家に安心感を与えており、成長と還元を両立させる中長期的な投資妙味がある企業と評価できそうだ。
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配電盤・分電盤は、電化製品に電気を送るためには無くてはならないほか、電気の使いすぎや漏電を見張る安全監視設備。住宅、マンション、ビル、工場、コンビニ、飲食店など電気が必要となる建物、施設には必ず配電盤(分電盤)が設置されている。また、キャビネットは、内部に収納した機器を外部環境から保護するための箱で、水やほこり、熱などに弱い機器や人が直接触れると危険なものを収納している。分電盤やキャビネットの製造・販売方法は、カスタム品と標準品(仕様が定められたカタログ掲載品)にわかれているが、同社は標準品のリーディングカンパニーとなる。標準品の分電盤・キャビネットの分野で強固な競争力を持ち、国内キャビネットではシェア1位、分電盤では2位の地位を築いている。
同社の強みは「強固なビジネスモデル」「徹底した品質へのこだわり」「製品開発力」の3つとなる。3万点以上の製品から選ぶことが可能なカタログ販売と全国に張り巡らせた営業拠点・販売代理店網の構築に加えて、業界随一の製品試験・研究設備を徹底的に活用し、過酷な自然環境にも耐えることが可能な製品を開発している。また、分電盤・キャビネットに係る分野で培ったノウハウを活用し、EV・PHEV用充電シリーズやデータセンターで使われるシステムラックのほか、大規模地震の際の感震ブレーカーなど社会課題解決に貢献する新たな製品を開発している。
2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高41,842百万円(前年同期比8.0%増)、営業利益1,854百万円(同15.8%増)と増収増益で着地した。セグメント別では、企業における底堅い設備投資需要により、配電盤部門が大きく伸びて製造・工事・サービス事業の売上が増加。また、企業におけるIT投資意欲の高まりを背景に流通事業の売上が増加したほか、国内自動車市場における案件獲得により、電子部品事業の売上が増加した。通期計画では、売上高192,000百万円(前期比4.0%増)、営業利益13,600百万円(同1.2%増)を見込んでいる。計画通り着地すれば、売上高は過去最高、営業利益は過去2番目となる。全製品群を対象として、2025年10月より価格改定(第四弾)を実施するが、この改定が下期より利益寄与してくる想定。高止まりする部材価格や人件費の増加を吸収して増収増益基調を維持する。
同社を取り巻く事業環境では、企業における底堅い設備投資需要が続いている。建築工事や電気工事業の受注額は増加傾向にあり、分電盤やキャビネットはリニューアル需要が底堅く、既存物件の用途変更に伴う新規需要が継続している。キャビネットは数量の部分でコロナ禍前の水準には戻っていないようだが、瀬戸工場のスマートオーダーシステムを活用し、付加価値増による収益性改善を進める方針を示している。そのほか、競合環境については、分電盤・キャビネットともに一定の競合は存在するが、自前の試験設備を持ち、第三者認証を取得可能な性能評価設備を備えているなどが差別化ポイントとなっている。安全な新製品を素早く開発できる日東工業ブランドは顧客からも評価を集めているようだ。
中期経営計画では、2027年3月期に売上高2000億円、営業利益150億円、ROE9%以上を目標とする。成長の柱は、製造・工事・サービス事業における瀬戸工場の稼働安定化、大型キャビネット需要の取り込み、さらにEMソリューションズの設立、テンパール工業買収によるシナジー発揮である。半導体関連の設備投資活況や労働人口減少に伴う自動化促進、製造業の国産回帰などによるFA・制御市場の活発化が後押しとなる。また、瀬戸工場では、最新テクノロジーを駆使した自動製造ラインを構築し、収益性の向上に寄与している。「BELS」評価で最高ランクの5つ星を獲得すると同時に、創エネによるエネルギー収支ゼロ「ZEB」認証も取得している、サステナビリティを重視した環境配慮型工場としても評価されている。流通事業ではデータセンターやFA需要を取り込むソリューション提案の強化を進め、電子部品事業ではグローバルに稼ぐ力を高め、まずは規模の拡大を目指して長期的に収益性を高めていく。全社的には海外売上200億円(売上比率10%)を目指し、アジア市場の開拓を進める方針も打ち出している。
株主還元については、配当性向50%とDOE4%を下限とし、成長投資と安定配当の両立を掲げている。ネットキャッシュが145億円程度と豊富な資金力を有する中、資金を積極的に成長投資(資本提携・M&A含む)へと振り向けて収益力強化を目指す一方、成長と還元のバランスを経営の基本姿勢としていることが窺える。自己資本比率62%と盤石な財務基盤で、研究開発のテーマとしては直流保護や熱対策、耐環境、防災、EMC連携など幅広く、事業化と収益化を見据えた継続投資を行っていく。
総じて、同社は分電盤やキャビネットを中心とする製造・工事・サービス事業で強固な基盤を維持しつつ、IT投資需要を取り込む流通事業と電子部品事業を伸ばすことで、底堅い成長基調を維持している。短期的にはキャビネットの数量減や人件費増などのコスト面が利益を圧迫する可能性があるが、単価改善やM&Aシナジーによる収益性向上が容易に想定できる。さらに、中計の達成には、瀬戸工場の稼働安定や海外展開の進捗、データセンターやEV充電インフラ需要の取り込みも順調に進んでいる。配当性向50%とDOE4%を下限とする株主還元方針も投資家に安心感を与えており、成長と還元を両立させる中長期的な投資妙味がある企業と評価できそうだ。
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