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CGSHD Research Memo(2):「CAD/CAMシステム等事業」と「金型製造事業」が事業の2本柱
配信日時:2025/09/19 11:02
配信元:FISCO
*11:02JST CGSHD Research Memo(2):「CAD/CAMシステム等事業」と「金型製造事業」が事業の2本柱
■CGSホールディングス<6633>の会社及び事業の概要
1. 会社概要
同社グループの主力事業は金型用CAD/CAMシステムの開発・販売・保守などで、事業子会社のC&Gは金型用CAD/CAMシステム市場において国内トップシェアを誇る。顧客数は大手メーカーから従業員20人未満の中小金型メーカーまで国内海外合わせて約7,000事業所に上る。
2. 沿革
同社の起源は、主にCAD(コンピュータ支援設計:Computer Aided Design)を事業の主体とするコンピュータエンジニアリング(株)とCAM(コンピュータ支援製造:Computer Aided Manufacturing)を事業の主体とする(株)グラフィックプロダクツという2つの会社にある。当初は別々に企業活動を行っていたが、CADとCAMを融合することによるユーザビリティの向上や、将来の海外展開を見越して、両社は2007年3月に株式移転方式による経営統合に合意し、同年7月には純粋持株会社であるアルファホールディングス(株)を設立してその株式をJASDAQ証券取引所(当時)に上場した。その後、アルファホールディングスが2010年1月に両社を吸収する形で新たなスタートを切り、商号をC&Gシステムズに変更した。
株式については、2017年11月に東京証券取引所(以下、東証)第2部に市場変更となり、現在は東証スタンダード市場に上場している。また、2025年4月から純粋持株会社体制へ移行したことに伴い、社名をCGSホールディングスへ変更した。
3. 事業内容
同社グループの事業セグメントは、金型設計・製造用のCAD/CAMシステムの製造、販売、保守サービスを行う「CAD/CAMシステム等事業」と金型製造を請け負う「金型製造事業」(すべて北米で展開)の2事業である。2024年12月期のセグメント別売上高比率は、CAD/CAMシステム等事業が88.6%、金型製造事業が11.4%であった。
(1) CAD/CAMシステム等事業
さらにCAD/CAMシステム等事業は4つに分類され、2024年12月期の実績ではCAD/CAMパッケージ及び関連ハードウェア販売が連結売上高の28%、保守契約が同52%、その他サービスが同6%、受託開発が同2%を占める。
a) CAD/CAMと同社グループの領域
CADとはコンピュータを利用して各種製品や部品などの設計を行うシステム(ソフトウェア)のことである。自動車のボディや各種製品の形状設計、部品設計、金型設計、電子回路設計などに利用される。この中で同社グループが扱っているのは「金型設計用」であり、同じCADであっても車体デザイン用や電子回路設計用などとは領域(市場)が異なる。
上記のCADで設計された製品や部品の多くは、最終的にはNC(Numerical Control)工作機械を使って製造されるが、そのためにはあらかじめCADで設計されたデータをNC工作機械用の数値データに変換することが必要で、これを行うのがCAMである。このため、通常はCADとCAMは一体で使用されるが、別々に利用される場合もある。同社グループにおいても、CAD/CAM一体で販売するケースとそれぞれ別々に販売するケースがあるが、CADとCAMの売上高内訳は公表されていない。
製品価格はオプション追加の有無などにより150~600万円になるが、平均では1システム当たり300万円ほどになる。CAD/CAMシステムは一種のパッケージソフトであるが、ハードウェアについては特別の制限はなく、一般のPCでグラフィックス機能が強化されたものであれば使用できる。顧客の買い換えサイクルは、リース期間との関係もあり平均で5年ほどであるが、特別な技術革新が進んだ場合やハードウェアの陳腐化などによって、サイクルが早まる場合もある。
b) 主要ユーザー
主要ユーザーはトヨタ自動車<7203>、アイシン<7259>、ヤマハ発動機<7272>、パナソニック ホールディングス<6752>、オムロン<6645>、アルプスアルパイン<6770>、ニフコ<7988>、TOTO<5332>、ニコン<7731>、キヤノン<7751>、オリンパス<7733>などの大手メーカーから中小金型メーカーまで幅広く、総ユーザー数は7,000事業所(国内6,000事業所、海外1,000事業所)を超えている。ただし、これらの顧客のうち約5,500事業所は従業員20人未満の中小メーカーとのことだ。販売は約80%が代理店経由(大手代理店5社、主要1次代理店約30社)、約20%が直接販売となっているが、代理店販売であっても同社グループの技術スタッフが同伴するケースが多く、顧客ニーズを細かく汲み取っている。
c) 特色と強み
同社グループの強みの1つが2次元/3次元両方に対応した高機能なCAD/CAMシステムをラインナップしていることである。また、大小様々な金型に対応が可能で、付加価値の高い0.2ミクロンほどの微細品用や自動車のバンパー向けの大きい金型などに対応できることも強みである。このように専業メーカーとして幅広い対応が可能なため、ワンストップで顧客の様々なニーズを満たすことができる。
特に同社グループ製のCAMは、独自の演算プログラムにより高精度加工※ができ、業界トップクラスの高い評価を得ている。また、金型の設計段階から加工設定を行うことができ、効率的な金型製作を実現している。多くの製品が「自社開発品」であるため、顧客ニーズをすぐに次の製品にフィードバックすることができる。
※ 最終製品である金型の精度は、切削や加工を行う工作機械の精度に左右されると思われがちだが、実はCAMの精度が低いと工作機械の性能が十分に生かされない。精巧な金型の製造には、高性能な工作機械だけでなく高精度のCAMが重要な役割を果たしている。
同社グループのユーザーの多くは、継続的な保守契約を結んでいることから、新製品購入の場合でも同社グループを優先することが多い。その結果、ここ数年間の既存顧客の保守更新率は常に90%以上となっており、業界平均を大きく上回っている。この事実が同社グループの収益基盤を安定的なものとしており、堅実経営を可能にしている。
また、同社グループの販売は約80%が代理店経由となっているが、主要代理店とは30年以上の協力関係があり、この間に培ってきた代理店との強いパートナーシップも強みと言える。さらに海外の主要拠点に、CAD/CAM販売子会社、テクニカルセンター及び総代理店を設置していることから、国内外で同レベルの製品・サービス・支援を提供でき、また海外市場へ水平展開を図る顧客の囲い込みが可能となっている。つまり、同社グループは顧客の水平展開への適応力を備えたCAD/CAMシステムメーカーであり、これも強みの1つだろう。
さらにCAD/CAMシステム等事業においては、話題となっている3Dプリンタの分野でも積極的に研究開発を進めている。ただし、同社グループが開発を進めているのは金属または樹脂の積層による簡単な3Dプリンタではなく、高精度な工作機械(マシニングセンターやNC旋盤)と組み合わせ、同時5軸制御によって積層造形と切削加工を同一の機械で行うという非常に高度な分野(3Dプリンタ+工作機械)である。まだ初期段階ではあるが、将来的には有望な分野であり、CAD/CAMシステムのノウハウを有する同社グループだからこそ実現可能な分野だと言える。
(2) 金型製造事業
金型製造事業は、北米の自動車部品メーカー(日系及び米系)から金型の製造を受注し、これを同社グループがアジア(主に韓国)の金型メーカーへ発注、そして同社グループ経由でユーザーへ納入するもので、すべて北米向けである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 会社概要
同社グループの主力事業は金型用CAD/CAMシステムの開発・販売・保守などで、事業子会社のC&Gは金型用CAD/CAMシステム市場において国内トップシェアを誇る。顧客数は大手メーカーから従業員20人未満の中小金型メーカーまで国内海外合わせて約7,000事業所に上る。
2. 沿革
同社の起源は、主にCAD(コンピュータ支援設計:Computer Aided Design)を事業の主体とするコンピュータエンジニアリング(株)とCAM(コンピュータ支援製造:Computer Aided Manufacturing)を事業の主体とする(株)グラフィックプロダクツという2つの会社にある。当初は別々に企業活動を行っていたが、CADとCAMを融合することによるユーザビリティの向上や、将来の海外展開を見越して、両社は2007年3月に株式移転方式による経営統合に合意し、同年7月には純粋持株会社であるアルファホールディングス(株)を設立してその株式をJASDAQ証券取引所(当時)に上場した。その後、アルファホールディングスが2010年1月に両社を吸収する形で新たなスタートを切り、商号をC&Gシステムズに変更した。
株式については、2017年11月に東京証券取引所(以下、東証)第2部に市場変更となり、現在は東証スタンダード市場に上場している。また、2025年4月から純粋持株会社体制へ移行したことに伴い、社名をCGSホールディングスへ変更した。
3. 事業内容
同社グループの事業セグメントは、金型設計・製造用のCAD/CAMシステムの製造、販売、保守サービスを行う「CAD/CAMシステム等事業」と金型製造を請け負う「金型製造事業」(すべて北米で展開)の2事業である。2024年12月期のセグメント別売上高比率は、CAD/CAMシステム等事業が88.6%、金型製造事業が11.4%であった。
(1) CAD/CAMシステム等事業
さらにCAD/CAMシステム等事業は4つに分類され、2024年12月期の実績ではCAD/CAMパッケージ及び関連ハードウェア販売が連結売上高の28%、保守契約が同52%、その他サービスが同6%、受託開発が同2%を占める。
a) CAD/CAMと同社グループの領域
CADとはコンピュータを利用して各種製品や部品などの設計を行うシステム(ソフトウェア)のことである。自動車のボディや各種製品の形状設計、部品設計、金型設計、電子回路設計などに利用される。この中で同社グループが扱っているのは「金型設計用」であり、同じCADであっても車体デザイン用や電子回路設計用などとは領域(市場)が異なる。
上記のCADで設計された製品や部品の多くは、最終的にはNC(Numerical Control)工作機械を使って製造されるが、そのためにはあらかじめCADで設計されたデータをNC工作機械用の数値データに変換することが必要で、これを行うのがCAMである。このため、通常はCADとCAMは一体で使用されるが、別々に利用される場合もある。同社グループにおいても、CAD/CAM一体で販売するケースとそれぞれ別々に販売するケースがあるが、CADとCAMの売上高内訳は公表されていない。
製品価格はオプション追加の有無などにより150~600万円になるが、平均では1システム当たり300万円ほどになる。CAD/CAMシステムは一種のパッケージソフトであるが、ハードウェアについては特別の制限はなく、一般のPCでグラフィックス機能が強化されたものであれば使用できる。顧客の買い換えサイクルは、リース期間との関係もあり平均で5年ほどであるが、特別な技術革新が進んだ場合やハードウェアの陳腐化などによって、サイクルが早まる場合もある。
b) 主要ユーザー
主要ユーザーはトヨタ自動車<7203>、アイシン<7259>、ヤマハ発動機<7272>、パナソニック ホールディングス<6752>、オムロン<6645>、アルプスアルパイン<6770>、ニフコ<7988>、TOTO<5332>、ニコン<7731>、キヤノン<7751>、オリンパス<7733>などの大手メーカーから中小金型メーカーまで幅広く、総ユーザー数は7,000事業所(国内6,000事業所、海外1,000事業所)を超えている。ただし、これらの顧客のうち約5,500事業所は従業員20人未満の中小メーカーとのことだ。販売は約80%が代理店経由(大手代理店5社、主要1次代理店約30社)、約20%が直接販売となっているが、代理店販売であっても同社グループの技術スタッフが同伴するケースが多く、顧客ニーズを細かく汲み取っている。
c) 特色と強み
同社グループの強みの1つが2次元/3次元両方に対応した高機能なCAD/CAMシステムをラインナップしていることである。また、大小様々な金型に対応が可能で、付加価値の高い0.2ミクロンほどの微細品用や自動車のバンパー向けの大きい金型などに対応できることも強みである。このように専業メーカーとして幅広い対応が可能なため、ワンストップで顧客の様々なニーズを満たすことができる。
特に同社グループ製のCAMは、独自の演算プログラムにより高精度加工※ができ、業界トップクラスの高い評価を得ている。また、金型の設計段階から加工設定を行うことができ、効率的な金型製作を実現している。多くの製品が「自社開発品」であるため、顧客ニーズをすぐに次の製品にフィードバックすることができる。
※ 最終製品である金型の精度は、切削や加工を行う工作機械の精度に左右されると思われがちだが、実はCAMの精度が低いと工作機械の性能が十分に生かされない。精巧な金型の製造には、高性能な工作機械だけでなく高精度のCAMが重要な役割を果たしている。
同社グループのユーザーの多くは、継続的な保守契約を結んでいることから、新製品購入の場合でも同社グループを優先することが多い。その結果、ここ数年間の既存顧客の保守更新率は常に90%以上となっており、業界平均を大きく上回っている。この事実が同社グループの収益基盤を安定的なものとしており、堅実経営を可能にしている。
また、同社グループの販売は約80%が代理店経由となっているが、主要代理店とは30年以上の協力関係があり、この間に培ってきた代理店との強いパートナーシップも強みと言える。さらに海外の主要拠点に、CAD/CAM販売子会社、テクニカルセンター及び総代理店を設置していることから、国内外で同レベルの製品・サービス・支援を提供でき、また海外市場へ水平展開を図る顧客の囲い込みが可能となっている。つまり、同社グループは顧客の水平展開への適応力を備えたCAD/CAMシステムメーカーであり、これも強みの1つだろう。
さらにCAD/CAMシステム等事業においては、話題となっている3Dプリンタの分野でも積極的に研究開発を進めている。ただし、同社グループが開発を進めているのは金属または樹脂の積層による簡単な3Dプリンタではなく、高精度な工作機械(マシニングセンターやNC旋盤)と組み合わせ、同時5軸制御によって積層造形と切削加工を同一の機械で行うという非常に高度な分野(3Dプリンタ+工作機械)である。まだ初期段階ではあるが、将来的には有望な分野であり、CAD/CAMシステムのノウハウを有する同社グループだからこそ実現可能な分野だと言える。
(2) 金型製造事業
金型製造事業は、北米の自動車部品メーカー(日系及び米系)から金型の製造を受注し、これを同社グループがアジア(主に韓国)の金型メーカーへ発注、そして同社グループ経由でユーザーへ納入するもので、すべて北米向けである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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