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GVATECH Research Memo(3):LegalTech SaaS事業と登記事業を展開(1)
配信日時:2025/09/18 11:03
配信元:FISCO
*11:03JST GVATECH Research Memo(3):LegalTech SaaS事業と登記事業を展開(1)
■GVA TECH<298A>の会社概要
2. 事業内容
同社はリーガルテック事業の単一セグメントであるが、LegalTech SaaS事業と登記事業の2事業部門に分けて業績を開示している。2025年12月期第2四半期の事業別売上高は、LegalTech SaaS事業部門が209百万円で全体の53.6%、登記事業が181百万円で46.4%となり、2事業バランスが取れた構成となっている。また両事業とも大きく売上を伸ばしている。
同社と競合する企業は存在するものの、特定の分野や機能に特化したサービス提供にとどまっている。これに対し、同社は法務業務及び登記に関して幅広く対応できる点が強みである。また、プロダクト開発及びビジネスサイドには有資格者を配置しており、専門知識と実務に基づくカスタマーサクセスを通じて、業容拡大と解約リスクの最小化を図っている。
(1) LegalTech SaaS事業
LegalTech SaaS事業では、主に法務部門を持つ大企業・中堅企業及び法律事務所を対象に、法務業務を効率化するSaaS型のクラウドサービスである法務オートメーション「OLGA」を提供している。同サービスは、法務案件の情報やナレッジ、法務部門と事業部門の間のコミュニケーションを一元管理し、案件の進捗管理を可視化する。さらに、AIを活用してQAチャットボットの自動作成や過去の類似案件の対応事例を参照し、提案する機能を備えている。
「OLGA」は「AI法務アシスタント」「法務データ基盤」「AI契約レビュー」「契約管理」の4つのモジュールで構成される。「OLGA」の導入により、事業部門との円滑なコミュニケーション、組織全体の工数削減と業務品質の向上を実現する。法務部門においては、より専門的な知識を要する「非定型業務」に割くリソースを確保できる。以下、「OLGA」の各モジュールについて説明する。各モジュールは個別導入も可能で、企業のニーズや業務実態に応じた柔軟な対応が可能である。
「法務データ基盤」モジュール
事業部門と法務部門の間のコミュニケーションツールを提供し、案件の進捗管理やタスク管理を可能とする。加えて、あらゆる法務関連情報やノウハウを体系的に集約し、担当者の退職や異動による知識のブラックボックス化を防ぐ。法務業務においては、過去の規範や法律の解釈、交渉経緯などのナレッジは極めて重要であり、本モジュールによりそれらを一元的に蓄積できる。
「AI法務アシスタント」モジュール
法務データ基盤モジュールで一元管理されたデータを活用し、定型的な相談内容を自動的にデータベース化して事業部門へ回答するほか、過去の類似案件を検索・提案する機能をチャットボット形式で提供する。そのため、業務部門では案件推進のスピードアップ、法務部門では工数削減を実現する。
「AI契約レビュー」モジュール
契約書の論点検知・過去のナレッジ活用・形式チェックといった機能を提供する。従来は、人力に依存していた膨大な契約書審査業務において、品質向上と効率化を実現することで、法務部門は年々高度化する契約審査に対応するリソースを確保できる。なお、論点検知機能は顧客企業独自の基準にカスタマイズ可能であり、自社ルールやマニュアルに沿った審査が可能である。
「契約管理」モジュール
締結済の契約書の管理台帳を自動生成・管理する機能を提供する。契約書をアップロードするだけでAIが必要項目を抽出し、契約期限に応じたアラートを発出することで、更新や終了の漏れを防ぎ、リスクを低減する。
LegalTech SaaS事業の収益モデルは、契約時に発生する初期費用やコンサルティングフィーをスポット売上として計上し、その後はモジュール数やアカウント数に応じて設定される月額課金によるサブスクリプション売上を計上する。売上の大部分はストック型のサブスクリプションにより構成されており、同事業売上全体の90%以上を占める。サブスクリプション売上は、「OLGA契約社数×顧客平均単価」で構成される。
2025年12月期中間期末の「OLGA」契約社数は大企業を中心に622社(前年同期末比15.2%増)、顧客平均単価は月額106千円(前年同期比39.5%増)と堅調に拡大した。さらに、複数モジュールを導入する企業の顧客平均単価は同208千円と、全体平均と比べて約2倍の水準となっている。今後、中小企業へのターゲット拡大に伴い、顧客平均単価が一時的に低下する可能性はあるものの、同社はアップサイド余地として現状比20〜30%の上昇が見込めるとしている。また、同時点でのARR※は796百万円となり、前年同期比61.3%増加した。なお、同時点の契約社数は同第1四半期末比で若干減少したが、法務部門を持つ大企業・中堅企業を主なターゲットとし、複数モジュールの導入を促進する戦略を推進した結果、顧客平均単価の上昇により顧客企業内での決裁権限が上位化し、契約決定に時間を要したためである。これまでの解約事例は、単一モジュールのみの廉価版利用企業が中心であり、業績への影響は限定的と見ており、レベニューベースで見た解約率は0.5%程度で推移しており、同社では適正水準にあるとしている。下期に向けては、マーケティング投資やアライアンス強化などを通じて、契約社数の増加を目指している。
※ Annual Recurring Revenueの略で、年間経常収益のこと。同社では「対象月末時点における継続課金契約に基づく当月分の料金合計×12ヶ月分」で算出している。
なお、弁護士法72条では「弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、訴訟事件、非訴訟事件、審査請求・再調査の請求、再審査請求その他行政庁に対する不服申立事件、その他一般の法律事件について、鑑定、代理、仲裁、和解その他の法律事務を取り扱い、または周旋すること」を禁止している。「OLGA」においては、提供される機能やカスタマーサポートの対応についても機能説明にとどまり、同条に抵触しない適法なサービス運営を行っている。この点について、外部の法律事務所から適法である旨の意見を得ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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2. 事業内容
同社はリーガルテック事業の単一セグメントであるが、LegalTech SaaS事業と登記事業の2事業部門に分けて業績を開示している。2025年12月期第2四半期の事業別売上高は、LegalTech SaaS事業部門が209百万円で全体の53.6%、登記事業が181百万円で46.4%となり、2事業バランスが取れた構成となっている。また両事業とも大きく売上を伸ばしている。
同社と競合する企業は存在するものの、特定の分野や機能に特化したサービス提供にとどまっている。これに対し、同社は法務業務及び登記に関して幅広く対応できる点が強みである。また、プロダクト開発及びビジネスサイドには有資格者を配置しており、専門知識と実務に基づくカスタマーサクセスを通じて、業容拡大と解約リスクの最小化を図っている。
(1) LegalTech SaaS事業
LegalTech SaaS事業では、主に法務部門を持つ大企業・中堅企業及び法律事務所を対象に、法務業務を効率化するSaaS型のクラウドサービスである法務オートメーション「OLGA」を提供している。同サービスは、法務案件の情報やナレッジ、法務部門と事業部門の間のコミュニケーションを一元管理し、案件の進捗管理を可視化する。さらに、AIを活用してQAチャットボットの自動作成や過去の類似案件の対応事例を参照し、提案する機能を備えている。
「OLGA」は「AI法務アシスタント」「法務データ基盤」「AI契約レビュー」「契約管理」の4つのモジュールで構成される。「OLGA」の導入により、事業部門との円滑なコミュニケーション、組織全体の工数削減と業務品質の向上を実現する。法務部門においては、より専門的な知識を要する「非定型業務」に割くリソースを確保できる。以下、「OLGA」の各モジュールについて説明する。各モジュールは個別導入も可能で、企業のニーズや業務実態に応じた柔軟な対応が可能である。
「法務データ基盤」モジュール
事業部門と法務部門の間のコミュニケーションツールを提供し、案件の進捗管理やタスク管理を可能とする。加えて、あらゆる法務関連情報やノウハウを体系的に集約し、担当者の退職や異動による知識のブラックボックス化を防ぐ。法務業務においては、過去の規範や法律の解釈、交渉経緯などのナレッジは極めて重要であり、本モジュールによりそれらを一元的に蓄積できる。
「AI法務アシスタント」モジュール
法務データ基盤モジュールで一元管理されたデータを活用し、定型的な相談内容を自動的にデータベース化して事業部門へ回答するほか、過去の類似案件を検索・提案する機能をチャットボット形式で提供する。そのため、業務部門では案件推進のスピードアップ、法務部門では工数削減を実現する。
「AI契約レビュー」モジュール
契約書の論点検知・過去のナレッジ活用・形式チェックといった機能を提供する。従来は、人力に依存していた膨大な契約書審査業務において、品質向上と効率化を実現することで、法務部門は年々高度化する契約審査に対応するリソースを確保できる。なお、論点検知機能は顧客企業独自の基準にカスタマイズ可能であり、自社ルールやマニュアルに沿った審査が可能である。
「契約管理」モジュール
締結済の契約書の管理台帳を自動生成・管理する機能を提供する。契約書をアップロードするだけでAIが必要項目を抽出し、契約期限に応じたアラートを発出することで、更新や終了の漏れを防ぎ、リスクを低減する。
LegalTech SaaS事業の収益モデルは、契約時に発生する初期費用やコンサルティングフィーをスポット売上として計上し、その後はモジュール数やアカウント数に応じて設定される月額課金によるサブスクリプション売上を計上する。売上の大部分はストック型のサブスクリプションにより構成されており、同事業売上全体の90%以上を占める。サブスクリプション売上は、「OLGA契約社数×顧客平均単価」で構成される。
2025年12月期中間期末の「OLGA」契約社数は大企業を中心に622社(前年同期末比15.2%増)、顧客平均単価は月額106千円(前年同期比39.5%増)と堅調に拡大した。さらに、複数モジュールを導入する企業の顧客平均単価は同208千円と、全体平均と比べて約2倍の水準となっている。今後、中小企業へのターゲット拡大に伴い、顧客平均単価が一時的に低下する可能性はあるものの、同社はアップサイド余地として現状比20〜30%の上昇が見込めるとしている。また、同時点でのARR※は796百万円となり、前年同期比61.3%増加した。なお、同時点の契約社数は同第1四半期末比で若干減少したが、法務部門を持つ大企業・中堅企業を主なターゲットとし、複数モジュールの導入を促進する戦略を推進した結果、顧客平均単価の上昇により顧客企業内での決裁権限が上位化し、契約決定に時間を要したためである。これまでの解約事例は、単一モジュールのみの廉価版利用企業が中心であり、業績への影響は限定的と見ており、レベニューベースで見た解約率は0.5%程度で推移しており、同社では適正水準にあるとしている。下期に向けては、マーケティング投資やアライアンス強化などを通じて、契約社数の増加を目指している。
※ Annual Recurring Revenueの略で、年間経常収益のこと。同社では「対象月末時点における継続課金契約に基づく当月分の料金合計×12ヶ月分」で算出している。
なお、弁護士法72条では「弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、訴訟事件、非訴訟事件、審査請求・再調査の請求、再審査請求その他行政庁に対する不服申立事件、その他一般の法律事件について、鑑定、代理、仲裁、和解その他の法律事務を取り扱い、または周旋すること」を禁止している。「OLGA」においては、提供される機能やカスタマーサポートの対応についても機能説明にとどまり、同条に抵触しない適法なサービス運営を行っている。この点について、外部の法律事務所から適法である旨の意見を得ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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