注目トピックス 日本株
株式会社セレス×馬渕磨理子氏|対談動画文字起こし(4)
配信日時:2025/09/18 10:03
配信元:FISCO
*10:03JST 株式会社セレス×馬渕磨理子氏|対談動画文字起こし(4)
株式会社セレス<3696>×馬渕磨理子氏|対談動画文字起こし(3)の続き
馬渕:
四半期ごとに区切られるため、その期間に価格が大きく上下すると、定点ではマイナスに見えることもありますよね。ただ、長期的に見れば資産は増加しているのですよね。
都木:
はい。実際にはお金が減っているわけではありません。少し難しいのですが、有価証券などはそうした評価を行いませんが、暗号資産は時価評価される仕組みです。当社は取引所を運営しているため、それが営業収益に直結します。証券会社のブローカレッジ業務やトレーディング収益に近い会計基準が適用されていると考えていただければわかりやすいと思います。
馬渕:
それはかなりセンシティブな点ですね。
都木:
そうですね。見た目上、ボラティリティがそのまま業績に反映されてしまいます。
馬渕:
外から見ると不安定に映りますね。ただ、それでも業績全体が安定的に拡大しているのは、モッピーが強固な基盤になっているからでしょうか。
都木:
その通りです。モッピー単体で昨年は約150億円の売上があり、そのうちおよそ30億円の利益を計上しました。その利益を基盤として投資を行っています。ブロックチェーンや暗号資産取引所に投資している上場企業の多くは大きな赤字を計上していますが、当社は事業として一部赤字が出ても、会社全体としては黒字を維持できています。
馬渕:
なるほど。構図がよく理解できました。とはいえ、暗号資産分野はリスクがある一方で、成長ドライバーでありイノベーションの源泉と位置付けてよろしいでしょうか。
都木:
はい。暗号資産やブロックチェーンは段階的な成長ではなく、まさにイノベーションによる非連続的な成長分野だと思います。インターネットが1993年に誕生してここまで拡大したように、2008〜2009年にビットコインが登場して以来、ブロックチェーンも同様に価値のフラット化を推進できると考えています。
大きなビジョンとしては、世界の人口約80億人のうち、30億人ほどが銀行口座を持っていません。こうしたアンバンクト層もスマートフォンは比較的安価に手に入れられるため、多くの人がスマホを持っています。そこにビットコインやイーサリアムといった仕組みが代替的に機能すれば、信用経済のない場所に信用経済を生み出せる可能性があります。その意味で、社会をより便利にするサービスを提供できると考えています。
馬渕:
夢のある分野ですね。続いて、成長戦略とコーポレートアクションについて伺いたいと思います。2025年は事業の選択と集中という意味で大きな転換点を迎えられました。子会社の売却を行われましたが、こちらについて詳しくお聞かせください。
都木:
はい。今年5月、当社の子会社である「ゆめみ」を売却しました。ゆめみはデジタルトランスフォーメーション領域で企業向けにアプリやウェブサイトを開発するSIerです。売上規模は約50億円、利益はおよそ5億円と、連結決算にも貢献していましたが、モッピーやブロックチェーンビジネスとのシナジーが薄いと判断しました。そのため、5月30日付でアクセンチュア様に総額80億円で売却しました。当社の持分は50%でしたので、実際の売却額は約37億円です。
馬渕:
非常に巧みなバイアウトだと感じます。金額も大きく、会社にとっては相当な資金が入ったのではないでしょうか。
都木:
はい。特別利益として連結ベースで約23億円を計上しました。
馬渕:
やはり手放す決断には勇気が必要ですが、アクセンチュアさんとのご縁も非常に良かったのですね。
都木:
はい。アクセンチュアさんとしては、ゆめみが持つ開発力に加え、300〜400名のエンジニアを抱えている点を高く評価されていました。その人材力が欲しかったのだと伺っています。
馬渕:
改めて伺いますが、ゆめみはセレスが展開している他の事業とはシナジーを発揮しにくかった状況だったのですか。
都木:
そうですね。2016年にグループ会社化した当初は、開発力を活かしてオンラインとオフラインをつなぐサービスを共同開発しようという狙いがありました。しかし、結果的にはうまくシナジーを生み出せませんでした。ただし事業自体は成長し、買収当初の売上は約10億円でしたが、当社と共に成長して最終的には50億円規模にまで拡大しました。マネジメントとしては成功でしたが、シナジー創出という点では十分ではなかったと評価しています。
馬渕:
多くの企業が失敗されるケースが多い中で、事業を成長させ、最終的に高値で売却できたのは経営手腕の賜物ですね。素晴らしいことだと思います。結局、シナジーはなかったとしても、単体で大きく伸ばしたものをしっかりと売却し、その資金を成長に振り向けられるということですね。となると、もともと目指していた垂直統合戦略が加速するというイメージになるのでしょうか。
都木:
はい。その通りです。単に売却して特別利益を得て現金化するだけでは事業成長にはつながりません。当社の場合、モッピーは業界ナンバーワンのサイトですが、ポイントサイト業界で第3位に位置する「ポイントインカム」というサイトを、7月18日に買収すると発表しました。
馬渕:
売却で得られた資金が、次の成長投資につながったわけですね。
都木:
はい。さらに実は5月中に、D2C事業を展開する化粧品関連会社2社をグループに迎え入れました。これにより3ブランド・28SKUの商品をM&Aで一気に取得しました。当社はマーケティングを得意としていますので、販売には強みがあります。商品開発には時間がかかりますが、すでに28商品を手に入れたことで、即座に展開できる体制が整いました。
馬渕:
つまり、垂直統合をさらに進めて、規模の拡大を図るステージに入ったということですね。
都木:
そうです。D2C事業も、AD.TRACKやモッピーといったメディアと一体となることで垂直統合が実現します。これにより利益率を高め、事業成長を相互に強化できると考えています。
馬渕:
ポイントインカムの事業反映は9月からという理解でよろしいですか。
都木:
はい。事業譲渡は9月1日付で完了しました。
馬渕:
ということは、業績への反映は9月以降になるのですね。
都木:
はい。9月1日に譲渡が完了すれば、12月決算までの4か月分が業績に加算されます。ちょうどゆめみ売却で減少した分を補う形です。ポイントインカムは前年度の年間売上規模が約35億円ありました。同じポイント事業であるため、ノウハウを共有できる点も大きなメリットです。
馬渕:
8月8日に発表された第2四半期決算について伺います。売上高は158億5,000万円、営業利益は14億6,000万円でした。進捗率を見ると、売上高は55.8%、営業利益は51.3%と、すでに半分を超えており、非常に順調な進捗ですね。
都木:
はい。加えて、9月からはポイントインカムが、7月からはD2Cの2社が連結に加わりますので、さらに進捗は良くなり、業績も堅調に推移する見込みです。
馬渕:
一般的にはM&Aによって新しい会社が加わると、利益率が低下したり進捗率が鈍化したりするケースが多いのですが、セレスの場合はいかがでしょうか。
都木:
当社はシナジーが出る事業を選んでグループに迎え入れています。そのため、売上を伸ばしながら利益率も引き上げることを実現できると考えています。
株式会社セレス×馬渕磨理子氏|対談動画文字起こし(5)に続く
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馬渕:
四半期ごとに区切られるため、その期間に価格が大きく上下すると、定点ではマイナスに見えることもありますよね。ただ、長期的に見れば資産は増加しているのですよね。
都木:
はい。実際にはお金が減っているわけではありません。少し難しいのですが、有価証券などはそうした評価を行いませんが、暗号資産は時価評価される仕組みです。当社は取引所を運営しているため、それが営業収益に直結します。証券会社のブローカレッジ業務やトレーディング収益に近い会計基準が適用されていると考えていただければわかりやすいと思います。
馬渕:
それはかなりセンシティブな点ですね。
都木:
そうですね。見た目上、ボラティリティがそのまま業績に反映されてしまいます。
馬渕:
外から見ると不安定に映りますね。ただ、それでも業績全体が安定的に拡大しているのは、モッピーが強固な基盤になっているからでしょうか。
都木:
その通りです。モッピー単体で昨年は約150億円の売上があり、そのうちおよそ30億円の利益を計上しました。その利益を基盤として投資を行っています。ブロックチェーンや暗号資産取引所に投資している上場企業の多くは大きな赤字を計上していますが、当社は事業として一部赤字が出ても、会社全体としては黒字を維持できています。
馬渕:
なるほど。構図がよく理解できました。とはいえ、暗号資産分野はリスクがある一方で、成長ドライバーでありイノベーションの源泉と位置付けてよろしいでしょうか。
都木:
はい。暗号資産やブロックチェーンは段階的な成長ではなく、まさにイノベーションによる非連続的な成長分野だと思います。インターネットが1993年に誕生してここまで拡大したように、2008〜2009年にビットコインが登場して以来、ブロックチェーンも同様に価値のフラット化を推進できると考えています。
大きなビジョンとしては、世界の人口約80億人のうち、30億人ほどが銀行口座を持っていません。こうしたアンバンクト層もスマートフォンは比較的安価に手に入れられるため、多くの人がスマホを持っています。そこにビットコインやイーサリアムといった仕組みが代替的に機能すれば、信用経済のない場所に信用経済を生み出せる可能性があります。その意味で、社会をより便利にするサービスを提供できると考えています。
馬渕:
夢のある分野ですね。続いて、成長戦略とコーポレートアクションについて伺いたいと思います。2025年は事業の選択と集中という意味で大きな転換点を迎えられました。子会社の売却を行われましたが、こちらについて詳しくお聞かせください。
都木:
はい。今年5月、当社の子会社である「ゆめみ」を売却しました。ゆめみはデジタルトランスフォーメーション領域で企業向けにアプリやウェブサイトを開発するSIerです。売上規模は約50億円、利益はおよそ5億円と、連結決算にも貢献していましたが、モッピーやブロックチェーンビジネスとのシナジーが薄いと判断しました。そのため、5月30日付でアクセンチュア様に総額80億円で売却しました。当社の持分は50%でしたので、実際の売却額は約37億円です。
馬渕:
非常に巧みなバイアウトだと感じます。金額も大きく、会社にとっては相当な資金が入ったのではないでしょうか。
都木:
はい。特別利益として連結ベースで約23億円を計上しました。
馬渕:
やはり手放す決断には勇気が必要ですが、アクセンチュアさんとのご縁も非常に良かったのですね。
都木:
はい。アクセンチュアさんとしては、ゆめみが持つ開発力に加え、300〜400名のエンジニアを抱えている点を高く評価されていました。その人材力が欲しかったのだと伺っています。
馬渕:
改めて伺いますが、ゆめみはセレスが展開している他の事業とはシナジーを発揮しにくかった状況だったのですか。
都木:
そうですね。2016年にグループ会社化した当初は、開発力を活かしてオンラインとオフラインをつなぐサービスを共同開発しようという狙いがありました。しかし、結果的にはうまくシナジーを生み出せませんでした。ただし事業自体は成長し、買収当初の売上は約10億円でしたが、当社と共に成長して最終的には50億円規模にまで拡大しました。マネジメントとしては成功でしたが、シナジー創出という点では十分ではなかったと評価しています。
馬渕:
多くの企業が失敗されるケースが多い中で、事業を成長させ、最終的に高値で売却できたのは経営手腕の賜物ですね。素晴らしいことだと思います。結局、シナジーはなかったとしても、単体で大きく伸ばしたものをしっかりと売却し、その資金を成長に振り向けられるということですね。となると、もともと目指していた垂直統合戦略が加速するというイメージになるのでしょうか。
都木:
はい。その通りです。単に売却して特別利益を得て現金化するだけでは事業成長にはつながりません。当社の場合、モッピーは業界ナンバーワンのサイトですが、ポイントサイト業界で第3位に位置する「ポイントインカム」というサイトを、7月18日に買収すると発表しました。
馬渕:
売却で得られた資金が、次の成長投資につながったわけですね。
都木:
はい。さらに実は5月中に、D2C事業を展開する化粧品関連会社2社をグループに迎え入れました。これにより3ブランド・28SKUの商品をM&Aで一気に取得しました。当社はマーケティングを得意としていますので、販売には強みがあります。商品開発には時間がかかりますが、すでに28商品を手に入れたことで、即座に展開できる体制が整いました。
馬渕:
つまり、垂直統合をさらに進めて、規模の拡大を図るステージに入ったということですね。
都木:
そうです。D2C事業も、AD.TRACKやモッピーといったメディアと一体となることで垂直統合が実現します。これにより利益率を高め、事業成長を相互に強化できると考えています。
馬渕:
ポイントインカムの事業反映は9月からという理解でよろしいですか。
都木:
はい。事業譲渡は9月1日付で完了しました。
馬渕:
ということは、業績への反映は9月以降になるのですね。
都木:
はい。9月1日に譲渡が完了すれば、12月決算までの4か月分が業績に加算されます。ちょうどゆめみ売却で減少した分を補う形です。ポイントインカムは前年度の年間売上規模が約35億円ありました。同じポイント事業であるため、ノウハウを共有できる点も大きなメリットです。
馬渕:
8月8日に発表された第2四半期決算について伺います。売上高は158億5,000万円、営業利益は14億6,000万円でした。進捗率を見ると、売上高は55.8%、営業利益は51.3%と、すでに半分を超えており、非常に順調な進捗ですね。
都木:
はい。加えて、9月からはポイントインカムが、7月からはD2Cの2社が連結に加わりますので、さらに進捗は良くなり、業績も堅調に推移する見込みです。
馬渕:
一般的にはM&Aによって新しい会社が加わると、利益率が低下したり進捗率が鈍化したりするケースが多いのですが、セレスの場合はいかがでしょうか。
都木:
当社はシナジーが出る事業を選んでグループに迎え入れています。そのため、売上を伸ばしながら利益率も引き上げることを実現できると考えています。
株式会社セレス×馬渕磨理子氏|対談動画文字起こし(5)に続く
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