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コスモス薬品:食品ディスカウントと低販管費率で成長加速――全国展開と調剤事業で描く中長期戦略
配信日時:2025/09/16 13:58
配信元:FISCO
*13:58JST コスモス薬品:食品ディスカウントと低販管費率で成長加速――全国展開と調剤事業で描く中長期戦略
コスモス薬品<3349>は、医薬品・化粧品・日用雑貨・食品を取り扱うドラッグストアチェーンであり、2025年5月期末時点で全国1,609店舗を展開している。事業区分は単一セグメントで、売上構成比は一般食品が約61%、医薬品が約14%、化粧品が約9%、雑貨が約15%となる。展開する店舗周辺ではコンビニエンス、スペシャリティ、ディスカウントを高い次元に保った『小商圏型メガドラッグストア』というフォーマットの完成を追求している。ビジネスモデルは、郊外ロードサイド立地でのドミナント出店を基本に、駐車場完備による利便性とEDLP(エブリデー・ロー・プライス)戦略を徹底。集客の主軸を食品ディスカウントに置き、高収益な医薬品・化粧品で利益を確保する構造である。出店から3~5年で黒字化し、その後は安定収益を積み上げるモデルで、長期的な店舗寿命と収益性を両立している。
競合他社は全国チェーンのドラッグストアの他、地域によっては食品スーパーも競合となる。同社の強みは、低価格戦争が激しい市場においても信頼関係を重視する点である。そのため、日替わりや時間帯別の特売、ポイントカードを廃止し、毎日安い価格を継続させることで信用を勝ち得た。食品を軸とした強力なディスカウント力と低販管費率にある。発注の自動化、セミセルフレジ、15分刻みのワークスケジュール管理など徹底した省力化施策が企業文化として根付いており、販管費率の低減を持続可能な形で実現。M&Aを行わず有機的成長に徹することで、自社流の効率化ノウハウを全国展開している。豊富な品揃え、広く開放的な店内で顧客に商品を吟味してもらう「セルフセレクション」を基本としつつ、「ライトカウンセリング」という適切なアドバイスも行う、専門知識を有した応対にも力を入れている。
2025年5月期業績は、売上高1,011,390百万円(前年比4.8%増)、営業利益40,404百万円(28.3%増)と増収増益で着地した。売上成長の主因は食品(特に一般食品)の伸長で、医薬品・化粧品で利益を確保しながら、食品を入口に来店頻度を高める戦略が奏功した。自社競合による一時的な収益性の低下も厭わず、新規出店を行うと同時に、新商勢圏への店舗拡大を図ってきた。結果、当連結会計年度末の店舗数は1,609店舗となった。
インフレ環境下では消費者の節約志向が強まり、低価格かつ高品質の商品提供が可能な同社にとっては追い風である。市場全体ではドラッグストアの出店余地が減少しているとの見方もあるが、同社は未開拓地域への進出余地を大きく見込んでいる。特に関東エリアは商業圏として魅力的なだけでなく、ディスカウント型競合が少ないため今後の同社の新規出店の軸となる。九州地区では既に650店舗を展開し、さらに50店舗程度の増設余地を見込むほか、長野・新潟・福島など東北地方への出店も視野に入れる。
2026年5月期の会社計画は、売上高1,057,000百万円(前年比4.5%増)、営業利益40,500百万円(0.2%増)と、営業利益は横ばいの保守的予想を提示。粗利率改善の継続や新規出店効果による増収を見込む一方、既存店の弱含みを織り込み、コスト上昇も勘案した堅実な予想となっている。
今後の成長戦略としては、(1)新規出店ペースの継続、(2)強いディスカウント力による食品集客と医薬品・化粧品での利益確保、(3)調剤併設店の拡大が牽引役となる。特に調剤市場は約7兆円規模とされ、診療報酬改定で小規模薬局の経営が難しくなっていくことが予想される中、その受け皿として全店舗レベルでの参入を目指す。複数医療機関からの処方箋を受け付ける店舗モデルを想定しており、集客力のある既存拠点を活用できる点は競争優位となる。最大の課題は人材確保であり、新規出店に伴い店長職正社員の採用が急務となっている。現在、年間400名程度の採用を行っているが、需要は500名規模に達し、中途採用や地域雇用強化で補完している。東北地方では大学との連携や説明会開催を通じた採用活動も既に開始しており、将来の店舗網拡大に備えている。設備投資は2026年5月期に550億円を計画し、これまでの「建物自社・土地賃借」方式に加え、土地取得も積極化している。
株主還元については、累進配当を基本方針とし、2025年5月期は年間70円(前年より10円増配)、2026年5月期は75円(5円増配)を予定。2024年8月の株式分割後も増配を継続しており、配当性向は20%前後を維持。成長投資を優先しつつ、安定的な配当を株主に還元する姿勢を堅持している。総じて、同社はディスカウント戦略とローコストオペレーションを基盤に、店舗網拡大と調剤参入という新たな成長エンジンを加えた中長期戦略を展開している。既存店の成長鈍化や人材確保といった課題はあるものの、新規出店効果と粗利率改善、低販管費率維持により、安定成長と株主還元の両立が可能とみられる。
<HM>
競合他社は全国チェーンのドラッグストアの他、地域によっては食品スーパーも競合となる。同社の強みは、低価格戦争が激しい市場においても信頼関係を重視する点である。そのため、日替わりや時間帯別の特売、ポイントカードを廃止し、毎日安い価格を継続させることで信用を勝ち得た。食品を軸とした強力なディスカウント力と低販管費率にある。発注の自動化、セミセルフレジ、15分刻みのワークスケジュール管理など徹底した省力化施策が企業文化として根付いており、販管費率の低減を持続可能な形で実現。M&Aを行わず有機的成長に徹することで、自社流の効率化ノウハウを全国展開している。豊富な品揃え、広く開放的な店内で顧客に商品を吟味してもらう「セルフセレクション」を基本としつつ、「ライトカウンセリング」という適切なアドバイスも行う、専門知識を有した応対にも力を入れている。
2025年5月期業績は、売上高1,011,390百万円(前年比4.8%増)、営業利益40,404百万円(28.3%増)と増収増益で着地した。売上成長の主因は食品(特に一般食品)の伸長で、医薬品・化粧品で利益を確保しながら、食品を入口に来店頻度を高める戦略が奏功した。自社競合による一時的な収益性の低下も厭わず、新規出店を行うと同時に、新商勢圏への店舗拡大を図ってきた。結果、当連結会計年度末の店舗数は1,609店舗となった。
インフレ環境下では消費者の節約志向が強まり、低価格かつ高品質の商品提供が可能な同社にとっては追い風である。市場全体ではドラッグストアの出店余地が減少しているとの見方もあるが、同社は未開拓地域への進出余地を大きく見込んでいる。特に関東エリアは商業圏として魅力的なだけでなく、ディスカウント型競合が少ないため今後の同社の新規出店の軸となる。九州地区では既に650店舗を展開し、さらに50店舗程度の増設余地を見込むほか、長野・新潟・福島など東北地方への出店も視野に入れる。
2026年5月期の会社計画は、売上高1,057,000百万円(前年比4.5%増)、営業利益40,500百万円(0.2%増)と、営業利益は横ばいの保守的予想を提示。粗利率改善の継続や新規出店効果による増収を見込む一方、既存店の弱含みを織り込み、コスト上昇も勘案した堅実な予想となっている。
今後の成長戦略としては、(1)新規出店ペースの継続、(2)強いディスカウント力による食品集客と医薬品・化粧品での利益確保、(3)調剤併設店の拡大が牽引役となる。特に調剤市場は約7兆円規模とされ、診療報酬改定で小規模薬局の経営が難しくなっていくことが予想される中、その受け皿として全店舗レベルでの参入を目指す。複数医療機関からの処方箋を受け付ける店舗モデルを想定しており、集客力のある既存拠点を活用できる点は競争優位となる。最大の課題は人材確保であり、新規出店に伴い店長職正社員の採用が急務となっている。現在、年間400名程度の採用を行っているが、需要は500名規模に達し、中途採用や地域雇用強化で補完している。東北地方では大学との連携や説明会開催を通じた採用活動も既に開始しており、将来の店舗網拡大に備えている。設備投資は2026年5月期に550億円を計画し、これまでの「建物自社・土地賃借」方式に加え、土地取得も積極化している。
株主還元については、累進配当を基本方針とし、2025年5月期は年間70円(前年より10円増配)、2026年5月期は75円(5円増配)を予定。2024年8月の株式分割後も増配を継続しており、配当性向は20%前後を維持。成長投資を優先しつつ、安定的な配当を株主に還元する姿勢を堅持している。総じて、同社はディスカウント戦略とローコストオペレーションを基盤に、店舗網拡大と調剤参入という新たな成長エンジンを加えた中長期戦略を展開している。既存店の成長鈍化や人材確保といった課題はあるものの、新規出店効果と粗利率改善、低販管費率維持により、安定成長と株主還元の両立が可能とみられる。
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