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ラクトJPN Research Memo(7):2025年11月期の売上高、利益も過去最高の更新を見込む
配信日時:2025/08/18 11:07
配信元:FISCO
*11:07JST ラクトJPN Research Memo(7):2025年11月期の売上高、利益も過去最高の更新を見込む
■ラクト・ジャパン<3139>の今後の見通し
1. 2025年11月期の業績見通し
2025年11月期の連結業績は、売上高188,000百万円(前期比10.0%増)、経常利益6,000百万円(同38.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,350百万円(同38.3%増)と売上高、利益とも過去最高の更新を見込んでいる。足元の業績などを踏まえて期初予想を上方修正しており、売上高で8,000百万円、経常利益で1,400百万円を上乗せした。上期は各部門とも売上を順調に伸ばしたが、下期は乳価改定を受けた乳製品の値上げをはじめ、エネルギーコスト、原材料費、物流費、人件費の上昇に伴う食品全般の値上げの影響による消費の減退を想定しており、下期の売上高は上期比2.7%減を見込む。乳原料・チーズ部門に加えてアジア事業の乳原料販売部門においても上期比減収を見込む。国内の乳製品をはじめとした食品の消費減退が、アジアでの日本向け乳調製品の原料販売に影響することを想定している。一方、食肉食材部門においては、引き続き米国産豚肉への需要継続と日本国内の加工食品の需要増加を見込む。機能性食品原料部門においては、プロテイン原料以外の機能性原料の販売を強化するとともに、活況を呈するたんぱく質市場に新規参入してくる食品メーカーに対する提案を強化していく方針だ。また、アジア事業のチーズ製造販売部門においては、下期も上期を上回る販売数量、売上高を確保していく計画だが、原料チーズ価格の上昇に加えて競合が激化するなかで収益性を重視した販売を実施していくため、期初に掲げていた6,300トンという数量目標は5,900トンに保守的に引き下げている。損益面においては、人員増や給与水準引き上げに伴う人件費の増加、営業関連費用の増加のほか、海外研修・階層別研修など教育研修費の増加を織り込み、受取補償金を控除した経常利益率は2.8%と上期の実績を0.5ポイント下回るものの、前期の水準を0.3ポイント上回る計画だ。
2. 事業部門別の業績見通し
(1) 乳原料・チーズ部門
エネルギーコスト、原材料費、人件費、物流費などの上昇を受けて食品全般の値上げが続いており、乳製品についても7月以降値上げが実施されている。生産コストの上昇を受けて、生産者と乳業メーカーの間で2025年6月に加工向け乳価、同年8月に飲用・発酵乳等向け乳価の引き上げが合意され、7月以降大手乳業メーカーを中心にバター・油脂類約3〜11%、チーズ約3〜4%、ヨーグルト・乳飲料・プロテイン飲料約2〜17%、アイスクリーム約5〜9%と順次値上げが実施されている。同社では値上げによる消費の減退を織り込み、販売数量は期初予想を下方修正し、前期比5.4%減の166,800トンを見込む。一方、乳製品相場が世界的に高値で推移しているため、売上高は期初予想を上方修正し、同5.7%増の120,700百万円を見込む。アイスクリームやプロテインなど引き続き市場拡大が期待される製品の原料となる脂肪系原料や高たんぱく原料など、付加価値の高い乳原料の販売を強化し、収益を向上させる計画だ。チーズについては、顧客ニーズに応えた価格、物量、品質(物流段階での品質管理を含む)面での安定した供給により販売シェアの拡大を目指す。
国産脱脂粉乳の在庫水準は、2022年3月よりスタートした官民による過剰在庫対策が進み、同年3月末の98,000トンから2025年3月末には52,000トンまで低下し、過剰在庫対策事業は2024年度で終了した。2024年度(2024年4月〜2025年3月)の生乳生産はコロナ禍での需給調整のための生産抑制を経て3年ぶりに増産に転じ(前年度比0.7%増)、2025年度も同0.5%減と微減に留まる見通しだ。そのため、脱脂粉乳の在庫は2025年6月末で63,808トンとやや増加傾向にあり、2026年3月末には80,600トンまで再び増加すると見る向きもある。そのため、なんらかの対策が必要となるとの声があがる一方で、猛暑により生乳生産が見通しを下回る懸念もあり、国産脱脂粉乳のアジアへの輸出、輸入乳原料の安定調達など同社の果たす役割が注目される局面も想定される。いずれにしても、飼料価格やエネルギー価格の上昇による酪農業の生産コスト増のため酪農家数、飼養頭数は減少傾向に歯止めがかからず、国内での供給には限界が見えているのが現状だ。
(2) 食肉食材部門
加工食品向けのフローズンポークや鶏肉・鶏肉加工品は引き続き好調な販売を見込むが、小売流通向けなどのチルドポークは豚肉相場の上昇や輸入価格の上昇が需要を冷やす懸念があるため、やや保守的な計画としている。下期はフローズンポークの販売増を見込み、販売数量、売上高ともに期初予想を上方修正し、販売数量は前期比10.3%増の35,100トン、売上高は価格上昇もあり同15.7%増の25,200百万円を見込む。売上高は、期初予想比3,200百万円増と大幅に上方修正した。なお、2025年4月より取り扱いを開始した欧州の老舗香辛料メーカーの販売代理店ビジネスは、業務用の香辛料及び香辛料抽出物、岩塩などを同社の持つ食肉食材チャネルを通じて販売するなど、規模は小さいが事業領域を広げていく。
(3) 機能性食品原料部門
プロテイン市場は引き続き拡大する見通しであり、プロテイン製品原料の伸びを中心に売上高は前期比57.5%増の8,100百万円、販売数量は同57.2%増の6,600トンを見込み、ともに期初予想を上方修正した。スポーツニュートリション用途以外にも、拡大するプロテイン市場に新たに参入してくる食品メーカーなどへの既存用途向け以外の提案を強化し拡販を進めていく計画だ。なお、乳製品メーカーなどへの販売は乳原料・チーズ部門に含まれる。また、ゼラチン、コラーゲンや植物由来原料などプロテイン以外の機能性食品原料の販売を強化するとともに、機能性食品原料のアジアへの輸出も新しい事業領域として育てていく。
(4) アジア事業(乳原料販売部門)
日本の乳製品の値上げによる国内消費の減退に伴い日本向け粉乳調製品の原料需要が落ち込むことを想定し、販売数量、売上高ともに期初予想を下方修正した。販売数量は前期比0.3%減の39,600トン、売上高は国際的な乳製品相場の上昇から同11.2%増の24,000百万円を見込む。タイ及び周辺国に対して各拠点間の連携を強化しながら、現地企業向けの営業強化を図る。
(5) アジア事業(チーズ製造販売部門)
アジア地域では外食向けを中心にチーズの需要は順調に推移しているが、価格上昇により現地で増加する競合相手との価格競争が厳しくなっている。同社においては、競合他社と差別化を図り収益重視の販売を展開する方針であるため、期初に掲げていた6,300トンという高めの販売数量目標を下方修正した。販売数量は前期比8.8%増の5,900トン、売上高は同16.2%増の6,500百万円を見込む。シンガポール新工場は、2026年11月期第1四半期に竣工予定であり、そこから製造装置の設置、テスト稼働を開始する。同第2四半期より各種認証の取得申請ととともに旧工場と並行して一部製品の製造を開始し、同第3四半期には製造規模を拡大した上で、同第4四半期より本格稼働で量産を開始し、旧工場のラインは稼働停止する計画だ。
(6) その他
引き続き海外子会社が直接外販する乳製品原料を見込み、売上高は前期比37.6%増の3,600百万円を計画している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本 章弘)
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1. 2025年11月期の業績見通し
2025年11月期の連結業績は、売上高188,000百万円(前期比10.0%増)、経常利益6,000百万円(同38.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,350百万円(同38.3%増)と売上高、利益とも過去最高の更新を見込んでいる。足元の業績などを踏まえて期初予想を上方修正しており、売上高で8,000百万円、経常利益で1,400百万円を上乗せした。上期は各部門とも売上を順調に伸ばしたが、下期は乳価改定を受けた乳製品の値上げをはじめ、エネルギーコスト、原材料費、物流費、人件費の上昇に伴う食品全般の値上げの影響による消費の減退を想定しており、下期の売上高は上期比2.7%減を見込む。乳原料・チーズ部門に加えてアジア事業の乳原料販売部門においても上期比減収を見込む。国内の乳製品をはじめとした食品の消費減退が、アジアでの日本向け乳調製品の原料販売に影響することを想定している。一方、食肉食材部門においては、引き続き米国産豚肉への需要継続と日本国内の加工食品の需要増加を見込む。機能性食品原料部門においては、プロテイン原料以外の機能性原料の販売を強化するとともに、活況を呈するたんぱく質市場に新規参入してくる食品メーカーに対する提案を強化していく方針だ。また、アジア事業のチーズ製造販売部門においては、下期も上期を上回る販売数量、売上高を確保していく計画だが、原料チーズ価格の上昇に加えて競合が激化するなかで収益性を重視した販売を実施していくため、期初に掲げていた6,300トンという数量目標は5,900トンに保守的に引き下げている。損益面においては、人員増や給与水準引き上げに伴う人件費の増加、営業関連費用の増加のほか、海外研修・階層別研修など教育研修費の増加を織り込み、受取補償金を控除した経常利益率は2.8%と上期の実績を0.5ポイント下回るものの、前期の水準を0.3ポイント上回る計画だ。
2. 事業部門別の業績見通し
(1) 乳原料・チーズ部門
エネルギーコスト、原材料費、人件費、物流費などの上昇を受けて食品全般の値上げが続いており、乳製品についても7月以降値上げが実施されている。生産コストの上昇を受けて、生産者と乳業メーカーの間で2025年6月に加工向け乳価、同年8月に飲用・発酵乳等向け乳価の引き上げが合意され、7月以降大手乳業メーカーを中心にバター・油脂類約3〜11%、チーズ約3〜4%、ヨーグルト・乳飲料・プロテイン飲料約2〜17%、アイスクリーム約5〜9%と順次値上げが実施されている。同社では値上げによる消費の減退を織り込み、販売数量は期初予想を下方修正し、前期比5.4%減の166,800トンを見込む。一方、乳製品相場が世界的に高値で推移しているため、売上高は期初予想を上方修正し、同5.7%増の120,700百万円を見込む。アイスクリームやプロテインなど引き続き市場拡大が期待される製品の原料となる脂肪系原料や高たんぱく原料など、付加価値の高い乳原料の販売を強化し、収益を向上させる計画だ。チーズについては、顧客ニーズに応えた価格、物量、品質(物流段階での品質管理を含む)面での安定した供給により販売シェアの拡大を目指す。
国産脱脂粉乳の在庫水準は、2022年3月よりスタートした官民による過剰在庫対策が進み、同年3月末の98,000トンから2025年3月末には52,000トンまで低下し、過剰在庫対策事業は2024年度で終了した。2024年度(2024年4月〜2025年3月)の生乳生産はコロナ禍での需給調整のための生産抑制を経て3年ぶりに増産に転じ(前年度比0.7%増)、2025年度も同0.5%減と微減に留まる見通しだ。そのため、脱脂粉乳の在庫は2025年6月末で63,808トンとやや増加傾向にあり、2026年3月末には80,600トンまで再び増加すると見る向きもある。そのため、なんらかの対策が必要となるとの声があがる一方で、猛暑により生乳生産が見通しを下回る懸念もあり、国産脱脂粉乳のアジアへの輸出、輸入乳原料の安定調達など同社の果たす役割が注目される局面も想定される。いずれにしても、飼料価格やエネルギー価格の上昇による酪農業の生産コスト増のため酪農家数、飼養頭数は減少傾向に歯止めがかからず、国内での供給には限界が見えているのが現状だ。
(2) 食肉食材部門
加工食品向けのフローズンポークや鶏肉・鶏肉加工品は引き続き好調な販売を見込むが、小売流通向けなどのチルドポークは豚肉相場の上昇や輸入価格の上昇が需要を冷やす懸念があるため、やや保守的な計画としている。下期はフローズンポークの販売増を見込み、販売数量、売上高ともに期初予想を上方修正し、販売数量は前期比10.3%増の35,100トン、売上高は価格上昇もあり同15.7%増の25,200百万円を見込む。売上高は、期初予想比3,200百万円増と大幅に上方修正した。なお、2025年4月より取り扱いを開始した欧州の老舗香辛料メーカーの販売代理店ビジネスは、業務用の香辛料及び香辛料抽出物、岩塩などを同社の持つ食肉食材チャネルを通じて販売するなど、規模は小さいが事業領域を広げていく。
(3) 機能性食品原料部門
プロテイン市場は引き続き拡大する見通しであり、プロテイン製品原料の伸びを中心に売上高は前期比57.5%増の8,100百万円、販売数量は同57.2%増の6,600トンを見込み、ともに期初予想を上方修正した。スポーツニュートリション用途以外にも、拡大するプロテイン市場に新たに参入してくる食品メーカーなどへの既存用途向け以外の提案を強化し拡販を進めていく計画だ。なお、乳製品メーカーなどへの販売は乳原料・チーズ部門に含まれる。また、ゼラチン、コラーゲンや植物由来原料などプロテイン以外の機能性食品原料の販売を強化するとともに、機能性食品原料のアジアへの輸出も新しい事業領域として育てていく。
(4) アジア事業(乳原料販売部門)
日本の乳製品の値上げによる国内消費の減退に伴い日本向け粉乳調製品の原料需要が落ち込むことを想定し、販売数量、売上高ともに期初予想を下方修正した。販売数量は前期比0.3%減の39,600トン、売上高は国際的な乳製品相場の上昇から同11.2%増の24,000百万円を見込む。タイ及び周辺国に対して各拠点間の連携を強化しながら、現地企業向けの営業強化を図る。
(5) アジア事業(チーズ製造販売部門)
アジア地域では外食向けを中心にチーズの需要は順調に推移しているが、価格上昇により現地で増加する競合相手との価格競争が厳しくなっている。同社においては、競合他社と差別化を図り収益重視の販売を展開する方針であるため、期初に掲げていた6,300トンという高めの販売数量目標を下方修正した。販売数量は前期比8.8%増の5,900トン、売上高は同16.2%増の6,500百万円を見込む。シンガポール新工場は、2026年11月期第1四半期に竣工予定であり、そこから製造装置の設置、テスト稼働を開始する。同第2四半期より各種認証の取得申請ととともに旧工場と並行して一部製品の製造を開始し、同第3四半期には製造規模を拡大した上で、同第4四半期より本格稼働で量産を開始し、旧工場のラインは稼働停止する計画だ。
(6) その他
引き続き海外子会社が直接外販する乳製品原料を見込み、売上高は前期比37.6%増の3,600百万円を計画している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本 章弘)
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