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酉島製作所:大型・高圧ポンプを製造できる国内屈指のポンプメーカー、ニッチトップ技術でグローバルに事業展開
配信日時:2025/07/29 14:26
配信元:FISCO
*14:26JST 酉島製作所:大型・高圧ポンプを製造できる国内屈指のポンプメーカー、ニッチトップ技術でグローバルに事業展開
酉島製作所<6363>は、1919年創業の老舗ポンプ専業メーカーであり、上下水道、発電所、海水淡水化施設などの社会インフラを支える大型・高圧ポンプに強みを有する。事業は主に「ハイテクポンプ」「プロジェクト」「サービス」「新エネ・環境」の4分野に区分され、2024年度実績でハイテクポンプ32.5%、プロジェクト33.1%、サービス34.1%、新エネ・環境0.3%。また、需要先別では海外比率が62.0%と高く、官需25.8%・民需12.2%を含めたグローバルな事業展開が特徴である。2024年度の受注高は956億円と過去最高を記録。
同社のビジネスモデルにおける特筆すべき点は、設計から製造、アフターサービスまでを一貫して提供できる体制と、高付加価値市場への特化である。特に、発電所向けポンプや海水淡水化プラント向けのRO(逆浸透膜)高圧海水供給ポンプといった特殊用途において、世界的にも数少ない製造能力を持つ。さらに、CFD(流体解析)を駆使した高効率ポンプの設計・製造を通じ、プラント全体のエネルギー効率改善に寄与する技術力を有している。このような専門性と技術資産は、新興国における水インフラ需要に呼応し、堅調な引き合いを維持する源泉となっている。具体的には、大型・高圧ポンプを製造できる世界でも数少ないポンプメーカーとして世界100ヶ国以上にポンプを導入、同社のなかでももっとも高圧力のポンプは、富士山より高い4,200mまで水を上げられ、発電所の中でも重要な役割を担うボイラ給水ポンプとして活躍している。また、25メートルのプールを5秒で空にできるほどの威力、350度以上となる超臨界圧でも運転可能なポンプも製造している。造水量世界トップ20の海水淡水化プラントのほぼすべてにポンプを納入し、海水淡水化プラント向けポンプでグローバルニッチトップ(GNT)企業となっている。
2024年度の売上高は86,500百万円(前期比6.7%増)と5期連続で過去最高を更新したが、営業利益は5,400百万円(同20.6%減)で着地した。要因としては、売上総利益率の低下(28.5%→27.2%)、販管費の増加が挙げられる。上期は製造コストの増加により利益率が大きく低下、下期には利益率は回復したが計画値よりは若干下回った。一方、海外・官公需の売上は堅調で、海外は同7.6%増、官需は同13.2%増。民需も同8.1%増と、全体で成長をけん引している。また、子会社は全般に好調を維持し、前年度比・計画値いずれも上回った。2025年度の売上高は89,000百万円(前期比2.9%増)、営業利益は6,700百万円(同24.1%増)と収益性の改善による増益回帰を計画。
足元の市場環境については、世界規模での人口増加や水資源への関心の高まり、気候変動への対応といった構造的な要因から、ポンプ需要は中長期的に底堅いと見られている。特に、海水淡水化プラント向けの需要は新興国を中心に拡大しており、同社のグローバルサービスネットワーク(世界16拠点)を生かしたサービス提供体制が競争優位性を高めている。また、防災・減災向け製品の需要も高まっており、自治体向けの排水機場設備更新や耐水モータ一体型ポンプなどの技術提案も評価されつつある。
同社は2021年5月に策定した中期経営計画「Beyond110」において2029年度に向けて掲げた、売上高600億円以上、営業利益50億円以上、経常利益56億円以上の目標を、海外での大型案件、国内外でのサービス事業や製品の高付加価値化により、2022年度時点で達成している。同社は改めて中期目標を見直し、現在は、2029年度に向けて「売上高1,000億円規模(CAGR6.5%以上、営業利益率10.0%以上、ROE10.0%以上」という、より高い経営指標を新たに設定した。重点施策として、短期ベースでは「スーパーエコポンプによる省エネ推進」や「気候変動向けポンプによる減災技術の展開」といった既存技術の深化を図る。また、「スマートメンテナンス」の提供によって予防保全型サービスを高度化させていく。同時に、アンモニアを取り扱う新領域でのポンプの高機能化にも取り組み、将来のエネルギー転換に対応する製品開発を進めるほか、水素やCO2といった次世代エネルギー源に対応するポンプの研究開発を推進、これらの製品を将来的に市場投入することを視野に入れている。
株主還元については、配当政策としてDOE(株主資本配当率)3.0%および配当性向35%を目安に、累進配当を基本としている2024年度の年間配当金は1株当たり60円(前期比2円増)、2025年度は62円(同2円増)を予定しており、安定的かつ持続的な利益還元の姿勢がうかがえる。加えて、2025年5月から2026年3月末にかけて最大10億円・60万株の自社株買いも実施する。PBRは1倍前後で推移。総じて、資本効率の向上と株主価値の強化を図るなか、大型・高圧ポンプを製造できる世界でも数少ないポンプメーカーとして海外でも積極的に事業展開している同社は、中長期的な成長に期待できよう。
<HM>
同社のビジネスモデルにおける特筆すべき点は、設計から製造、アフターサービスまでを一貫して提供できる体制と、高付加価値市場への特化である。特に、発電所向けポンプや海水淡水化プラント向けのRO(逆浸透膜)高圧海水供給ポンプといった特殊用途において、世界的にも数少ない製造能力を持つ。さらに、CFD(流体解析)を駆使した高効率ポンプの設計・製造を通じ、プラント全体のエネルギー効率改善に寄与する技術力を有している。このような専門性と技術資産は、新興国における水インフラ需要に呼応し、堅調な引き合いを維持する源泉となっている。具体的には、大型・高圧ポンプを製造できる世界でも数少ないポンプメーカーとして世界100ヶ国以上にポンプを導入、同社のなかでももっとも高圧力のポンプは、富士山より高い4,200mまで水を上げられ、発電所の中でも重要な役割を担うボイラ給水ポンプとして活躍している。また、25メートルのプールを5秒で空にできるほどの威力、350度以上となる超臨界圧でも運転可能なポンプも製造している。造水量世界トップ20の海水淡水化プラントのほぼすべてにポンプを納入し、海水淡水化プラント向けポンプでグローバルニッチトップ(GNT)企業となっている。
2024年度の売上高は86,500百万円(前期比6.7%増)と5期連続で過去最高を更新したが、営業利益は5,400百万円(同20.6%減)で着地した。要因としては、売上総利益率の低下(28.5%→27.2%)、販管費の増加が挙げられる。上期は製造コストの増加により利益率が大きく低下、下期には利益率は回復したが計画値よりは若干下回った。一方、海外・官公需の売上は堅調で、海外は同7.6%増、官需は同13.2%増。民需も同8.1%増と、全体で成長をけん引している。また、子会社は全般に好調を維持し、前年度比・計画値いずれも上回った。2025年度の売上高は89,000百万円(前期比2.9%増)、営業利益は6,700百万円(同24.1%増)と収益性の改善による増益回帰を計画。
足元の市場環境については、世界規模での人口増加や水資源への関心の高まり、気候変動への対応といった構造的な要因から、ポンプ需要は中長期的に底堅いと見られている。特に、海水淡水化プラント向けの需要は新興国を中心に拡大しており、同社のグローバルサービスネットワーク(世界16拠点)を生かしたサービス提供体制が競争優位性を高めている。また、防災・減災向け製品の需要も高まっており、自治体向けの排水機場設備更新や耐水モータ一体型ポンプなどの技術提案も評価されつつある。
同社は2021年5月に策定した中期経営計画「Beyond110」において2029年度に向けて掲げた、売上高600億円以上、営業利益50億円以上、経常利益56億円以上の目標を、海外での大型案件、国内外でのサービス事業や製品の高付加価値化により、2022年度時点で達成している。同社は改めて中期目標を見直し、現在は、2029年度に向けて「売上高1,000億円規模(CAGR6.5%以上、営業利益率10.0%以上、ROE10.0%以上」という、より高い経営指標を新たに設定した。重点施策として、短期ベースでは「スーパーエコポンプによる省エネ推進」や「気候変動向けポンプによる減災技術の展開」といった既存技術の深化を図る。また、「スマートメンテナンス」の提供によって予防保全型サービスを高度化させていく。同時に、アンモニアを取り扱う新領域でのポンプの高機能化にも取り組み、将来のエネルギー転換に対応する製品開発を進めるほか、水素やCO2といった次世代エネルギー源に対応するポンプの研究開発を推進、これらの製品を将来的に市場投入することを視野に入れている。
株主還元については、配当政策としてDOE(株主資本配当率)3.0%および配当性向35%を目安に、累進配当を基本としている2024年度の年間配当金は1株当たり60円(前期比2円増)、2025年度は62円(同2円増)を予定しており、安定的かつ持続的な利益還元の姿勢がうかがえる。加えて、2025年5月から2026年3月末にかけて最大10億円・60万株の自社株買いも実施する。PBRは1倍前後で推移。総じて、資本効率の向上と株主価値の強化を図るなか、大型・高圧ポンプを製造できる世界でも数少ないポンプメーカーとして海外でも積極的に事業展開している同社は、中長期的な成長に期待できよう。
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