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グリムス Research Memo(4):2025年3月期は、過去最高営業利益を更新する好決算
配信日時:2025/07/08 13:04
配信元:FISCO
*13:04JST グリムス Research Memo(4):2025年3月期は、過去最高営業利益を更新する好決算
■グリムス<3150>の業績動向
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期における経済環境は、企業収益の改善による雇用・所得環境の改善、個人消費や設備投資に持ち直しの動きがあるなど、景気は緩やかな回復傾向にあるものの、為替相場の変動や資源価格の高騰による物価上昇や、米国の通商政策による景気の下振れリスクなど、先行き不透明な状況が続いた。同社グループでは、電力コストの高騰、GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けた再生可能エネルギーの活用拡大を背景に、事業用太陽光発電システムを成長の主軸として販売を拡大するとともに、電力の小売については、低圧電力における独自燃調の運用や、高圧電力における市場価格連動型契約の促進による電力調達価格変動リスクの低減といった取り組みによるリスクヘッジの徹底を行い、安定的なストック収益として収益基盤の拡充を図った。その他、コスト削減・省エネルギー・再生可能エネルギー関連の商品・サービスについての販売も堅調に推移した。
以上の取り組みから、2025年3月期の連結業績は、売上高33,340百万円(前期比11.5%増)、営業利益6,500百万円(同24.6%増)、経常利益6,645百万円(同26.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,558百万円(同28.7%増)と大幅な増収増益決算となった。期初予想に対しては、売上高は1.9%下回ったものの、営業利益は予想どおりに着地した。また、売上高及び各段階利益は、いずれも過去最高を更新する好決算だ。この結果、営業利益率は前期の17.4%から19.5%に上昇した。
期初予想比で売上高が下振れ、営業利益も予想どおりにとどまった理由は、小売電気事業が好調だったことから、エネルギーコストソリューション事業とスマートハウスプロジェクト事業のバックオーダー※を翌期に繰り越したためである。また、営業利益率は、エネルギーコストソリューション事業と小売電気事業において売上総利益が販管費の増加を大幅に上回ったため前期比増加した。このような好決算は、同社グループが経済環境の変化に対応して機動的に注力する事業を変えることで、安定的に高い利益を確保できることを示している。
※ 収益認識未済で、まだ売上計上していない受注残。
2. セグメント別の動向
エネルギーコストソリューション事業では、電力の自家消費を提案する事業用太陽光発電システムや蓄電池を主力商材とし、事業者のコスト削減のための各種商材の販売を推進し、事業用PPA(Power Purchase Agreement、太陽光発電設備を設置し、電力を契約企業へ供給する契約)も、順調に規模を拡大した。その結果、同事業の売上高は9,620百万円(前期比24.4%増)、営業利益(全社費用控除前、以下同)は4,035百万円(同33.2%増)となった。ただ、期初計画比では、売上高は11.8%下回り、営業利益も11.8%下回った。これは、第4四半期において小売電気事業の好業績が明らかになったことから、エネルギーコストソリューション事業のバックオーダーを翌期に繰り越したためである。営業利益は3事業のなかで最大であり、事業用太陽光発電システムの販売が拡大したことで生産性が向上したため、営業利益率は前期の39.2%から42.0%に上昇して3事業のなかで最も利益率が高くなり、同社グループの業績を支える存在となっている。
スマートハウスプロジェクト事業では、再生可能エネルギーによる自家消費、太陽光発電の10年間の固定価格買取制度の適用が終わる卒FIT案件の増加、住宅のエネルギーレジリエンス強化へのニーズにより蓄電池への需要があることから、蓄電池の販売を推進した。その結果、同事業の売上高は4,319百万円(前期比2.7%減)、営業利益は497百万円(同15.3%減)となった。また、期初計画比では、売上高は0.2%上回ったが、営業利益は13.6%下回った。これは、第4四半期には小売電気事業の好業績が明確になってきたことから、スマートハウスプロジェクト事業のバックオーダーを翌期に繰り越したことによるものだ。営業利益率は前期の13.2%から11.5%に低下している。
小売電気事業では、契約数の増加に伴う電力販売量の増加、電力市場価格上昇の影響による販売単価の上昇、相対電源の確保等のリスクヘッジ施策による調達価格の抑制等により、売上高・利益ともに増加した。その結果、同事業の売上高は19,401百万円(前期比9.4%増)、営業利益は2,798百万円(同23.4%増)となった。期初計画比では売上高は3.3%上回り、営業利益は34.4%増と大幅に上回った。売上高は3事業のなかで最も大きく、営業利益もエネルギーコストソリューション事業に次ぐ大きさである。営業利益率は前期の12.8%から14.4%に改善した。
引き続き高い健全性とともに高い収益性を確保
3. 財務状況及びキャッシュ・フローの状況
2025年3月期末の財務状況は、現金及び預金が3,376百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が1,070百万円増加したことなどから、流動資産は前期末比4,605百万円増の21,518百万円となった。また資金運用のための投資有価証券が296百万円減少したことなどから、固定資産は同182百万円減の4,516百万円となった。以上から、資産合計は同4,422百万円増の26,034百万円となった。負債では、支払手形及び買掛金が649百万円、1年内返済予定の長期借入金が157百万円、未払法人税等が199百万円、未払消費税等が282百万円増加したことなどから、流動負債が同1,238百万円増の7,048百万円となった。また、長期借入金の130百万円減少により、固定負債は同133百万円減の2,676百万円となり、負債合計は同1,104百万円増の9,725百万円であった。うち有利子負債は、同73百万円減の3,691百万円であった。純資産合計は、親会社株主に係る包括利益が4,512百万円増加した一方、剰余金の配当で1,201百万円減少したことから、同3,317百万円増の16,309百万円であった。
以上の結果、2025年3月期の自己資本比率は62.3%(前期比2.6ポイント改善)と高水準で、財務の健全性は極めて高く良好な財務基盤を維持していると評価できる。また、ROAは27.9%(同0.8ポイント改善)、ROEも31.3%(同0.3ポイント改善)であり、収益性も極めて高い。実際、日本取引所グループ<8697>の上場会社決算短信集計の直近のデータによれば、2025年3月期決算のプライム市場上場会社(全産業)の自己資本比率33.63%、ROA4.54%、ROE9.44%を、同社グループの数字は大きく上回っている。
キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動により得られた資金は4,648百万円(前期は4,089百万円の収入)となった。これは、税金等調整前当期純利益6,641百万円などにより資金が増加した一方、売上債権の増加1,070百万円、法人税等の支払1,887百万円などの資金の減少によるものである。
投資活動により得られた資金は3百万円(同1,787百万円の支出)となった。これは、投資有価証券の売却1,596百万円などによる資金の増加があった一方、投資有価証券の取得による支出1,300百万円などにより資金の減少によるものである。
財務活動により支出した資金は1,274百万円(同52百万円の支出)となった。これは長期借入金の返済1,273百万円と配当金の支払1,201百万円などにより資金の減少があった一方、長期借入れによる収入1,300百万円などによる資金の増加によるものである。
以上から、2025年3月期末の現金及び現金同等物は前期末比3,376百万円増加し13,850百万円となった。また、同社グループが事業拡大や借入金返済、株主への分配などに自由に使える現金を示すフリー・キャッシュ・フローは、4,651百万円と前期の2,302百万円から大きく増加している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期における経済環境は、企業収益の改善による雇用・所得環境の改善、個人消費や設備投資に持ち直しの動きがあるなど、景気は緩やかな回復傾向にあるものの、為替相場の変動や資源価格の高騰による物価上昇や、米国の通商政策による景気の下振れリスクなど、先行き不透明な状況が続いた。同社グループでは、電力コストの高騰、GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けた再生可能エネルギーの活用拡大を背景に、事業用太陽光発電システムを成長の主軸として販売を拡大するとともに、電力の小売については、低圧電力における独自燃調の運用や、高圧電力における市場価格連動型契約の促進による電力調達価格変動リスクの低減といった取り組みによるリスクヘッジの徹底を行い、安定的なストック収益として収益基盤の拡充を図った。その他、コスト削減・省エネルギー・再生可能エネルギー関連の商品・サービスについての販売も堅調に推移した。
以上の取り組みから、2025年3月期の連結業績は、売上高33,340百万円(前期比11.5%増)、営業利益6,500百万円(同24.6%増)、経常利益6,645百万円(同26.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,558百万円(同28.7%増)と大幅な増収増益決算となった。期初予想に対しては、売上高は1.9%下回ったものの、営業利益は予想どおりに着地した。また、売上高及び各段階利益は、いずれも過去最高を更新する好決算だ。この結果、営業利益率は前期の17.4%から19.5%に上昇した。
期初予想比で売上高が下振れ、営業利益も予想どおりにとどまった理由は、小売電気事業が好調だったことから、エネルギーコストソリューション事業とスマートハウスプロジェクト事業のバックオーダー※を翌期に繰り越したためである。また、営業利益率は、エネルギーコストソリューション事業と小売電気事業において売上総利益が販管費の増加を大幅に上回ったため前期比増加した。このような好決算は、同社グループが経済環境の変化に対応して機動的に注力する事業を変えることで、安定的に高い利益を確保できることを示している。
※ 収益認識未済で、まだ売上計上していない受注残。
2. セグメント別の動向
エネルギーコストソリューション事業では、電力の自家消費を提案する事業用太陽光発電システムや蓄電池を主力商材とし、事業者のコスト削減のための各種商材の販売を推進し、事業用PPA(Power Purchase Agreement、太陽光発電設備を設置し、電力を契約企業へ供給する契約)も、順調に規模を拡大した。その結果、同事業の売上高は9,620百万円(前期比24.4%増)、営業利益(全社費用控除前、以下同)は4,035百万円(同33.2%増)となった。ただ、期初計画比では、売上高は11.8%下回り、営業利益も11.8%下回った。これは、第4四半期において小売電気事業の好業績が明らかになったことから、エネルギーコストソリューション事業のバックオーダーを翌期に繰り越したためである。営業利益は3事業のなかで最大であり、事業用太陽光発電システムの販売が拡大したことで生産性が向上したため、営業利益率は前期の39.2%から42.0%に上昇して3事業のなかで最も利益率が高くなり、同社グループの業績を支える存在となっている。
スマートハウスプロジェクト事業では、再生可能エネルギーによる自家消費、太陽光発電の10年間の固定価格買取制度の適用が終わる卒FIT案件の増加、住宅のエネルギーレジリエンス強化へのニーズにより蓄電池への需要があることから、蓄電池の販売を推進した。その結果、同事業の売上高は4,319百万円(前期比2.7%減)、営業利益は497百万円(同15.3%減)となった。また、期初計画比では、売上高は0.2%上回ったが、営業利益は13.6%下回った。これは、第4四半期には小売電気事業の好業績が明確になってきたことから、スマートハウスプロジェクト事業のバックオーダーを翌期に繰り越したことによるものだ。営業利益率は前期の13.2%から11.5%に低下している。
小売電気事業では、契約数の増加に伴う電力販売量の増加、電力市場価格上昇の影響による販売単価の上昇、相対電源の確保等のリスクヘッジ施策による調達価格の抑制等により、売上高・利益ともに増加した。その結果、同事業の売上高は19,401百万円(前期比9.4%増)、営業利益は2,798百万円(同23.4%増)となった。期初計画比では売上高は3.3%上回り、営業利益は34.4%増と大幅に上回った。売上高は3事業のなかで最も大きく、営業利益もエネルギーコストソリューション事業に次ぐ大きさである。営業利益率は前期の12.8%から14.4%に改善した。
引き続き高い健全性とともに高い収益性を確保
3. 財務状況及びキャッシュ・フローの状況
2025年3月期末の財務状況は、現金及び預金が3,376百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が1,070百万円増加したことなどから、流動資産は前期末比4,605百万円増の21,518百万円となった。また資金運用のための投資有価証券が296百万円減少したことなどから、固定資産は同182百万円減の4,516百万円となった。以上から、資産合計は同4,422百万円増の26,034百万円となった。負債では、支払手形及び買掛金が649百万円、1年内返済予定の長期借入金が157百万円、未払法人税等が199百万円、未払消費税等が282百万円増加したことなどから、流動負債が同1,238百万円増の7,048百万円となった。また、長期借入金の130百万円減少により、固定負債は同133百万円減の2,676百万円となり、負債合計は同1,104百万円増の9,725百万円であった。うち有利子負債は、同73百万円減の3,691百万円であった。純資産合計は、親会社株主に係る包括利益が4,512百万円増加した一方、剰余金の配当で1,201百万円減少したことから、同3,317百万円増の16,309百万円であった。
以上の結果、2025年3月期の自己資本比率は62.3%(前期比2.6ポイント改善)と高水準で、財務の健全性は極めて高く良好な財務基盤を維持していると評価できる。また、ROAは27.9%(同0.8ポイント改善)、ROEも31.3%(同0.3ポイント改善)であり、収益性も極めて高い。実際、日本取引所グループ<8697>の上場会社決算短信集計の直近のデータによれば、2025年3月期決算のプライム市場上場会社(全産業)の自己資本比率33.63%、ROA4.54%、ROE9.44%を、同社グループの数字は大きく上回っている。
キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動により得られた資金は4,648百万円(前期は4,089百万円の収入)となった。これは、税金等調整前当期純利益6,641百万円などにより資金が増加した一方、売上債権の増加1,070百万円、法人税等の支払1,887百万円などの資金の減少によるものである。
投資活動により得られた資金は3百万円(同1,787百万円の支出)となった。これは、投資有価証券の売却1,596百万円などによる資金の増加があった一方、投資有価証券の取得による支出1,300百万円などにより資金の減少によるものである。
財務活動により支出した資金は1,274百万円(同52百万円の支出)となった。これは長期借入金の返済1,273百万円と配当金の支払1,201百万円などにより資金の減少があった一方、長期借入れによる収入1,300百万円などによる資金の増加によるものである。
以上から、2025年3月期末の現金及び現金同等物は前期末比3,376百万円増加し13,850百万円となった。また、同社グループが事業拡大や借入金返済、株主への分配などに自由に使える現金を示すフリー・キャッシュ・フローは、4,651百万円と前期の2,302百万円から大きく増加している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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