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エヌ・シー・エヌ Research Memo(8):2026年3月期は「SE構法Ver.3」の販売推進
配信日時:2025/07/08 16:08
配信元:FISCO
*16:08JST エヌ・シー・エヌ Research Memo(8):2026年3月期は「SE構法Ver.3」の販売推進
■エヌ・シー・エヌ<7057>の今後の見通し
1. 2026年3月期の業績予想
2026年3月期の連結業績は、売上高9,016百万円(前期比11.0%増)、営業利益294百万円(同64.9%増)、経常利益326百万円(同11.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益229百万円(同18.5%増)と増収増益を見込む。住宅分野については、第1四半期は建築基準法改正前の駆け込み需要の反動で、住宅新築需要の減少は見込まれるが、通期では建築基準法改正、SE構法の新バージョンリリースを背景として構造計算出荷数やSE構法出荷数の増加を見込み、売上高は5,536百万円(同17.1%増)を予想する。大規模木造建築(非住宅)の分野では、2025年3月期のような大規模案件は予定されていないが、構造計算出荷数とSE構法出荷数の増加から、売上高は2,950百万円(同0.1%増)と前期並みを見込む。環境設計分野は売上高350百万円(同20.7%増)と引き続き大きな成長を、DX・その他の分野も売上高180百万円(同13.6%増)を計画しており、市場ニーズの高まっている成長領域として期待を寄せたい。利益面では、増収効果に加え、同社と子会社・関連会社との協業による業務改善が進むことで子会社や持分法適用関連会社のさらなる黒字化が進み、増益に寄与するだろう。
住宅分野では、売上高5,536百万円(前期比17.1%増)、KPIである構造計算出荷数は1,073棟(同8.5%増)、SE構法出荷数は1,010棟(同12.0%増)を見込んでいる。KPIについては、新築住宅の建築需要が落ち込んだ直近2期からの回復により2023年3月期水準を狙う。「SE構法Ver.3」の販売推進により、減少傾向にあるハウスメーカー向け出荷数の改善を見込むほか、特に登録施工店向け棟数を押し上げることで全体の棟数増加を図る考えである。「SE構法Ver.3」では、従来比少ない壁で設計の自由度が高いため、さらなる差別化が可能な技術として、施工登録店とのタッグにより出荷数の増加につなげる。同社によれば、住宅分野の登録施工店515社(2025年3月期末時点)の年間販売棟数9,650棟のうちSE構法は752棟(7.8%)であったことから、SE構法による取り扱い拡大の余地は大きい。木造住宅の構造計算や省エネ計算の義務化でSE構法の伸びが期待できるほか、「SE構法Ver.3」推進でさらなる増加も視野に入ってこよう。SE構法の優位性の訴求とともに、2026年3月期は登録施工店を36社新規開拓し、設計・施工面の支援を強化することで目標達成の確度を高める。
大規模木造建築(非住宅)分野では、売上高2,950百万円(同0.1%増)を見込む。KPIの構造計算出荷数は265棟(同10.9%増)、SE構法出荷数を152棟(同10.4%増)と、どちらも2ケタ増を計画する。脱炭素に向けたグリーン化や、店舗等の非住宅建築物の木造化ニーズの高まりで引き続き市場の拡大を予想し、SE構法及びSE構法以外の工法にも対応した木構造デザインによりワンストップサービスを推進する。SE構法については住宅分野と同様に、施工・受注網の拡充により目標達成を図る。2026年3月期は「大規模木造建築ネットワーク」により拍車をかけ、2025年3月期の大型案件の剥落を件数増でカバーする考えだ。
その他の分野では、売上高530百万円(前期比18.2%増)を見込む。環境設計分野では、2025年の省エネルギー計算の義務化を受けて、住宅向けの省エネルギー計算出荷と申請サポート業務や設備設計業務の受注増加を想定し、売上高350百万円(同20.7%増)を計画する。特に住宅向けでは2025年3月期から開始した中古住宅のリノベーション需要が期待できそうだ。DX・その他の分野は売上高180百万円(同13.6%増)を見込む。MAKE HOUSEによる「MAKE ViZ」拡販の継続やBIMによる建築確認申請対応設計図書・実施設計図書作成サービスである「MAKE DoC」の展開強化による業績寄与が期待される。
2. 中期計画の進捗状況と今後の成長戦略
中期計画(2024年3月期~2026年3月期)については、新設住宅着工戸数がこれまで低調に推移していた影響から見直す方針としている。建築基準法改正に伴う端境期でもあり、見直し内容の発表時期は検討中である。現時点での同社の分野別成長戦略は以下のとおりである。
住宅分野では、SE構法の新バージョン「SE構法Ver.3」による性能の大幅アップを生かした施策を進める。2026年4月の建築基準法改正により木造戸建住宅の構造基準が見直され、在来工法の必要壁量が従来比1.4倍に増加する。在来工法では間取り等の制約が大きくなるが、SE構法はラーメン構造で間取りの自由度を有する上、新バージョンでは超高耐力の構造用パーティクルボード「G-BOARD」の採用で大空間の開放的な住宅設計を可能とした。同社によれば、壁倍率(木造住宅の耐力壁の強さを表す数値)について、在来工法で壁合板を使用する場合は2.5倍なのに対し、「G-BOARD」採用の場合は11.7倍と相当な高耐力となる。同社はこの優位性を武器に在来工法からのシェア奪取を図るほか、登録施工店への支援強化で構造計算出荷数やSE構法出荷数を増加させる。SE構法は登録施工店での取り扱いがまだ少ないことから、シェアの拡大余地は大きく、優先的に対応する。一方で、建築基準法の改正(構造計算や省エネルギー計算の義務化)により、建築確認申請に要する期間が従来の7日間から35日間に長期化することで、構造計算から売上計上まで約90~120日間かかることとなる。決算上では、売上に約1ヶ月のブランクが空くことで、2026年3月期通期で見れば2027年3月期にずれ込む売上が発生する。2026年3月期業績予想は期ずれをあらかじめ見込んだ計画であり、中期計画でも同様に計画立案を進めると考えられる。
大規模木造建築(非住宅)分野では、木造非住宅の市場拡大に対応し、登録施工店ネットワークを活用して積極的に新規ニーズを掘り起こし、培ってきた木造構造設計技術や、大型木造建築へ対応可能なプレカット加工体制を提案することで、受注獲得機会の拡大につなげる。また「SE構法Ver.3」の提案により鉄骨マーケットからシェア奪取を狙うほか、「大規模木造建築ネットワーク」の展開によってさらに拍車をかける。2025年開催の万博で「BLUE OCEAN DOME」や「ウズベキスタンパビリオン」の建築を手掛けた翠豊の大断面集成材加工や特殊加工は、優れたオンリーワン技術として業界内で注目されており、2025年6月開催の「非住宅・木造建築フェア2025」では出展ブース中で来客の多い展示の1つとなった。同社グループが有する強みを結集し、構造設計、環境設計だけでなくBIMや施工までワンストップの体制を武器に、受注を漏らさぬ対応で大規模木造建築(非住宅)分野を住宅分野に次ぐ、売上シェア40%水準を維持する事業に育成する予定である。
環境設計分野では、住宅・非住宅を問わず、すべての新築建築物に省エネ基準適合が義務化されたことを追い風に、登録施工店ネットワークを中心に販売拡大策を展開する。今後の領域拡大策として、リノベーションでは中古住宅だけでなく施設建築物へ適用を拡大し、ZEB認証については環境に関心の高い企業・団体を中心に需要の取り込みを図る。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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1. 2026年3月期の業績予想
2026年3月期の連結業績は、売上高9,016百万円(前期比11.0%増)、営業利益294百万円(同64.9%増)、経常利益326百万円(同11.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益229百万円(同18.5%増)と増収増益を見込む。住宅分野については、第1四半期は建築基準法改正前の駆け込み需要の反動で、住宅新築需要の減少は見込まれるが、通期では建築基準法改正、SE構法の新バージョンリリースを背景として構造計算出荷数やSE構法出荷数の増加を見込み、売上高は5,536百万円(同17.1%増)を予想する。大規模木造建築(非住宅)の分野では、2025年3月期のような大規模案件は予定されていないが、構造計算出荷数とSE構法出荷数の増加から、売上高は2,950百万円(同0.1%増)と前期並みを見込む。環境設計分野は売上高350百万円(同20.7%増)と引き続き大きな成長を、DX・その他の分野も売上高180百万円(同13.6%増)を計画しており、市場ニーズの高まっている成長領域として期待を寄せたい。利益面では、増収効果に加え、同社と子会社・関連会社との協業による業務改善が進むことで子会社や持分法適用関連会社のさらなる黒字化が進み、増益に寄与するだろう。
住宅分野では、売上高5,536百万円(前期比17.1%増)、KPIである構造計算出荷数は1,073棟(同8.5%増)、SE構法出荷数は1,010棟(同12.0%増)を見込んでいる。KPIについては、新築住宅の建築需要が落ち込んだ直近2期からの回復により2023年3月期水準を狙う。「SE構法Ver.3」の販売推進により、減少傾向にあるハウスメーカー向け出荷数の改善を見込むほか、特に登録施工店向け棟数を押し上げることで全体の棟数増加を図る考えである。「SE構法Ver.3」では、従来比少ない壁で設計の自由度が高いため、さらなる差別化が可能な技術として、施工登録店とのタッグにより出荷数の増加につなげる。同社によれば、住宅分野の登録施工店515社(2025年3月期末時点)の年間販売棟数9,650棟のうちSE構法は752棟(7.8%)であったことから、SE構法による取り扱い拡大の余地は大きい。木造住宅の構造計算や省エネ計算の義務化でSE構法の伸びが期待できるほか、「SE構法Ver.3」推進でさらなる増加も視野に入ってこよう。SE構法の優位性の訴求とともに、2026年3月期は登録施工店を36社新規開拓し、設計・施工面の支援を強化することで目標達成の確度を高める。
大規模木造建築(非住宅)分野では、売上高2,950百万円(同0.1%増)を見込む。KPIの構造計算出荷数は265棟(同10.9%増)、SE構法出荷数を152棟(同10.4%増)と、どちらも2ケタ増を計画する。脱炭素に向けたグリーン化や、店舗等の非住宅建築物の木造化ニーズの高まりで引き続き市場の拡大を予想し、SE構法及びSE構法以外の工法にも対応した木構造デザインによりワンストップサービスを推進する。SE構法については住宅分野と同様に、施工・受注網の拡充により目標達成を図る。2026年3月期は「大規模木造建築ネットワーク」により拍車をかけ、2025年3月期の大型案件の剥落を件数増でカバーする考えだ。
その他の分野では、売上高530百万円(前期比18.2%増)を見込む。環境設計分野では、2025年の省エネルギー計算の義務化を受けて、住宅向けの省エネルギー計算出荷と申請サポート業務や設備設計業務の受注増加を想定し、売上高350百万円(同20.7%増)を計画する。特に住宅向けでは2025年3月期から開始した中古住宅のリノベーション需要が期待できそうだ。DX・その他の分野は売上高180百万円(同13.6%増)を見込む。MAKE HOUSEによる「MAKE ViZ」拡販の継続やBIMによる建築確認申請対応設計図書・実施設計図書作成サービスである「MAKE DoC」の展開強化による業績寄与が期待される。
2. 中期計画の進捗状況と今後の成長戦略
中期計画(2024年3月期~2026年3月期)については、新設住宅着工戸数がこれまで低調に推移していた影響から見直す方針としている。建築基準法改正に伴う端境期でもあり、見直し内容の発表時期は検討中である。現時点での同社の分野別成長戦略は以下のとおりである。
住宅分野では、SE構法の新バージョン「SE構法Ver.3」による性能の大幅アップを生かした施策を進める。2026年4月の建築基準法改正により木造戸建住宅の構造基準が見直され、在来工法の必要壁量が従来比1.4倍に増加する。在来工法では間取り等の制約が大きくなるが、SE構法はラーメン構造で間取りの自由度を有する上、新バージョンでは超高耐力の構造用パーティクルボード「G-BOARD」の採用で大空間の開放的な住宅設計を可能とした。同社によれば、壁倍率(木造住宅の耐力壁の強さを表す数値)について、在来工法で壁合板を使用する場合は2.5倍なのに対し、「G-BOARD」採用の場合は11.7倍と相当な高耐力となる。同社はこの優位性を武器に在来工法からのシェア奪取を図るほか、登録施工店への支援強化で構造計算出荷数やSE構法出荷数を増加させる。SE構法は登録施工店での取り扱いがまだ少ないことから、シェアの拡大余地は大きく、優先的に対応する。一方で、建築基準法の改正(構造計算や省エネルギー計算の義務化)により、建築確認申請に要する期間が従来の7日間から35日間に長期化することで、構造計算から売上計上まで約90~120日間かかることとなる。決算上では、売上に約1ヶ月のブランクが空くことで、2026年3月期通期で見れば2027年3月期にずれ込む売上が発生する。2026年3月期業績予想は期ずれをあらかじめ見込んだ計画であり、中期計画でも同様に計画立案を進めると考えられる。
大規模木造建築(非住宅)分野では、木造非住宅の市場拡大に対応し、登録施工店ネットワークを活用して積極的に新規ニーズを掘り起こし、培ってきた木造構造設計技術や、大型木造建築へ対応可能なプレカット加工体制を提案することで、受注獲得機会の拡大につなげる。また「SE構法Ver.3」の提案により鉄骨マーケットからシェア奪取を狙うほか、「大規模木造建築ネットワーク」の展開によってさらに拍車をかける。2025年開催の万博で「BLUE OCEAN DOME」や「ウズベキスタンパビリオン」の建築を手掛けた翠豊の大断面集成材加工や特殊加工は、優れたオンリーワン技術として業界内で注目されており、2025年6月開催の「非住宅・木造建築フェア2025」では出展ブース中で来客の多い展示の1つとなった。同社グループが有する強みを結集し、構造設計、環境設計だけでなくBIMや施工までワンストップの体制を武器に、受注を漏らさぬ対応で大規模木造建築(非住宅)分野を住宅分野に次ぐ、売上シェア40%水準を維持する事業に育成する予定である。
環境設計分野では、住宅・非住宅を問わず、すべての新築建築物に省エネ基準適合が義務化されたことを追い風に、登録施工店ネットワークを中心に販売拡大策を展開する。今後の領域拡大策として、リノベーションでは中古住宅だけでなく施設建築物へ適用を拡大し、ZEB認証については環境に関心の高い企業・団体を中心に需要の取り込みを図る。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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