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澁澤倉庫 Research Memo(4):2025年3月期は、工場内物流請負業務の通期寄与や拠点拡充などにより増収増益
配信日時:2025/07/02 14:04
配信元:FISCO
*14:04JST 澁澤倉庫 Research Memo(4):2025年3月期は、工場内物流請負業務の通期寄与や拠点拡充などにより増収増益
■業績動向
1. 2025年3月期の業績動向
澁澤倉庫<9304>の2025年3月期の業績は、営業収益が78,620百万円(前期比7.1%増)、営業利益が4,668百万円(同9.3%増)、経常利益が5,583百万円(同9.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が4,908百万円(同31.6%増)と、順調な推移となった。期初計画との比較では、営業収益で620百万円の過達、営業利益で32百万円の未達、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益でそれぞれ283百万円、808百万円の過達となった。
日本経済は、世界経済が全体的に緩やかな成長を維持するなか、雇用・所得環境の改善などを背景に、個人消費や企業の設備投資に持ち直しの動きが見られ、緩やかな回復基調で推移した。一方、物価上昇の長期化が消費者マインドの下振れなどを通じて家計に与える影響や、米国の通商政策をめぐる今後の不確実性の高まりなどにより、先行きは依然として不透明な状況が続いている。こうした環境において、同社は倉庫業や運送業の枠に留まらない総合物流機能の展開を本格化させ、飲料物流や多品種小ロット物流の拠点ネットワークを拡充し、取扱量を増やした。一方で、DX推進の取り組みを一層強化し、省人化とオペレーションの効率化を進め、採算性の向上に努めた。
この結果、営業収益は、全国配送の飲料業務や工場内物流請負業務の通期寄与、医薬機器関連の新規獲得、飲料物流や多品種小ロット物流における拠点拡充、定温/定湿倉庫や危険品倉庫の開設などにより増加に転じた。利益面では、倉庫作業費や運送費の上昇、ドライバーの給与改定など人件費の増加、拠点新設による減価償却費の増加、DX投資の拡大などによりコスト負担は増したものの、増収効果に加え、原価上昇分の価格転嫁、新設拠点の稼働率向上、先進的な物流機器導入による業務の効率化と採算性の向上、テナントビルの稼働率向上などにより、2ケタ近い営業増益を確保することができた。
なお、特別損益で政策保有株式の売却益15億円及び前々期に発生した固定資産処分損の解消により、親会社株主に帰属する当期純利益の伸びが相対的に大きくなった。政策保有株式については、連結純資産比率を5年以内に20%以下にするという縮減方針を掲げ、2024年3月期より年間8億円程度の売却を計画していたが、一部銘柄の株高を受け売却を前倒しする予定で、2026年3月期には18億円の売却額を見込んでいる。。
また、当初予想との比較では、営業収益の過達は、新たに開始した医療機器の扱いや国際貨物の下期の輸出が想定以上となったこと、営業利益の未達は、本牧倉庫が下期稼働となったため先行コストの負担や集荷の後ズレがやや大きくなったことが要因である。経常利益の過達は、株式を所有する企業の業績が好調で増配が多かったこと、親会社株主に帰属する当期純利益の過達は、株式売却益の増額が要因である。
セグメント別では、物流事業も不動産事業も増収2ケタ増益となった(連結調整前)。
物流事業の事業環境は、個人消費の回復が小幅に留まったことから、消費財などの国内貨物の荷動きは横ばいで推移したが、円安効果による生産財の輸出や部品・部材類の輸入などを中心に輸出入は堅調な荷動きとなった。一方、人手不足や物価上昇などにより、引き続き物流コストは増加することとなった。こうした環境において、同社は、飲料物流や多品種小ロット物流の拠点ネットワークを拡充して取扱量の増大を図るとともに、医療機器など新規業務の獲得や適正な運賃・料金の確保に努めた。一方、DX推進を一層強化して省人化とオペレーションの効率化を進めるなど、採算性の向上も進めた。業務別では、倉庫業務や陸上運送業務において、飲料や工場内物流請負業務の通期寄与に加え、医薬品や医療機器、食品など新規事業やEC関連の取り扱いが増加した。また、コスト上昇のなかドライバー確保などのため、適正な運賃や料金の確保に努めた。港湾運送業務は、飲料の荷捌業務が通期寄与したほか、船内荷役業務の取り扱いが増加した。国際輸送業務は、輸入航空貨物の取り扱いは増加したものの、一部アジア域内航路での海上運賃単価の下落に加え、輸出入海上貨物や輸出航空貨物の取り扱いが低調に推移したため、減収となった。
不動産事業の事業環境は、都市部のオフィスビル市場は、空室率が引き続き低下傾向を示し、賃料の上昇も見られ、全体的に安定的に推移した。こうしたなか、同社はテナントビルの稼働率向上に加え、猛暑などを背景に空調設備使用料などの不動産付帯収入が増加した。また、大型工事の受注があったビル工事請負業務も好調に推移した。既存施設においては、計画的に保守改良工事を実施することで、現有資産の価値向上を図るとともに適正料金の確保に努め、安定的な収益基盤の確保・強化を推進した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 2025年3月期の業績動向
澁澤倉庫<9304>の2025年3月期の業績は、営業収益が78,620百万円(前期比7.1%増)、営業利益が4,668百万円(同9.3%増)、経常利益が5,583百万円(同9.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が4,908百万円(同31.6%増)と、順調な推移となった。期初計画との比較では、営業収益で620百万円の過達、営業利益で32百万円の未達、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益でそれぞれ283百万円、808百万円の過達となった。
日本経済は、世界経済が全体的に緩やかな成長を維持するなか、雇用・所得環境の改善などを背景に、個人消費や企業の設備投資に持ち直しの動きが見られ、緩やかな回復基調で推移した。一方、物価上昇の長期化が消費者マインドの下振れなどを通じて家計に与える影響や、米国の通商政策をめぐる今後の不確実性の高まりなどにより、先行きは依然として不透明な状況が続いている。こうした環境において、同社は倉庫業や運送業の枠に留まらない総合物流機能の展開を本格化させ、飲料物流や多品種小ロット物流の拠点ネットワークを拡充し、取扱量を増やした。一方で、DX推進の取り組みを一層強化し、省人化とオペレーションの効率化を進め、採算性の向上に努めた。
この結果、営業収益は、全国配送の飲料業務や工場内物流請負業務の通期寄与、医薬機器関連の新規獲得、飲料物流や多品種小ロット物流における拠点拡充、定温/定湿倉庫や危険品倉庫の開設などにより増加に転じた。利益面では、倉庫作業費や運送費の上昇、ドライバーの給与改定など人件費の増加、拠点新設による減価償却費の増加、DX投資の拡大などによりコスト負担は増したものの、増収効果に加え、原価上昇分の価格転嫁、新設拠点の稼働率向上、先進的な物流機器導入による業務の効率化と採算性の向上、テナントビルの稼働率向上などにより、2ケタ近い営業増益を確保することができた。
なお、特別損益で政策保有株式の売却益15億円及び前々期に発生した固定資産処分損の解消により、親会社株主に帰属する当期純利益の伸びが相対的に大きくなった。政策保有株式については、連結純資産比率を5年以内に20%以下にするという縮減方針を掲げ、2024年3月期より年間8億円程度の売却を計画していたが、一部銘柄の株高を受け売却を前倒しする予定で、2026年3月期には18億円の売却額を見込んでいる。。
また、当初予想との比較では、営業収益の過達は、新たに開始した医療機器の扱いや国際貨物の下期の輸出が想定以上となったこと、営業利益の未達は、本牧倉庫が下期稼働となったため先行コストの負担や集荷の後ズレがやや大きくなったことが要因である。経常利益の過達は、株式を所有する企業の業績が好調で増配が多かったこと、親会社株主に帰属する当期純利益の過達は、株式売却益の増額が要因である。
セグメント別では、物流事業も不動産事業も増収2ケタ増益となった(連結調整前)。
物流事業の事業環境は、個人消費の回復が小幅に留まったことから、消費財などの国内貨物の荷動きは横ばいで推移したが、円安効果による生産財の輸出や部品・部材類の輸入などを中心に輸出入は堅調な荷動きとなった。一方、人手不足や物価上昇などにより、引き続き物流コストは増加することとなった。こうした環境において、同社は、飲料物流や多品種小ロット物流の拠点ネットワークを拡充して取扱量の増大を図るとともに、医療機器など新規業務の獲得や適正な運賃・料金の確保に努めた。一方、DX推進を一層強化して省人化とオペレーションの効率化を進めるなど、採算性の向上も進めた。業務別では、倉庫業務や陸上運送業務において、飲料や工場内物流請負業務の通期寄与に加え、医薬品や医療機器、食品など新規事業やEC関連の取り扱いが増加した。また、コスト上昇のなかドライバー確保などのため、適正な運賃や料金の確保に努めた。港湾運送業務は、飲料の荷捌業務が通期寄与したほか、船内荷役業務の取り扱いが増加した。国際輸送業務は、輸入航空貨物の取り扱いは増加したものの、一部アジア域内航路での海上運賃単価の下落に加え、輸出入海上貨物や輸出航空貨物の取り扱いが低調に推移したため、減収となった。
不動産事業の事業環境は、都市部のオフィスビル市場は、空室率が引き続き低下傾向を示し、賃料の上昇も見られ、全体的に安定的に推移した。こうしたなか、同社はテナントビルの稼働率向上に加え、猛暑などを背景に空調設備使用料などの不動産付帯収入が増加した。また、大型工事の受注があったビル工事請負業務も好調に推移した。既存施設においては、計画的に保守改良工事を実施することで、現有資産の価値向上を図るとともに適正料金の確保に努め、安定的な収益基盤の確保・強化を推進した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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