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矢作建 Research Memo(3):2025年3月期は増収となるも、前期の産業用地売却益の反動減で減益
配信日時:2025/07/02 13:43
配信元:FISCO
*13:43JST 矢作建 Research Memo(3):2025年3月期は増収となるも、前期の産業用地売却益の反動減で減益
■業績動向
1. 2025年3月期の業績概要
矢作建設工業<1870>の2025年3月期の業績は、売上高140,699百万円(前期比17.4%増)、営業利益8,654百万円(同9.0%減)、経常利益8,616百万円(同10.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5,643百万円(同12.7%減)となり、増収減益の決算となった。売上高は、建築事業を中心に施工の進捗が順調に進んだことを主な要因として、過去最高を更新した。一方、利益面では、前期に計上された産業用地売却益の反動減や、人件費の上昇といったコスト増加が影響し減益となった。
主力の建築事業は好調、売上総利益率も上昇に転じる
2. 事業別動向
(1) 建築事業
建築事業は、売上高86,529百万円(前期比32.2%増)、売上総利益4,676百万円(同40.0%増)となった。コロナ禍を経て、民間建築需要や設備投資の回復を背景に、大型物流施設等のプロジェクトが順調に進捗したことにより増収となり、同事業として過去最高の売上高を更新した。用途別では、一般建築工事が68,566百万円(同40.4%増)、マンション工事が17,963百万円(同8.1%増)であった。利益面では、増収効果に加えて売上総利益率が5.4%(同0.3ポイント上昇)に改善したことが寄与して増益となった。2024年3月期は、建築資材高騰の影響により受注時と仕入時の価格の乖離が収益を圧迫していたが、インフレを反映した価格転嫁が進んだこと、さらに顧客とともに価値を創出するプロジェクト推進の成果が奏功した。
(2) 土木事業
土木事業は、売上高32,172百万円(前期比4.6%増)、売上総利益6,159百万円(同1.4%減)となった。宅地造成工事や鉄道高架化工事などの民間工事が伸長し増収となった。用途別では、官庁工事が12,361百万円(同0.9%増)、民間工事が16,031百万円(同7.9%増)、PW工事が3,778百万円(同3.2%増)といずれも堅調に推移した。利益面では、2024年3月期において一部大型工事で大幅な変更増額による利益の獲得があった反動もあり、売上総利益率は19.1%(同1.2ポイント低下)と若干低下して、減益となった。ただし、依然として良好な利益水準を維持している。
(3) 不動産事業
不動産事業では、売上高が21,997百万円(前期比6.8%減)、売上総利益は8,580百万円(同16.0%減)となった。前期の大府東海開発プロジェクト1号宅地売却に伴う売上・利益の反動により、減収減益となった。ただし、同プロジェクト2号地の売却もあり、2023年3月以前との比較では、引き続き高水準を維持した。売上高の内訳は、分譲マンション事業が7,583百万円(同4.5%増)、不動産販売が9,931百万円(同16.8%減)、その他が4,483百万円(同1.8%増)であった。分譲マンション事業では、2025年3月期に完成引渡しを迎えた物件の販売が順調に推移し、183戸(同23戸増)を販売した。
なお、大府東海開発プロジェクトは同社にとって過去最大規模の開発プロジェクトである。愛知県大府市と東海市にまたがる23万平方メートルの工業団地開発として、同社は2017年3月期から土地の取りまとめを開始した。2024年3月期には造成工事と1号宅地の販売を完了した。同年度から建築工事が始まり、2号宅地の販売も進めている。既に売却を完了した1号宅地と2号宅地における収益は、完成工事高・不動産事業等売上高の合計で約1,000億円を見込む。
受注環境は良好、受注高・次期繰越高とも4期連続で過去最高を更新
3. 受注の状況
同社が所属する土木・建築業界では、コロナ禍を経た民間設備投資の回復が続いており、特に建築分野では底堅い需要が見られる。土木分野においても、国土強靭化計画に関連した公共工事が各地で進められており、堅調な受注環境が続いている。一方、慢性的な施工キャパシティ不足が続いており、需要と供給のミスマッチが生じている。こうした環境は、施工能力を確保している企業にとっては大きな機会となっており、同社にとっても追い風となっている。
(1) 受注高
2025年3月期の受注高は、建築事業・土木事業とも複数の大型工事を受注し、146,182百万円(前期比8.3%増)と4期連続で過去最高を更新した。事業別では、建築事業は民間工事がほぼ100%を占めており、内訳はマンション工事が14.7%、一般建設工事が85.3%となった。一般建設工事は前期比若干の減少(0.9%減)となったものの、中部圏に加えて、首都圏でも大型建築案件を受注し、依然として高い水準を維持した。土木事業では、過去より官民拮抗した受注高を確保しているが、民間(PW工事含む)が25,889百万円(同67.8%増)と大幅に伸ばした。なおPW工事の受注も底堅く推移している。
(2) 次期繰越高
2026年3月期以降の売上高に寄与する次期繰越高は、2025年3月期末の時点で163,985百万円(前期比18.7%増)と、受注高と同じく4期連続で過去最高を更新した。内訳は官庁が14.1%、民間が85.9%である。事業別では、建築事業は民間がほぼ100%、土木事業は官民おおむね半々となっている。なお、受注から完成工事までの期間は、プロジェクトの規模や建物の構造等によるものの、建築事業・土木事業ともに1.5〜3年が平均となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉俊輔)
<HN>
1. 2025年3月期の業績概要
矢作建設工業<1870>の2025年3月期の業績は、売上高140,699百万円(前期比17.4%増)、営業利益8,654百万円(同9.0%減)、経常利益8,616百万円(同10.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5,643百万円(同12.7%減)となり、増収減益の決算となった。売上高は、建築事業を中心に施工の進捗が順調に進んだことを主な要因として、過去最高を更新した。一方、利益面では、前期に計上された産業用地売却益の反動減や、人件費の上昇といったコスト増加が影響し減益となった。
主力の建築事業は好調、売上総利益率も上昇に転じる
2. 事業別動向
(1) 建築事業
建築事業は、売上高86,529百万円(前期比32.2%増)、売上総利益4,676百万円(同40.0%増)となった。コロナ禍を経て、民間建築需要や設備投資の回復を背景に、大型物流施設等のプロジェクトが順調に進捗したことにより増収となり、同事業として過去最高の売上高を更新した。用途別では、一般建築工事が68,566百万円(同40.4%増)、マンション工事が17,963百万円(同8.1%増)であった。利益面では、増収効果に加えて売上総利益率が5.4%(同0.3ポイント上昇)に改善したことが寄与して増益となった。2024年3月期は、建築資材高騰の影響により受注時と仕入時の価格の乖離が収益を圧迫していたが、インフレを反映した価格転嫁が進んだこと、さらに顧客とともに価値を創出するプロジェクト推進の成果が奏功した。
(2) 土木事業
土木事業は、売上高32,172百万円(前期比4.6%増)、売上総利益6,159百万円(同1.4%減)となった。宅地造成工事や鉄道高架化工事などの民間工事が伸長し増収となった。用途別では、官庁工事が12,361百万円(同0.9%増)、民間工事が16,031百万円(同7.9%増)、PW工事が3,778百万円(同3.2%増)といずれも堅調に推移した。利益面では、2024年3月期において一部大型工事で大幅な変更増額による利益の獲得があった反動もあり、売上総利益率は19.1%(同1.2ポイント低下)と若干低下して、減益となった。ただし、依然として良好な利益水準を維持している。
(3) 不動産事業
不動産事業では、売上高が21,997百万円(前期比6.8%減)、売上総利益は8,580百万円(同16.0%減)となった。前期の大府東海開発プロジェクト1号宅地売却に伴う売上・利益の反動により、減収減益となった。ただし、同プロジェクト2号地の売却もあり、2023年3月以前との比較では、引き続き高水準を維持した。売上高の内訳は、分譲マンション事業が7,583百万円(同4.5%増)、不動産販売が9,931百万円(同16.8%減)、その他が4,483百万円(同1.8%増)であった。分譲マンション事業では、2025年3月期に完成引渡しを迎えた物件の販売が順調に推移し、183戸(同23戸増)を販売した。
なお、大府東海開発プロジェクトは同社にとって過去最大規模の開発プロジェクトである。愛知県大府市と東海市にまたがる23万平方メートルの工業団地開発として、同社は2017年3月期から土地の取りまとめを開始した。2024年3月期には造成工事と1号宅地の販売を完了した。同年度から建築工事が始まり、2号宅地の販売も進めている。既に売却を完了した1号宅地と2号宅地における収益は、完成工事高・不動産事業等売上高の合計で約1,000億円を見込む。
受注環境は良好、受注高・次期繰越高とも4期連続で過去最高を更新
3. 受注の状況
同社が所属する土木・建築業界では、コロナ禍を経た民間設備投資の回復が続いており、特に建築分野では底堅い需要が見られる。土木分野においても、国土強靭化計画に関連した公共工事が各地で進められており、堅調な受注環境が続いている。一方、慢性的な施工キャパシティ不足が続いており、需要と供給のミスマッチが生じている。こうした環境は、施工能力を確保している企業にとっては大きな機会となっており、同社にとっても追い風となっている。
(1) 受注高
2025年3月期の受注高は、建築事業・土木事業とも複数の大型工事を受注し、146,182百万円(前期比8.3%増)と4期連続で過去最高を更新した。事業別では、建築事業は民間工事がほぼ100%を占めており、内訳はマンション工事が14.7%、一般建設工事が85.3%となった。一般建設工事は前期比若干の減少(0.9%減)となったものの、中部圏に加えて、首都圏でも大型建築案件を受注し、依然として高い水準を維持した。土木事業では、過去より官民拮抗した受注高を確保しているが、民間(PW工事含む)が25,889百万円(同67.8%増)と大幅に伸ばした。なおPW工事の受注も底堅く推移している。
(2) 次期繰越高
2026年3月期以降の売上高に寄与する次期繰越高は、2025年3月期末の時点で163,985百万円(前期比18.7%増)と、受注高と同じく4期連続で過去最高を更新した。内訳は官庁が14.1%、民間が85.9%である。事業別では、建築事業は民間がほぼ100%、土木事業は官民おおむね半々となっている。なお、受注から完成工事までの期間は、プロジェクトの規模や建物の構造等によるものの、建築事業・土木事業ともに1.5〜3年が平均となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉俊輔)
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