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ダイナムジャパンHD Research Memo(3):4つの強みを生かして強固な経営基盤を確立し、他社との差別化を実現
配信日時:2025/07/01 15:03
配信元:FISCO
*15:03JST ダイナムジャパンHD Research Memo(3):4つの強みを生かして強固な経営基盤を確立し、他社との差別化を実現
■ダイナムジャパンホールディングスの会社概要
2. ダイナムジャパンホールディングスグループの特長と強み
同社は多くの特長や強みを備えているが、なかでも弊社は、1) 国内トップの店舗数、2) ローコストオペレーション、3) 顧客視点の経営、4) 高い資金調達力の4点に注目している。これらの強みは個別に存在するだけでなく、相互に補完・強化し合う関係にある。言い換えれば、これらの要素が連動することで独自の競争優位性を形成しており、他社が同様の体制を構築するのは容易ではない。
(1) グループ店舗数は427店舗と国内最大手
警察庁「令和6年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」より全国のパチンコ・パチスロ店は2024年12月末時点で6,706店舗(前年比377店舗減)となり、ピークだった1995年の18,244店舗から4割弱の水準にまで減少した。このうち、同社グループの店舗数は2025年3月末時点で427店舗と国内トップである。集計時期のずれによって厳密な比較ではないものの、国内シェアは店舗数、遊技機の設置台数ともに6.4%となっている。業界シェアで1%を超えたのが2003年であり、業界全体の店舗数が減少傾向となるなかで、同社はM&Aも含めた多店舗展開によって着実にシェアを拡大してきた。店舗数は2020年3月期以降、コロナ禍による市場環境の悪化で不採算店舗の閉店を進めたこともあり、2019年3月期の450店舗をピークに頭打ちの状況となっているが、今後も店舗数を拡大する方針には変わりない。
同社グループは、出店戦略として店舗形態を標準化し、賃料を抑えられる地方の人口集積地(人口3〜5万人の商圏)に集中的に出店することで、多店舗展開を進めてきた。このスケールメリットにより、遊技機や景品等の購入コストを抑制している。店舗数が多いということは、それだけ遊技機の購入台数も増え、遊技機メーカーに対するバイイングパワー(価格交渉力)が強まることになる。また、PB機の開発・導入を積極的に進めている※。
※ 2025年3月末のパチンコ設置台数に占めるPB機比率は11.2%。
さらに、全国16ヶ所に各々30店舗前後をカバーする物流センターを設置し、店舗間で機種を融通し合うことで機械費(遊技機の購入額)の抑制と物流コストの低減につなげている。店舗間で機種の融通を図ることで、顧客ニーズに応じて機種の品揃えを変更するなど機動的な店舗運営を実現し、集客増とコスト削減を両立できる体制を構築している。
(2) ローコストオペレーション
チェーンストア理論に基づくローコストオペレーションは同社の競争力の源泉であり、成長戦略を含むすべての施策の実現性及び有効性を支える重要な要素であると弊社は考えている。
パチンコ事業の主要経費は機械費と人件費だが、これらの直接的な費用の削減だけでなく、同社では少ない従業員数でオペレーションを可能にする店舗設計や店舗運営システムの導入、新規出店の標準化など、様々な面にチェーンストア理論を適用している。これにより、同社グループ全体としてのローコスト化を実現している。
前述のとおり、同社は国内トップの427店舗を展開している。これは積極的な多店舗展開策の結果であり、それを可能とした原動力もチェーンストア理論である。店舗数増大がスケールメリットによるコスト削減につながるという好循環に加えて、顧客視点に立った経営も、チェーンストア理論があるからこそ実現できていると考えられる。
(3) 顧客視点に立った経営の実践
同社は5つの経営方針の1つに“顧客第一主義”を掲げ、実践している。同様の経営方針を掲げる企業はあっても、それを実践しているところは少ないと思われ、同社の特長の1つと弊社では考えている。
同社の様々な経営施策のなかで“低貸玉営業”と、“射幸性に頼らない営業”の2つを特に弊社では評価している。これらは同社の経営方針や成長戦略を理解するうえでのキーワードでもある。
a) 低貸玉営業
低貸玉営業形態とは、パチンコにおいて、通常の貸玉料である4円よりも安価な1円もしくは2円で玉を貸し出す営業形態を指す。この方式では、来店客は同じ料金でより多くの玉を借りて長く遊ぶことが可能となる。地域社会のインフラとして、パチンコを誰もが気軽に楽しめる日常の娯楽とすることを目指す同社にとって、低貸玉店舗の拡大は合理的な施策である。
2025年3月末の低貸玉店舗数は253店舗と、全体の59.3%を占める。2021年3月期以降はコロナ禍で主要顧客ターゲットであるシニア層の客足低迷が続いたため、低稼働が続いていた不採算店舗の閉店を進めた結果、ピーク時(2020年3月期末274店舗)よりも若干減少している。しかし、中長期的には高齢者人口の増加によりシニア層の客数が回復すると見られ、低貸玉店舗の比率を高める方針に変わりない。この戦略を継続するには相応の企業体力が必要であり、同社の場合、その方策が多店舗展開とローコストオペレーションの実践にある。
b) 射幸性に頼らない営業
“射幸性に頼らない営業”とは文字どおり、射幸性の高い機種を集客の中心戦略とはしないことを指している。パチンコ機には大当たりの確率が高いものから低いものまで様々な種類があり、確率が低い機種ほど大当たりした場合の出玉数が多くなる。パチンコホールでは、一般的にコアなファン層の嗜好に合わせて高射幸性機種の構成比を高めて集客を行うことが多い。しかし同社は、高射幸性機種の割合が業界平均に比べて低く、最も射幸性の低い確率1/100タイプの構成比が業界平均よりも20ポイント以上高く、射幸性に頼らない店舗運営を特徴としている。
顧客の年齢層別構成比を見ると、同社の来客数のうち4割強がシニア層、4割弱が40~50代のミドル層、2割弱が10~30代の若年層となっている。これを踏まえ、同社は今後幅広い客層に支持される店舗づくりに取り組む方針を打ち出している。
(4) 上場企業の強みを生かした資金調達力
同社は2012年にパチンコホール業界で初めて香港証券取引所に株式を上場した。約1,500社と言われるパチンコホール企業のなかで、株式を上場しているのは同社を含めて2025年3月末時点で3社しかない。今後予想される業界再編において、買い手となれるかどうかの重要な条件の1つが資金調達力である。同社は2015年11月の夢コーポレーション(株)のグループ化により上場企業としての強みを生かし、全株式を株式交換により取得した。M&Aに限らず店舗投資や新事業展開などによる資金需要に対して、上場企業であることのメリットは大きく、資金調達力という点において今後も有利に働くと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. ダイナムジャパンホールディングスグループの特長と強み
同社は多くの特長や強みを備えているが、なかでも弊社は、1) 国内トップの店舗数、2) ローコストオペレーション、3) 顧客視点の経営、4) 高い資金調達力の4点に注目している。これらの強みは個別に存在するだけでなく、相互に補完・強化し合う関係にある。言い換えれば、これらの要素が連動することで独自の競争優位性を形成しており、他社が同様の体制を構築するのは容易ではない。
(1) グループ店舗数は427店舗と国内最大手
警察庁「令和6年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」より全国のパチンコ・パチスロ店は2024年12月末時点で6,706店舗(前年比377店舗減)となり、ピークだった1995年の18,244店舗から4割弱の水準にまで減少した。このうち、同社グループの店舗数は2025年3月末時点で427店舗と国内トップである。集計時期のずれによって厳密な比較ではないものの、国内シェアは店舗数、遊技機の設置台数ともに6.4%となっている。業界シェアで1%を超えたのが2003年であり、業界全体の店舗数が減少傾向となるなかで、同社はM&Aも含めた多店舗展開によって着実にシェアを拡大してきた。店舗数は2020年3月期以降、コロナ禍による市場環境の悪化で不採算店舗の閉店を進めたこともあり、2019年3月期の450店舗をピークに頭打ちの状況となっているが、今後も店舗数を拡大する方針には変わりない。
同社グループは、出店戦略として店舗形態を標準化し、賃料を抑えられる地方の人口集積地(人口3〜5万人の商圏)に集中的に出店することで、多店舗展開を進めてきた。このスケールメリットにより、遊技機や景品等の購入コストを抑制している。店舗数が多いということは、それだけ遊技機の購入台数も増え、遊技機メーカーに対するバイイングパワー(価格交渉力)が強まることになる。また、PB機の開発・導入を積極的に進めている※。
※ 2025年3月末のパチンコ設置台数に占めるPB機比率は11.2%。
さらに、全国16ヶ所に各々30店舗前後をカバーする物流センターを設置し、店舗間で機種を融通し合うことで機械費(遊技機の購入額)の抑制と物流コストの低減につなげている。店舗間で機種の融通を図ることで、顧客ニーズに応じて機種の品揃えを変更するなど機動的な店舗運営を実現し、集客増とコスト削減を両立できる体制を構築している。
(2) ローコストオペレーション
チェーンストア理論に基づくローコストオペレーションは同社の競争力の源泉であり、成長戦略を含むすべての施策の実現性及び有効性を支える重要な要素であると弊社は考えている。
パチンコ事業の主要経費は機械費と人件費だが、これらの直接的な費用の削減だけでなく、同社では少ない従業員数でオペレーションを可能にする店舗設計や店舗運営システムの導入、新規出店の標準化など、様々な面にチェーンストア理論を適用している。これにより、同社グループ全体としてのローコスト化を実現している。
前述のとおり、同社は国内トップの427店舗を展開している。これは積極的な多店舗展開策の結果であり、それを可能とした原動力もチェーンストア理論である。店舗数増大がスケールメリットによるコスト削減につながるという好循環に加えて、顧客視点に立った経営も、チェーンストア理論があるからこそ実現できていると考えられる。
(3) 顧客視点に立った経営の実践
同社は5つの経営方針の1つに“顧客第一主義”を掲げ、実践している。同様の経営方針を掲げる企業はあっても、それを実践しているところは少ないと思われ、同社の特長の1つと弊社では考えている。
同社の様々な経営施策のなかで“低貸玉営業”と、“射幸性に頼らない営業”の2つを特に弊社では評価している。これらは同社の経営方針や成長戦略を理解するうえでのキーワードでもある。
a) 低貸玉営業
低貸玉営業形態とは、パチンコにおいて、通常の貸玉料である4円よりも安価な1円もしくは2円で玉を貸し出す営業形態を指す。この方式では、来店客は同じ料金でより多くの玉を借りて長く遊ぶことが可能となる。地域社会のインフラとして、パチンコを誰もが気軽に楽しめる日常の娯楽とすることを目指す同社にとって、低貸玉店舗の拡大は合理的な施策である。
2025年3月末の低貸玉店舗数は253店舗と、全体の59.3%を占める。2021年3月期以降はコロナ禍で主要顧客ターゲットであるシニア層の客足低迷が続いたため、低稼働が続いていた不採算店舗の閉店を進めた結果、ピーク時(2020年3月期末274店舗)よりも若干減少している。しかし、中長期的には高齢者人口の増加によりシニア層の客数が回復すると見られ、低貸玉店舗の比率を高める方針に変わりない。この戦略を継続するには相応の企業体力が必要であり、同社の場合、その方策が多店舗展開とローコストオペレーションの実践にある。
b) 射幸性に頼らない営業
“射幸性に頼らない営業”とは文字どおり、射幸性の高い機種を集客の中心戦略とはしないことを指している。パチンコ機には大当たりの確率が高いものから低いものまで様々な種類があり、確率が低い機種ほど大当たりした場合の出玉数が多くなる。パチンコホールでは、一般的にコアなファン層の嗜好に合わせて高射幸性機種の構成比を高めて集客を行うことが多い。しかし同社は、高射幸性機種の割合が業界平均に比べて低く、最も射幸性の低い確率1/100タイプの構成比が業界平均よりも20ポイント以上高く、射幸性に頼らない店舗運営を特徴としている。
顧客の年齢層別構成比を見ると、同社の来客数のうち4割強がシニア層、4割弱が40~50代のミドル層、2割弱が10~30代の若年層となっている。これを踏まえ、同社は今後幅広い客層に支持される店舗づくりに取り組む方針を打ち出している。
(4) 上場企業の強みを生かした資金調達力
同社は2012年にパチンコホール業界で初めて香港証券取引所に株式を上場した。約1,500社と言われるパチンコホール企業のなかで、株式を上場しているのは同社を含めて2025年3月末時点で3社しかない。今後予想される業界再編において、買い手となれるかどうかの重要な条件の1つが資金調達力である。同社は2015年11月の夢コーポレーション(株)のグループ化により上場企業としての強みを生かし、全株式を株式交換により取得した。M&Aに限らず店舗投資や新事業展開などによる資金需要に対して、上場企業であることのメリットは大きく、資金調達力という点において今後も有利に働くと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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