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萩原電気HD Research Memo(7):中期経営計画「MNV2026」を推進中、「稼ぐ力」を一段と強化する
配信日時:2025/06/30 11:07
配信元:FISCO
*11:07JST 萩原電気HD Research Memo(7):中期経営計画「MNV2026」を推進中、「稼ぐ力」を一段と強化する
■中長期の成長戦略
萩原電気ホールディングス<7467>は、2022年3月期から2024年3月期を対象とする中期経営計画「Make New Value 2023(MNV2023)」を遂行していたが、最終年度の経営目標を1年前倒しで達成した。その後2024年4月に、2027年3月期を最終年度とする新しい中期経営計画「Make New Value 2026(MNV2026)」を発表した。以下がその概要である。
1. 中期経営計画「MNV2026」の位置付け
同社は「MNV2026」を、「企業価値向上を重視したマネジメントスタイルへの変革を目指すとともに、次なる成長ステージへの進化に向けた準備としての計画」と位置付けている。「MNV2023」が「先進エレクトロニクスで未来を創造するソリューションデザインカンパニー」を目指したのに対して、「MNV2026」は「先進エレクトロニクスで人と社会とテクノロジーをつなぐエンジニアリングソリューションパートナー」を目指している。外部環境変化を考慮した成長ステージに向けた構造変革・事業基盤の確立を目的としているが、「MNV2026」が終了した後に来る「次なる成長ステージ=MNV Next」に向けた基盤づくりとも言える。
2. 「MNV2026」の基本骨子
同社は、「MNV2026」の重点方針として「企業価値向上~稼ぐ力の向上~」を掲げている。さらにこれを達成するために、以下のような3つの構造改革と6つの重点戦略を推進する計画だ。
(1) 3つの構造改革
事業構造:ビジネスモデル変革による提供価値の向上
資本生産性:資本生産性を意識したマネジメント改革
人的資本:人的資本活用による従業員パワーの最大化
(2) 6つの重点戦略:変革・実行力・効率化による成長
デバイス事業戦略
ソリューション事業戦略
ビジネスイノベーション戦略
経営管理高度化
人材戦略
ESG推進
3. 計数目標
事業規模の拡大と新たな収益モデルへの積極投資を行い、2027年3月期に売上高3,000億円、営業利益110億円を目指す。また財務面では、適切な財務レバレッジを効かせた規模拡大と成長投資を加速させ、ROE11%以上を目指す。これを実現するために、配当性向の目安を従来の30%から30~40%に変更し、純資産配当率も勘案したうえで安定配当を行う方針だ。
デバイス事業では新商流獲得とインド展開に注力。ソリューション事業では新たな収益源としてDP事業を育成
4. 施策の進捗状況
(1) デバイス事業:顧客開拓による領域拡大
1) 新商流獲得による事業規模・提案領域の拡充
同社は新たな商流の獲得による基盤事業の規模拡大に加えて、電装品の理解領域が広がることによる提案領域の拡充を狙いとしたサービス領域拡充に向けた人的投資、研究開発投資を活発化させた。2025年3月期における新商流獲得による増収効果は約170億円とのことである。
2) 技術営業拠点の増設によるインドビジネス拡大
2024年10月、インド自動車市場に向けた車載システムソリューションの展開を加速させるため、新たにデリー、プネーの2拠点を開設し、インド北部から南部エリアをカバーした。既存のバンガロールを含めた3拠点体制で、日系企業のほか、インドローカル企業へのビジネス開拓を推進している。
(2) ソリューション事業:DP事業の確立
1) DP事業立ち上げによる収益構造改革
2024年4月、データを価値化するソリューション提供をビジネスとするDP事業を立ち上げた。このDP事業は、例えばプラットフォームソリューションを月額チャージで提供するようなストック型のビジネスモデルであり、現在の事業モデル(組込基板の販売やソフト開発等=売り切りモデル)とは異なる。今後は、ストックビジネスの拡大や、既存事業とデータ活用技術の融合による、顧客の事業全体の最適化や新たなビジネス創出などに貢献するソリューション構築が可能になり、ソリューション事業の柱として確立したい考えだ。
2) ベラダティの子会社化によるシナジー発揮
2024年7月、IoTデータプラットフォーム「BallaDati」を展開するベラダティを子会社化し、上記のDP事業の中核となるデータ基盤を内製化する。顧客対応の迅速化に加え、顧客ベースやブランド力のリソース共有によるシナジー効果の発揮を期待している。
このM&Aにより、3,000百万円を支払い、2025年3月期末で2,643百万円の「のれん」を無形固定資産に計上。11年間で償却する予定である。
(3) 企業価値向上:収益力の強化
収益力の強化に向けた各事業の戦略策定、実行、モニタリングについて、ITインフラ実装によるデータの見える化と意思決定の迅速化を図った。
デバイス販売においては、新商流が加わったことで車の電装品に関する理解が広がり、提案領域を拡大する。また、卸モデル拡大を活用した付加価値商材の事業機会を発掘することに加え、付加価値拡大に向けた投資を実行することで、付加価値商材が拡大する。
さらにDP事業の確立に向けたM&Aを実行(例:ベラダティ)した。これを含めて、新事業の確立による収益構造変革と顧客拡大を図る。
(4) 企業価値向上:事業リスクの低減
1) 財務施策:資本政策の開示と環境構築
・中期経営計画にて、「資本生産性を意識したマネジメント改革」を明確化
・経営管理高度化の環境構築としてグループ全社の経営層向け経営管理システムの運用開始
・金融環境の変化対応及び資金調達方針について取締役会にて協議
・取引条件などの改善に向けた取り組み実行
2) 非財務施策
(サステナビリティ経営推進)
・新マテリアリティの設定
「稼ぐ力の向上(収益構造改革)」
「気候変動を中心とした環境課題への対応」
「人的資本経営によるヒトの力の最大化」
「健全で信頼される企業基盤」
・気候変動対応の深化
Scope1、2算定拠点範囲をグループ全拠点に拡大
Scope3の算定ロジックの精緻化
サプライチェーンへのエンゲージメント活動
・人的資本経営骨子を策定、人事制度を刷新(2024年4月より運用)
KGI:人的資本生産性
サブKGI:人的資本投資/従業員エンゲージメント
(ガバナンス強化)
・取締役会の多様性確保(2024年6月時点の状況)
女性取締役を2名選任
取締役過半数を独立社外取締役で構成
・政策保有株式の見直し
保有株式の一部縮減
持ち株会からの退会方針決定
2024年6月末時点で1社退会、2社売却済み
(5) 企業価値向上:ステークホルダーエンゲージメント向上
株式市場との対話や情報開示の充実などを通じた成長期待の醸成、ステークホルダーエンゲージメントの向上を目指す。
(投資家との積極的な対話と社内フィードバック)
・機関投資家個別面談実績(2025年3月期の実績)
IR46件、SR10件
・個人投資家との対話活動
IR展示会出展、株主通信にて株主アンケート実施、ホームページなど問い合わせ対応
・対話内容を取締役会において経営陣へフィードバック
IR四半期ごと、SR年1回
(情報開示の拡充、情報提供の公平性の向上)
・英文開示範囲の拡充:短信サマリー、適時開示、決算説明会資料
・自社サイト及びログミーにて質疑応答を含む決算説明会スクリプト公開
・レポート発行:フィスコ(日本語版)及びウォールデンリサーチジャパン(日英語版)
(PR活動及びCSR活動の活発化によるコーポレートブランドの向上)
・PRプレス発信増加とプラットフォーム活用による情報配信強化
・新聞及び専門誌などへの記事及び広告掲載
・地域貢献
地元スポーツチームとのパートナー契約
大学研究室との共同研究やアカデミック講座開催
小中高生向け会社訪問イベント
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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萩原電気ホールディングス<7467>は、2022年3月期から2024年3月期を対象とする中期経営計画「Make New Value 2023(MNV2023)」を遂行していたが、最終年度の経営目標を1年前倒しで達成した。その後2024年4月に、2027年3月期を最終年度とする新しい中期経営計画「Make New Value 2026(MNV2026)」を発表した。以下がその概要である。
1. 中期経営計画「MNV2026」の位置付け
同社は「MNV2026」を、「企業価値向上を重視したマネジメントスタイルへの変革を目指すとともに、次なる成長ステージへの進化に向けた準備としての計画」と位置付けている。「MNV2023」が「先進エレクトロニクスで未来を創造するソリューションデザインカンパニー」を目指したのに対して、「MNV2026」は「先進エレクトロニクスで人と社会とテクノロジーをつなぐエンジニアリングソリューションパートナー」を目指している。外部環境変化を考慮した成長ステージに向けた構造変革・事業基盤の確立を目的としているが、「MNV2026」が終了した後に来る「次なる成長ステージ=MNV Next」に向けた基盤づくりとも言える。
2. 「MNV2026」の基本骨子
同社は、「MNV2026」の重点方針として「企業価値向上~稼ぐ力の向上~」を掲げている。さらにこれを達成するために、以下のような3つの構造改革と6つの重点戦略を推進する計画だ。
(1) 3つの構造改革
事業構造:ビジネスモデル変革による提供価値の向上
資本生産性:資本生産性を意識したマネジメント改革
人的資本:人的資本活用による従業員パワーの最大化
(2) 6つの重点戦略:変革・実行力・効率化による成長
デバイス事業戦略
ソリューション事業戦略
ビジネスイノベーション戦略
経営管理高度化
人材戦略
ESG推進
3. 計数目標
事業規模の拡大と新たな収益モデルへの積極投資を行い、2027年3月期に売上高3,000億円、営業利益110億円を目指す。また財務面では、適切な財務レバレッジを効かせた規模拡大と成長投資を加速させ、ROE11%以上を目指す。これを実現するために、配当性向の目安を従来の30%から30~40%に変更し、純資産配当率も勘案したうえで安定配当を行う方針だ。
デバイス事業では新商流獲得とインド展開に注力。ソリューション事業では新たな収益源としてDP事業を育成
4. 施策の進捗状況
(1) デバイス事業:顧客開拓による領域拡大
1) 新商流獲得による事業規模・提案領域の拡充
同社は新たな商流の獲得による基盤事業の規模拡大に加えて、電装品の理解領域が広がることによる提案領域の拡充を狙いとしたサービス領域拡充に向けた人的投資、研究開発投資を活発化させた。2025年3月期における新商流獲得による増収効果は約170億円とのことである。
2) 技術営業拠点の増設によるインドビジネス拡大
2024年10月、インド自動車市場に向けた車載システムソリューションの展開を加速させるため、新たにデリー、プネーの2拠点を開設し、インド北部から南部エリアをカバーした。既存のバンガロールを含めた3拠点体制で、日系企業のほか、インドローカル企業へのビジネス開拓を推進している。
(2) ソリューション事業:DP事業の確立
1) DP事業立ち上げによる収益構造改革
2024年4月、データを価値化するソリューション提供をビジネスとするDP事業を立ち上げた。このDP事業は、例えばプラットフォームソリューションを月額チャージで提供するようなストック型のビジネスモデルであり、現在の事業モデル(組込基板の販売やソフト開発等=売り切りモデル)とは異なる。今後は、ストックビジネスの拡大や、既存事業とデータ活用技術の融合による、顧客の事業全体の最適化や新たなビジネス創出などに貢献するソリューション構築が可能になり、ソリューション事業の柱として確立したい考えだ。
2) ベラダティの子会社化によるシナジー発揮
2024年7月、IoTデータプラットフォーム「BallaDati」を展開するベラダティを子会社化し、上記のDP事業の中核となるデータ基盤を内製化する。顧客対応の迅速化に加え、顧客ベースやブランド力のリソース共有によるシナジー効果の発揮を期待している。
このM&Aにより、3,000百万円を支払い、2025年3月期末で2,643百万円の「のれん」を無形固定資産に計上。11年間で償却する予定である。
(3) 企業価値向上:収益力の強化
収益力の強化に向けた各事業の戦略策定、実行、モニタリングについて、ITインフラ実装によるデータの見える化と意思決定の迅速化を図った。
デバイス販売においては、新商流が加わったことで車の電装品に関する理解が広がり、提案領域を拡大する。また、卸モデル拡大を活用した付加価値商材の事業機会を発掘することに加え、付加価値拡大に向けた投資を実行することで、付加価値商材が拡大する。
さらにDP事業の確立に向けたM&Aを実行(例:ベラダティ)した。これを含めて、新事業の確立による収益構造変革と顧客拡大を図る。
(4) 企業価値向上:事業リスクの低減
1) 財務施策:資本政策の開示と環境構築
・中期経営計画にて、「資本生産性を意識したマネジメント改革」を明確化
・経営管理高度化の環境構築としてグループ全社の経営層向け経営管理システムの運用開始
・金融環境の変化対応及び資金調達方針について取締役会にて協議
・取引条件などの改善に向けた取り組み実行
2) 非財務施策
(サステナビリティ経営推進)
・新マテリアリティの設定
「稼ぐ力の向上(収益構造改革)」
「気候変動を中心とした環境課題への対応」
「人的資本経営によるヒトの力の最大化」
「健全で信頼される企業基盤」
・気候変動対応の深化
Scope1、2算定拠点範囲をグループ全拠点に拡大
Scope3の算定ロジックの精緻化
サプライチェーンへのエンゲージメント活動
・人的資本経営骨子を策定、人事制度を刷新(2024年4月より運用)
KGI:人的資本生産性
サブKGI:人的資本投資/従業員エンゲージメント
(ガバナンス強化)
・取締役会の多様性確保(2024年6月時点の状況)
女性取締役を2名選任
取締役過半数を独立社外取締役で構成
・政策保有株式の見直し
保有株式の一部縮減
持ち株会からの退会方針決定
2024年6月末時点で1社退会、2社売却済み
(5) 企業価値向上:ステークホルダーエンゲージメント向上
株式市場との対話や情報開示の充実などを通じた成長期待の醸成、ステークホルダーエンゲージメントの向上を目指す。
(投資家との積極的な対話と社内フィードバック)
・機関投資家個別面談実績(2025年3月期の実績)
IR46件、SR10件
・個人投資家との対話活動
IR展示会出展、株主通信にて株主アンケート実施、ホームページなど問い合わせ対応
・対話内容を取締役会において経営陣へフィードバック
IR四半期ごと、SR年1回
(情報開示の拡充、情報提供の公平性の向上)
・英文開示範囲の拡充:短信サマリー、適時開示、決算説明会資料
・自社サイト及びログミーにて質疑応答を含む決算説明会スクリプト公開
・レポート発行:フィスコ(日本語版)及びウォールデンリサーチジャパン(日英語版)
(PR活動及びCSR活動の活発化によるコーポレートブランドの向上)
・PRプレス発信増加とプラットフォーム活用による情報配信強化
・新聞及び専門誌などへの記事及び広告掲載
・地域貢献
地元スポーツチームとのパートナー契約
大学研究室との共同研究やアカデミック講座開催
小中高生向け会社訪問イベント
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
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