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アイカ工 Research Memo(5):建装建材国内が「スマートサニタリー」など高付加価値商品で成長をけん引
配信日時:2025/07/14 15:05
配信元:FISCO
*15:05JST アイカ工 Research Memo(5):建装建材国内が「スマートサニタリー」など高付加価値商品で成長をけん引
■アイカ工業<4206>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) 化成品セグメント
化成品セグメントは、前期比6.4%増の売上高138,587百万円と4期連続で最高額を更新し、機能材料や高機能接着剤の拡販が寄与した。一方、営業利益は9,331百万円(同0.6%増)と小幅ながら増益している。原燃料高に対する価格転嫁効果や国内の増販益があった一方、海外では設備投資による減価償却費の増加の他、タイ市場が奮わなかったことから、営業利益率は前期の7.1%から6.7%に低下している。
国内売上高は、接着剤、建設樹脂、機能材料の3本柱がそろって伸長した。接着剤では自動車向けホットメルトが拡大し、施工用や木工・家具用も堅調を維持している。
建設樹脂は、「ジョリエース」や水性硬質ウレタン床材「アイカピュール」が半導体・データセンター・燃料電池工場向け需要を確実に取り込み、売上高は前期比6.4%増となった。
機能材料では、3次元加飾フィルム「ルミアート」が電子部材用途や自動車用途で、有機微粒子が工業用途で好調であり、売上高は前期比13.2%増となった。こうした高付加価値品の伸長は商品ミックス改善につながっており、セグメント全体の収益性を押し上げる効果をもたらしている。
海外については、売上高の大半を占めるAAPグループはベトナムやマレーシアなどで接着剤が伸長し増収となったものの、タイ市況悪化やシンガポール工場閉鎖費用の影響から減益となっている。一方、台湾を拠点とする子会社エバモア・ケミカルグループは、PURホットメルトやUV硬化型樹脂の新製品投入・拡販効果により売上高・利益ともに2ケタ増となり、海外事業の収益を下支えした。
(2) 建装建材セグメント
売上高は前期比3.6%増の110,109百万円、営業利益は同10.8%増の22,535百万円と最高益を更新し、営業利益率は前期の19.1%から20.5%へと上昇した。高付加価値商品の拡販が順調に進展する一方、原材料高を価格転嫁・コストダウンで打ち返し、増益幅を拡大した。
主力商品においては、メラミン化粧板は、インバウンド需要を追い風に伸長した。新規市場開拓に向けた戦略商品として注力する床材「メラミンタイル」も売上は着実に積み上がり、売上高は同2.2%増となった。
また、メラミン不燃化粧板「セラール」についても、店舗・ホテル・駅などの非住宅市場での需要を獲得するとともに高意匠メラミン不燃化粧板や抗ウイルスメラミン不燃化粧板などの高付加価値品の拡販が進み、売上高は同2.2%増となっている。
近年の収益ドライバーとして期待されている住器建材では、「スマートサニタリー」や高級人造石「フィオレストーン」が好調であり、売上高は同8.8%増となり国内利益を大きく押し上げた。高付加価値3商品(メラミン化粧板、「セラール」、「スマートサニタリー」)の構成比は47.3%まで上昇しており、商品ミックスの改善効果が収益性向上に寄与していることがわかる。
海外については、売上高は同1.7%減と小幅減収となっている。タイとインドネシアで2ケタ成長を遂げているが、中国は不動産不況の長期化で大幅減、ベトナムも市況軟化の影響を受けた。一方、高シェアで強固なブランド力を活用したタイ、不燃化粧板やブランディングを強化したインドネシアで打ち返し、海外全体で増益を確保している。
3. 財務状況と経営指標
2025年3月期の財務状況を見ると、資産合計は前期末比13,318百万円増加の288,058百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産は現金及び預金が2,449百万円減少し、売上債権が1,917百万円増加している。固定資産については、有形固定資産が7,013百万円増加している。これは設備投資により土地、建物、機械装置などを取得したものである。
負債合計は前期末比138百万円増加の98,334百万円となった。流動負債は支払手形及び買掛金が105百万円減少した一方、短期借入金は227百万円増加している。固定負債については長期借入金・社債が564百万円減少している。
近年の経営効率化及び高付加価値化シフトが奏功し、収益性の向上が進むなか、バランスシートの安全性はさらに高まっている。フリーキャッシュ・フロー創出力が増すなか、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)は、2025年3月末時点で31,366百万円となっている。一方、有利子負債も一定の規模感に収まっており、D/Eレシオは0.16倍、自己資本比率は60.2%と小幅に上昇している。同社はキャッシュアロケーション(2024年3月期〜2027年3月期)を公表しており、キャッシュアウトの計画を開示し、透明性を高めている。今後の2年間で株主還元や成長投資を拡大していく計画であるが、豊富な手元流動性及び財務レバレッジに照らせば、十分なバッファーを有していると考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦 健太郎)
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2. 事業セグメント別動向
(1) 化成品セグメント
化成品セグメントは、前期比6.4%増の売上高138,587百万円と4期連続で最高額を更新し、機能材料や高機能接着剤の拡販が寄与した。一方、営業利益は9,331百万円(同0.6%増)と小幅ながら増益している。原燃料高に対する価格転嫁効果や国内の増販益があった一方、海外では設備投資による減価償却費の増加の他、タイ市場が奮わなかったことから、営業利益率は前期の7.1%から6.7%に低下している。
国内売上高は、接着剤、建設樹脂、機能材料の3本柱がそろって伸長した。接着剤では自動車向けホットメルトが拡大し、施工用や木工・家具用も堅調を維持している。
建設樹脂は、「ジョリエース」や水性硬質ウレタン床材「アイカピュール」が半導体・データセンター・燃料電池工場向け需要を確実に取り込み、売上高は前期比6.4%増となった。
機能材料では、3次元加飾フィルム「ルミアート」が電子部材用途や自動車用途で、有機微粒子が工業用途で好調であり、売上高は前期比13.2%増となった。こうした高付加価値品の伸長は商品ミックス改善につながっており、セグメント全体の収益性を押し上げる効果をもたらしている。
海外については、売上高の大半を占めるAAPグループはベトナムやマレーシアなどで接着剤が伸長し増収となったものの、タイ市況悪化やシンガポール工場閉鎖費用の影響から減益となっている。一方、台湾を拠点とする子会社エバモア・ケミカルグループは、PURホットメルトやUV硬化型樹脂の新製品投入・拡販効果により売上高・利益ともに2ケタ増となり、海外事業の収益を下支えした。
(2) 建装建材セグメント
売上高は前期比3.6%増の110,109百万円、営業利益は同10.8%増の22,535百万円と最高益を更新し、営業利益率は前期の19.1%から20.5%へと上昇した。高付加価値商品の拡販が順調に進展する一方、原材料高を価格転嫁・コストダウンで打ち返し、増益幅を拡大した。
主力商品においては、メラミン化粧板は、インバウンド需要を追い風に伸長した。新規市場開拓に向けた戦略商品として注力する床材「メラミンタイル」も売上は着実に積み上がり、売上高は同2.2%増となった。
また、メラミン不燃化粧板「セラール」についても、店舗・ホテル・駅などの非住宅市場での需要を獲得するとともに高意匠メラミン不燃化粧板や抗ウイルスメラミン不燃化粧板などの高付加価値品の拡販が進み、売上高は同2.2%増となっている。
近年の収益ドライバーとして期待されている住器建材では、「スマートサニタリー」や高級人造石「フィオレストーン」が好調であり、売上高は同8.8%増となり国内利益を大きく押し上げた。高付加価値3商品(メラミン化粧板、「セラール」、「スマートサニタリー」)の構成比は47.3%まで上昇しており、商品ミックスの改善効果が収益性向上に寄与していることがわかる。
海外については、売上高は同1.7%減と小幅減収となっている。タイとインドネシアで2ケタ成長を遂げているが、中国は不動産不況の長期化で大幅減、ベトナムも市況軟化の影響を受けた。一方、高シェアで強固なブランド力を活用したタイ、不燃化粧板やブランディングを強化したインドネシアで打ち返し、海外全体で増益を確保している。
3. 財務状況と経営指標
2025年3月期の財務状況を見ると、資産合計は前期末比13,318百万円増加の288,058百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産は現金及び預金が2,449百万円減少し、売上債権が1,917百万円増加している。固定資産については、有形固定資産が7,013百万円増加している。これは設備投資により土地、建物、機械装置などを取得したものである。
負債合計は前期末比138百万円増加の98,334百万円となった。流動負債は支払手形及び買掛金が105百万円減少した一方、短期借入金は227百万円増加している。固定負債については長期借入金・社債が564百万円減少している。
近年の経営効率化及び高付加価値化シフトが奏功し、収益性の向上が進むなか、バランスシートの安全性はさらに高まっている。フリーキャッシュ・フロー創出力が増すなか、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)は、2025年3月末時点で31,366百万円となっている。一方、有利子負債も一定の規模感に収まっており、D/Eレシオは0.16倍、自己資本比率は60.2%と小幅に上昇している。同社はキャッシュアロケーション(2024年3月期〜2027年3月期)を公表しており、キャッシュアウトの計画を開示し、透明性を高めている。今後の2年間で株主還元や成長投資を拡大していく計画であるが、豊富な手元流動性及び財務レバレッジに照らせば、十分なバッファーを有していると考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦 健太郎)
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