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萩原電気HD Research Memo(3):自動車向けを中心とした半導体商社。製造業向けのソリューション事業にも注力
配信日時:2025/06/30 11:03
配信元:FISCO
*11:03JST 萩原電気HD Research Memo(3):自動車向けを中心とした半導体商社。製造業向けのソリューション事業にも注力
■事業概要
1. 事業内容及びセグメント別概要
萩原電気ホールディングス<7467>の主たる事業は、SoCやマイクロコンピュータ(マイコン)、各種半導体などを半導体メーカーから仕入れ、販売する半導体商社としての事業であるが、それに加えIT機器や計測機器の販売や、IoTソリューション提供、産業用電子機器の開発、製造、販売も行っている。売上高の約85%(2025年3月期)が自動車関連企業向けであり、単なる部品や部材の販売だけでなく、商品企画・設計段階から参画して、顧客企業の要望に沿ったスペックのマイコンや周辺デバイスの提供、開発支援を行うほか、IT生産設備構築なども行っている。ハイブリッド車やEVの普及、ADASの進展に伴う電装化の高まりが同社の成長を支えているが、今後は自動車のさらなる自動化(自動運転、自動ブレーキ等)やBEV、SDVの普及、製造現場でのIT化の波も同社にとって追い風になると弊社では見ている。
同社は、2018年4月から持株会社制へ移行したが、これに伴いセグメントの名称も「デバイス事業」と「ソリューション事業」へ変更した。また、重要な社内組織として「開発生産本部」が関わっている。概要は次のとおり。
(1) デバイス事業(2025年3月期売上比87.5%)
主に自動車関連企業向けに、SoC、マイコン、カスタムLSI、アナログ・パワー半導体、コンデンサ、リレー、コネクタ、カラー液晶パネルなどの半導体、電子部品の販売を行う。また、カスタムLSIの設計や組込ソフトウェア/ハードウェア開発支援などの技術サポートも展開する。
具体的には、次世代モデルの企画時に顧客メーカーの機能面の要望を聞き取り、それを実現する最適なマイコンを含めた周辺デバイスを提案している。またデバイスの開発時には、マイコンの性能や各種開発ツールの技術面でのサポート、デバイスの動作確認や評価を行い、量産時にはそのデバイスを適時供給するというワンストップソリューションを提供する。
(2) ソリューション事業(同12.5%)
IT機器、組込機器及び計測・FA機器の販売とITプラットフォーム・IoTシステムの構築を核とし、自社製品である産業用コンピュータの開発、製造や各種FA・特殊計測システムの設計、製造も手掛け、これらを組み合わせた各種ソリューションを提供する提案型のビジネスを行っている。近年はサイバーセキュリティ対策からのネットワーク再構築サービスや、データ利活用、業務オペレーションの自動化、エッジ、IoTシステムや生産管理システムなどのインフラ整備やシステム開発などに注力している。
また、事業領域拡大に向けM&Aを積極化させており、2022年に生産ラインの加工・組み立て・搬送技術を持つ萩原エンジニアリングを、2024年にオリジナルのIoTデータプラットフォームを持つベラダティをグループに加えている。
(3) 開発生産本部
ソリューション事業の1つの事業部門であり、電子・情報プロダクツの開発、製造に取り組む。
同部門では、各産業分野に対応したタイムスケールを最重要課題とし、効率と環境を追求した信頼できる電子機器や組込ソリューションを提案する。同社が長年携わってきた産業機器・計測制御機器の開発における経験を新しい技術と融合させ、多岐にわたる分野に応用している。
2. 特色、強み
同社の主力事業はルネサスエレクトロニクス<6723>から半導体を仕入れ、主にトヨタグループに販売する「商社事業」であるが、同社の場合は単に商品を右から左へ流すだけでなく、以下のような特色や強みを持っている。
(1) 提案力・開発力
同社は自社内に開発、技術サポート部門(技術者)を有していることから、提案力・開発力に優れている。特にトヨタグループと密接な関係にあり、同グループのニーズを的確に把握し、その内容を半導体メーカーにフィードバックすることで最適なデバイスを提供している。
また、独自の知識や技術を結集し、ユーザーのニーズに最適な半導体や電子部品などを提案するほか、顧客の要求に応じ開発支援も行っている。同社は顧客に対して「提案できる」、さらに顧客が求める製品を「開発できる」商社と言える。
(2) トヨタグループとの太いパイプ
トヨタグループとの関係は単に生産面での恩恵(トヨタグループの生産増→同社の売上増)だけでなく、EVや自動運転、MaaSなどの次世代モビリティで高い技術を有するトヨタグループとのビジネスにより、同社の技術力・提案力・開発力にも一段と磨きがかかる。
現在、この技術力・提案力・開発力を自動車関連企業だけでなく、他業種向けに応用することに取り組んでおり、将来の事業拡大が期待できる。世界で最も要求が厳しいと言われるトヨタグループとの関係そのものが、同社の財産とも言える。
(3) 非自動車関連企業向けの技術力
同社の売上高の約15%(2025年3月期)は非自動車関連企業向けだが、この大部分はメーカーとして産業用コンピュータ開発・製造などを行う組込ソリューション、IT企業としてシステム構築などである。ソリューション事業の売上高(2025年3月期は32,423百万円)及びセグメント利益(同1,423百万円)は、一般的な上場システムインテグレーター(SI)企業の売上高及び利益規模に匹敵する。このようなSI事業を持っていることも同社の特色であり、強みでもある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 事業内容及びセグメント別概要
萩原電気ホールディングス<7467>の主たる事業は、SoCやマイクロコンピュータ(マイコン)、各種半導体などを半導体メーカーから仕入れ、販売する半導体商社としての事業であるが、それに加えIT機器や計測機器の販売や、IoTソリューション提供、産業用電子機器の開発、製造、販売も行っている。売上高の約85%(2025年3月期)が自動車関連企業向けであり、単なる部品や部材の販売だけでなく、商品企画・設計段階から参画して、顧客企業の要望に沿ったスペックのマイコンや周辺デバイスの提供、開発支援を行うほか、IT生産設備構築なども行っている。ハイブリッド車やEVの普及、ADASの進展に伴う電装化の高まりが同社の成長を支えているが、今後は自動車のさらなる自動化(自動運転、自動ブレーキ等)やBEV、SDVの普及、製造現場でのIT化の波も同社にとって追い風になると弊社では見ている。
同社は、2018年4月から持株会社制へ移行したが、これに伴いセグメントの名称も「デバイス事業」と「ソリューション事業」へ変更した。また、重要な社内組織として「開発生産本部」が関わっている。概要は次のとおり。
(1) デバイス事業(2025年3月期売上比87.5%)
主に自動車関連企業向けに、SoC、マイコン、カスタムLSI、アナログ・パワー半導体、コンデンサ、リレー、コネクタ、カラー液晶パネルなどの半導体、電子部品の販売を行う。また、カスタムLSIの設計や組込ソフトウェア/ハードウェア開発支援などの技術サポートも展開する。
具体的には、次世代モデルの企画時に顧客メーカーの機能面の要望を聞き取り、それを実現する最適なマイコンを含めた周辺デバイスを提案している。またデバイスの開発時には、マイコンの性能や各種開発ツールの技術面でのサポート、デバイスの動作確認や評価を行い、量産時にはそのデバイスを適時供給するというワンストップソリューションを提供する。
(2) ソリューション事業(同12.5%)
IT機器、組込機器及び計測・FA機器の販売とITプラットフォーム・IoTシステムの構築を核とし、自社製品である産業用コンピュータの開発、製造や各種FA・特殊計測システムの設計、製造も手掛け、これらを組み合わせた各種ソリューションを提供する提案型のビジネスを行っている。近年はサイバーセキュリティ対策からのネットワーク再構築サービスや、データ利活用、業務オペレーションの自動化、エッジ、IoTシステムや生産管理システムなどのインフラ整備やシステム開発などに注力している。
また、事業領域拡大に向けM&Aを積極化させており、2022年に生産ラインの加工・組み立て・搬送技術を持つ萩原エンジニアリングを、2024年にオリジナルのIoTデータプラットフォームを持つベラダティをグループに加えている。
(3) 開発生産本部
ソリューション事業の1つの事業部門であり、電子・情報プロダクツの開発、製造に取り組む。
同部門では、各産業分野に対応したタイムスケールを最重要課題とし、効率と環境を追求した信頼できる電子機器や組込ソリューションを提案する。同社が長年携わってきた産業機器・計測制御機器の開発における経験を新しい技術と融合させ、多岐にわたる分野に応用している。
2. 特色、強み
同社の主力事業はルネサスエレクトロニクス<6723>から半導体を仕入れ、主にトヨタグループに販売する「商社事業」であるが、同社の場合は単に商品を右から左へ流すだけでなく、以下のような特色や強みを持っている。
(1) 提案力・開発力
同社は自社内に開発、技術サポート部門(技術者)を有していることから、提案力・開発力に優れている。特にトヨタグループと密接な関係にあり、同グループのニーズを的確に把握し、その内容を半導体メーカーにフィードバックすることで最適なデバイスを提供している。
また、独自の知識や技術を結集し、ユーザーのニーズに最適な半導体や電子部品などを提案するほか、顧客の要求に応じ開発支援も行っている。同社は顧客に対して「提案できる」、さらに顧客が求める製品を「開発できる」商社と言える。
(2) トヨタグループとの太いパイプ
トヨタグループとの関係は単に生産面での恩恵(トヨタグループの生産増→同社の売上増)だけでなく、EVや自動運転、MaaSなどの次世代モビリティで高い技術を有するトヨタグループとのビジネスにより、同社の技術力・提案力・開発力にも一段と磨きがかかる。
現在、この技術力・提案力・開発力を自動車関連企業だけでなく、他業種向けに応用することに取り組んでおり、将来の事業拡大が期待できる。世界で最も要求が厳しいと言われるトヨタグループとの関係そのものが、同社の財産とも言える。
(3) 非自動車関連企業向けの技術力
同社の売上高の約15%(2025年3月期)は非自動車関連企業向けだが、この大部分はメーカーとして産業用コンピュータ開発・製造などを行う組込ソリューション、IT企業としてシステム構築などである。ソリューション事業の売上高(2025年3月期は32,423百万円)及びセグメント利益(同1,423百万円)は、一般的な上場システムインテグレーター(SI)企業の売上高及び利益規模に匹敵する。このようなSI事業を持っていることも同社の特色であり、強みでもある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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