注目トピックス 日本株

イーエムネットジャパン:デジタルマーケティング事業を展開、ソフトバンクとの協業が強い

配信日時:2025/06/25 13:48 配信元:FISCO
*13:48JST イーエムネットジャパン:デジタルマーケティング事業を展開、ソフトバンクとの協業が強い イーエムネットジャパン<7036>は、インターネット広告を中心としたデジタルマーケティング事業を展開している。主力事業は検索連動型広告(リスティング広告)やSNS広告の運用代行であり、中小企業を中心とした顧客基盤を有する。広告主(クライアント)のニーズに応じて運用型広告を中心としたインターネット広告の企画提案、広告クリエイティブの制作、広告出稿、広告運用、効果分析とその改善提案等のサービスを提供し、その対価として代理店手数料を収益計上する。また、インハウス支援や広告運用に関する業務委託を受注し、コンサルティング料や業務受託料を収益計上する。

インターネット広告市場において大手・中小企業含めて競合や類似企業は多く存在するが、同社の強みは「ソフトバンクとの協業体制」による安定的な受注体制にある。具体的には、自社の広告運用専門人材を出向させ、ソフトバンクの営業網を通じて大型案件を獲得することで運用品質と受注確度を高めている。この分業構造により、同社はミドルレンジの案件を自社営業で獲得しつつ、ソフトバンク経由で大型案件を受注するというすみ分けを実現している。従前より得意としてきた「地方」「中小企業」からソフトバンク株式会社のネットワークを活用することにより大企業・グローバル企業まで幅広い企業規模・多種多様な業種へサービス提供が可能となった。

また、広告のデジタルシフトを支援する体制や専任体制に加えて広告予算の大型案件等に対応する為に分業体制も併用している。 これまでの中小企業向けサービスをもとに広告予算規模に応じた適切なノウハウを活用し、クライアントへ様々な広告サービスを提供できる点も強みとなろう。そのほか、社員の9割が産休・育休後に復職しているという高い定着率も特筆すべき点である。これは柔軟な労働時間制度や在宅勤務環境の整備など、ソフトバンクの制度を模範とした施策によるもので、働きやすい職場環境が事業継続の基盤となっている。

2025年3月期第1四半期の営業収益は424百万円(前年同期比27.3%増)、営業利益64百万円(同7.5倍)と大幅な利益改善により黒字転換を達成している。広告代理店業・ソフトバンクとの協業(SB協業)・広告媒体からの受託業の全てで増収となった。営業利益の予算進捗率は53.7%と好進捗となっている。ソフトバンクとの協業効果に加え、新規案件の獲得数が前期比で約5倍となったことも大きく寄与した。また、平均単価の上昇も前述の大型案件獲得による効果とされる。そのほか、社員の戦力化の進行や生成AIの活用等により1社員当たり営業収益が改善している点もプラス要因となった。通期の営業収益は1,431百万円(前期比7.6%増)、営業利益は120百万円(同28.9%増)と予想を据え置き。第2四半期は、広告業界における季節的な閑散期の到来と、新入社員の研修期間とが重なるため、保守的な見通しを維持している。

インターネット広告市場は、コロナ禍を経て回復基調にあるものの、中小企業の広告出稿意欲は依然として慎重な姿勢が続く。特に動画広告やSNS広告など、広告フォーマットの多様化とともに、運用スキルの高度化が求められており、広告代理店各社は運用体制の強化と差別化に苦慮している。こうした中、同社は広告運用の人的資源を他社に先んじて確保し、ソフトバンクとの協業体制を通じて業界内でも比較的早期に業績を回復させた。市場全体では再編や淘汰が進む局面にあるが、同社は既存顧客基盤の深耕と新規開拓を並行して進めることで競争優位を維持している。

同社は今後の展開として、サービスの効率化と広告成果の向上による既存クライアントの広告予算規模の増額、同社独自の営業及びソフトバンクとの協業による大手企業へのアクセスにより領域拡大を目指す。また、広告代理店における各業務プロセスにおいて生成AIの活用を積極的に進めることで、成長の加速を目指している。安定した成長を確保しつつ、生成AIを活用した新事業開発にも注力しており、現在は事業としての本格展開前の準備段階にある。世界的な生成AI関連企業であるソフトバンクと共同し、将来的にはインハウス支援サービスや広告運用の効率化・自動化への応用を行っていく見込みだ。

再成長フェーズにあるなかで、株主還元よりもまずは先行投資が優先となる。もちろん還元方針については、今後の収益拡大に応じて考えられよう。

<HM>

Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.

ニュースカテゴリ