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三栄コーポ Research Memo(1):2025年3月期通期経常利益は21億円超。中計目標を1年前倒しで達成
配信日時:2025/06/25 12:01
配信元:FISCO
*12:01JST 三栄コーポ Research Memo(1):2025年3月期通期経常利益は21億円超。中計目標を1年前倒しで達成
■要約
三栄コーポレーション<8119>は78年の歴史を持ち、高付加価値品を主に取り扱う多機能な商社である。生活用品全般を扱い、製造・輸出入・卸・小売までのサプライチェーンを幅広く手掛ける。海外には17ヶ所の拠点、国内では直営小売店22店舗を持ち、欧州ブランドの日本導入や、良品計画<7453>に代表される商品OEM供給など、付加価値の高い商品を取り扱う点で個性が明確である。売上高比率はOEM事業が約8割、ブランド事業が約2割である。事業セグメント別では家具家庭用品事業(2025年3月期通期売上比46.6%)、服飾雑貨事業(同40.7%)、家電事業(同8.0%)の3事業が柱である。
1. 2025年3月期通期の業績概要
2025年3月期通期の連結業績は、売上高が39,861百万円(前期比8.6%増)、営業利益が2,096百万円(同80.2%増)、経常利益が2,149百万円(同72.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が974百万円(同81.1%増)と、大幅な増収増益となった。売上高に関しては、服飾雑貨事業と家具家庭用品事業が増収をけん引した。服飾雑貨事業では、外出・旅行関連商材の売上が伸長した。家具家庭用品事業では、営業活動の強化により受注状況が改善したことなどからOEMが回復した他、家具・インテリアのeコマースも増収に大きく寄与した。一方、家電事業では、OEMでの新製品の量産遅延等の影響や、ブランド事業が伸び悩んだ影響により減収となった。増収による売上総利益の増加に加え、直営店舗数削減(期初31店→期末16店)による店舗経費の縮減などにより販管費を抑制した。営業利益は同933百万円増の2,096百万円、経常利益は同900百万円増の2,149百万円と大幅増益となった。中期経営戦略「SANYEI 2025」では、最終年度の2026年3月期に経常利益20億円を掲げていたが、この目標を1年前倒しで達成したことになる。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.3%増の40,000百万円、経常利益が同39.5%減の1,300百万円と、増収減益を見込んでいる。中期経営戦略「SANYEI 2025」の最終年度の経常利益20億円を前期に前倒しで達成したため、長期の成長に向けた足場固めの1年と位置付け成長投資を積極化する。売上面では、セグメントごとに好不調が分かれる。家具家庭用品事業では、EC関連事業の増収のほか、前期に引き続き海外の営業活動の強化により受注状況改善が見込まれ増収を見込む。服飾雑貨事業では、外出やインバウンド需要の好調は継続するものの、前期から一服すると見込み減収を予想した。家電事業では、市場環境が厳しいなか、海外OEM事業が低調に推移する予想である。利益面では、経常利益で一定の利益水準を確保するものの減益となる。これは、家具家庭用品(営業利益率5〜6%)と服飾雑貨(営業利益率10%前後)の売上構成が変わることによる売上総利益の減少が主因となる。また、ECへの積極投資、M&A検討費用、海外新鋭ブランド(Orthofeet等)への投資、さらなる構造改革費用なども利益水準を押し下げる要因となる。なお、過去数年間取り組んできた、(株)ベネクシーの店舗規模見直し及び家電事業の構造改革は進行期に完遂させる計画である。弊社では、同社の事業領域は米国の通商政策の行方には左右されず、高付加価値な生活用品市場における国内の個人消費は堅調と見ている。過去から行ってきた構造改革・事業再編が完遂できるか、攻めの成長投資の効果が顕在化するか、防災分野のポストM&Aなどに注目している。
3. 成長戦略
同社は、2025年5月に防災グッズをEC販売で展開する(有)防災防犯ダイレクトおよび(株)防災ダイレクトの2社をM&Aにより連結子会社化し、防災関連事業への本格参入を果たした。両社はEC特化で約20年の販売実績を有し、楽天総合ランキング1位の経験もあるなど、ブランド力とノウハウに強みを持つ。これにより、海外調達網や国内ロジスティクスとのシナジー創出を図り、グループ全体の成長ドライバーとしての位置づけを明確にした。株式取得価額は16億円超、2026年3月期下期からの連結を予定している。
また、EC事業の成長をさらに加速させるべく、2025年4月に新規チャネル推進事業部を新設。「MINT」や「ファンボヌール」などの既存店舗に加え、新商材の取り扱いやフルフィルメント事業の拡大に着手し、事業領域の拡張を進めている。2025年3月期のEC売上は前期比11.8%増の58.7億円と2ケタ成長を記録し、2026年3月期には9.0%増の64億円を見込む。EC事業の中核強化に向け、同期には2億円規模の投資も予定している。
4. 株主還元策
同社では、企業理念である「随縁の思想」の下、同社と縁を紡ぐ株主への適切な利益還元を経営の重要課題の1つと位置付けている。配当に関しては、配当性向30~50%を目途に実施する。実績として、1998年3月期から28期連続で配当を実施している。2025年3月期は、年間配当31.0円(中間10.0円済、期末21.0円、前期から11.0円増配)、配当性向は30.1%となった(株式分割前の金額は分割後の数値に換算)。2026年3月期は、年間配当31.0円(前期と同じ)、配当性向は49.0%を予想する。なお、投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ることを目的に、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行った。
■Key Points
・2025年3月期通期の経常利益は21億円超(前期比72.2%増)となり中期経営計画目標を1年前倒しで達成
・2026年3月期は売上高400億円、経常利益13億円を予想。構造改革を完遂し、成長投資を加速
・ネット販売に強い防災グッズのEC専門運営会社をM&Aで連結子会社化
・2025年3月期は前期比11.0円増の年31.0円と大幅増配。投資しやすい環境づくりのため株式分割を実施
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<HN>
三栄コーポレーション<8119>は78年の歴史を持ち、高付加価値品を主に取り扱う多機能な商社である。生活用品全般を扱い、製造・輸出入・卸・小売までのサプライチェーンを幅広く手掛ける。海外には17ヶ所の拠点、国内では直営小売店22店舗を持ち、欧州ブランドの日本導入や、良品計画<7453>に代表される商品OEM供給など、付加価値の高い商品を取り扱う点で個性が明確である。売上高比率はOEM事業が約8割、ブランド事業が約2割である。事業セグメント別では家具家庭用品事業(2025年3月期通期売上比46.6%)、服飾雑貨事業(同40.7%)、家電事業(同8.0%)の3事業が柱である。
1. 2025年3月期通期の業績概要
2025年3月期通期の連結業績は、売上高が39,861百万円(前期比8.6%増)、営業利益が2,096百万円(同80.2%増)、経常利益が2,149百万円(同72.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が974百万円(同81.1%増)と、大幅な増収増益となった。売上高に関しては、服飾雑貨事業と家具家庭用品事業が増収をけん引した。服飾雑貨事業では、外出・旅行関連商材の売上が伸長した。家具家庭用品事業では、営業活動の強化により受注状況が改善したことなどからOEMが回復した他、家具・インテリアのeコマースも増収に大きく寄与した。一方、家電事業では、OEMでの新製品の量産遅延等の影響や、ブランド事業が伸び悩んだ影響により減収となった。増収による売上総利益の増加に加え、直営店舗数削減(期初31店→期末16店)による店舗経費の縮減などにより販管費を抑制した。営業利益は同933百万円増の2,096百万円、経常利益は同900百万円増の2,149百万円と大幅増益となった。中期経営戦略「SANYEI 2025」では、最終年度の2026年3月期に経常利益20億円を掲げていたが、この目標を1年前倒しで達成したことになる。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.3%増の40,000百万円、経常利益が同39.5%減の1,300百万円と、増収減益を見込んでいる。中期経営戦略「SANYEI 2025」の最終年度の経常利益20億円を前期に前倒しで達成したため、長期の成長に向けた足場固めの1年と位置付け成長投資を積極化する。売上面では、セグメントごとに好不調が分かれる。家具家庭用品事業では、EC関連事業の増収のほか、前期に引き続き海外の営業活動の強化により受注状況改善が見込まれ増収を見込む。服飾雑貨事業では、外出やインバウンド需要の好調は継続するものの、前期から一服すると見込み減収を予想した。家電事業では、市場環境が厳しいなか、海外OEM事業が低調に推移する予想である。利益面では、経常利益で一定の利益水準を確保するものの減益となる。これは、家具家庭用品(営業利益率5〜6%)と服飾雑貨(営業利益率10%前後)の売上構成が変わることによる売上総利益の減少が主因となる。また、ECへの積極投資、M&A検討費用、海外新鋭ブランド(Orthofeet等)への投資、さらなる構造改革費用なども利益水準を押し下げる要因となる。なお、過去数年間取り組んできた、(株)ベネクシーの店舗規模見直し及び家電事業の構造改革は進行期に完遂させる計画である。弊社では、同社の事業領域は米国の通商政策の行方には左右されず、高付加価値な生活用品市場における国内の個人消費は堅調と見ている。過去から行ってきた構造改革・事業再編が完遂できるか、攻めの成長投資の効果が顕在化するか、防災分野のポストM&Aなどに注目している。
3. 成長戦略
同社は、2025年5月に防災グッズをEC販売で展開する(有)防災防犯ダイレクトおよび(株)防災ダイレクトの2社をM&Aにより連結子会社化し、防災関連事業への本格参入を果たした。両社はEC特化で約20年の販売実績を有し、楽天総合ランキング1位の経験もあるなど、ブランド力とノウハウに強みを持つ。これにより、海外調達網や国内ロジスティクスとのシナジー創出を図り、グループ全体の成長ドライバーとしての位置づけを明確にした。株式取得価額は16億円超、2026年3月期下期からの連結を予定している。
また、EC事業の成長をさらに加速させるべく、2025年4月に新規チャネル推進事業部を新設。「MINT」や「ファンボヌール」などの既存店舗に加え、新商材の取り扱いやフルフィルメント事業の拡大に着手し、事業領域の拡張を進めている。2025年3月期のEC売上は前期比11.8%増の58.7億円と2ケタ成長を記録し、2026年3月期には9.0%増の64億円を見込む。EC事業の中核強化に向け、同期には2億円規模の投資も予定している。
4. 株主還元策
同社では、企業理念である「随縁の思想」の下、同社と縁を紡ぐ株主への適切な利益還元を経営の重要課題の1つと位置付けている。配当に関しては、配当性向30~50%を目途に実施する。実績として、1998年3月期から28期連続で配当を実施している。2025年3月期は、年間配当31.0円(中間10.0円済、期末21.0円、前期から11.0円増配)、配当性向は30.1%となった(株式分割前の金額は分割後の数値に換算)。2026年3月期は、年間配当31.0円(前期と同じ)、配当性向は49.0%を予想する。なお、投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ることを目的に、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行った。
■Key Points
・2025年3月期通期の経常利益は21億円超(前期比72.2%増)となり中期経営計画目標を1年前倒しで達成
・2026年3月期は売上高400億円、経常利益13億円を予想。構造改革を完遂し、成長投資を加速
・ネット販売に強い防災グッズのEC専門運営会社をM&Aで連結子会社化
・2025年3月期は前期比11.0円増の年31.0円と大幅増配。投資しやすい環境づくりのため株式分割を実施
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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