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千代田化工建設:試練を乗り越えた名門、再生計画から経営計画へ
配信日時:2025/06/24 14:14
配信元:FISCO
*14:14JST 千代田化工建設:試練を乗り越えた名門、再生計画から経営計画へ
【会社概要】
千代田化工建設<6366>は、1948年設立の総合エンジニアリング会社であり、LNG・石油・石油化学分野を中心に世界60以上の国と地域で大型プラントを手がけてきた実績を持つ。近年は、水素・再生可能エネルギーといった脱炭素領域や、医薬・バイオ・蓄電池関連設備などの成長分野にも展開を広げて収益基盤の多様化を進めている。一方、2019年の米国LNGプロジェクトの損失により債務超過に陥り、三菱商事から優先株700億円の出資と900億円の融資枠の設定、三菱UFJ銀行から200億円の劣後ローンによる支援など計1,800億円の金融支援を受け、「再生計画」に着手。2024年度に一定の成果を収め、2025年度からは「経営計画2025」を始動したところである。収益の安定化と多様化を図る「自己変革」の3年間が始まり、同社は三菱商事グループとして次の成長ステージへ進みつつある。
【2025年3月期決算の概要】
2025年3月期の連結業績は、売上高456,969百万円(前期比9.7%減)と減収となったが、営業利益24,421百万円(前期は15,006百万円の赤字)、親会社株主に帰属する当期純利益26,987百万円(前期は15,831百万円の赤字)と大幅な黒字転換を果たした。主力であるエンジニアリング事業では、カタールや米国でのLNGプラント案件、国内でのLNG受入基地の増設工事、省エネ・カーボンニュートラル対応の検討業務などが着実に進捗。医薬品・バイオ関連設備や全固体電池関連設備の受注・遂行も堅調であった。財政面では、自己資本比率が5.1%(前期は1.1%)と依然として低水準であるが、有利子負債は236億円に留まっており当期利益の範囲内であるなど、着実に改善している。
【再生計画の振り返り】
2019年度を初年度とする再生計画では、同年の米国LNGプロジェクトの損失を教訓に、リスク管理の徹底と遂行体制の見直しにより、再生計画策定後に受注したプロジェクトでは着実に利益を積み上げており、プロジェクト管理面で一定の成果を上げた。一方で、定量目標の達成には至らなかった。この要因は2021年度に豪州大型LNGプロジェクトの損失で126億円の赤字を計上したこと、2023年度に米国大型LNGプロジェクトの損失で158億円の赤字を計上したことが大きい。これらは再生計画開始以前に契約された案件であるが、大型案件1つの損失が全社業績を揺るがすことを再認識した。こうした経緯を踏まえ、パートナーシップのあり方を含めたより強固なリスク管理体制構築に尽力した。他方、先に述べたように、再生計画後に受注したプロジェクトは着実に利益貢献し、2度の巨額赤字にもかかわらず6年間で平均56億円の利益を獲得した点は評価できよう。また、財務管理体制が優れており、プロジェクトの収支ズレに起因する運転資金が発生しない取引条件で契約することを徹底。これによりキャッシュフローが良化し、再生計画当初に受けた融資支援のうち、三菱商事からの融資枠については現状の利用はなく、三菱UFJ銀行からの劣後ローンを残すのみとなっている。他方、取引金融機関からは海外プロジェクトを受注する際の契約履行保証などによる万全の支援体制を受けているとのことであり、事業遂行上の懸念は払しょくされたと言えよう。
【経営計画2025の概要】
経営計画2025では、収益の安定化と多様化を実現するため、5つの重点施策を掲げている。第一は「海外既存大型プロジェクトの着実な遂行」であり、過去に受注した大型LNG案件の確実な完工を最優先とし、遂行管理に万全の体制をとる。第二は「海外受注方針の改革」で、大型プロジェクトに大きく依存した体質からの脱却を目指し、中小規模案件を含めた受注によりリスク分散を進めると共に、リスク負担の見直しにも取り組み、受注ポートフォリオの健全化を図る。第三は「国内プロジェクトの収益拡大」で、ライフサイエンスや脱炭素などの成長分野を中心に安定収益を確保する。第四は「Non-EPCの推進」で、保全・支援・コンサル等の領域で顧客と事業共創を進め、新たな収益源の獲得を目指す。第五は「中核人財の形成」で、EPCとNon-EPCの双方を担う人材層を拡充し、多様な顧客ニーズに対応可能な体制を構築する。こうした取り組みにより自己変革を遂げ、年平均150億円の利益を積み上げることを目標とする。10年後には純利益で300億円を目指している。
再生計画から経営計画(成長)に移行する自己変革に向けた取り組みに注目したい。
<HM>
千代田化工建設<6366>は、1948年設立の総合エンジニアリング会社であり、LNG・石油・石油化学分野を中心に世界60以上の国と地域で大型プラントを手がけてきた実績を持つ。近年は、水素・再生可能エネルギーといった脱炭素領域や、医薬・バイオ・蓄電池関連設備などの成長分野にも展開を広げて収益基盤の多様化を進めている。一方、2019年の米国LNGプロジェクトの損失により債務超過に陥り、三菱商事から優先株700億円の出資と900億円の融資枠の設定、三菱UFJ銀行から200億円の劣後ローンによる支援など計1,800億円の金融支援を受け、「再生計画」に着手。2024年度に一定の成果を収め、2025年度からは「経営計画2025」を始動したところである。収益の安定化と多様化を図る「自己変革」の3年間が始まり、同社は三菱商事グループとして次の成長ステージへ進みつつある。
【2025年3月期決算の概要】
2025年3月期の連結業績は、売上高456,969百万円(前期比9.7%減)と減収となったが、営業利益24,421百万円(前期は15,006百万円の赤字)、親会社株主に帰属する当期純利益26,987百万円(前期は15,831百万円の赤字)と大幅な黒字転換を果たした。主力であるエンジニアリング事業では、カタールや米国でのLNGプラント案件、国内でのLNG受入基地の増設工事、省エネ・カーボンニュートラル対応の検討業務などが着実に進捗。医薬品・バイオ関連設備や全固体電池関連設備の受注・遂行も堅調であった。財政面では、自己資本比率が5.1%(前期は1.1%)と依然として低水準であるが、有利子負債は236億円に留まっており当期利益の範囲内であるなど、着実に改善している。
【再生計画の振り返り】
2019年度を初年度とする再生計画では、同年の米国LNGプロジェクトの損失を教訓に、リスク管理の徹底と遂行体制の見直しにより、再生計画策定後に受注したプロジェクトでは着実に利益を積み上げており、プロジェクト管理面で一定の成果を上げた。一方で、定量目標の達成には至らなかった。この要因は2021年度に豪州大型LNGプロジェクトの損失で126億円の赤字を計上したこと、2023年度に米国大型LNGプロジェクトの損失で158億円の赤字を計上したことが大きい。これらは再生計画開始以前に契約された案件であるが、大型案件1つの損失が全社業績を揺るがすことを再認識した。こうした経緯を踏まえ、パートナーシップのあり方を含めたより強固なリスク管理体制構築に尽力した。他方、先に述べたように、再生計画後に受注したプロジェクトは着実に利益貢献し、2度の巨額赤字にもかかわらず6年間で平均56億円の利益を獲得した点は評価できよう。また、財務管理体制が優れており、プロジェクトの収支ズレに起因する運転資金が発生しない取引条件で契約することを徹底。これによりキャッシュフローが良化し、再生計画当初に受けた融資支援のうち、三菱商事からの融資枠については現状の利用はなく、三菱UFJ銀行からの劣後ローンを残すのみとなっている。他方、取引金融機関からは海外プロジェクトを受注する際の契約履行保証などによる万全の支援体制を受けているとのことであり、事業遂行上の懸念は払しょくされたと言えよう。
【経営計画2025の概要】
経営計画2025では、収益の安定化と多様化を実現するため、5つの重点施策を掲げている。第一は「海外既存大型プロジェクトの着実な遂行」であり、過去に受注した大型LNG案件の確実な完工を最優先とし、遂行管理に万全の体制をとる。第二は「海外受注方針の改革」で、大型プロジェクトに大きく依存した体質からの脱却を目指し、中小規模案件を含めた受注によりリスク分散を進めると共に、リスク負担の見直しにも取り組み、受注ポートフォリオの健全化を図る。第三は「国内プロジェクトの収益拡大」で、ライフサイエンスや脱炭素などの成長分野を中心に安定収益を確保する。第四は「Non-EPCの推進」で、保全・支援・コンサル等の領域で顧客と事業共創を進め、新たな収益源の獲得を目指す。第五は「中核人財の形成」で、EPCとNon-EPCの双方を担う人材層を拡充し、多様な顧客ニーズに対応可能な体制を構築する。こうした取り組みにより自己変革を遂げ、年平均150億円の利益を積み上げることを目標とする。10年後には純利益で300億円を目指している。
再生計画から経営計画(成長)に移行する自己変革に向けた取り組みに注目したい。
<HM>
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