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TOKAI Research Memo(4):エネルギー事業がコスト削減効果もあって大幅増益に
配信日時:2025/06/24 13:04
配信元:FISCO
*13:04JST TOKAI Research Memo(4):エネルギー事業がコスト削減効果もあって大幅増益に
■業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) エネルギー事業
TOKAIホールディングス<3167>のエネルギー事業の売上高は前期比4.8%増の105,871百万円、営業利益(間接費用等配賦前営業利益で決算短信とは算出方法が異なる。以下、同様)は同21.8%増の10,228百万円となった。売上高は2期ぶりの増収、営業利益は2期連続の増益となり、会社計画に対しても利益ベースで大幅に上振れて着地した。
主力のLPガス事業は売上高で前期比6.1%増の88,776百万円となった。販売量が家庭用の顧客件数増加等により前期比4%増と伸張したことが主な増収要因となった。期末の顧客件数は前期末比28千件増の807千件と着実に増加した。純増28千件のうち22千件は2024年4月に(株)フジプロ(静岡県)を連結子会社化したことによるものである。世帯当たりの平均消費量は前期比0.6%減となった。2025年3月期中の平均気温は前期並みの水準であったが、節約志向の高まりが消費量に若干影響を与えたと見られる。家庭用の販売価格については前期比横ばいとなり、仕入価格に連動する工業用は若干上昇した。
なお、新規獲得件数が前期から減少しているが、これは2024年7月に「LPガス商慣行是正に向けた改正省令※」が施行された影響が大きい。改正省令の施行によって既存集合住宅のリプレイスが事実上難しくなったためで、今後は新築物件での契約獲得と営業エリアの拡大(2024年8月に鹿児島県に進出)、並びにM&Aにより顧客件数を積み上げていくことになる。
※ 賃貸集合住宅等の顧客獲得の際に行っていた物品や金銭の授受など過大な営業行為に対して制限を設けた。
都市ガス事業の売上高は前期比1.1%減の17,094百万円となった。顧客件数は同1千件減の74千件とほぼ横ばい水準であったが、仕入コストに連動した原料費調整制度による販売価格の低下が主な減収要因となった。ただ、下期だけで見ると増収に転じており、販売価格低下の影響が一巡したと見られる。
営業利益の増減要因を見ると、LPガス事業における顧客件数増加で6.1億円、顧客獲得費用等の削減で9.3億円の増益要因となったほか、客先在庫評価等の影響で2.9億円の増益要因となった。同社は在庫の評価方法として先入れ先出し法を採用しており、期末にかけて仕入価格が低下したため評価益が発生した。
(2) 情報通信事業
情報通信事業の売上高は前期比4.2%増の59,049百万円、営業利益は同12.1%減の4,961百万円と増収減益となった。売上高は連続して過去最高を更新したが、利益は法人向けビジネスの先行投資費用増等もあって7期ぶりの減益に転じた。
コンシューマー向け事業は売上高で前期比3.3%減の23,425百万円、営業利益で同1.7%減の765百万円となった。期末の顧客件数は光コラボサービスが大手携帯キャリア経由の販売が伸びたことで前期末比14千件増の387千件となったものの、従来型ISP等が同13千件減の380千件となったほか、「LIBMO」も同1千件減の79千件と伸び悩んだ。従来型ISP等や「LIBMO」の契約件数減少に加えて、光コラボのARPU低下(携帯キャリア経由の販売比率上昇による)が続いたことも減収要因となった。「LIBMO」については、主要販売ルートであるドコモショップが自社サービス「eximo(エクシモ)」の販売を強化したことが影響した。営業利益は、減収による利益減を販管費等の抑制である程度相殺し、微減益にとどめた。
法人向け事業は売上高で前期比9.8%増の35,623百万円、営業利益で同13.8%減の4,196百万円となった。売上高は引き続き通信回線サービスやクラウドサービスの伸張により過去最高を更新したものの、賃金改定による人件費の増加や、データセンター及び通信インフラの設備増強に伴う費用の増加が減益要因となった。同社の光通信ネットワークは北関東から岡山まで通じていたが、これを九州まで延伸したほか、既存ネットワークの増強も行った。なお、同社子会社の(株)TOKAIコミュニケーションズが、2024年12月に事業体制のさらなる強化を目的にITインフラ構築並びにクラウド基盤の導入支援を行う(株)ジーアンドエフ※の全株式を取得し子会社化しており、今後の収益増に貢献するものと期待される。
※ ジーアンドエフの直近業績は2024年3月期で、売上高711百万円、営業利益は27百万円。
(3) CATV事業
CATV事業の売上高は前期比2.0%増の36,488百万円、営業利益は同0.3%増の6,219百万円と若干ながら増収増益となった。
地域密着の事業者として地元の情報発信や番組制作に注力するとともに、大手動画配信事業者と提携するなどコンテンツの充実に努めたこと、また光化投資により高速インターネットサービスの営業活動を積極的に進めたことが増収増益要因となった。期末の顧客件数は放送サービスで同3千件増の922千件、通信サービスで同19千件増の413千件となり、放送サービスの顧客が新たに通信サービスを契約するケースが増えており、光化投資の効果が顕在化していると思われる。賃金改定により人件費が2.3億円増加したほか、顧客獲得費用等が2.4億円増加したものの、顧客件数増加に伴う増収でカバーした。
(4) 建築設備不動産事業
建築設備不動産事業の売上高は前期比7.3%増の26,863百万円、営業利益は同15.7%増の2,199百万円と3期振りの増収増益に転じた。内訳を見ると、建築不動産が1.6億円の増益となったほか、設備・土木工事もM&Aでグループ化した中京エリアの子会社が伸張し、1.4億円の増益となった。
(5) アクア事業
アクア事業の売上高は前期比26.1%増の9,764百万円、営業利益は同28.7%増の834百万円となり、6期ぶりに過去最高益を更新した。大型商業施設等での催事営業やWebマーケティング等を推進したことにより、期末の顧客件数が前期末比24千件増加の191千件と大きく伸張したことが増収要因となった。特に、2024年4月より開始した給水型浄水サーバー「しずくりあ」で28千件を獲得、同事業の収益をけん引した。既存サービスの解約を検討していた顧客に対して手頃感を訴求し、「しずくりあ」に移行したケースも一定数あったようだ。営業利益の増減要因を見ると、顧客件数の増加で12.7億円の増益となり、顧客獲得費用の増加10.8億円を吸収した。
(6) その他・調整額
その他の売上高は前期比2.2%増の5,444百万円となった。事業別の売上高は、介護事業がデイサービスの利用者数減少により同0.9%減の1,398百万円となったほか、船舶修繕事業も修繕隻数の減少により同6.2%減の1,688百万円となった。一方で、婚礼催事事業は法人等の一般宴会需要の回復により、同3.7%増の1,321百万円となった。本社費用を含めた営業損失は7,600百万円と前期の7,283百万円の損失から拡大した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別動向
(1) エネルギー事業
TOKAIホールディングス<3167>のエネルギー事業の売上高は前期比4.8%増の105,871百万円、営業利益(間接費用等配賦前営業利益で決算短信とは算出方法が異なる。以下、同様)は同21.8%増の10,228百万円となった。売上高は2期ぶりの増収、営業利益は2期連続の増益となり、会社計画に対しても利益ベースで大幅に上振れて着地した。
主力のLPガス事業は売上高で前期比6.1%増の88,776百万円となった。販売量が家庭用の顧客件数増加等により前期比4%増と伸張したことが主な増収要因となった。期末の顧客件数は前期末比28千件増の807千件と着実に増加した。純増28千件のうち22千件は2024年4月に(株)フジプロ(静岡県)を連結子会社化したことによるものである。世帯当たりの平均消費量は前期比0.6%減となった。2025年3月期中の平均気温は前期並みの水準であったが、節約志向の高まりが消費量に若干影響を与えたと見られる。家庭用の販売価格については前期比横ばいとなり、仕入価格に連動する工業用は若干上昇した。
なお、新規獲得件数が前期から減少しているが、これは2024年7月に「LPガス商慣行是正に向けた改正省令※」が施行された影響が大きい。改正省令の施行によって既存集合住宅のリプレイスが事実上難しくなったためで、今後は新築物件での契約獲得と営業エリアの拡大(2024年8月に鹿児島県に進出)、並びにM&Aにより顧客件数を積み上げていくことになる。
※ 賃貸集合住宅等の顧客獲得の際に行っていた物品や金銭の授受など過大な営業行為に対して制限を設けた。
都市ガス事業の売上高は前期比1.1%減の17,094百万円となった。顧客件数は同1千件減の74千件とほぼ横ばい水準であったが、仕入コストに連動した原料費調整制度による販売価格の低下が主な減収要因となった。ただ、下期だけで見ると増収に転じており、販売価格低下の影響が一巡したと見られる。
営業利益の増減要因を見ると、LPガス事業における顧客件数増加で6.1億円、顧客獲得費用等の削減で9.3億円の増益要因となったほか、客先在庫評価等の影響で2.9億円の増益要因となった。同社は在庫の評価方法として先入れ先出し法を採用しており、期末にかけて仕入価格が低下したため評価益が発生した。
(2) 情報通信事業
情報通信事業の売上高は前期比4.2%増の59,049百万円、営業利益は同12.1%減の4,961百万円と増収減益となった。売上高は連続して過去最高を更新したが、利益は法人向けビジネスの先行投資費用増等もあって7期ぶりの減益に転じた。
コンシューマー向け事業は売上高で前期比3.3%減の23,425百万円、営業利益で同1.7%減の765百万円となった。期末の顧客件数は光コラボサービスが大手携帯キャリア経由の販売が伸びたことで前期末比14千件増の387千件となったものの、従来型ISP等が同13千件減の380千件となったほか、「LIBMO」も同1千件減の79千件と伸び悩んだ。従来型ISP等や「LIBMO」の契約件数減少に加えて、光コラボのARPU低下(携帯キャリア経由の販売比率上昇による)が続いたことも減収要因となった。「LIBMO」については、主要販売ルートであるドコモショップが自社サービス「eximo(エクシモ)」の販売を強化したことが影響した。営業利益は、減収による利益減を販管費等の抑制である程度相殺し、微減益にとどめた。
法人向け事業は売上高で前期比9.8%増の35,623百万円、営業利益で同13.8%減の4,196百万円となった。売上高は引き続き通信回線サービスやクラウドサービスの伸張により過去最高を更新したものの、賃金改定による人件費の増加や、データセンター及び通信インフラの設備増強に伴う費用の増加が減益要因となった。同社の光通信ネットワークは北関東から岡山まで通じていたが、これを九州まで延伸したほか、既存ネットワークの増強も行った。なお、同社子会社の(株)TOKAIコミュニケーションズが、2024年12月に事業体制のさらなる強化を目的にITインフラ構築並びにクラウド基盤の導入支援を行う(株)ジーアンドエフ※の全株式を取得し子会社化しており、今後の収益増に貢献するものと期待される。
※ ジーアンドエフの直近業績は2024年3月期で、売上高711百万円、営業利益は27百万円。
(3) CATV事業
CATV事業の売上高は前期比2.0%増の36,488百万円、営業利益は同0.3%増の6,219百万円と若干ながら増収増益となった。
地域密着の事業者として地元の情報発信や番組制作に注力するとともに、大手動画配信事業者と提携するなどコンテンツの充実に努めたこと、また光化投資により高速インターネットサービスの営業活動を積極的に進めたことが増収増益要因となった。期末の顧客件数は放送サービスで同3千件増の922千件、通信サービスで同19千件増の413千件となり、放送サービスの顧客が新たに通信サービスを契約するケースが増えており、光化投資の効果が顕在化していると思われる。賃金改定により人件費が2.3億円増加したほか、顧客獲得費用等が2.4億円増加したものの、顧客件数増加に伴う増収でカバーした。
(4) 建築設備不動産事業
建築設備不動産事業の売上高は前期比7.3%増の26,863百万円、営業利益は同15.7%増の2,199百万円と3期振りの増収増益に転じた。内訳を見ると、建築不動産が1.6億円の増益となったほか、設備・土木工事もM&Aでグループ化した中京エリアの子会社が伸張し、1.4億円の増益となった。
(5) アクア事業
アクア事業の売上高は前期比26.1%増の9,764百万円、営業利益は同28.7%増の834百万円となり、6期ぶりに過去最高益を更新した。大型商業施設等での催事営業やWebマーケティング等を推進したことにより、期末の顧客件数が前期末比24千件増加の191千件と大きく伸張したことが増収要因となった。特に、2024年4月より開始した給水型浄水サーバー「しずくりあ」で28千件を獲得、同事業の収益をけん引した。既存サービスの解約を検討していた顧客に対して手頃感を訴求し、「しずくりあ」に移行したケースも一定数あったようだ。営業利益の増減要因を見ると、顧客件数の増加で12.7億円の増益となり、顧客獲得費用の増加10.8億円を吸収した。
(6) その他・調整額
その他の売上高は前期比2.2%増の5,444百万円となった。事業別の売上高は、介護事業がデイサービスの利用者数減少により同0.9%減の1,398百万円となったほか、船舶修繕事業も修繕隻数の減少により同6.2%減の1,688百万円となった。一方で、婚礼催事事業は法人等の一般宴会需要の回復により、同3.7%増の1,321百万円となった。本社費用を含めた営業損失は7,600百万円と前期の7,283百万円の損失から拡大した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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