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TOKAI Research Memo(2):生活インフラサービス、法人向け情報通信サービス、建築設備不動産事業等を展開

配信日時:2025/06/24 13:02 配信元:FISCO
*13:02JST TOKAI Research Memo(2):生活インフラサービス、法人向け情報通信サービス、建築設備不動産事業等を展開 ■事業概要

TOKAIホールディングス<3167>グループは、静岡県を起点としてLPガスを中心とした生活インフラサービスや法人向け情報通信事業、建築設備不動産事業などを展開している。現在の事業セグメントは、「エネルギー事業」「情報通信事業」「CATV事業」「建築設備不動産事業」「アクア事業」「その他」の6つに分けて開示している。事業セグメント別の売上構成比(2025年3月期)は、祖業である「エネルギー事業」が43.5%、「情報通信事業」が24.3%、「CATV事業」が15.0%で、これら3事業で全体の80%を超えており、直近5年間の推移を見ても大きな変化はない。

1. エネルギー事業
エネルギー事業では、売上高の8割強をLPガス事業、2割弱を都市ガス事業で占めている。主力のLPガス事業は(株)TOKAIで家庭・産業用を主に販売し、一部卸販売も行っている。サービスエリアは静岡や関東圏が中心であるが、2015年以降は新規エリアとして南東北、中部・東海、中国・四国、九州エリアなどにも順次進出し、顧客基盤を拡大している。2025年3月期末時点の顧客件数は807千件で、業界ポジションとしては直販で岩谷産業<8088>、日本瓦斯<8174>に続く3番手となる。市場シェアは、地盤である静岡県で約2割とトップを占め、競争の激しい関東圏でも1割弱と2番手に位置する。LPガス利用世帯数は全国で約2,200万世帯と見られ、全国シェアで見ると4%弱の水準だが、今後も営業エリアの拡大とM&Aでシェアを拡大する戦略だ。国内のLPガス販売業界は中小零細事業者が多く、人手不足や後継者難などを背景に年々大手資本への集約化が進んでおり※、同社のシェア拡大余地も大きいと弊社では見ている。

※ LPガス販売事業者数は2012年の約2.1万事業者から2024年は約1.5万事業者に減少している。

都市ガス事業は東海ガス(株)が静岡県の焼津市、藤枝市、島田市で都市ガスの販売を行っているほか、2017年4月のガス小売り自由化解禁を契機に、自治体が運営していた都市ガス事業を譲受して営業エリアを拡大している。具体的には、群馬県の下仁田町(2019年4月より)、秋田県にかほ市(2020年4月より)から都市ガス事業を譲受した。顧客件数は2025年3月末時点で74千件となっている。都市ガス事業者は全国で190事業者(私営172、公営18)あり、このうち大手4社を除けば地域の中小規模事業者がほとんどで、今後もM&A案件が出てくれば前向きに検討する考えだ。

2. 情報通信事業
(株)TOKAIコミュニケーションズで展開する情報通信事業は、コンシューマー向けのISP(インターネットサービスプロバイダ)事業、モバイル事業(携帯電話販売代理店事業)と、法人向けの通信回線提供サービス、データセンターサービス、クラウドシステム構築支援、システム開発受託事業などを行っている。2025年3月期の売上構成比は、コンシューマー向けが約4割、法人向けが約6割とここ数年は法人向けの比率が上昇傾向にあり、営業利益でも8割強を法人向けで占めるまでになっている。

ISP事業は、全国をサービスエリアとする「@T COM(アットティーコム)」と静岡県をサービスエリアとする「TOKAIネットワーククラブ(TNC)」の2つのブランドで展開しており、静岡県内でのシェアは約2割とトップである。2015年よりNTT(日本電信電話<9432>)から光回線の卸提供を受け、自社の光インターネット接続サービスとセットで提供する光コラボサービス(「@T COMヒカリ」「TNCヒカリ」)の提供を開始したほか、大手携帯キャリアのサービスとセットにしたプランの提供も行っている。2017年からはMVNO※を利用した格安SIM/スマートフォン「LIBMO(リブモ)」の販売も開始した。2025年3月末の顧客件数は、従来型ISPサービス等で380千件、光コラボサービスで387千件、「LIBMO」で79千件となっている。

※ MVNO(Mobile Virtual Network Operator):携帯電話等の無線通信インフラを他社から借り受けてサービスを提供する事業者。

モバイル事業では、ソフトバンク<9434>の代理店として静岡県内を中心にモバイルショップ14店舗を展開しているが、2025年3月末の顧客件数は162千件と2016年3月期の236千件をピークに漸減傾向が続いている。また、iPhoneの修理サービスを行う「iCracked Store」を静岡県内に7店舗出店している。

3. CATV事業
CATV事業はM&A戦略によりサービスエリアを徐々に広げており、直近では2022年10月に沖縄ケーブルネットワーク(株)をグループ化した。2025年3月末現在で静岡県、東京都、神奈川県、千葉県、長野県、岡山県、宮城県、沖縄県の1都7県で事業展開している(グループ会社10社)。2025年3月末の顧客件数は放送サービスで922千件、通信サービスで413千件、合計で1,335千件と緩やかながら増加基調が続いている。2023年度末の国内におけるCATVサービス加入世帯数は3,184万世帯と緩やかながら増加基調が続いている。業界ではJ:COM(JCOM(株))グループが視聴世帯数ベースで5割強のシェアを握っており、2番手以下は同社も含めて数%程度のシェアとなっている。このため、同社はM&Aによるシェア拡大を目指している。

4. 建築設備不動産事業
建築設備不動産事業では、TOKAIが戸建や集合住宅、店舗、オフィスビル等の設計・建築、建物管理サービス、住宅設備機器の販売、不動産の開発・売買等を行っており、TOKAIと東海ガスがリフォーム事業を展開している。M&Aも積極的に推進しており、2019年に岐阜県に拠点を置く総合建設会社の日産工業(株)を子会社化したのを皮切りに、2020年に愛知県内で電気設備工事を行う中央電機工事(株)、静岡県内でビルメンテナンス事業を行う(株)イノウエテクニカ、2021年に東海エリアで建物の大規模修繕工事や改修工事を行う(株)マルコオ・ポーロ化工、2022年に岐阜県で産業廃棄物処理や木材チップの製造を行う(株)ウッドリサイクルを相次いで子会社化した。今後はこれらグループ会社が持つリソースを結集することで、東海エリアにおける総合建築事業者として事業規模を拡大する戦略だ。

5. アクア事業
アクア事業(宅配水事業)は、TOKAIが2007年に静岡県内でリターナブル方式(ボトル回収型)「おいしい水の宅配便」のサービスを開始し、2011年からは静岡県以外のエリアでワンウェイ方式(ボトル使い切り型)「おいしい水の贈りもの うるのん」のブランド名でサービス展開している。また、新たな取り組みとして2023年4月より水道水を内蔵フィルターでろ過する給水型浄水ウォーターサーバー「しずくりあ」※の販売を開始した。2025年3月末の顧客件数は191千件となっており、業界全体の2024年末の顧客件数571万件に対して3%強のシェアとなっている(静岡県内では約50%のシェア)。

※ ウォーターサーバーのレンタル料は2,640円/月または3,300円/月(税込)で、約半年ごとに交換する濾過フィルターは無料で提供。

6. その他
その他には、TOKAIライフプラス(株)の介護事業、トーカイシティサービス(株)の婚礼催事事業、東海造船運輸(株)の船舶修繕事業などが含まれる。介護事業は2011年より開始しており、2025年3月末時点で静岡県内にデイサービス施設6ヶ所、ショートステイ施設、介護付有料老人ホームを各1ヶ所運営しているほか、ケアプランセンター1ヶ所を開設している。また、婚礼催事事業はJR静岡駅前葵タワー内にある「グランディエール ブケ トーカイ」を運営している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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