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日機装:事業ポートフォリオ再構築完了、産業用特殊ポンプの世界シェア高く成長余地も大きいが、PBR・PERは割安
配信日時:2025/06/23 13:47
配信元:FISCO
*13:47JST 日機装:事業ポートフォリオ再構築完了、産業用特殊ポンプの世界シェア高く成長余地も大きいが、PBR・PERは割安
日機装<6376>は1953年に設立された、特殊ポンプ、航空機用部品、血液透析装置の製造・販売を行う企業である。「インダストリアル事業」「航空宇宙事業」「メディカル事業」の3事業を主軸に展開し、売上構成比はインダストリアル事業が5割強、航空宇宙事業が1割弱、メディカル事業が4割弱となっている。
インダストリアル事業では、産業用特殊ポンプが主力製品で、LNGの液化基地や受入基地、LNG燃料船向けの燃料供給装置などに使用されている。極低温環境や無漏洩を求められる特殊な条件下でも安定して作動する点が同社の技術的優位性である。石油化学やエネルギー業界で高い評価を得ており、世界トップクラスのシェアを持つ製品を複数保有している。さらに、エネルギー安全保障への関心の高まりを背景に、LNG関連設備や代替エネルギーインフラへの設備装置が活発化している。こうした環境の中で、同社の2024年12月期の受注高は2,220億円(前期比11.8%増)と過去最高を記録した。加えて、水素・アンモニア分野への応用も始まっており、CO2回収技術やサプライチェーン構築に向けた必要な機器の開発にも着手している。
航空宇宙事業では、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)に関する設計・解析評価・成形・生産技術および品質管理体制に強みを持っており、中でも航空機のエンジンに搭載される「カスケード」と呼ばれる部品は世界シェア9割を超えている。
メディカル事業では、血液透析装置を中心とした医療機器の製造を行っている。透析装置の国内でのシェアは5割以上、中国をはじめアジア市場でもシェアを拡大しており、世界シェアは2割を超えている。更に、2026年度からの米国市場進出に向けてFDA許認可の取得や販売体制の整備を進めている。
2024年12月期は売上収益213,379百万円(前期比10.8%増)、営業利益6,398百万円(同8.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は7,957百万円(同12.3%減)であった。インダストリアル事業において低脱炭素化等に向けたLNGや産業ガス関連の受注を伸ばして増収となった。一方、航空宇宙事業での増産対応費用やUV-LED事業からの撤退、CRRT(急性血液浄化療法)事業譲渡に伴う費用が発生し、当期利益は減益となった。ただし、これらの一過性要因を除くと実質的には増益だったといえる。
2025年12月期第1四半期は、売上収益48,314百万円(前年同期比0.1%増)、営業利益2,953百万円(同127.5%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は2,264百万円(同19.9%減)であった。メディカル事業での減収を、インダストリアル事業でカバーし売上高は前年同期比ほぼ横ばい。利益面では、インダストリアル事業での採算改善やメディカル事業での海外販売の増加が寄与して増益となった。2025年12月期の通期では、売上収益230,500百万円(前期比8.0%増)、営業利益14,000百万円(同118.8%増)、親会社帰属利益11,300百万円(同42.0%増)と、大幅な増益を予想している。
2025年12月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「Nikkiso 2025 フェーズ2」においては、技術力の向上、事業ポートフォリオの再構築、経営基盤の強化を推進している。既にCRRT事業やUV-LED事業など、収益性の低い事業を整理した。2028年度を最終年度とする長期ビジョンでは、売上収益2,900億円、営業利益250億円を目指し、既存事業を中心としてオーガニックでの成長を重視した事業運営を行っていく考えである。インダストリアル事業における水素・アンモニア関連機器の開発、メディカル事業における米国およびアジア市場が、今後の同社の成長ドライバーとなる見通しである。
株主還元については、継続的かつ安定的な利益還元を資本政策の重要な柱と位置づけ、業績や経営環境を踏まえて配当を実施している。一方で、新規事業の育成や生産体制の強化に向けて、内部留保の再投資も重視している。現行の中期経営計画では、2025年12月期の総還元性向35%を目安としており、株主還元の強化に取り組む方針である。2024年12月期に年間30円(総還元性向25.0%)の配当を実施し、2025年12月期は年間36円(同21.0%)を予定しているが、引き続き35%を念頭に株主還元の強化を図っていく方針である。
なお、不採算事業の整理に一定の目処が立ち、中長期的に高い成長性が期待されるものの、現時点ではPBR・PERともに割安水準である。
<HM>
インダストリアル事業では、産業用特殊ポンプが主力製品で、LNGの液化基地や受入基地、LNG燃料船向けの燃料供給装置などに使用されている。極低温環境や無漏洩を求められる特殊な条件下でも安定して作動する点が同社の技術的優位性である。石油化学やエネルギー業界で高い評価を得ており、世界トップクラスのシェアを持つ製品を複数保有している。さらに、エネルギー安全保障への関心の高まりを背景に、LNG関連設備や代替エネルギーインフラへの設備装置が活発化している。こうした環境の中で、同社の2024年12月期の受注高は2,220億円(前期比11.8%増)と過去最高を記録した。加えて、水素・アンモニア分野への応用も始まっており、CO2回収技術やサプライチェーン構築に向けた必要な機器の開発にも着手している。
航空宇宙事業では、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)に関する設計・解析評価・成形・生産技術および品質管理体制に強みを持っており、中でも航空機のエンジンに搭載される「カスケード」と呼ばれる部品は世界シェア9割を超えている。
メディカル事業では、血液透析装置を中心とした医療機器の製造を行っている。透析装置の国内でのシェアは5割以上、中国をはじめアジア市場でもシェアを拡大しており、世界シェアは2割を超えている。更に、2026年度からの米国市場進出に向けてFDA許認可の取得や販売体制の整備を進めている。
2024年12月期は売上収益213,379百万円(前期比10.8%増)、営業利益6,398百万円(同8.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は7,957百万円(同12.3%減)であった。インダストリアル事業において低脱炭素化等に向けたLNGや産業ガス関連の受注を伸ばして増収となった。一方、航空宇宙事業での増産対応費用やUV-LED事業からの撤退、CRRT(急性血液浄化療法)事業譲渡に伴う費用が発生し、当期利益は減益となった。ただし、これらの一過性要因を除くと実質的には増益だったといえる。
2025年12月期第1四半期は、売上収益48,314百万円(前年同期比0.1%増)、営業利益2,953百万円(同127.5%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は2,264百万円(同19.9%減)であった。メディカル事業での減収を、インダストリアル事業でカバーし売上高は前年同期比ほぼ横ばい。利益面では、インダストリアル事業での採算改善やメディカル事業での海外販売の増加が寄与して増益となった。2025年12月期の通期では、売上収益230,500百万円(前期比8.0%増)、営業利益14,000百万円(同118.8%増)、親会社帰属利益11,300百万円(同42.0%増)と、大幅な増益を予想している。
2025年12月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「Nikkiso 2025 フェーズ2」においては、技術力の向上、事業ポートフォリオの再構築、経営基盤の強化を推進している。既にCRRT事業やUV-LED事業など、収益性の低い事業を整理した。2028年度を最終年度とする長期ビジョンでは、売上収益2,900億円、営業利益250億円を目指し、既存事業を中心としてオーガニックでの成長を重視した事業運営を行っていく考えである。インダストリアル事業における水素・アンモニア関連機器の開発、メディカル事業における米国およびアジア市場が、今後の同社の成長ドライバーとなる見通しである。
株主還元については、継続的かつ安定的な利益還元を資本政策の重要な柱と位置づけ、業績や経営環境を踏まえて配当を実施している。一方で、新規事業の育成や生産体制の強化に向けて、内部留保の再投資も重視している。現行の中期経営計画では、2025年12月期の総還元性向35%を目安としており、株主還元の強化に取り組む方針である。2024年12月期に年間30円(総還元性向25.0%)の配当を実施し、2025年12月期は年間36円(同21.0%)を予定しているが、引き続き35%を念頭に株主還元の強化を図っていく方針である。
なお、不採算事業の整理に一定の目処が立ち、中長期的に高い成長性が期待されるものの、現時点ではPBR・PERともに割安水準である。
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