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コニシ Research Memo(6):2027年3月期に売上高1,500億円、営業利益115億円を目指す
配信日時:2025/06/19 12:06
配信元:FISCO
*12:06JST コニシ Research Memo(6):2027年3月期に売上高1,500億円、営業利益115億円を目指す
■中期経営計画
コニシ<4956>は、2024年5月に2027年3月期を最終年度とする「中計経営計画2027」を発表した。以下がその概要であるが、記述のように初年度(2025年3月期)実績及び2年目(2026年3月期)計画を見る限り、この計画は順調に進捗していると言えそうだ。
1. 数値目標
(1) 主要KPI
主要なKPIの目標としては、2027年3月期に売上高1,500億円(2024年3月期実績比12.8%増)、営業利益115億円(同12.0%増)、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費)145億円(同17.0%増)、ROE9.0%、設備投資額(3年間の累計額)150億円、株主還元(配当総額+自己株式取得額)120億円を目指す。注目すべきは設備投資と株主還元についても目標値を設定したことだ。
今後3期だけを見ると、この間の売上高及び営業利益の平均成長率は低く見えるが、これは終了した2024年3月期の成長率が特別に高かったためで、もともとの計画の初年度である2023年3月期との比較では着実な成長が続いていると言える。ROEは数値目標に基づいており、営業外収益等の要因は考慮していない目標値となっているため、今後の動向を確認する必要がある。
(2) セグメント別目標値
各セグメント別の目標値(2027年3月期の売上高、営業利益)は、ボンドでは売上高808億円(2024年3月期比12.8%増)、営業利益73億円(同10.4%増)、化成品では売上高426億円(同8.5%増)、営業利益16億円(同24.4%増)、工事事業では売上高272億円(同24.2%増)、営業利益24億円(同8.5%増)となっている。
2. 各セグメントの重点戦略とサブセグメント目標
重点戦略として「ボンド:非住宅分野の新規開拓」「化成品:自動車・電子電機業界への販売強化」「工事事業:社会インフラの老朽化対策工事に注力」を掲げている。
(1) ボンド(メーカー部門)
各サブセグメントの売上高は、一般家庭用73億円(2024年3月期比10.4%増)、住宅関連用247億円(同11.3%増)、産業資材用100億円(同15.4%増)、テープ40億円(同12.4%増)、建設用158億円(同11.7%増)、土木用29億円(同16.1%増)、サンライズ108億円(同12.3%増)、ウォールボンド工業43億円(同37.2%増)を計画している。
計画遂行のために以下の施策を実行していく。
1) 産業用途の新規開拓推進 ~非住宅分野の強化~
電子電機及び自動車向けの封止材や接着剤を開発し、新規開拓とシェアアップを図る。事業領域の拡大を進め、売上高13億円増(2027年3月期まで)を目指す。
2) 社会インフラ・建築ストック長寿命化への取り組み推進
リペア市場の深耕開拓、土木建築補修用の新製品・新工法開発を推進する。また建築用シーリング材のシェアアップ(シェア約40%→45%)を目指す。土木用で売上高4億円増(2027年3月期まで)、建築用シーリング材で売上高11億円増(同)、建築補修材等で売上高5億円増(同)を目標とする。
3) 既存主力業界である住宅関連用のさらなる拡販
集成材用、タイル用接着剤などの業界内シェアアップを図る。サンライズは住宅用シーリング材の拡販を図る。ウォールボンド工業は壁装用接着剤の拡販を図る。
(2) 化成品(商社部門)
各サブセグメントの売上高(2027年3月期)は、自動車300億円(2024年3月期比8.9%増)、化学工業94億円(同15.5%増)、電子・電機94億円(同22.5%増)、塗料45億円(同12.7%増)、その他33億円(同1.1%減)、自社開発製品8億円(2024年3月期はほぼゼロ)、丸安産業180億円(同20.4%増)を計画している※。
※ これらの数値は収益認識基準適用前の数値。
計画遂行のために以下の施策を実行していく。
1) 注力分野への販売強化
自動車・電子電機業界での新規・深耕開拓を推進する。具体的には、a) HV・EV(電気自動車)向け商品や放熱材などの新商材の拡販、b) 半導体関連商材の販売強化、c) 丸安産業:コンデンサ用商材の拡販などを推進する。
2) メーカー機能を併せ持つ商社へ
自社開発製品の上市・拡販を図る。具体的には、a) 自動車・電子電機業界向け高耐熱・放熱タイプの樹脂材料の開発、b) 塗料・コーティング材の開発などを推進する。その結果、自社開発の推進と市場導入により、自社開発製品の売上高8億円増(2027年3月期まで)を目指す。
(3) 工事事業(工事部門)
各サブセグメントの売上高(2027年3月期)は、ボンドエンジニアリング157億円(2024年3月期比23.4%増)、コニシ工営20億円(同17.9%増)、近畿鉄筋コンクリート18億円(同16.4%増)、角丸建設56億円(同18.4%増)、中信建設20億円(同16.5%増)を計画している。
計画遂行のために以下の施策を実行していく。
1) リペア市場(土木補修分野)における事業拡大
建設後50年以上を経過する橋梁が、2030年には約55%となる見込みであるため、ボンドエンジニアリングを中心に、社会インフラの老朽化対策工事に注力し、さらなる事業の拡大を図る。
2) 事業規模拡大に向けた体制の構築
有資格者(土木施工管理技士等)の採用強化に注力する。社内育成による資格取得の推奨を進める。
3) M&Aによる事業拡大
社会インフラの補修・改修・補強工事業のなかで、特にリペア需要が見込まれる「橋梁分野」で相乗効果が発揮できるM&Aを推進する。
【工事事業グループM&A実績】
2013年:近畿鉄筋コンクリート(橋梁などの上部床版工事業)
2017年:角丸建設(土木建築工事業)
2020年:(株)和泉(2023年、角丸建設に吸収合併)
2020年:山昇建設(株)(2022年、ボンドエンジニアリングに吸収合併)
2023年:中信建設(土木建築工事業)
3. 資金配分計画と主な設備投資
(1) 資金配分計画
今回の中期経営計画では、成長に必要な設備投資に加え、安定的な配当と自己株式取得により株主還元を強化する。資金配分としては、設備投資(3年累計)に150億円、株主還元に総額120億円(うち自己株式取得に50億円、配当に70億円=配当性向30%)を使う予定だ。
一方で、資金の源泉としては、すべてを中期経営計画期間内の営業キャッシュ・フローで賄う計画だ。
(2) 設備投資
生産能力の増強及び効率化・合理化、DXの推進のために、過去最大規模(3年累計150億円)の設備投資を行う予定であり、主な投資案件は、現時点で以下のとおりである。
1) 生産・物流体制の強化(105億円)
a) 「コニシ栃木工場」新製造所・物流倉庫の建設(2025年4月稼働)
・水性接着剤の生産2拠点化(現在は滋賀工場のみ)によるBCP対策と東日本エリアへの配送効率向上
・生産工程・充填・入出庫作業の自動化(省人化によるコスト削減)
b) 「コニシ滋賀工場」生産合理化の推進
・生産工程・設備の見直しを行い、生産効率向上を図る(生産量増、コスト削減)
c) 「サンライズ」シーリング材製造設備の増設・更新(2026年4月までに随時稼働予定)
・生産設備導入及び既存設備更新(生産効率向上、省人化によるコスト削減)
d) 「ウォールボンド工業」新物流倉庫の建設(2025年7月稼働予定)
・入庫作業の自動化(省人化によるコスト削減)
2) DXの推進(15億円)
a) 新基幹システムの導入
・各種課題及びビジネス環境等を考慮した効率的・合理的なシステムの導入
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
コニシ<4956>は、2024年5月に2027年3月期を最終年度とする「中計経営計画2027」を発表した。以下がその概要であるが、記述のように初年度(2025年3月期)実績及び2年目(2026年3月期)計画を見る限り、この計画は順調に進捗していると言えそうだ。
1. 数値目標
(1) 主要KPI
主要なKPIの目標としては、2027年3月期に売上高1,500億円(2024年3月期実績比12.8%増)、営業利益115億円(同12.0%増)、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費)145億円(同17.0%増)、ROE9.0%、設備投資額(3年間の累計額)150億円、株主還元(配当総額+自己株式取得額)120億円を目指す。注目すべきは設備投資と株主還元についても目標値を設定したことだ。
今後3期だけを見ると、この間の売上高及び営業利益の平均成長率は低く見えるが、これは終了した2024年3月期の成長率が特別に高かったためで、もともとの計画の初年度である2023年3月期との比較では着実な成長が続いていると言える。ROEは数値目標に基づいており、営業外収益等の要因は考慮していない目標値となっているため、今後の動向を確認する必要がある。
(2) セグメント別目標値
各セグメント別の目標値(2027年3月期の売上高、営業利益)は、ボンドでは売上高808億円(2024年3月期比12.8%増)、営業利益73億円(同10.4%増)、化成品では売上高426億円(同8.5%増)、営業利益16億円(同24.4%増)、工事事業では売上高272億円(同24.2%増)、営業利益24億円(同8.5%増)となっている。
2. 各セグメントの重点戦略とサブセグメント目標
重点戦略として「ボンド:非住宅分野の新規開拓」「化成品:自動車・電子電機業界への販売強化」「工事事業:社会インフラの老朽化対策工事に注力」を掲げている。
(1) ボンド(メーカー部門)
各サブセグメントの売上高は、一般家庭用73億円(2024年3月期比10.4%増)、住宅関連用247億円(同11.3%増)、産業資材用100億円(同15.4%増)、テープ40億円(同12.4%増)、建設用158億円(同11.7%増)、土木用29億円(同16.1%増)、サンライズ108億円(同12.3%増)、ウォールボンド工業43億円(同37.2%増)を計画している。
計画遂行のために以下の施策を実行していく。
1) 産業用途の新規開拓推進 ~非住宅分野の強化~
電子電機及び自動車向けの封止材や接着剤を開発し、新規開拓とシェアアップを図る。事業領域の拡大を進め、売上高13億円増(2027年3月期まで)を目指す。
2) 社会インフラ・建築ストック長寿命化への取り組み推進
リペア市場の深耕開拓、土木建築補修用の新製品・新工法開発を推進する。また建築用シーリング材のシェアアップ(シェア約40%→45%)を目指す。土木用で売上高4億円増(2027年3月期まで)、建築用シーリング材で売上高11億円増(同)、建築補修材等で売上高5億円増(同)を目標とする。
3) 既存主力業界である住宅関連用のさらなる拡販
集成材用、タイル用接着剤などの業界内シェアアップを図る。サンライズは住宅用シーリング材の拡販を図る。ウォールボンド工業は壁装用接着剤の拡販を図る。
(2) 化成品(商社部門)
各サブセグメントの売上高(2027年3月期)は、自動車300億円(2024年3月期比8.9%増)、化学工業94億円(同15.5%増)、電子・電機94億円(同22.5%増)、塗料45億円(同12.7%増)、その他33億円(同1.1%減)、自社開発製品8億円(2024年3月期はほぼゼロ)、丸安産業180億円(同20.4%増)を計画している※。
※ これらの数値は収益認識基準適用前の数値。
計画遂行のために以下の施策を実行していく。
1) 注力分野への販売強化
自動車・電子電機業界での新規・深耕開拓を推進する。具体的には、a) HV・EV(電気自動車)向け商品や放熱材などの新商材の拡販、b) 半導体関連商材の販売強化、c) 丸安産業:コンデンサ用商材の拡販などを推進する。
2) メーカー機能を併せ持つ商社へ
自社開発製品の上市・拡販を図る。具体的には、a) 自動車・電子電機業界向け高耐熱・放熱タイプの樹脂材料の開発、b) 塗料・コーティング材の開発などを推進する。その結果、自社開発の推進と市場導入により、自社開発製品の売上高8億円増(2027年3月期まで)を目指す。
(3) 工事事業(工事部門)
各サブセグメントの売上高(2027年3月期)は、ボンドエンジニアリング157億円(2024年3月期比23.4%増)、コニシ工営20億円(同17.9%増)、近畿鉄筋コンクリート18億円(同16.4%増)、角丸建設56億円(同18.4%増)、中信建設20億円(同16.5%増)を計画している。
計画遂行のために以下の施策を実行していく。
1) リペア市場(土木補修分野)における事業拡大
建設後50年以上を経過する橋梁が、2030年には約55%となる見込みであるため、ボンドエンジニアリングを中心に、社会インフラの老朽化対策工事に注力し、さらなる事業の拡大を図る。
2) 事業規模拡大に向けた体制の構築
有資格者(土木施工管理技士等)の採用強化に注力する。社内育成による資格取得の推奨を進める。
3) M&Aによる事業拡大
社会インフラの補修・改修・補強工事業のなかで、特にリペア需要が見込まれる「橋梁分野」で相乗効果が発揮できるM&Aを推進する。
【工事事業グループM&A実績】
2013年:近畿鉄筋コンクリート(橋梁などの上部床版工事業)
2017年:角丸建設(土木建築工事業)
2020年:(株)和泉(2023年、角丸建設に吸収合併)
2020年:山昇建設(株)(2022年、ボンドエンジニアリングに吸収合併)
2023年:中信建設(土木建築工事業)
3. 資金配分計画と主な設備投資
(1) 資金配分計画
今回の中期経営計画では、成長に必要な設備投資に加え、安定的な配当と自己株式取得により株主還元を強化する。資金配分としては、設備投資(3年累計)に150億円、株主還元に総額120億円(うち自己株式取得に50億円、配当に70億円=配当性向30%)を使う予定だ。
一方で、資金の源泉としては、すべてを中期経営計画期間内の営業キャッシュ・フローで賄う計画だ。
(2) 設備投資
生産能力の増強及び効率化・合理化、DXの推進のために、過去最大規模(3年累計150億円)の設備投資を行う予定であり、主な投資案件は、現時点で以下のとおりである。
1) 生産・物流体制の強化(105億円)
a) 「コニシ栃木工場」新製造所・物流倉庫の建設(2025年4月稼働)
・水性接着剤の生産2拠点化(現在は滋賀工場のみ)によるBCP対策と東日本エリアへの配送効率向上
・生産工程・充填・入出庫作業の自動化(省人化によるコスト削減)
b) 「コニシ滋賀工場」生産合理化の推進
・生産工程・設備の見直しを行い、生産効率向上を図る(生産量増、コスト削減)
c) 「サンライズ」シーリング材製造設備の増設・更新(2026年4月までに随時稼働予定)
・生産設備導入及び既存設備更新(生産効率向上、省人化によるコスト削減)
d) 「ウォールボンド工業」新物流倉庫の建設(2025年7月稼働予定)
・入庫作業の自動化(省人化によるコスト削減)
2) DXの推進(15億円)
a) 新基幹システムの導入
・各種課題及びビジネス環境等を考慮した効率的・合理的なシステムの導入
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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