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セレコーポレーション Research Memo(5):賃貸住宅事業が業績をけん引し大幅増益
配信日時:2025/05/29 14:05
配信元:FISCO
*14:05JST セレコーポレーション Research Memo(5):賃貸住宅事業が業績をけん引し大幅増益
■セレコーポレーション<5078>の業績動向
1. 2025年2月期の業績概要
2025年2月期の連結業績は、売上高23,922百万円(前期比3.5%増)、営業利益2,018百万円(同23.2%増)、経常利益2,039百万円(同23.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,416百万円(同27.6%増)となった。売上面においては、全体のなかでも賃貸住宅事業の寄与が極めて大きく、同事業は同18.5%増の売上高を計上し、同社の収益成長を力強くけん引した。また、売上総利益率が同2.5ポイント改善されたことにより、全体としての収益性が向上した。これは主に、前期から実施している価格転嫁の効果に起因する。
具体的には、付加価値の向上を背景に販売価格を引き上げることで、資材高騰の影響を吸収できている。単価自体が高めに設定できている現状も寄与し、結果として利益率が向上する構造が形成されつつある。一方で、人財への積極的な投資により、販管費は前期比で368百万円増加したが、これは将来の企業価値向上に資する投資であり、同社の中長期的な成長ポテンシャルを加味すれば妥当と評価される。
建築実績については継続的に好調であり、供給体制に無理のない形での積み増しがなされている。管理戸数は12,000戸を突破した後も順調に増加しており、これは管理受託営業の強化や新規紹介先の開拓が功を奏している結果といえる。また、入居率は98.5%という極めて高い水準を維持しており、賃貸住宅市場における同社物件の競争力と顧客満足度の高さを示している。ストック型ビジネスとしての安定性が強く意識されるなか、これらの指標は同社の経営基盤が着実に厚みを増していることを如実に物語っている。
同社は、2025年2月期において売上高・経常利益ともに過去最高を更新し、成長軌道を堅持した。賃貸住宅事業を主軸としつつ、開発・経営の各事業セグメントが有機的に連携しており、収益モデルとしての強靭さがうかがえる。また、ESG対応やDX推進、産学連携による商品開発といった将来に向けた布石も着実に打たれており、短期的な成長だけでなく、中長期の企業価値向上に対する視座も明確である。今後は、建設コスト上昇や人手不足といった外部環境リスクに対する対応力が引き続き問われるが、既に現場管理の効率化や部材内製化といった戦略的対応が進んでおり、一定の安心感がある。総じて、同社は堅実かつ挑戦的な経営を両立させており、今後も安定した収益成長が期待できると弊社では見ている。
2. セグメント別の業績概要
(1) 賃貸住宅事業
売上高は11,022百万円(前期比18.5%増)、セグメント利益は1,006百万円(同61.6%増)となった。営業活動では、アセットマネジメントカンパニーによる紹介先の開拓やビジネスマッチング契約の締結、パートナーズ組織との共同イベントの実施などを通じて、情報源の拡充と顧客接点の多様化を図った。また、旗艦ブランド「My Style vintage」の販売促進を目的にWebサイトをリニューアルし、集客力を強化するなど、マーケティング面でも積極的な取り組みが見られた。商品面では、脱炭素社会を意識した高性能断熱材や省エネ照明を取り入れた「東京ゼロエミ住宅」の提案を推進し、ESG志向の顧客ニーズにも的確に応えている。生産面では、建設現場における顔認証システムの導入や、Webカメラによる管理の効率化など、現場のDXを推進し、原価抑制と品質管理を両立する体制の構築が進んだ。研究開発では、新構法「セレZ」の型式改良や、二人暮らしの若者向け空間「Fwin suite」の開発、さらには産学連携による遮音性能の向上など、技術革新にも積極的な取り組みが見られた。「セレZ」の型式改良については、特に耐震性の向上を主眼に置いた構造変更が行われている。建物の重量バランスに着目した最適解を模索し、震災リスクを想定した設計が導入された。また、建築部材である鉄骨のベース幅について、従来の型式では50cmに限られていたところを30cmに抑えることに成功しており、従来の型式と比べて鉄筋量・コンクリート量が少なく済むため、コストダウンにつながっている。外部要因である原価高騰に対して効率改善の取り組みが成果を挙げており、リスク管理が適切に行われていると弊社では見ている。
(2) 賃貸開発事業
売上高は4,662百万円(前期比7.7%減)、セグメント利益は706百万円(同5.7%減)となった。販売面では、商品認知度の向上を目的として、完成現場見学会に購入検討者及び紹介会社の来場促進を実施し、来場した購入検討者からの新規販売契約獲得や、紹介会社からの新規顧客紹介を取得するなど、取引先との連携強化に取り組んだ。仕入面では、富裕層ニーズにマッチする希少性の高い角地を重視した用地取得を進め、全物件に「東京ゼロエミ住宅」仕様を標準採用することで、脱炭素社会への貢献と差別化を実現している。また、条件を満たした物件であれば、「住宅性能表示制度」の耐震等級3(最高)までを実現可能とすることで、資産価値向上やゲストの安全性向上といったオーナー層からのニーズに応える選択肢を増やした。結果として、売上高は計画比79.4%に留まったものの、利益率の向上によりセグメント利益は計画比101.3%と堅調に推移した。角地100%供給による付加価値最大化戦略が奏功しており、効率的な経営が実現されていると言える。賃貸開発事業は物件引き渡しの時期による影響を受けやすいが、環境配慮型の住宅開発や資産価値向上への取り組みが、将来的な事業基盤を強化する要因となることで、持続可能な成長が見込まれる。
(3) 賃貸経営事業
売上高は10,013百万円(前期比5.8%増)、セグメント利益は1,135百万円(同1.6%増)となった。賃貸住宅事業及び賃貸開発事業と連携し、受注前からの同行営業を強化した結果、管理戸数は12,475戸と前期末から161戸増加した。また、協力業者とのネットワーク構築に注力し、「セレ リーシングパートナーズ」や「セレ メンテナンスパートナーズ」との連携を強化することで、空室期間短縮やメンテナンスの品質向上に成功している。特に、インスペクションの導入や修繕対応の迅速化によってオーナー満足度を高める体制を構築しており、その結果として高水準の入居率98.5%(前期末から増減なし)を維持している点は高く評価できる。また、新設されたリフォームカンパニーにおいては、建物延長保証制度の見直しと再延長保証制度の導入により、資産価値維持の観点からオーナーへの提案力が一段と向上している。賃貸経営事業は引き続き堅調な成長を維持しており、管理物件数の増加と高水準の入居率が事業の安定性を支えている。メンテナンス業者との協働により迅速かつ効率的なサービス提供が実現しており、オーナーとゲスト双方からの高い評価を受けている。加えて、リフォームカンパニーの設立により長期的な資産保全体制が整備されたことも、今後の事業拡大を支える要因になると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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1. 2025年2月期の業績概要
2025年2月期の連結業績は、売上高23,922百万円(前期比3.5%増)、営業利益2,018百万円(同23.2%増)、経常利益2,039百万円(同23.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,416百万円(同27.6%増)となった。売上面においては、全体のなかでも賃貸住宅事業の寄与が極めて大きく、同事業は同18.5%増の売上高を計上し、同社の収益成長を力強くけん引した。また、売上総利益率が同2.5ポイント改善されたことにより、全体としての収益性が向上した。これは主に、前期から実施している価格転嫁の効果に起因する。
具体的には、付加価値の向上を背景に販売価格を引き上げることで、資材高騰の影響を吸収できている。単価自体が高めに設定できている現状も寄与し、結果として利益率が向上する構造が形成されつつある。一方で、人財への積極的な投資により、販管費は前期比で368百万円増加したが、これは将来の企業価値向上に資する投資であり、同社の中長期的な成長ポテンシャルを加味すれば妥当と評価される。
建築実績については継続的に好調であり、供給体制に無理のない形での積み増しがなされている。管理戸数は12,000戸を突破した後も順調に増加しており、これは管理受託営業の強化や新規紹介先の開拓が功を奏している結果といえる。また、入居率は98.5%という極めて高い水準を維持しており、賃貸住宅市場における同社物件の競争力と顧客満足度の高さを示している。ストック型ビジネスとしての安定性が強く意識されるなか、これらの指標は同社の経営基盤が着実に厚みを増していることを如実に物語っている。
同社は、2025年2月期において売上高・経常利益ともに過去最高を更新し、成長軌道を堅持した。賃貸住宅事業を主軸としつつ、開発・経営の各事業セグメントが有機的に連携しており、収益モデルとしての強靭さがうかがえる。また、ESG対応やDX推進、産学連携による商品開発といった将来に向けた布石も着実に打たれており、短期的な成長だけでなく、中長期の企業価値向上に対する視座も明確である。今後は、建設コスト上昇や人手不足といった外部環境リスクに対する対応力が引き続き問われるが、既に現場管理の効率化や部材内製化といった戦略的対応が進んでおり、一定の安心感がある。総じて、同社は堅実かつ挑戦的な経営を両立させており、今後も安定した収益成長が期待できると弊社では見ている。
2. セグメント別の業績概要
(1) 賃貸住宅事業
売上高は11,022百万円(前期比18.5%増)、セグメント利益は1,006百万円(同61.6%増)となった。営業活動では、アセットマネジメントカンパニーによる紹介先の開拓やビジネスマッチング契約の締結、パートナーズ組織との共同イベントの実施などを通じて、情報源の拡充と顧客接点の多様化を図った。また、旗艦ブランド「My Style vintage」の販売促進を目的にWebサイトをリニューアルし、集客力を強化するなど、マーケティング面でも積極的な取り組みが見られた。商品面では、脱炭素社会を意識した高性能断熱材や省エネ照明を取り入れた「東京ゼロエミ住宅」の提案を推進し、ESG志向の顧客ニーズにも的確に応えている。生産面では、建設現場における顔認証システムの導入や、Webカメラによる管理の効率化など、現場のDXを推進し、原価抑制と品質管理を両立する体制の構築が進んだ。研究開発では、新構法「セレZ」の型式改良や、二人暮らしの若者向け空間「Fwin suite」の開発、さらには産学連携による遮音性能の向上など、技術革新にも積極的な取り組みが見られた。「セレZ」の型式改良については、特に耐震性の向上を主眼に置いた構造変更が行われている。建物の重量バランスに着目した最適解を模索し、震災リスクを想定した設計が導入された。また、建築部材である鉄骨のベース幅について、従来の型式では50cmに限られていたところを30cmに抑えることに成功しており、従来の型式と比べて鉄筋量・コンクリート量が少なく済むため、コストダウンにつながっている。外部要因である原価高騰に対して効率改善の取り組みが成果を挙げており、リスク管理が適切に行われていると弊社では見ている。
(2) 賃貸開発事業
売上高は4,662百万円(前期比7.7%減)、セグメント利益は706百万円(同5.7%減)となった。販売面では、商品認知度の向上を目的として、完成現場見学会に購入検討者及び紹介会社の来場促進を実施し、来場した購入検討者からの新規販売契約獲得や、紹介会社からの新規顧客紹介を取得するなど、取引先との連携強化に取り組んだ。仕入面では、富裕層ニーズにマッチする希少性の高い角地を重視した用地取得を進め、全物件に「東京ゼロエミ住宅」仕様を標準採用することで、脱炭素社会への貢献と差別化を実現している。また、条件を満たした物件であれば、「住宅性能表示制度」の耐震等級3(最高)までを実現可能とすることで、資産価値向上やゲストの安全性向上といったオーナー層からのニーズに応える選択肢を増やした。結果として、売上高は計画比79.4%に留まったものの、利益率の向上によりセグメント利益は計画比101.3%と堅調に推移した。角地100%供給による付加価値最大化戦略が奏功しており、効率的な経営が実現されていると言える。賃貸開発事業は物件引き渡しの時期による影響を受けやすいが、環境配慮型の住宅開発や資産価値向上への取り組みが、将来的な事業基盤を強化する要因となることで、持続可能な成長が見込まれる。
(3) 賃貸経営事業
売上高は10,013百万円(前期比5.8%増)、セグメント利益は1,135百万円(同1.6%増)となった。賃貸住宅事業及び賃貸開発事業と連携し、受注前からの同行営業を強化した結果、管理戸数は12,475戸と前期末から161戸増加した。また、協力業者とのネットワーク構築に注力し、「セレ リーシングパートナーズ」や「セレ メンテナンスパートナーズ」との連携を強化することで、空室期間短縮やメンテナンスの品質向上に成功している。特に、インスペクションの導入や修繕対応の迅速化によってオーナー満足度を高める体制を構築しており、その結果として高水準の入居率98.5%(前期末から増減なし)を維持している点は高く評価できる。また、新設されたリフォームカンパニーにおいては、建物延長保証制度の見直しと再延長保証制度の導入により、資産価値維持の観点からオーナーへの提案力が一段と向上している。賃貸経営事業は引き続き堅調な成長を維持しており、管理物件数の増加と高水準の入居率が事業の安定性を支えている。メンテナンス業者との協働により迅速かつ効率的なサービス提供が実現しており、オーナーとゲスト双方からの高い評価を受けている。加えて、リフォームカンパニーの設立により長期的な資産保全体制が整備されたことも、今後の事業拡大を支える要因になると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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