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ベルシス24 Research Memo(8):次期中期経営計画の発表に先立ち、「中長期成長シナリオ」を発表(2)
配信日時:2025/05/14 13:08
配信元:FISCO
*13:08JST ベルシス24 Research Memo(8):次期中期経営計画の発表に先立ち、「中長期成長シナリオ」を発表(2)
■ベルシステム24ホールディングス<6183>の中長期の成長戦略
(2) 生成AIの活用:生成AIを活用してヒトによる対応から自動化に転換し利益率を向上
コンタクトセンター業務において、生成AIは脅威との認識もある。しかし同社では、生成AIの活用こそが次世代コンタクトセンター実現の重要なツールであると位置付ける。次世代コンタクトセンターでは、コンタクトセンターへの問い合わせに対し、生成AIによる自動応答を行い、生成AIが対応できないケースはオペレーターが回答する。これにより人手不足や人件費上昇への対策が可能となる。また、ヒトが対応する従来型コンタクトセンターと比べて生産性が向上し、コンタクトセンターの運営コストが低下する。その結果、同社の利益領域が拡大し、利益率が向上することになる。
生成AIをコンタクトセンターで活用する際に不可欠なのは、一般的な知識ではなく個別企業の個別問い合わせに対応した膨大かつ質の高いデータであるが、同社には年間5億コールから蓄積された膨大なデータからの知見そのものが付加価値として活用できる。ユーザーの生の声を効果的に引き出し・収集・分析する能力は、スキルを有するオペレーターにしかできないプロセスであり、曖昧な問い合わせへの対応等、ヒトにしかできないやり取りを通じた原因の特定がコンタクトセンター業務の要であり、この原因特定プロセスを生成AIの学習データとして蓄積する。
このようにコンタクトセンターの自動応答化には、膨大なVOCのナレッジ化(ナレッジサービス)が必須であるが、同社は大量の通話データから高鮮度かつ高精度なナレッジベースを構築している。一般的に新たなサービスや製品のリリース時には、生成AIの事前の学習ナレッジは限られる一方で、膨大な問い合わせが発生する。ナレッジサービスは、3万人のオペレーターがAIの学習に必要な通話データ(ナレッジ)を効率的に短期間で蓄積することで、生成AIの早期戦力化を進めるものだ。オペレーターによる対応は生成AIの導入時に大きな比率を占め、AIの学習が進捗することで徐々にその比率は低下する。しかし、新サービスや新製品の投入のタイミングでは、前述のプロセスを通じたナレッジの再収集が必要で、早期の収集や生成AIの教育には、多くのオペレーター(高い融通性や臨機応変な対応力)が必要となる。
同社では、2023年6月にヒトがやるべき領域とAIに任せる領域の分界点を見極め、コンタクトセンター業務に適切に使える生成AIを実現することを目的に、「生成AI Co-Creation Lab.」を設立した。同社がハブとなり、テクノロジー企業、SIer企業、マーケティング企業といったパートナー企業とともに生成AIを活用したコンタクトセンターの構築を目指す取り組みで、Pull型/Push型の双方向アプローチで生成AI活用事例の創出を加速するものだ。また、生成AI導入の際に課題となるナレッジ更新作業を自動化するシステムである「Hybrid Operation Loop」の製品開発をスタートしている。日々の通話データからナレッジベースを自動生成するプロセスを構築することで、従来オペレーターが人力で行っていたナレッジマネジメントの負担を軽減しつつ、効率化を実現する。2026年2月期中には、このナレッジを自動応答用の生成AIに学習させることで、一部業務において自動応答を実現する次世代コンタクトセンターの構築を目指している。
また、生成AI導入に向け、同社の対応能力を強化するために、生成AI関連(技術、人材含む)への投資を2031年2月期までに300億円以上行うこと、AI技術の導入・運営に特化した専門部署を設置すること、AIに特化した専門人材を3年で約100人増員することなどを計画する。次世代コンタクトセンターでは、生成AIによる自動応答によりオペレーターの一部はナレッジマネージャーに転換する。ナレッジマネージャーは、生成AIの学習に必要な知識を選別し、生成AIへの教育を担当する役割を担う。そのため、ナレッジマネージャー業務の遂行に向けたリスキリングを徹底して支援する計画だ。
(3) マーケティング支援:VOCを活用し新たな付加価値を創出
次世代コンタクトセンターをプロフィットセンターへ進化させる計画で、これにより次世代コンタクトセンターで収集する膨大な知見とVOCを活用し、新たな付加価値を創出する。具体的には、まず、生成AIによるVOCの目的に沿った自動収集により、消費者のニーズを把握する。それによってコンタクトセンターをプロフィットセンター化し、クライアント企業の売上増加につながるマーケティング支援業務領域を開拓する。このようにVOCの自動収集を起点としたデータ分析を実施することで、クライアント企業のマーケティング部門に向けた新サービス提供するとともに、同社の売上収益拡大への貢献を図る。
マーケティング支援業務の取り組み事例としては、日本最大級の化粧品関連の総合情報サイトである「アットコスメ」を運営するアイスタイル<3660>に、同社の子会社であるシンカーがマーケティング支援サービスを提供している。生成AIを活用し、口コミデータから自動的に顧客のペルソナ(プロフィール)を作成し、膨大な口コミデータを顧客の関心やニーズなどの定量情報に変換することで、課題や競争優位性の比較を可能にしている。
3. 中長期の目標
同社は、2031年2月期の目標として、売上収益2,500億円、営業利益率10%以上を掲げている。前述の成長戦略を推進することで、売上収益を今後6年間で1.74倍に拡大(年平均成長率9.7%)を目指す計画だ。2031年2月期の売上収益内訳は、スマートコンタクトセンター業務2,150億円(うち、従来型コンタクトセンター業務750億円(2025年2月期は1,236億円)、次世代コンタクトセンター業務1,000億円、新たな付加価値の創出400億円)、スマートビジネスサポート業務350億円(同200億円)を目指す。また、取引社数は2,500社(同1,586社)に拡大し、1社当たりの売上収益1億円(同9千万円強)を目指す。既に、コンタクトセンターでの生成AI活用に向けて様々な取り組みに着手しており、取引社数が順調に増加し、新しい付加価値を提供すれば、十分に達成可能な目標であると弊社では考える。次期中期経営計画の正式発表と、取り組みの進展に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<HN>
(2) 生成AIの活用:生成AIを活用してヒトによる対応から自動化に転換し利益率を向上
コンタクトセンター業務において、生成AIは脅威との認識もある。しかし同社では、生成AIの活用こそが次世代コンタクトセンター実現の重要なツールであると位置付ける。次世代コンタクトセンターでは、コンタクトセンターへの問い合わせに対し、生成AIによる自動応答を行い、生成AIが対応できないケースはオペレーターが回答する。これにより人手不足や人件費上昇への対策が可能となる。また、ヒトが対応する従来型コンタクトセンターと比べて生産性が向上し、コンタクトセンターの運営コストが低下する。その結果、同社の利益領域が拡大し、利益率が向上することになる。
生成AIをコンタクトセンターで活用する際に不可欠なのは、一般的な知識ではなく個別企業の個別問い合わせに対応した膨大かつ質の高いデータであるが、同社には年間5億コールから蓄積された膨大なデータからの知見そのものが付加価値として活用できる。ユーザーの生の声を効果的に引き出し・収集・分析する能力は、スキルを有するオペレーターにしかできないプロセスであり、曖昧な問い合わせへの対応等、ヒトにしかできないやり取りを通じた原因の特定がコンタクトセンター業務の要であり、この原因特定プロセスを生成AIの学習データとして蓄積する。
このようにコンタクトセンターの自動応答化には、膨大なVOCのナレッジ化(ナレッジサービス)が必須であるが、同社は大量の通話データから高鮮度かつ高精度なナレッジベースを構築している。一般的に新たなサービスや製品のリリース時には、生成AIの事前の学習ナレッジは限られる一方で、膨大な問い合わせが発生する。ナレッジサービスは、3万人のオペレーターがAIの学習に必要な通話データ(ナレッジ)を効率的に短期間で蓄積することで、生成AIの早期戦力化を進めるものだ。オペレーターによる対応は生成AIの導入時に大きな比率を占め、AIの学習が進捗することで徐々にその比率は低下する。しかし、新サービスや新製品の投入のタイミングでは、前述のプロセスを通じたナレッジの再収集が必要で、早期の収集や生成AIの教育には、多くのオペレーター(高い融通性や臨機応変な対応力)が必要となる。
同社では、2023年6月にヒトがやるべき領域とAIに任せる領域の分界点を見極め、コンタクトセンター業務に適切に使える生成AIを実現することを目的に、「生成AI Co-Creation Lab.」を設立した。同社がハブとなり、テクノロジー企業、SIer企業、マーケティング企業といったパートナー企業とともに生成AIを活用したコンタクトセンターの構築を目指す取り組みで、Pull型/Push型の双方向アプローチで生成AI活用事例の創出を加速するものだ。また、生成AI導入の際に課題となるナレッジ更新作業を自動化するシステムである「Hybrid Operation Loop」の製品開発をスタートしている。日々の通話データからナレッジベースを自動生成するプロセスを構築することで、従来オペレーターが人力で行っていたナレッジマネジメントの負担を軽減しつつ、効率化を実現する。2026年2月期中には、このナレッジを自動応答用の生成AIに学習させることで、一部業務において自動応答を実現する次世代コンタクトセンターの構築を目指している。
また、生成AI導入に向け、同社の対応能力を強化するために、生成AI関連(技術、人材含む)への投資を2031年2月期までに300億円以上行うこと、AI技術の導入・運営に特化した専門部署を設置すること、AIに特化した専門人材を3年で約100人増員することなどを計画する。次世代コンタクトセンターでは、生成AIによる自動応答によりオペレーターの一部はナレッジマネージャーに転換する。ナレッジマネージャーは、生成AIの学習に必要な知識を選別し、生成AIへの教育を担当する役割を担う。そのため、ナレッジマネージャー業務の遂行に向けたリスキリングを徹底して支援する計画だ。
(3) マーケティング支援:VOCを活用し新たな付加価値を創出
次世代コンタクトセンターをプロフィットセンターへ進化させる計画で、これにより次世代コンタクトセンターで収集する膨大な知見とVOCを活用し、新たな付加価値を創出する。具体的には、まず、生成AIによるVOCの目的に沿った自動収集により、消費者のニーズを把握する。それによってコンタクトセンターをプロフィットセンター化し、クライアント企業の売上増加につながるマーケティング支援業務領域を開拓する。このようにVOCの自動収集を起点としたデータ分析を実施することで、クライアント企業のマーケティング部門に向けた新サービス提供するとともに、同社の売上収益拡大への貢献を図る。
マーケティング支援業務の取り組み事例としては、日本最大級の化粧品関連の総合情報サイトである「アットコスメ」を運営するアイスタイル<3660>に、同社の子会社であるシンカーがマーケティング支援サービスを提供している。生成AIを活用し、口コミデータから自動的に顧客のペルソナ(プロフィール)を作成し、膨大な口コミデータを顧客の関心やニーズなどの定量情報に変換することで、課題や競争優位性の比較を可能にしている。
3. 中長期の目標
同社は、2031年2月期の目標として、売上収益2,500億円、営業利益率10%以上を掲げている。前述の成長戦略を推進することで、売上収益を今後6年間で1.74倍に拡大(年平均成長率9.7%)を目指す計画だ。2031年2月期の売上収益内訳は、スマートコンタクトセンター業務2,150億円(うち、従来型コンタクトセンター業務750億円(2025年2月期は1,236億円)、次世代コンタクトセンター業務1,000億円、新たな付加価値の創出400億円)、スマートビジネスサポート業務350億円(同200億円)を目指す。また、取引社数は2,500社(同1,586社)に拡大し、1社当たりの売上収益1億円(同9千万円強)を目指す。既に、コンタクトセンターでの生成AI活用に向けて様々な取り組みに着手しており、取引社数が順調に増加し、新しい付加価値を提供すれば、十分に達成可能な目標であると弊社では考える。次期中期経営計画の正式発表と、取り組みの進展に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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