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ダイキアクシス Research Memo(5):国内・海外における水インフラビジネスを手掛ける(2)
配信日時:2025/04/24 12:15
配信元:FISCO
*12:15JST ダイキアクシス Research Memo(5):国内・海外における水インフラビジネスを手掛ける(2)
■ダイキアクシス<4245>の事業概要
(2) 海外展開
国内市場の事業環境は、人口減少や水質改善により新規案件が減少傾向にある一方、新興国における水環境の汚染は放置できない状況であり、下水道普及率が低い国での市場拡大が見込まれる。水インフラビジネスは、部材・部品・機器製造と、装置設計・組立・施工・運転、事業運営・保守・管理(水売り)の主要3業務で構成される。海外の水メジャー企業はすべての領域を網羅するが、日系企業は水処理機器、エンジニアリング、オーガナイザーなど各分野に特化している。同社グループは、中小規模の排水処理をターゲットとすることから、水メジャー企業と棲み分けることに加え、主要3業務を一貫して提供する機能を持つことが日系企業に対する差別化となり、生活排水処理・事業場排水処理、公共水域浄化のいずれにも対応する独自のポジショニングを構築している。この中小規模の排水処理で、ASEANやインド、アフリカでの市場拡大に際して、同社は先行者利得を得る可能性が大きい。
成長戦略の筆頭に挙げられている「海外展開の加速」は、SDGsの6番目の「安全な水とトイレを世界中に」に深く関わっている。アジアやアフリカの新興国では、水質汚濁による環境汚染が看過できない状態となっていることから、新しい排水処理基準が導入されている。同社が手掛ける中小規模の排水処理関連分野では、現地企業は厳格化された基準をクリアできる技術水準になく、高い技術力を有する海外企業も、未開拓の市場においては現地の水事情に適合したコスト競争力のある製品を供給できていない。一方で同社は、それぞれの国や地域の水事業に適合する製品開発、厳格化された基準をクリアしていることを証明する実証実験と認証を取得することを心掛けている。現地で受け入れられるコストを実現するため、主要な市場において子会社や合弁企業の設立、外部への生産委託、自社による現地組立及び一貫生産など、地域と市場の発展に適した生産形態を採っている。
後述する新中期経営計画において、同社は2027年12月期の海外売上高を5,000百万円と計画している。うち、インドが40%強を占める見込みだ。インドは、2023年に人口が中国を抜き世界一となった。2023年の実質国内総生産(GDP)成長率が8.2%となり、2年連続で中国を上回った。ドルベースの名目GDPは約3.568兆米ドル(約560兆円)と世界5位にランキングされている。インドの人口は約14億人と日本の11倍、国土面積が世界7位の328万km2と、日本の37万km2(62位)の約9倍の大きさである。2021年7月時点の人口の中位年齢は、日本の48.4歳に対しインドが27.6歳と若い。インドは、人口ボーナス期にあり、今後高い経済成長が見込まれ、下水道などの社会資本を整備する時期に当たる。
また、2024年1月にはバングラデシュに子会社を設立した。バングラデシュは2026年には後発開発途上国から卒業予定であり、BRICSに続く新興経済圏(ネクスト11)の1つとなっている。水環境は重度に汚染されており、河川の水質問題により飲料水の取水が困難な状況であるが、下水道普及率は3%に留まっている。規制範囲に該当するすべての建物に浄化槽と同等の適切な汚染処理設備の設置が義務付けされる法整備が進められている。
海外事業は、中国に3拠点(営業2拠点、製造合弁1拠点)、インドネシア3拠点(製造1拠点・営業2拠点)、インド2拠点(営業・製造)、シンガポール2拠点(統括1拠点、営業1拠点)、スリランカ1拠点(営業・製造)、バングラデシュ1拠点(営業)の展開となる。販売代理店数は、インドが21社、インドネシアが3社、残りのベトナム、ミャンマー、バングラデシュ、ネパール、スリランカ、パキスタンが各1社である。現地のニーズ、市場の発展及びリスクに応じて、事業展開は独資・合弁・買収、生産委託・自社生産、組立・一貫生産などから適切な形態を選択している。
中国市場には、中大型浄化槽の需要に対しインドネシア工場から製品を供給し、小型製品に関しては、合弁企業から供給を受けている。同社が、合弁企業に金型などの製造設備の提供と技術指導を行った。工場は、合弁先の敷地内に建設されており初期投資は大きくない。インドネシアは、現地企業を買収後に新工場を建て日本生産方式を導入した。インドでは、まず販売代理店の1社に生産委託をすることで現地生産を開始した。委託工場は西部のムンバイにある。インドの2番目となる自社工場は、北部のデリー近郊に建設した。同工場は、委託生産工場で製造しているカプセルタイプだけでなく、インドネシアからの輸入に頼っていた円筒タイプも製造する。
2. 住宅機器関連事業
「住宅機器関連事業」の2024年12月期における売上構成比は、建設関連業者等が59.9%、ホームセンターリテール商材が8.2%、住機部門工事が31.8%であった。
前身のダイキが1958年の創業時に「タイルと衛生陶器の専門店」としてスタートしており、住宅機器の卸売業では数十年来の実績を持つ。システムキッチン、トイレ、ユニットバスなどの水回り住設機器を元請のゼネコン、地場建築業者、ハウスメーカーに販売している。商圏は本社がある四国及び瀬戸内に面する中国・近畿地方が中心で、公共施設向けの内外装資材等の卸売など、同地域内では高い販売実績を上げている。時代のニーズを捉えた新たな商材を開拓し、近年では木製水槽、環境パイル工法など、環境に配慮した商材の提案にも力を入れている。また、DCMホールディングスのグループ企業向けにホームセンターリテール商材を供給しており、ホテル、病院、教育施設などへの資材及び設備の販売や施工も手掛けている。卸売り型の事業モデルであるため、利益率は相対的に低いが、木構造事業のすべての工程を自社で完結する体制を構築するなどメーカー機能を強化することで付加価値及び競争力の向上を目指してきた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<KM>
(2) 海外展開
国内市場の事業環境は、人口減少や水質改善により新規案件が減少傾向にある一方、新興国における水環境の汚染は放置できない状況であり、下水道普及率が低い国での市場拡大が見込まれる。水インフラビジネスは、部材・部品・機器製造と、装置設計・組立・施工・運転、事業運営・保守・管理(水売り)の主要3業務で構成される。海外の水メジャー企業はすべての領域を網羅するが、日系企業は水処理機器、エンジニアリング、オーガナイザーなど各分野に特化している。同社グループは、中小規模の排水処理をターゲットとすることから、水メジャー企業と棲み分けることに加え、主要3業務を一貫して提供する機能を持つことが日系企業に対する差別化となり、生活排水処理・事業場排水処理、公共水域浄化のいずれにも対応する独自のポジショニングを構築している。この中小規模の排水処理で、ASEANやインド、アフリカでの市場拡大に際して、同社は先行者利得を得る可能性が大きい。
成長戦略の筆頭に挙げられている「海外展開の加速」は、SDGsの6番目の「安全な水とトイレを世界中に」に深く関わっている。アジアやアフリカの新興国では、水質汚濁による環境汚染が看過できない状態となっていることから、新しい排水処理基準が導入されている。同社が手掛ける中小規模の排水処理関連分野では、現地企業は厳格化された基準をクリアできる技術水準になく、高い技術力を有する海外企業も、未開拓の市場においては現地の水事情に適合したコスト競争力のある製品を供給できていない。一方で同社は、それぞれの国や地域の水事業に適合する製品開発、厳格化された基準をクリアしていることを証明する実証実験と認証を取得することを心掛けている。現地で受け入れられるコストを実現するため、主要な市場において子会社や合弁企業の設立、外部への生産委託、自社による現地組立及び一貫生産など、地域と市場の発展に適した生産形態を採っている。
後述する新中期経営計画において、同社は2027年12月期の海外売上高を5,000百万円と計画している。うち、インドが40%強を占める見込みだ。インドは、2023年に人口が中国を抜き世界一となった。2023年の実質国内総生産(GDP)成長率が8.2%となり、2年連続で中国を上回った。ドルベースの名目GDPは約3.568兆米ドル(約560兆円)と世界5位にランキングされている。インドの人口は約14億人と日本の11倍、国土面積が世界7位の328万km2と、日本の37万km2(62位)の約9倍の大きさである。2021年7月時点の人口の中位年齢は、日本の48.4歳に対しインドが27.6歳と若い。インドは、人口ボーナス期にあり、今後高い経済成長が見込まれ、下水道などの社会資本を整備する時期に当たる。
また、2024年1月にはバングラデシュに子会社を設立した。バングラデシュは2026年には後発開発途上国から卒業予定であり、BRICSに続く新興経済圏(ネクスト11)の1つとなっている。水環境は重度に汚染されており、河川の水質問題により飲料水の取水が困難な状況であるが、下水道普及率は3%に留まっている。規制範囲に該当するすべての建物に浄化槽と同等の適切な汚染処理設備の設置が義務付けされる法整備が進められている。
海外事業は、中国に3拠点(営業2拠点、製造合弁1拠点)、インドネシア3拠点(製造1拠点・営業2拠点)、インド2拠点(営業・製造)、シンガポール2拠点(統括1拠点、営業1拠点)、スリランカ1拠点(営業・製造)、バングラデシュ1拠点(営業)の展開となる。販売代理店数は、インドが21社、インドネシアが3社、残りのベトナム、ミャンマー、バングラデシュ、ネパール、スリランカ、パキスタンが各1社である。現地のニーズ、市場の発展及びリスクに応じて、事業展開は独資・合弁・買収、生産委託・自社生産、組立・一貫生産などから適切な形態を選択している。
中国市場には、中大型浄化槽の需要に対しインドネシア工場から製品を供給し、小型製品に関しては、合弁企業から供給を受けている。同社が、合弁企業に金型などの製造設備の提供と技術指導を行った。工場は、合弁先の敷地内に建設されており初期投資は大きくない。インドネシアは、現地企業を買収後に新工場を建て日本生産方式を導入した。インドでは、まず販売代理店の1社に生産委託をすることで現地生産を開始した。委託工場は西部のムンバイにある。インドの2番目となる自社工場は、北部のデリー近郊に建設した。同工場は、委託生産工場で製造しているカプセルタイプだけでなく、インドネシアからの輸入に頼っていた円筒タイプも製造する。
2. 住宅機器関連事業
「住宅機器関連事業」の2024年12月期における売上構成比は、建設関連業者等が59.9%、ホームセンターリテール商材が8.2%、住機部門工事が31.8%であった。
前身のダイキが1958年の創業時に「タイルと衛生陶器の専門店」としてスタートしており、住宅機器の卸売業では数十年来の実績を持つ。システムキッチン、トイレ、ユニットバスなどの水回り住設機器を元請のゼネコン、地場建築業者、ハウスメーカーに販売している。商圏は本社がある四国及び瀬戸内に面する中国・近畿地方が中心で、公共施設向けの内外装資材等の卸売など、同地域内では高い販売実績を上げている。時代のニーズを捉えた新たな商材を開拓し、近年では木製水槽、環境パイル工法など、環境に配慮した商材の提案にも力を入れている。また、DCMホールディングスのグループ企業向けにホームセンターリテール商材を供給しており、ホテル、病院、教育施設などへの資材及び設備の販売や施工も手掛けている。卸売り型の事業モデルであるため、利益率は相対的に低いが、木構造事業のすべての工程を自社で完結する体制を構築するなどメーカー機能を強化することで付加価値及び競争力の向上を目指してきた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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